連載

キャプテン

TEXT:鈴木亮介
Chapter01 ~ガールズロック篇〜

若葉マークの副編集長スズキによる「キャプテン教えて!」。ロック初心者であるスズキが、本誌BEEASTスーパーバイザーである和田“キャプテン”誠を師匠と仰ぎ、教えを乞う連載です!記念すべき第1回目となる今回は、「ガールズロック」をPICK UPします!
第1週は国内のけいおん!女子ブームの原点とも言える80年代にスポットを当てました。
第2週はAldious、BABYMETALなど今をときめくガールズバンドに注目しました。
先週、第3週はガールズロック、ディーバの音楽のルーツを探りました。

今週はいよいよ「ガールズロック篇」の最終回。ここまでのお話から、「どのような人がスターになれるのか?」といった話や、2012年の注目株について、BEEASTスーパーバイザーを務めるわれらがキャプテン・和田誠先生に教えていただきました。日本のロックシーンを何十年にもわたって見続けているキャプテンの言葉は、「音楽で食っていきたい…」と考えるティーンエイジャーはもちろん、ガールズロックのトレンドを知りたい、という人にも必読の内容!


和田誠 プロフィール

国内屈指のヘヴィメタル評論家・ラジオパーソナリティ。三重県生まれのA型。1970年代から新宿、渋谷などのロック喫茶でDJとして活動し、1975年にオールナイト・ニッポンのパーソナリティとしてデビュー。1987年よりTBSのHR/HM番組「PURE ROCK」にレギュラー出演。国内外問わず多くのメタルアーティストから支持を集める。現在、FM YOKOHAMA「ROCK DRIVE」パーソナリティを務めるほか、ポッドキャスト「キャプテン和田の劇的メタル」が好評配信中。プロレスや水戸黄門にも造詣が深い。2012年よりWebロックマガジン「BEEAST」スーパーバイザーに就任。

◆1-4 ~今後の注目株は?~

―――ここまでのお話を整理すると、現在のガールズロックブームの起点となったのは80年代のSHOW-YA、あるいは彼女らのルーツであるガールズロックの第一人者、カルメン・マキ。そして90年代に入ってゴシック系、アキバ系など個性溢れるバンドの台頭が現在のブームを支えていると言って良いと思います。今後こうしたブームは続いて行くのでしょうか。

和田:冒頭にお話ししたように、今は誰でもスターになれるチャンスがふくらんだ時代で、AKB48SCANDALなどに憧れる女の子も多いと思いますし、V系(=ビジュアル系)、メタル系を志望する子も多いでしょう。これからも個性的なミュージシャンはどんどん出てくると思いますね。

―――しかし実際スターダムにのし上がれるのはほんの一握りです。どういった人がスターになれるのでしょうか。

和田:今までの傾向をみると、セルフプロデュースする能力を備えているミュージシャンが成功していますね。注目を集めることでファンが増え、より大きなステージにのし上がっていける。伝統的な流れとは基本的に違う路線です。かつてはプロのコンポーザー、プロデューサーのもとで鍛錬を積んで、デビューしました。今は、自作自演が当たり前のようになっていますから、スターへの道のりも変わりましたね。

―――なるほど。では、これから先、ミュージシャンが生き残っていくためにはやはりプロデュース力が一番の鍵になるのでしょうか。

和田:いえいえ。当然ながら大前提として卓越した演奏力や歌唱力は必要でしょうね。「歌姫」が注目されるのは、人の心をつかむ圧倒的な歌唱力を持った歌い手がこの時代に必要とされているということです。やはり、ボーカルが上手いバンドが今後は伸びていきますね。

―――では最後に、ガールズロックバンドで和田さんが今注目している新星を教えてください!

和田:2012年に飛躍しそうなバンドとしては、LIGHT BRINGERは演奏力と歌唱力が卓越しています。アキバ系のノリとメタルのノリが融合したバンドで、男女問わず支持を集めています。また、関西を中心に人気を集めているG∀LMETもいいですね。そしてボーカルが魅力的なバンドで言うと、LIV MOONもいいですね。元宝塚のAKANE LIV(あかね りぶ)というボーカルによるメタルプロジェクトで、シンフォニックでオペラティックなメタルサウンドが魅力のバンドです。4オクターブのボーカルで非常に見ごたえのあるショウを展開します。彼女もやはり、Nightwishの影響を受けています。

— ソロで活躍する女性も増えているのでしょうか。

和田:そうですね。女性ギタリストにも注目しています。古くにはRamatamApril Lawtonがファンに衝撃を与えましたが、今は当たり前のように優れた女性ギタリストが登場してきています。日本でもEITAJikkiといったプレイヤーは注目されていますし、本格派メタルギタリストを目指して活動するRie a.k.a Suzakuなどは興味深い存在ですね。彼女はお母さんがメタルファンということで、メタルの英才教育を受けた純粋培養のメタル女子です(笑)。あと、これはまだ現時点で言える段階ではないのですが、Aldious並みの大型バンドが出てくると思いますよ。女性をフィーチャーしたバンドは本当にたくさん出てきています!これだけたくさん出ているとバンド同士が切磋琢磨しますので、より質の良いバンドが出てきますよ。まさに戦国乱世ですね。
 

今回登場ミュージシャンを聴くなら、これ!和田誠イチオシの1枚

LIGHT BRINGER『Midnight Circus』

LIV MOON『Symphonic Moon』

Jikki『Pop Metal Guitar Venus 』

Rie a.k.a. Suzaku『Mother Earth』

◆LIGHT BRINGER 公式ホームページ
http://www.lovelylovely.jp/

◆LIV MOON 公式ホームページ
http://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A022867.html

◆EITA 公式ホームページ
http://eita-web.com/

◆Jikki 公式ホームページ
http://eruption-lady.com/jikki/Top_Page.html

◆Rie a.k.a Suzaku 公式ホームページ
http://www.poppin.jp/rie_web/

 

来月は「メタルでひもとく戦後史篇」の予定、お楽しみに!!