演奏

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TEXT:桂伸也 PHOTO:N-yukano、桂伸也

 
先日、「BEEAST太鼓判シリーズ第21弾アーティスト『Gacharic Spin』」でも紹介した、ガールズロックバンド、Gacharic Spin。2009年の結成から急速にその実力と人気を伸ばしてきたガールズロックバンドの本命ともいえるバンドだ。
 
昨年初旬にボーカリストが脱退、そのピンチを乗り越え、ドラマーのはなとキーボードのオレオレオナが歌うというバンドスタイルを確立。そして今年3月に初のフルアルバム『Delicious』をリリース。バンドはさらに2人のパフォーマーをバンドに採用しステージでのエンタテインメント性を重視したバンドとして進化を遂げた。
 
そして彼女らは新体制によるアルバムのリリースツアーを敢行。7月15日に東京は渋谷にあるO-EASTでワンマンライブにて締めくくりとなるワンマンライブを行った。パフォーマー2人を加えた初のワンマンライブであり、かつ彼女らのワンマンライブの経験上では最大規模となるO-EASTというステージで、彼女らはどのようなステージを見せたのだろうか?今回はこの日のライブの模様をレポートしよう。
 
◆メンバーリスト:
F チョッパー KOGA(以下、チョッパー :Bass)、TOMO-ZO(Guitar)、はな(Drums &Vocal)、オレオレオナ(以下、オレオ :Keyboards &Vocal)、まい(Performer)、ありさ(Performer)

◆ゲスト:
Fuki(Vocal)、はなわ(Vocal &Bass)


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予定の時間を押した会場は、スタート前からぎっしりとフロアを客が埋めた。ステージ正面から向かって左には、せり出した花道が見える。様々な思惑が見えるステージに「どんなライブが見られるのだろう?」押しかけた観衆たちの胸には、大きな期待がみなぎっていたに違いない。そして、いよいよ開演の時は来た。ステージに下ろされた幕にビデオメッセージが表示される。「Thank you for comming!」ファンとのつながりを大事にする彼女らの、強い思いがその言葉に集約されていたようにも見えた。最後にチョッパーが呟いた。「ここからが、私たちのNEXT STAGEです」いよいよステージはスタートの時を迎えた。
 
チョッパーの言葉そのままに、オープニングナンバーは「NEXT STAGE」。勢いよく飛び出したイントロから、チョッパーが叫んだ。「みんな、準備はいいか!」中央にそびえるように設置されたドラムセットと、その横に構えたキーボードに位置するオレオ。そしてフロントにはチョッパーTOMO-ZO、その2人を目いっぱいバックアップするように舞うまい、ありさという2人のパフォーマー。白とピンク、黄色にライトグリーン、水色とポップなカラーで身を包んだ彼女らが舞う。それだけでステージが明るく華やぐ。昨年までのステージは、4人のガールズがプレイする中でも、時にロックという壁に真っ向勝負をかけるような殺気立った緊張感すら見られる場面もあったが、この2人が存在することでその緊張感がいい意味で緩和され、女の子らしさ、ギャルバン的なカラーがより鮮やかにステージに表現された。続いた「LosT AngeL」でのキメの振りも彼女ら2人がしっかりとポーズを決めるだけに、印象はさらに強くなった。
 
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「LosT AngeL」のクライマックスにブレイク、花道には手に大きなけん玉を手にしたチョッパーが登場し、ピンスポットが当たる。静まる会場の中で彼女はけん玉を振り上げた。球は見事にカップに載り、成功。大きな歓声が沸きあがった。その様は彼女が冒頭で語った「NEXT STAGE」の幕あけが確かなものであることを物語っていた。
 
「ついにこの日がやってまいりました!今日みんなが立っているその場所は、フロアではありません!同じステージです!」チョッパーがこの日を迎えた思いの強さを語った。そこには、自分たちだけではない、ファンの後押しがあったからこそのこの日のステージがあったこと、そしてフロアの人間に対してファンとアーティストという関係ではない、同列の位置関係が成り立っているという意味を示していた。
 
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チョッパーが語った、「型にはまらずはみ出しまくるバンド」Gacharic Spin。出会いも成長もすべて吸収し、さらに拡大を進めていくそのバンドという集団の大きさがそこに感じられた。曲はニューアルバムの「GS★PLANET」へ。彼女らとフロアの観衆の動きが完全にシンクロして、大きな波を打った。目いっぱいの笑顔と、高揚する気持ちを表すように体を揺らし、リズムと同調し、会場全体でこの日が来たことへの喜びを表した。
 
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ガチャマン、ピン子(Gacharic Spinの熱狂的なファン)はそんなゴージャスなステージが展開されたことで、さらに気持ちを高揚させられた。まいありさの明るい表情と、はつらつとした動作は、その横に立つチョッパーTOMO-ZOの手足となり、楽器の音以上にはじける彼女らの思いをフロアに送り込んだ。そして時にステージ中央でアピールするオレオとの絡みを入れたパフォーマンスもコンビネーション抜群。背中に背負ったキーボードで、時に中央でオレオにソロを弾かせるなど、「その手があったか」と思わせるようなプレイも満載。そしてここぞ!という場面で飛び出すチョッパーTOMO-ZOのギター回しもバッチリと決まり、フロアの観衆の興奮も、留まるところを知らない様子だった。
 
そして一度ステージでははなを残して一時みな掃けた。ここは「はな兄さん」の土壇場とばかりに彼女お得意の「コマネチ」動作を入れた熱いコメントでフロアを和ませた。気が付くと、ステージ右に設置されたサブステージでは、エレピを囲うようにカホンと、アコースティックベース、アコースティックギターを抱えた彼女らの姿。アコースティックステージだ。ここでは、常に目を見張るような彼女らの進化とは対照的に、彼女らの内にある不変のメロディーがそこで表される。「雪泣く」「ALIVE」と、アコースティックプレイでは彼女らの定番となっている曲が続いた。静かなハーモニーの中、叫ぶようなオレオのボーカルが会場に響いた。
 
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アコースティックステージが終了すると、再びメインステージへ。切ないメロディーと激しいリズムが交錯する「JUICY BEAT」が再び、会場の熱気を呼び覚ました。メンバーのコスチュームに飾られた電飾が、セクシーな舞いの中で煌びやかに輝き、見るものを魅了。その輝きに観衆もすっかり注意を奪われ、曲のサビを合わせて連呼するほかないという有様だ。さらに「perception」と、ダンサブルなリズムのナンバーが続き、さらにフロアのテンションを上げていった。パフォーマーの2人を含めたステージは、女の子らしいしなやかなダンスを上手く取り入れたことで見応え十分。その一方で、はなを中心として打ち込まれた力強いビートは、観衆にロックの醍醐味をこれでもかといわんばかりに満喫させた。
 
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雰囲気は一転し、ワルツナンバーの「My bird」へ。オレオの奏でるアコーディオンのサウンドが叙情的なハーモニーを生み出す中、情感豊かなはなのメインボーカルがメロディーを紡いでいき、また観衆の気持ちをグッと掴んでいく。その気持ちの中に、彼女らの思いを込めるように続けられたナンバーは「ヌーディリズム」。2012年に彼女らが4人のメンバーでバンドを再始動させる決意を表したナンバーだ。その時から彼女らの思いは変わっていない、そのことを示すように、ここではパフォーマーの2人を除いた4人によるプレイで、彼女らの今後に対する決意の強さを改めて示した。
 
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アクティブなナンバーに続いて、はなのソロタイムへと移った。Gacharic Spinのステージでは通例になっているとはいえ、歌と超絶ドラムを並行してプレイすることは並大抵のことではないはず、その束縛から放たれたかのように、自由奔放なリズムがステージでは展開され、彼女以外の視線はその水を得た魚のように自由にリズムを操る彼女に向けられた。
 
続いてはゲストコーナーとしてFukiが登場。昨年初旬のツアーや、昨年後半に結成されたDOLL$BOXXでの活躍など、非常にGacharic Spinとつながりの強いアーティストで、彼女がバンドに対して語った「何かあればいつでも駆けつける」という公約どおり、この日のステージにも登場、「ブラックサバイバル」「Loud Twin Stars」の2曲でステージを盛り上げた。
 
そしてTOMO-ZOのキュートさをフィーチャーした「メロメロファンタジー」を挟み、2人目のゲストとして登場したのはピン芸人のはなわ。彼自身がGacharic Spinのファンであるという事実から実現したこのひと時。チョッパーを「伝説の女」と讃えるナンバー「K.O.G.A 古賀」で、また違うリラックスした楽しさを振り撒いた。彼をさらにパロったはなの、モヒカンのヅラとベースを抱えたはな”わ”!?というキャラクターともに、それまでとはまた違ったリラックスした空気の中で、新たなエネルギーを彼から授かったように見えた。
 
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ステージは後半を迎え、よりエキサイティングに展開を始めた。夏ももう間近とばかりに、浮き輪や麦わら帽子、水鉄砲と楽しさを演出する「ハンティングサマー」から、ハチャメチャさの中に強烈なグルーヴと高揚感を持たせた「Ben-Jan-Dan」、そしてGacharic Spinのステージではお馴染みのTOMO-ZOコーナー(キュートな語り口でメンバー一人一人に毒を吐いていくTOMO-ZOのトークコーナー)を挟み、「Never say never」と猛烈な勢いでフロアをまくし立て、一気に攻め立てた。はなオレオという2人のボーカリストが絶妙なタイミングで交差する歌も、ステージの完成度としてさらにアップした様子を見せた。
 
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いよいよステージもクライマックス。「爆弾娘」でエンディングに向けての爆弾が投下された。「お遊びはもうおしまい」はなの叫んだ歌の第一節が会場を突き抜け、4人の「爆弾娘」たちの攻撃が観衆を襲いかかり、それに負けじと応戦する観衆たち。激しいリズムに全く引けを取らない大きな歓声と振り上げた腕が爆弾の勢いをさらに増していった。歌の詞が会場中の人々の思いと交錯する。「準備はOK 後戻りはできない」そして突き進むだけだ。
 
続いて打ち込みのリズムから、チョッパーの骨太なスラップ音が続く。Gacharic Spinの代表曲「Lock On!」へ。幾多の障害を乗り越えながら猛烈な快進撃を続けてきた彼女らが、次に目指すものへ「覚悟しろ!」と言わんばかりにその気迫を叩き付けた。エンディングは、定番ともいうべき「BROKEN LOVER」。ラストのブリッジで現れる激しいバンギング。言葉どおり、ヘッドバンギングではなく体全体を使った激しいバンギングが、この日一番の波をフロアに引き起こした。そしていよいよエンディング。「やりきった!」ステージを去る彼女らの表情には、そんな満足した笑顔しか見えなかった。
 
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ガチャマン、ピン子の「ガチャピン!」という熱烈なアンコールが何度も続いた。そしてステージに再び現れた6人のメンバー。この日を迎えた礼と共に、フロアの観衆へ感謝の気持ちを告げたチョッパー。「7人目のメンバー、ガチャマン、ピン子は最高です!ありがとう!」彼女の表情は既に感極まっていた。
 
2013 Styleと銘打ってスタートしたGacharic Spinの新たな旅立ちは、プレッシャーと不安の連続だったに違いない。しかしそれ以上にこの日のワンマンステージを見事に敢行したことは、何事にも変えられない彼らの歴史の大きな1ページとなった。その思いを、チョッパーはところどころで言葉を詰まらせながら語った。さらに彼女らの歌「今を生きてる~2013春~」の一節「奇跡なんだ」という思いを最後に改めて言葉にし、フロアの観衆に送った。「みんなと会えたことは、奇跡だと思っています!」
 
そして彼女らの激情が表情と音に表れた「今を生きてる~2013春~」へ。さらに2ndアンコールに突入し「I’m Sexy」、そして会場の人間がすべて一体となってその言葉を連呼する「GS GACHA 2012」へ。こうして彼女らのNEXT STAGEへの第一歩は、大成功のうちに幕を下ろした。
 
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◆ライブ情報
HEAD SPEAKER 『君歌アイボリー』Release Party!!!
2013年09月22日(日) 【東 京】渋谷 eggman
HEAD PHONES PRESIDENT presents『Fuse The Soul』
2013年09月28日(土) 【東 京】新宿BLAZE
F チョッパー KOGA 10周年記念LIVE 10年たっても変わりま10 !!
2013年10月10日(木) 【東 京】渋谷RUIDO K2
Gacharic Spin 4th Anniversary ガチ4~ピースの向こう側に在るもの~
2013年10月26日(土) 【大 阪】心斎橋JANUS
2013年10月27日(日) 【愛 知】名古屋 Electric Lady Land
2013年11月22日(金) 【東 京】新宿BLAZE
第16回 九州情報大学 『紫苑祭』
2013年11月09日(土) 【福 岡】九州情報大学 体育館
◆公式サイト
http://gacharicspin.com/
◆セットリスト
M01. NEXT STAGE
M02. LosT AngeL
M03. GS★PLANET
M04. More Power
M05. Across The Now!
M06. 雪泣くメロディー
M07. ALIVE
M08. JUICY BEAT
M09. perception
M10. My bird
M11. ヌーディリズム~Drums solo
M12. ブラックサバイバル(Guest:Fuki
M13. Loud Twin Stars
M14. メロメロファンタジー
(K.O.G.A 古賀 Guest:はなわ
M15. ハンティングサマー
M16. Ben-Jan-Dan
M17. Never say never
M18. 爆弾娘
M19. Lock On!
M20. BROKEN LOVER
-encore-
E01. 今を生きてる~2013春~
-2nd encore-
E02. I’m Sexy
E03. GS GACHA 2012

 
まだスターダムへの階段を駆け上がっている最中のGacharic Spin。しかしミュージシャン、パフォーマーとしての実力で、彼女らに並ぶものはそうはいまい。個々のメンバーの実力もさることながら、その強みはメンバー同士のコンビネーションの固さ、そして一人一人のステージに対する飽くなき探究心、執念にあるようにも見える。
 
その思いの強さこそが、こうして一回りも二回りも彼女ら自身を成長させた。「ガールズ最強」と彼女らを呼ぶものがいるが、その言葉には疑いの余地も感じられない。まい、ありさという心強いバックアップを迎え入れ、その思いはさらに強くなった、そんな様子がうかがえたワンマンライブだった。
 
昨年のツアー時に、頻繁に彼女らは語っていた、「チャンスはピンチ」と。彼女らにとってアクシデントやリスクなど、彼女らの行く手を阻む障害にはならない。この日、様々なプレッシャーが渦巻いたステージを彼女らが見事にやりきったことで、それは実証された。もちろんアンコールでチョッパーが語ったように、内心には逃げたくなる不安や戸惑いもあったに違いない。
 
しかし、Gacharic Spinには今、大きく彼女らを後押しするファンにより、障害を乗り越え、次へのステップを約束された。それは本人たちにとっては勝ち得た成果であると共に、彼女らが抱える大きな責任でもある。しかし、さらに上を目指す彼女らの表情には、もう迷いの表情は見られない。この「爆弾娘」たちの次の「NEXT STAGE」やいかに?またきっととんでもないことを披露し、見るものに爽快感を与えてくれるに違いない。
 

Gacahric Spin 1st Full Album『Delicious』
発売中
POCS-1080/3,000円(税込)
全10 曲入
収録曲:
M01. NEXT STAGE
M02. 爆弾娘(ボンバーガール)
M03. 今を生きてる ~2013年 春~
M04. My bird
M05. GS★PLANET
M06. Never say never
M07. perception
M08. 好きな人、だけど…
feat.NoseMETALLIC SPIN
M09. メロメロファンタジー
M10. Lock On!!-2013-

 

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