特集

TEXT&PHOTO:桂伸也


本誌BEEASTが自信を持ってプッシュする太鼓判アーティストの特集!第27弾は、ボーカリストMaikoの、強力かつ多彩なボイスを中心とした個性が魅力なロックバンドDAZZLE VISIONをお届けします!
 
以前、『密着レポート第16弾 DAZZLE VISION』でも紹介した彼らは、シーンに登場した当初から多くの注目を集めています。Maikoの個性的なキャラクターを中心として確立されたそのバンドスタイルは、今や押しも押されもせぬ存在となりました。その人気は日本に留まらず、台湾やアメリカ公演など、精力的な海外活動を展開、スケール感の大きさも見せています。
 
2013年に新ギタリストTONYを迎え、約1年が過ぎた現在。2014年3月7日にはニューアルバム『FINAL ATTACK』をリリース、3月末には久しぶりのワンマンライブを控えているDAZZLE VISION。さらに今回、自身の新たな可能性を求め、ギタリスト公募を始めたことで、また新たな注目を集めている彼らに、ギタリストTONYを迎え活動を続けている現在の心境と、新たなアルバムに込めた思い、そしてこれからDAZZLE VISIONが目指すものを、彼らへのインタビューより探ってみました。

 

DAZZLE VISION
◆メンバーリスト:
Maiko(Vocal)、TONY(: Guitar)、Takuro(Bass)、Haru(Drums)
 
実の兄妹であるTakuroMaikoを中心に結成。2006年に1stアルバム『Origin of Dazzle』、2007年に2ndアルバム『Camellia Japonica』、2008年には3rdアルバム『Crystal Children』、シングル「滅/ALL REFUSED」、2010年に全米デビューアルバムとなる『to the next』をリリース。2011年には4thアルバム『キラリ』をリリースし、2012年にはZEPP TOKYO,ZEPP NAGOYAにて行われたEVANESCENCEの来日ツアーサポートアクトを務めた。
 
さらに2012年、歌声合成ツール”UTAU”の音声ライブラリー「デス系シャウトVo.破壊音マイコ」の声とキャラクターイメージをMaikoが担当。2012年には5thアルバム『SHOCKING LOUD VOICE』をリリース。2011年に新宿WildSide Tokyo、渋谷clubasia、2012年には渋谷clubasia、今池CLUB 3STARそして渋谷CLUB QUATTROワンマンライブを開催。いずれも満員開催となった。その後、ギタリストのJonが脱退し、2013年4月に新ギタリストとしてTONYが加入、現メンバーにて活動を開始した。
 
海外公演でも定評があり、2006年4月に台湾ツアー敢行。野外イベント『SPRING SCREAM 2006』に出演。このツアーの成功により台湾にてメジャー流通が開始した。2007年には台湾大型イベント『無限自由音樂節』に出演。2010年にはアメリカ、シアトルで行われた3大アニコンのひとつ『sakura-con』出演。イベント過去最高の4,000人以上を動員。さらに2013年4月6日にはアメリカ、ピッツバーグで行われた『Tekkoshocon2013』出演。イベント過去最高の1,100人以上を動員。これに合わせ、初のLIVE音源『LIVE in Pittsburgh』をリリースした。

 
hana
 

1.彼の加入は、DAZZLE VISIONにとって相当デカいプラスになりましたね。

 

—DAZZLE VISIONにTONYさんが加入されて約1年が過ぎましたね。加入のいきさつは、どのようなものだったのでしょうか?

 
Maiko:前任のギターといろいろあったのですが、ちょうど同時期に私がTONYとメールをやり取りしていたことがきっかけでした。
 

—もともと知人の関係だったということでしょうか?

 
Maiko:そうです、彼のやっていたバンドと知り合い。そのころ、彼のバンドも休止状態で、ちょうど彼がフリーな状態だったんですよ。だからその話をメールしたら、すでに彼が勝手に「なら、オレ入るわ」的なノリになって(笑)。
 
Haru:アメリカ公演直前でした。すぐパスポートを取って、アメリカに行ったもんな?(笑)で、ライブ盤の音録りなんかも、いきなりね。
 
TONY:そうそう!(笑)いや~あれは辛かった…
 
Maiko:しかも、彼はもともと7弦ギターしか持っていなかったんだけど、DAZZLE VISIONに入ると決まっていたわけじゃないのにすでに(バンド活動のために必要な)6弦ギターを買いに行っていたということ(笑)
 

—やる気十分で素早い行動ですね(笑)。でも、もともとバンド仲間としてはかなりつながりも深かったということですかね?

 
TONY:そうですね。とはいえ、ほぼ飲みの席でしか顔を合わせていなかったんですが(笑)
 
Haru:うん、そう。飲み会だけね(笑)。ただ彼が出たライブは何回か見たことがあったので、「こんなギターを弾くやつだ」ということはイメージとして知っていました。
 

—なるほど。では、新加入ながらそれほど不安もなかったということですね。

 
Haru:そうですね、テクニック的にはまったく。
 
TONY:それと俺が前にいたバンドのボーカルがいなかったことがあったんですが、そのときにサポートボーカルとしてMaikoに歌ってもらったことがあったんです。それで俺としても違和感がなかったんだと思います。
 

—ではまさしく「勝手知ったる仲」という感じですね。

 
TONY:そうですね。
 
Maiko:まあ、私たちはギターが変わるたびにファンの方からは「大丈夫か?」と思われているでしょうけど(笑)。何か常にギターが変わるたびに「あっ、もうダメかな」って思っていると、大体そういうときに良い人がいてくれるという状況が続いていまして(笑)。そのおかげで未だにバンドが続いています。
 

—バンドに参加するにあたり、その話を受けてTONYさんご自身はどのように思われましたか?アメリカ公演を目前に控えていたというのも、加入に際してはプレッシャーにもなるのではないかと思いましたが。

 
TONY:いや、それは俺のほうから言い出したんですよ。アメリカ公演が決まっているっていう話を聞いていたから、「ああ、じゃあ俺、行くわ」って(笑)
 
Maiko:しかもそのアメリカの日、もともとは名古屋で自分主催のイベントを組んでいたんですが、それも日程変更してもらってまで。
 

—大胆ですね(笑)。では、入る前の不安もなかったということですね。実際にDAZZLE VISIONの曲でリハーサルを行った際に、「むむっ?これは難しいな?」「これはいいな?」などと感じられたことはありましたか?

 
TONY:いや、そういう面でも特に違和感はなかったんですよ。曲もしっかり覚えてきたし。逆にたとえば「このバンドでやれば、俺はいける!」みたいな気負いもなかったです。加入を決めたのは、直感的な思いだったと思います。
 

—では、この1年でガラッと変わったという感じもなく?

 
Haru:うん、まあ「酔っぱらいが一人入ってきたなぁ」って感じで(笑)。ただ、ギターの鳴りは違うので、その分音の雰囲気は変わってきたかなと思います。彼もあえてそう意識しているみたいだし。
 

—なるほど。曲の違いからそう見えるのかもしれませんが、以前のギターの方とはまったくギターのサウンドやスタイルに違いを感じましたが、新しいギタリストを迎える上で考えられていたスタイルと合致していたのでしょうか?

 
Haru:いや、そもそもそういうことは考えていなかったです。むしろ、新しいやつが入ってきたら、新しいサウンドに勝手に変わっていくんだろうな、くらいに思っていました。それがカッコよくなれば、それでいいって。
 

—Takuroさんはどのように見られましたでしょうか?以前うかがった話では、もともとDAZZLE VISIONの曲作りにおいて起点となるアイデアは、Takuroさんが作ってくるものが多いとうかがった覚えがあるのですが、TONYさん加入により新たな風が吹き込まれたという意味で、バンドにもいろんな変化が見えると思われたのですが?

 
Takuro:そうですね。たとえば今回のアルバムでは、彼の曲作りが7割くらいTONYの作なんですよ。
 
Maiko:7月くらいに新曲会議があって、まあ12曲入りなので20曲くらいは用意しましょう、という話になったんですが、そこからピックアップしたのがほぼTONYの作品だったんですよ。Takuroが作った曲ももちろんあるんですが。
 

—聴いたイメージとして、TONYさんの作品には受け入れやすさみたいなものがあったのでしょうか?

 
Takuro:そうですね、単純に彼の作品が良いというところもあったし、それに今回のアルバムのコンセプトとして「ATTACK」というキーワードがあるんですが、それには「挑戦」とか「攻撃的」とか、いろんな意味があるんだけど、そういうことも含めて新しい人材が入ったことでDAZZLE VISIONとして新しいスタートにもなりましたね。実際、彼の作った曲は今までにないような曲ばっかりだったし。
 
Maiko:もうね、彼が作った曲を持ってきたときについていた仮タイトルがすでに狂っていたんですよ(笑)。全部変えましたけどね。
 
Takuro:「助さん」「角さん」とかね(笑)
 
Haru:そのタイトルのイメージが強すぎて、曲名が覚えられなかったんですよ(笑)。タイトルトラックの「FINAL ATTACK」の仮タイトルが「助さん」だったんです(笑)。最後の最後まで本タイトルを出せなくて、あぶなくアルバムタイトルが「助さん」になるところでした(笑)
 

—なるほど。すごいエピソードですね(笑)。ではTONYさんの加入は、自分たちのカラーに新しい色を加えてくれた、という意味で、総じて正解だったということでしょうか?

 
Takuro:そうですね。彼の加入は、DAZZLE VISIONにとって相当デカいプラスになりましたね。
 
Maiko:こんなにプログラミングもできる人もそんなにいなかったし。今まではHaruがやっていたんですけど。
 

—かなり派手になりましたよね。以前は今回のリリースものに比べるともっとサウンドがソリッドというか非常にシンプルだったような印象を持っていたのですが。

 
Haru:そのおかげで、サウンド自体もかなり派手になりましたね。パーティー系というか(笑)
 
TONY:俺のもともとの活動が、楽曲提供がメインで、まわりの人が俺に持つイメージもそういう人間だというところもありますしね。
 

—なるほど、全体的に違ったバンドになったくらいのイメージ変化はありますね。でもそこにMaikoさんのボーカルが入ることで「やっぱりDAZZLE VISIONだな」という風には思えますが。

 
Maiko:そうですね、それくらい変化したイメージもあるかもしれませんね。
 

2.「5人での可能性を求めて」。ある意味ハードルが高いかもしれません。

 

—オフィシャルサイトで新たなギタリストの公募が告知された件に関してお聞きしたいのですが、ギタリストの交替は、過去に何回くらい行われたのでしょうか?

 
Maiko:5人です。結構な数ですよね。だから今回は思い切って趣向を変えて、それならいっそ「『DAZZLE VISION ギター48』くらいにしちゃおうよ!」なんて言っていたんです(笑)。冗談はともかく、やっぱりツインギターのほうが、一人よりも表現できることは多くなるし。
 

—今までライブでも打ち込みである程度サウンドに狙ったところを表現できていると思ったのですが、それでもあえて新しいメンバーを求めるというのは、どんなところに狙いを定められているのでしょうか?

 
Haru:やっぱり生で演奏したほうがいいと思ったんです。TONYはキーボードも弾けるから、ギターもいてキーボードもいて、という恰好にしたほうが。ライブで今打ち込んであるやつも、彼はキーボードを生演奏でやっても弾けるし。そういうのもいろいろできたほうがいいしね。
 
TONY:むしろ、そういうことを自分で、生演奏でやりたいな、って思っているんです。ギターだけよりは。
 

—では、TONYさんがキーボードをプレイする機会ができるということでしょうか?

 
TONY:そうですね、ピアノを弾いたりする機会ができれば。
 

—ちなみにギタリストとしてTONYさんから見ると、「俺より下手じゃダメだ」とか、何か新しいギタリストに対する希望はありますか?

 
TONY:いや~それほどのこだわりはないです。むしろ曲全体を、プログラミング含めて見ていたいなという感じなんです。まあ、俺よりカッコいいギターを弾くやつもあんまりいないだろうし(笑)
 
Maiko:あ~出たよ、言い出したよコイツは(笑)
 

—大きく出ましたね(笑)。新しい人を入れたときにパフォーマンスやサウンドで「こういうものを狙っていきたい」という具体的なイメージは、今魔現在考えられているのでしょうか?

 
Haru:いや、まだそれはないですね。それは来た人がどんな人かによっていろんな形があるだろうし、どんな人がいるかわからないですしね。逆にものすごく弾ける人が来たら、それこそ半分以上はTONYがピアノにしてもいいと思うし。
 

—キーボードでもいいんですか?

 
TONY:いいですね。もともとピアノだったし。
 

—面白いですね、1年間もギタリストとして頑張ってきたのに(笑)。でも大々的にメンバーを公募するというところはユニークに思いました。以前も大々的に募集されていたのですか?

 
Takuro:そうですね、以前から大々的に。ただ、変な言い方ですが、今回は「5人での可能性を求め」という副題があるんです。裏を返せば、可能性なので、上手くても俺たちの感性に触れないものであれば当然、該当なしというケースもあり得ます。
 
Maiko:以前公募を行ったときには、公募自体が最終手段と思っていた矢先に、周辺で適任者を探したけど結局該当者が見つからず、結局最後の手として打ち出したんですが…
 
TONY:それに比べると、今回はそんな危機感があるというわけではないので、逆にある意味ハードルが高いかもしれません。
 

—でも公募で応募された方には、自分たちのバンドに馴染みにくいというリスクも考えられるのではないでしょうか?まったく面識のない人間が、新メンバーとしてバンドに加入するわけですから、さまざまなプレッシャーも考えられますよね。

 
Maiko:いや、「可能性」というくらいなので、最悪バンドのほうは全然問題ない(笑)。それくらいに思っています。
 
TONY:抜けるやつは抜ける、それはしょうがないでしょう。でも、そういうリスクがありながらも逆にこっちを「おっ!」と思わせてくれる人がいたら、むしろ入ってきてもらいたいと思っています。
 

—では、とにかく可能性ということで、「48」くらいの(笑)、面白い恰好になればということですね。

 
Takuro:そうですね。クリエイティブベースから始まったことなんですが、すでに応募してくれた人のアピールの文面を見ていると、みんなマジなんですよね。結構僕らはCDを出してきているんですけど、「2ndの『Camellia Japonica』からずっと聴いていました」とか、真剣に思いを綴ってきてくれる方がたくさんいるんです。
 
TONY:えっ?俺、そのアルバムは知らねえなあ?(笑)
 
Takuro:おまえなあ…知っとけよ(笑)
 
Maiko:最終審査が、3月に行われるワンマンライブの開演前で行う予定なんです。ステージで実演を審査する予定なんですけど、変な話「そこに誰も来なかったというパターン」も考えられるんですよね。たとえば一次で全て落ちちゃうというというケースも。正直そんな簡単に見つからないだろうということは自覚していますし、「もしフィットするギタリストがいればラッキー」くらいのつもりだったんです。でも、今回良い感じの方が結構来ている話もあるようです。すでに来ている応募者には結構イケてる人もいるので、今のところ審査会は行う予定です。
 

—それは楽しみですね!

 
Takuro:うん、いますね。「可能性」はあります!
 

3.ワンマンやイベントを行うたびにバンド生命を賭けています。

 

—楽しみですね。また新しいメンバーが入れば、スタイルもまた変化することも考えられるということですね。そういう意味では新しいアルバムも含めてですが、DAZZLE VISIONのスタイルに「これ!」というものはないといえるのでしょうか?

 
Haru:そうですね。最低限として自分たちの持ち味を生かしながら変わる分にはいいんじゃないかなと思います。無理して変わるものでもないし、あえて「変える」ということも考えていないし、より良い表現ができればそれでいいんじゃないかなと。
 
Maiko:私は最初から一番いるメンバーだけど、DAZZLE VISIONはその時々に一番良いと思うもの、かつ自分たちに一番適した表現をやり続けているだけですね。
 

—なるほど。「自分の好きな音」というのが、ポリシーといえばポリシーということですかね。

 
Haru:まあ、そうですね。「やりたくねえな」と思うことはやりたくないし。
 
Maiko:そうはいっても、今回は歌ったことのないスタイルもたくさんあったし、プレイヤーの立場としては正直、自分の中で少し違和感がありました。エレクトリックな音を入れたピコピコ系や、オートチューン(Antares Audio Technologies社の、音程補正用プラグインソフトウェア)を結構使っていますが、そこには結構なチャレンジと決断がありましたね。
 

—そのアルバムの話をうかがいたいと思うのですが、まずタイトルとタイトルトラックで「FINAL ATTACK」という名前がありますね。これはどういう由来によるものでしょうか?

 
Maiko:アルバムを作るためのコンセプトの中で、先程も少し触れましたが「ATTACK」というキーワードがまず自分たちの中にあったんです。その上で創作活動を始めたのですが、その途中の段階で、私がある世界的なRPGの楽曲を歌うことが決定したので、それにも合わせてそのRPGの「挑戦」「戦い」的なイメージをアルバムやジャケットのデザインにまで入れたら伝わりやすいんじゃないかということになり、タイトルにもその意味をもたせた恰好です。
 

—では、バンドとしてのキーワード「ATTACK」と、さらにコラボレーションという意味合いを持たせた恰好として、コンセプトを構築されたということでしょうか?

 
Maiko:そうですね。タイトル一つ一つにまでイメージが作られているんです。全体的な雰囲気を決める時に、そのきっかけから中身をRPGの世界観に合わせる恰好に作ったんです。ただ、「セカンド」と「エボリューション」はもともとあった楽曲なので、それ以外の楽曲に関してですが。
 
TONY:中ジャケ、裏ジャケにまで、そのコンセプトがわかりやすく伝わりやすいように、と意識しましたね。
 

—では、今までに比べると、まさしくそのキーワードに合わせて相当「攻めて」いる感じなのでしょうか?

 
Maiko:そうですね、かなり攻めている感じ。歌詞も「日本語のほうがいい」という意見もあったけど、自分がいいと思った方向にしましたし。その意味では、英語もかなり多いですし。
 

—なるほど。「エボリューション」「セカンド」は今までに発表された楽曲ですが、録り直しは行われたのでしょうか?

 
Maiko:それはそのまま。人気のある曲ではあるし、初めてDAZZLE VISIONを聴くファンの人にはいいかな、ということで、合わせてアルバムに入れました。この2曲が入った「最強アルバム」というコンセプトですよね。
 
Haru:確かにPVもある曲だし。DAZZLE VISIONを知ってもらう上では最も適した楽曲だと思っていますね。
 

—「CIRCLE」は、昨年発表されたライブ音源の中にも入っていましたね。これと「セカンド」「エボリューション」以外は、まったくの新曲ですか?前回のアルバム(『SHOCKING LOUD VOICE』)が、新旧の楽曲を合わせて構築された恰好の作品でしたよね?今回も前作に挿入された「セカンド」の選曲があったことから、それに準じたものなのかと思いました。

 
Haru:そうですね、何曲かはライブではプレイしていた曲ですが、アルバム制作に向けるという前提で作った楽曲ですね。セカンド」「エボリューション」を除いて全て。それでアルバム用に曲は作っていたけど、今までライブのレパートリー的に「これはライブ向きだな」と思った曲は、先にライブでもやっていたんです。その中でアルバムに合うものを入れた恰好ですね。
 
Maiko:もともとその時点で「ATTACK」というキーワードは、何もない状態から考えていたし、そこから曲作りは始めていました。
 
TONY:今回の制作に向けて、俺も20曲以上の曲を書きましたしね。
 

—その中で7割がTONYさんの作品ということですね。あとの3割がTakuroさんですか?

 
Takuro:いや、俺のアイデアもあるし、その他のメンバーのものもあります。
 

—メンバー総動員で力の入った曲作りですね。詞のことについてお聞かせいただければと思いますが、全般的にMaikoさんの書かれる詞の内容は、どういうものをターゲットとしているのでしょう?曲の多くはご自身の内面的な感情などを世界観として構築されているという印象を受けました。主観的な観点というか。

 
Maiko:そうですね、ベースとしてはそういったものですね。もちろん今回も自分の思っていることなどを詞に込めている形のものではありますが、その上で「まわりの人をなぐさめ、勇気づけられる」という内容に向けることを意識して書いていますね。
 

—それは全般的にですか?

 
Maiko:そう。自分のメモリーみたいな感じですね。「セカンド」だけは違う感じかな。実はみんなに言われていることなんですけど自分の体験談ではないんです。妄想的に「こういうものを作ったら受け入れられるかな?」ということを考えました。そういう風に作ったこともありましたけどね。アルバム全体で「失恋の歌が欲しいな」とか、テーマを考えて書いたりするケースも。
 

—それを今回は、「ATTACK」というキーワードに合わせてイメージを膨らませたということでしょうか。そういうものは詞のイメージとして、他のメンバーの方は何か意識されることはあるのでしょうか?

 
Haru:いや、それほど多くはね。基本的に内容に関しては原詞者、つまり彼女の気持ちに寄り添うということを意識しています。ただ、たとえば詞の一番重要な部分がスネアのリズムの変なところにかかるとか、歌詞が乗ったところにドラムとして邪魔になりそうなところは調整することはありますね。
 
TONY:まあでも、今回はプリプロの段階で完成に近い状態にかなり作り上げていました。曲作りとしてかなりこだわりましたね、歌のメロディも合わせて。以前は曲作りのあとで歌詞と合わせてMaikoが歌のメロディを作るケースが多かったようですが、今回は歌詞ができる前にほぼメロディも固めていましたね。
 

—その中で、作曲側とボーカリストという立場で食い違うことはやっぱりあるのでしょうか?

 
Maiko:それはもちろんありますね(笑)。やっぱり私は「歌いたいメロディ」というものもありますし。そんなときはまず当然お互いに「あれ?」ってなっちゃいますし。
 

—それは、完成に近づくにつれてわかり合う部分というものもあるのでしょうか?

 
TONY:そんな部分ももちろんありますが、完全にわかり合うことはないんじゃないかな(笑)
 

—それを踏まえて、皆さんの中で思っているアルバムの聴きどころって、どんなものなんでしょうかね?

 
Haru:それはもちろん「全部」だと俺は思っています(笑)
 
Maiko:私は、シャウトの出し方で変わりました。たぶん今までとはまったく違うと思ってもらえると考えているのですが、シャウトの「吐き」と「吸い」。ライブでは大体半々で行っていたんですが、アルバムでは「吸い」がメイン。今までの私の声を気に入ってもらえたファンの方には「メチャ変わった!」って思ってもらえるんじゃないかな。そこは注目してもらいたい。
 
Haru:今回はレコーディングに集中したかったので、バンドで初めて合宿に入ったんですよ。
 
Maiko:ただ、ほとんど飲んでいたり、クラブに遊びに行っちゃったり(笑)
 
Haru:3日間の泊まり込みの合宿で、9割8分ぐらい飲んでましたね(笑)。で、最終的にスタジオをしっかり押さえていたこともあり、「リハに入らないとまずいんじゃないか」っていう話になって、ガチガチに酔っぱらった状態でスタジオに入りながら…すぐ辞めちゃったけど(笑)
 
TONY:俺、半分以上はいなかったし(笑)、遊んだあと「風邪っぽい」って帰っちゃったし(笑)
 
Takuro:で、PVの打ち合わせでちょっと盛り上がっただけて(笑)
 
Haru:まあ、でもあの合宿があったからこそ、アルバムができたと言っても過言じゃないかな(笑)
 
Takuro:えっ!マジで?結構意味はなかったんじゃない!?(笑)
 
Maiko:もうこの4人だけだと遊んじゃうからね、大人がいないと(笑)
 

—スゴイ経緯ですね(笑)。でもご自身としてはかなり「イケてる」アルバムとして完成したと自負できますね?

 
Haru:もちろん!イケてると思います。最高傑作。フルアルバムが3年ぶりだし、自分たちで改めて聴いてもしっかりコンセプトを構成できたと感じているし。全体的に今までにない雰囲気はアルバムに構築できたと思うんですよね。自分で聴いていてもそういうことを感じるんですよ。
 
Maiko:「BLACK STAR」っていう曲があるんです、きゃりーぱみゅぱみゅみたいな。シャウトなんか一切なくて、可愛らしい声で歌っている、そんな曲もあり、いろんな声も使っているんです。ジャンルでいえばエレクトロ、スクリーモもあり、メタルコアもあり、ポップスもある。普通のロックもあるけど、当初のストーリー的なものもコンセプトとして表現できたと思います。
 

—曲を作っていて悩んだことってありますか?たとえば過去のイメージに何かとらわれるようなこととか。

 
TONY:いや、俺はとらわれたことはないですし、そういうことは一切考えていなかったです。
 
Takuro:逆に俺は考えましたね。だからこそ、なかなか自分の曲がバンドに「これ、できたよ」っていう提供ができなかったんです。
 
Maiko:二人の曲のつくり方は全然違うんですよ。Takuroは感性に任せて作るほうだし、TONYは職人系というか。その二人の差はどうかな、って今回すごく心配していましたが…意外に問題なし、大丈夫でしたね。
 

—まったく違う性格がガッチリ組み合ったとは、もう最強タッグですね(笑)

 
Takuro:いやいや(笑)
 

—では、アルバムを聴いたあとの、みんなの反応が楽しみですね。

 
TONY:うん、そうですね。俺はバンドサウンドをあえて「変えてみたい」とずっと考えていたこともあるし。
 

—今回のレコーディングのほぼ同時期に、SADS RESPECT ALBUM 『M』(SADSのトリビュートアルバム)にも参加されたということですが、これはどんないきさつだったのでしょうか?

 
Haru:SADS清春さんがDAZZLE VISIONのことを今回のアルバム参加者として探し出してくださったということらしいですね。
 

—もともとSADSとDAZZLE VISIONのつながりはあったのですか?

 
Haru:いや、まったくなかったんですよ(笑)。自分たちが知らないところで、清春さんは俺たちのことを知っていて、連絡をいただいたという。
 
Maiko:お話をいただいて、自分たちの良さが一番出せる曲を研究しまくって出した結論が「Hate」という曲でした。すごい今風のサウンドに仕上げましたね。こんなものが並み居るビジュアル系バンドさんのサウンドの中で、唐突にポイとあるというのも面白いですよ(笑)。でもそんな中でピックアップしてもらったことがうれしいです。
 
Haru:そうだよね。清春さんが直接俺たちを選んでくれたってことが特にうれしい。DAZZLE VISIONとしても初カバーで、ものすごくカッコよくできたと思いますし。
 
TONY:せっかくこういう機会もいただいたし、今回のビジュアル系の参加バンドさんとも対バンをやりたいですよね。そんな機会が今後もあれば。
 

—では作品を作る上では、こちらも特に悩んだことはなかったのでしょうか?

 
Haru:それはなかったですね。変に先入観がなかった分ね。TONYがアレンジしてくれて、DAZZLE VISIONらしく、かつカッコよく仕上げられました。
 
TONY:入院して、病室でアレンジをしていたんですよ(笑)
 

—入院ですか!?

 
Haru:ある日、肺気胸で倒れちゃったんです。その前日も一緒に飲んでたんですけどビックリしましたよ。(笑)
 

—なるほど。さまざまありながらこっちも反応が楽しみですね。その意味では3月は盛りだくさんですね。アルバム、カバートリビュート、メンバーオーディション、そしてワンマンと。それでは最後に締めとしてその意気込みを語ってもらえますか?

 
Maiko:私たちは、いつもこの状況で行っていますが、ワンマンやイベントを行うたびにバンド生命を賭けています。一昨年に行ったQUATTROのワンマンも、会場が埋まらなかったら解散しようって。今回も同じ、いろいろあったけど、アルバムもあるし、とにかく来てください!って感じ。
 
TONY:普段のライブは短いし、できることは限られていますよね。だからなかなかライブを見に来なくなるっていうのはありますけど、ワンマンは長いし、昔の曲も新しいアルバムの曲も、アコースティックやピアノ演奏なんかもあるかもしれない、それだけのことができるんだから、普段ライブに来られない人は絶対に来てよ!って。だって次はないじゃん?ってね。そんな気持ちでやってますから。それと、ライブを見に来てくれるきっかけのライブになってくれればいいですね。せっかくバリエーションの豊富なアルバムもできたし、ステージもたっぷり見せられるし。で、ショウをやるつもりでステージに立とうと考えているところです!
 

—では、「背水の陣で」ということですね。埋まらなかったら、新しいギターが来ても…

 
Haru:確かに!なんてね(笑)
 
Maiko:でも究極はそうですよね。みんな来てくれないのに、やってもしょうがないし。だから、とにかくPVを見てもらって、アルバムを買ってもらって、ワンマンに来てくれ!と。
 
hana
 
彼らの語り口にはとても素直でかつ自然な雰囲気を感じました。多くのジャンルが現存するロックシーンで、第一線を夢見るロッカーたちはときにジャンルに固執しすぎてしまい、自分なりの個性を見失ってしまうケースが存在しますが、多くの人がDAZZLE VISIONに注目を集めるようになった現在でも、彼らの胸の中にあるものは純粋に音楽を好きでいること、好きな音楽を楽しむことにあるようです。
 
自分たちの個性を見失わず、かつ音楽というものを愛する気持ちこそが、彼らをシーンで揺り動かしていると言ってもよいでしょう。進んでいく方向をあるがままに受け入れるHaru、自分たちの芯にあるものをしっかりと見つめるTakuro、そしてバンドもイメージを貪欲に追求するMaikoと、個性豊かなメンバーがそろったDAZZLE VISIONですが、それは新たなセンスを持つギタリストTONYにより、新風を取り入れた現在の彼らの中でも変わらず、「好きな音楽を楽しむ」ことで、また一歩成長をとげ、彼らの世界をより大きなものとしたように見えます。
 
新境地を開いたニューアルバムもリリースされ、いよいよ新たな挑戦に向かうワンマンライブの期日も間近に迫ってきている現在ではありますが、次に彼らがどんな手でロックファンに対して挑みかかるのかはまったく予測不可能。それはあえて未来に道筋を作らない彼らならでは。しかし、彼らにはブレない信念が芯にあるのも然り。Maikoのシャウトがさらに冴えわたるDAZZLE VISIONの次の策略を、ぜひその目で直接確かめられることをおススメします!
 

DAZZLE VISION『FINAL ATTACK』
発売日:2014年3月7日
SMRA-1008/2,900円(税込)
両面大型ポスター付
収録曲:
M01. FINAL ATTACK
M02. エボリューション
M03. CIRCLE
M04. ALL OUT
M05. TO THE END
M06. A BRAND NEW WORLD
M07. セカンド
M08. HEARTLESS
M09. BE FREE
M10. スフィア
M11. BLACK STAR
M12. OPEN THE GATE
 

SADS RESPECT ALBUM『M』
発売日:2014年3月26日
GEI-001/3,150円(税込)
収録曲:
M01. Masquerade
M02. NIGHTMARE
M03. Third Eyes Trial
M04. ロザリオと薔薇
M05. ポルノスター
M06. ACME
M07. Hate(DAZZLE VISION参加)
M08. GENTLE DARKNESS
M09. EVIL
M010. Because

 

◆ライブ情報
 
DAZZLE VISION presents SHOCKING LOUD VOICE 2014Spring!
2014年3月28日(金) 【東 京】渋谷TSUTAYA O-WEST
※来場特典
・来場者全員に非売品ポスターをプレゼント!
・先着200名には、超秘蔵レアDVD(アメリカ公演のダイジェスト映像。編集なし、バックステージ、プライベートなど含めたかなりレアな内容)を進呈。
ライブ予約はお早めに!
 
Geishun Label presents carnival of evil
2014年3月29日(土) 【東 京】恵比寿The Garden Hall
 
◆オフィシャルサイト
 
公式ホームページ
http://dazzlevision.net/
ニコニコチャンネル
http://ch.nicovideo.jp/channel/dazzlevision (毎週月曜、23時~)
Facebook
https://www.facebook.com/dazzlevision2010
Twitter
https://twitter.com/DAZZLE_VISION

 

★読者プレゼント★
今回インタビューに登場したDAZZLE VISIONのサイン色紙、サイン入りポスターのセットを、抽選で2名様にプレゼント!
 
ご応募方法は“BEEASTファンクラブ”の方にお届けする「週刊ビースト瓦版(無料メルマガ)」にて記載いたします。
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密着レポート第16弾 DAZZLE VISION
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DAZZLE VISION SHOCKING LOUD VOICE 2012 2012/6/16 @渋谷clubasia
http://www.beeast69.com/report/29422
Editor’s Note…PASSION Mind6(桂伸也)
http://www.beeast69.com/feature/54585