連載

キャプテン

TEXT:鈴木亮介
Chapter01 ~ガールズロック篇~

若葉マークの副編集長スズキによる「キャプテン教えて!」。ロック初心者であるスズキが、本誌BEEASTスーパーバイザーである和田“キャプテン”誠を師匠と仰ぎ、教えを乞う連載がスタートします!

「さっきドラマで流れていたあの曲、昔の曲らしいけど歌ってたの誰?」「お父さんが好きなミュージシャンを一緒に聴いてみたいのだけど、何から手をつけたら良いのか分からない…」そんなスズキと同じロック初心者に贈るロックの教科書的連載にしたいと思います!

この連載では、ロックの何をどこから学んで良いか分からない!というビギナーを代表して、スズキがwikipediaでは分からない古き良きミュージシャンの魅力や音楽的な繋がり、広がりについて、学んでいきたいと考えています!

今の音楽と昔の音楽の意外なつながりをひもとくことで、“親子でロックを語る”きっかけになれば幸いです。

聞き手は全国のロックビギナーを代表して、若葉マーク副編集長のスズキが担当。そして、解説をお願いするのはこの人!メタルミュージシャンとそのファンなら誰もが知るあの大御所!BEEASTスーパーバイザーを務めるキャプテン・和田誠先生だ!!


和田誠 プロフィール

国内屈指のヘヴィメタル評論家・ラジオパーソナリティ。三重県生まれのA型。1970年代から新宿、渋谷などのロック喫茶でDJとして活動し、1975年にオールナイト・ニッポンのパーソナリティとしてデビュー。1987年よりTBSのHR/HM番組「PURE ROCK」にレギュラー出演。国内外問わず多くのメタルアーティストから支持を集める。現在、FM YOKOHAMA「ROCK DRIVE」パーソナリティを務めるほか、ポッドキャスト「キャプテン和田の劇的メタル」が好評配信中。プロレスや水戸黄門にも造詣が深い。。2012年よりWebロックマガジン「BEEAST」スーパーバイザーに就任。

記念すべき第1回目となる今回は、「ガールズロック」をPICK UP!!最近は女性メンバーによるバンドが数多く活躍し、アニメ「けいおん!」のようにバンドを組む女子中高生もたくさんいます。いったいいつ頃から、どのようなきっかけでガールズバンドは増えていったのでしょうか。


◆1-1 ~けいおん!女子ブームの原点は80年代~

―――最近、SCANDALのような制服に身を包んだガールズバンドの活躍が目覚ましいですね。SCANDALコピーバンドオーディションまで開催されるほど、女子中高生の支持を集めています。

和田:確かに若い女性の活躍は目覚ましいものがありますね。けいおんなどは、部活の延長にもあるとみられがちですが、本格的な人気を得ていますね。あと、萌え系、コスプレ、デジ系、ありとあらゆるジャンルで、個性的ミュージシャンは数多く登場しています。しかし、女子にとって素質があるかないかの差は比較的判りやすい。楽器に振り回されているか、人・楽が見事に合体しているかで一目瞭然です。最近は、後者が増えて来ていることが顕著ですね。ガールズバンドの流れはBirthaFannyThe Runawaysといった70年代をはしりに形を変えながら現在まで続いています。

―――ガールズバンドのムーブメントは長く続いているのですね。ズバリその人気の理由は何でしょうか?

和田:80~90年代のバンドブームでひとつ流れは変わりましたね。SHOW-YAプリンセスプリンセス少年ナイフなどサウンドスタイルの異なるプロフェッショナルなバンドが人気を博すことによって、後続するバンドたちに大きく門戸を開きました。インディーズに注目が集まって来たのもこの頃からでしょうね。また、バンドではなくアイドルという観点からは、カラオケブームの存在は、かつての『スタ誕(=テレビオーディション番組『スター誕生』)』のような厳密な登竜門を通過することなくとも、人気者への道を身近にするきっかけとなったとも考えられますし、近年の急激なネットツールの発展が、より拍車をかけたといえるでしょう。

Photo

―――その頃の代表的なバンドと言うと…

和田:先ほど挙げたバンドの中からSHOW-YAを例にとってみますと、ボーカルの寺田恵子に強い影響を与えたのは、日本の女性ハードロックシンガーの元祖ともいうべきカルメン・マキです。もともとはフォークの世界でデビューし、ヒットを飛ばしましたが、やはり、彼女がフロントを務めたカルメン・マキ&OZは強烈でした。ピンクレディで歌に目醒めた恵子氏にとってもそのインパクトは絶大だったと想像つきますね。OZの代表曲「私は風」にインスパイアされた「私は嵐」って曲がSHOW-YAにはあるほどですから、その影響力が判ります(笑)。もともとハードなロックを志向していた五十嵐sun-go美貴中村美紀といったメンバーとSHOW-YAが発進することによって、確実にひとつの時代が構築されるわけです。また、ソリスト(=ソロシンガー)としての浜田麻里さんの素晴らしい活躍も、ロック界における女性アーティストのポジションを絶対的なものにしたともいえるでしょう。当時はシーンのリーダー、浜田麻里本城未沙子の頭文字がアルファベットで“HM”=ヘヴイメタルだと持て囃されたこともありました。

Photo

―――女の子がギターをかき鳴らしてハードな音楽を…というと、当時の人々にとっては刺激的だったと思います。

和田:ちょうどその80年代の頃は、BON JOVIEUROPEが世界的にブレイクし、「メタル」という音楽が、LAメタルやストリートメタル、スラッシュメタルといったジャンルに派生し、流行り出そうとしていました。 ヘヴイメタルが世界のトレンドになったんですね。 日本ではジャーマンメタルも人気を集め始めていましたから、巷ではメタルに対するアレルギーも薄れていたと思います。そんな中でのSHOW-YAの活躍ですからね。その頃私はSHOW-YAたちと仕事を一緒にさせてもらっていましたから、人気が高まっていくのが嬉しかったですね。Metallicaの「バッテリー」やHelloweenの「アイム・アライヴ」なども彼女たちがファンミーティングなどでプレイしましたからね。メタルは自然に受け入れられていたと言えます。

人気バンドの来日公演も一緒に見に行きましたが、印象深いのはCinderellaの初来日ですかね。ギター回しのフォーメーションがキマるバンドでカッコ良かった。SHOW-YAのフォーメーションもこの頃から始まりました。

今、彼女たちは“伝説のガールズロックバンド”とも紹介されていますが、今風トレンドで例えるならまさにアラフォージエネレーションの“美魔女ロックバンド”と言えますね。美しく魅力的なこの世代のバンドはSHOW-YAが唯一無二の存在じゃないですか。彼女たちなしで、今のガールズロックバンドムーヴメントは語れませんね。

今回登場ミュージシャンを聴くなら、これ!和田誠イチオシの1枚

SHOW-YA『Outerlimits』

SHOW-YA『GOLDEN☆BEST 』

カルメン・マキ『ベスト・オブ・カルメン・マキ&OZ』

Metallica『Kill Em All 』


◆SHOW-YA 公式サイト
http://show-ya.jp/

◆カルメン・マキ 公式サイト
http://www.carmenmaki.com/

◆Metallica 日本公式サイト
http://www.universal-music.co.jp/u-pop/artist/metallica/

◆Cinderella 公式サイト
http://www.cinderella.net/