演奏

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TEXT:鈴木亮介 PHOTO:本間加恵

Photo永遠のロック少女、森若香織。本誌BEEAST創刊時からのコラムニストでもあり、ソロライブや魔性姉妹でのユニット活動など様々なステージで活躍する姿を追い続けてきたが、2013年は特にGO-BANG’Sの再始動で大活躍の1年であった。
 
メジャーデビュー25周年を記念して5月にベストアルバム『スペシャルGO-BANG’S』をリリース。ポニーキャニオン通販限定で先行発売ののち、9月より全国CD店、Amazonなどでの流通がスタート。これと時を同じくして、GO-BANG’S森若香織のソロユニットとして25周年を機に再出発することが発表され、メディアへの積極的な出演など「ひとりGO-BANG’S活動」、略して「GO活」がスタートした。
 
そんな「GO活」として2013年の終盤、12月4日にファン待望のワンマンライブ「スペシャルGO-BANG’Sショー」が渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて開催された。ともすると「一夜限りの同窓会」「これでGO活は締めくくり」なのかと予想した人も少なくなかっただろうが、「締めくくる」どころか「ここからスタートする、きょうが第一歩」という、盛大な船出のワンマンライブとなった。
 
◆メンバー:
森若香織(Vocal / GO-BANG’S)、
白井良明(Guitar / ムーンライダーズ)、會田茂一(Guitar / FOE)、佐藤研二(Bass / FOE)、小松正宏(Drums / bloodthirsty butchersFOE)、村原康介(keyboard)
、ゆうき(chorus / ダイナマイトしゃかりきサ~カス)、たろう(chorus / ダイナマイトしゃかりきサ~カス

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「ひとりGO-BANG’S」ということで谷島美砂(Bass)、斉藤光子(Drums)の出演は叶わなかったものの、GO-BANG’Sのサウンドプロデュースを数多く手がけた白井良明を筆頭に、プロ初仕事がGO-BANG’Sのサポートという経歴を持つ會田茂一など、GO-BANG’Sにゆかりの深いミュージシャンたちが森若香織のもとに集結。再始動の幕開けにふさわしい顔ぶれが揃い、実にスペシャルなショーが実現した。
 
会場は立見も含め往年のGO-BANG’Sファン(=ゴーバニスト)たちで超満員。2階の関係者席も溢れんばかりの人で、取材陣はパンパンの立見スペースから背伸びしてのライブ観戦となる。水曜日ということもありスーツ姿の観客も多く見られる一方、幼い子の手を引いて親子観覧する観客の姿も多く見られた。そして午後7時半、耳馴染みのある曲のイントロが流れ観客がどよめく中、ついにGO-BANG’Sがステージに姿を現す!森若香織の衣装にどでかく描かれているのは、Elvis Presleyだろうか。
 
1曲目は「サマンサ」。女性コーラス2名も従えて、振付をしながら明るく元気よく、ライブをスタート!これぞ森若香織のパワー、一瞬にしてステージがパッと華やかに、チューリップ畑のように色めく。ステージ背景のスクリーンにはGO-BANG’Sのアートワークを手がけたことでおなじみ、染谷淳一が新たに描き下ろした曲のタイトル文字が映し出される。
 
「こんばんは~GO-BANG’Sでーす!」シンプルだが、力強い思いが詰まった挨拶に、観客も全力で拍手、「お帰り!」と受け止める。続く2曲目は「かっこいい ダーリン」。森若香織の少女のようなかわらしさと透明感があいまった歌声が皆の心を明るく灯す。3曲目「Sha・la・la」では白井良明のロックなギターソロ、4曲目「ロリポップ・ロリータ・ロンリーディ」では村原康介のポップなピアノがそれぞれ彩りを添える。
 
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「改めまして、GO-BANG’Sです!GO-BANG’Sでーすって言うの久しぶり」…興奮気味に話す森若香織。5月に”1人GO-BANG’S宣言”をしてからここまでを振り返り「きょうがその始まり。みなさんと一緒に、ここから完全復活トゥナイトです!ライブをやって再会…再会だよね?きょう初めて来た人いる?珍しい…一見さんお断りみたいにしようと思ってたんだよね」と観客を笑わせる。「同窓会じゃないけど…年月が経って毎年会えるような空間を作っておくといいですよね」「みなさんが知ってる曲ばっかりやりますから」と宣言。大きな拍手を集める。
 
続いてはGO-BANG’S後期の曲「ちょっとだけハイカラ」。透明感あふれるジャジーなピアノに森若香織のポップな歌声が載る、軽快な曲だ。天真爛漫なロック少女・森若香織はステージを縦横に駆け巡るが、しかしそこは25年超のキャリアを誇る面々。サウンドとボーカルは対照的に、上品な大人の音にアレンジし奏でる。
 
6曲目「テレフォンコールで抱きしめて」ではコーラスを綺麗に決める。思わず森若香織も「いい曲だよね!GO-BANG’Sの曲を全部歌ったら、1曲ずつが全部完成されてるんだよね。やっぱりメロディと歌詞とアレンジ、その3大柱がしっかりしてるものが残るんだよね!」手前味噌ながらと語るも、そこには四半世紀続けてきた自信、そして今宵同じステージに立つ白井良明をはじめとしたGO-BANG’Sプロジェクトに関わってきた一流のミュージシャンたちへのリスペクトがある。さらに観客への謝辞も含め「GO-BANG’S一家として続けていきたい」と語る。
 
気になるのは他のGO-BANG’Sメンバーの近況と今後。決して不仲ということではなく「美砂光子も『1曲くらいやってもいいよ』とは言ってました」と2人のモノマネを交えながら語り、観客を安心させる。さらに「みんなと一緒に歌いたい曲があります!」という導入から、「OK!」を演奏。リズムに合わせて今宵のバンドメンバーを1人ずつ紹介していく。最年少・28歳のキーボーディスト村原康介Van Halenの名曲「Jump」のイントロを弾いてみせ、”ゴーバニスト”たちから温かい拍手を浴びる。盛り上がる準備はOK?OK!ということで8曲目は「チキチキバンバン」!世界的名曲のGO-BANG’Sバージョンで、ただノリがいいだけでない、深みのある盛り上がりを見せる。
 
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中盤は森若香織がアコースティックギターを弾き、GO-BANG’Sとして最後となる1994年4月にリリースしたシングル「キスしたい」を披露。ゆうきたろうのちょっぴり切なくなるコーラス。小松正宏が軽快にスネアを叩く。続く「ショートカット・ラブリー」はクールなギターロック。白井良明のきらめくギター音に、佐藤研二の優しいベースが厚みを持たせる。さらに「BYE-BYE-BYE」では會田茂一が12弦ギターを手に、ゴージャスなサウンド!観客も大きく手を振って応え、草原に青嵐が吹くような光景。そんな空間を、森若香織の優しい歌声が包み込む。
 
それにしてもなんという豪華なバンドメンバーなのだろう。「恋のフリフリ」では静かなピアノのイントロから、メインパートにかけて盛り上がっていく轟音ロックギターまで幅広い演奏で魅せる。軽快なスカサウンドが心地良い「アイスクリームマン」ではコーラスの2人が前に出て、まるで森若香織と3姉妹のように楽しい振付でドライアイスになりきり踊る。主役・森若香織が、ここにいる全ての者を代表して、その心境を語る。「GO-BANG’S、楽しいですね!」
 
さあライブもいよいよ終盤。弾けるポップチューン「人生は絵の具のパック」、「ざまあカンカン娘」、「無敵のビーナス」と怒涛のヒットナンバー攻撃に、ゴーバニストたちはたまらず肩を揺らし、サビを一緒に口ずさむ!そんな光景に感極まってか、森若香織も拳を突き上げて熱唱し、応える。
 
そして、17曲目。ドラムの4カウントに続いてあのイントロが鳴り渡った瞬間、空気が変わった。「あれが始まる!」ワクワク感で目を輝かす観客。待ってました!作詞&作曲:森若香織、編曲:白井良明のタッグで制作、1989年の年末にリリースし、オリコンランキングの最高順位は2位、20年以上が経過した今でも歌い続けられている、GO-BANG’Sを代表するあの曲!「あいにきて I・NEED・YOU!」だ!観客は前も後ろも左も右も1階も2階も、みんなでピョンピョン飛び跳ねて、全身で喜びを表現!活動停止から20年、皆この時を待っていた!会いに来たかった!会いに来れた!I・NEED・YOU!!
 
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「We want GO-BANG’S!」「(拍手)タタッタ、タッタ!」…ファンはみな、覚えていた。森若香織が中学生時代に憧れたBay City Rollersのアンコールをオマージュした、GO-BANG’Sファンにだけ許された特別な呼び声だ。そんな温かいアンコールの声に呼ばれて一人再登場した森若香織。そのアンコールについて触れ、「人間の脳って不思議だね。うろ覚えのままだけど、時々音楽は、その瞬間が鮮明にパッと出てくるから不思議だよね」と感慨深げに語る。
 
そして、近年は田口トモロヲらが結成したパンクバンド・LASTORDERZのギタリストとしても活躍する森若香織、エレキギターを手にし、ジャラーンとハードロックなフレーズを弾いてみせる。バンドメンバーを呼びこみ、アンコール1曲目は「ダイナマイトガイ」をハードに演奏。続いても曲名の通りかっこいいロックナンバー「ロックンロールサンタクロース」を披露し、「あいにきて I・NEED・YOU!」で最高潮に達したかと思われた会場のボルテージをさらに引き上げる。
 
と、ここでGO-BANG’Sメジャーデビューアルバム『ゴーバニックランド』の1曲目「ハッピー・バースデイ」が流れる。ちょうどこの日、12月4日に誕生日を迎えた會田茂一を祝福しようというサプライズだ。
 
アンコール3曲目は「スペシャル・ボーイフレンド」で元気よくお別れ!最後のMCで「ひとりGO-BANG’Sって、逆に一人だからみんなが助けてくれて…人ってそういうことなんだなと。一人ぼっち、孤独、ではなくそれをフル活用するのがGO-BANG’Sのいい所。このバンドでGO-BANG’Sが始まりましたのでよろしくお願いします!きょうが記念日とかじゃなくて、私、ここから始まりなので。声が出なくなるまでやりたいと思います!」と改めて決意表明した森若香織。最後は「また遊びに来てください!ありがとう!だって、あなたたちは、あなたは特別すぎるから~!」
 
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最後はあの曲か。そう予感させるドラムロール。しかし、白井良明の6弦は「スペシャル・ボーイフレンド」ではなく、違う音を奏でた!「Happy Birthday~」なんと、最後の最後でまさかのサプライズ。翌週・12月11日に誕生日を迎える森若香織のためにも、ケーキが用意されていたのだ!超満員の観客に見守られながら、素晴らしい祝福。そしてGO-BANG’S再出発のスタートテープが切られた。「25周年って言っても本当はGO-BANG’S、87年デビューなんだよね」ちゃんと笑わせることも忘れない。
 
「やっぱり今が楽しい!」と笑顔で語る森若香織、かつてはGO-BANG’Sの成功を「両想いになる感じ」と表現していたが、今のGO-BANG’Sは「熟年夫婦のよう」だという。
 
恋愛し始めの頃のの新鮮さみたいなものではなく、もう互いを分かりつくしているという安心感。今ここにいる人たちと深く付き合っていきたい。…そんな思いが込められた今宵の「スペシャル・ボーイフレンド」は、ファンにとって特別すぎる1曲になった。決して「懐メロ」とか「同じ曲」とかではないし、と言って「新たな挑戦」みたいなことでもない。広げるのではなく、深めていく。そんな音楽との付き合い方を、GO-BANG’Sが教えてくれた。
 
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◆セットリスト
M01. サマンサ
M02. かっこイイ ダーリン
M03. Sha・la・la
M04. ロリポップ・ロリータ・ロンリーディ
M05. ちょっとだけハイカラ
M06. テレフォンコールで抱きしめて
M07. OK!
M08. チキチキバンバン
M09. キスしたい
M10. ショートカット・ラブリー
M11. BYE-BYE-BYE
M12. 恋のフリフリ
M13. アイスクリームマン
M14. 人生は絵の具のパック
M15. ざまあカンカン娘
M16. 無敵のビーナス
M17. あいにきて I・NEED・YOU!
-encore-
E01. ダイナマイトガイ
E02. ロックンロールサンタクロース
E03. スペシャル・ボーイフレンド
◆GO-BANG’S 公式facebookページ
https://www.facebook.com/gobangs.official
◆森若香織 公式ブログ
http://ameblo.jp/moriwaka/
 
◆25周年ベストアルバム

『スペシャル GO-BANG’S』
 発売中!

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