演奏

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TEXT & PHOTO:矢沢隆則

2013年6月1日(土)、ガールズメタルバンドDESTROSEが目黒THE LIVE STATIONで、1st Full Album『DESTROSE』発売記念ツアーのファイナルライブを行った。2013年4月7日、同ライブハウスからツアーをスタートさせた彼女たちは、全国12箇所、14公演に渡るツアーを敢行。再び東京に舞い戻り、ファイナルライブを初ワンマンという形で締めくくった。
 

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当日、ホール内は揃いのツアーTシャツに身を包んだファンで埋め尽くされていた。その純度の高さがワンマンライブであることを物語っていた。18時半、暗転していたステージが明るく照らし出され、Haruna(Drums)、成美(Guitar)、miho(Bass)、そしてリーダーのMina隊長(Guitar)が順に姿を現した。大歓声で迎える観客。そこへMarina(Vocal)登場。ステージ中央のお立ち台に立ち「準備はいいかい、めぐろー!!」と挑発するやいなやハイトーンヴォイスでシャウト。ファンの導火線に火を点けた。
 
オープニングは「Sword of Avenger」。圧倒的な声量で観客を支配下に置く。2曲目は「Skykiller」。メロディアスなツインリードが心地よい1曲目に対し、この曲はギター2人の掛け合いがとてもスリリング。長丁場のステージとて最初から容赦はない。駆け抜けるかのように冒頭の2曲が終了し、ホール内は熱気包まれた。ここでMarinaが再び「こんばんはDESTROSEです!楽しんでるかい目黒!!」と挑発。大歓声がわき起こると、その声に少しはにかみながら「どうもありがとう。今日は私たちの念願だった初のワンマンライブです。ここにいる全ての人たちに楽しんでもらえるような最高のステージにしたいと思います。みんなも最後まで拳ふりあげてついてこいよー!!」そう言って始まった曲は新生DESTROSE始まりの曲「Destination」。情念の世界をヘヴィなリズムに乗せて切々と歌い上げて行く。4曲目はアップテンポの「Lifer 13」。観客は軽快なリズムに合わせて拳を振り上げていた。
 
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演奏が終わるとMarinaが楽曲「Destination」について話し始めた。この曲は彼女がこのバンドに入って初めて作詞した曲。すでに活動していたバンドに後から入るにあたり、ファンとの距離を少しでも縮めたいと思いながら書いたという。そして「新生DESTROSEを語る上でもう一つ欠かせない曲があるんですけど、みんな分かるかな?今からその曲をやってみんなとの距離をもっともっと縮めたいと思います」。そういって繰り出した曲は「Fenixx」。曲の最後にメンバー紹介を加え、「Heart’s Grave」「Romancer」「fadeout」を立て続けに演奏した。
 
前半が終わったところでMarinaが「今日は時間もたっぷりあるのでメンバーのみんなにも話しを聞いてみたいと思います」と言いトークコーナーが始まった。この日で加入一周年になる成美は客席からの花束に驚きながらも、先日出演した「NAONのYAON」にまつわる話題を。mihoはツアー中に宿泊したホテルでのエピソードを。Harunaは「関ジャニの仕分け∞」に出演した時のことを。そしてMina隊長はツアー先でご当地ポケモンを買っていたというエピソードを話し、ファンの笑いを誘っていた。
 
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すると、ここでMarinaが真面目な表情に戻り「全国ツアーはみなさんに支えられたツアーだと思っています。私たちにとっても初めてのことがたくさんあったんですけど、イベンターさんとか、私たちを呼んで下さったライブハウスのスタッフの方から『DESTROSEのお客さんってすごく暖かいね』って言って貰えたことが私の誇りです。感謝しても感謝しきれないツアーでした。みんなのおかげで全国12か所乗り切れたと思っています。本当にどうもありがとう!」と言うと客席から大きな歓声と拍手がわき起こった。「そんな私たちの感謝の気持ちをどうやってみんなに伝えようか考えまして…こんなコーナーを用意しました」と言って始まったのはメンバーの私物プレゼントコーナー。
 
Harunaは寿司をかたどった手作りアクセサリーと色紙、mihoはメンバーの似顔絵を描いた色紙とジャケット写真で使用したバンダナ、成美はいつも愛用している帽子と色紙、Mina隊長は寿命が切れたというワイヤレスのケーブルをそれぞれ当たったファンにプレゼント。そしてMarinaからは色紙に加え、なんとDESTROSEに入ってからずっと愛用して来たというマイクスタンドをプレゼントした。もちろんメンバー全員からのプレゼントもあり。Haruna が以前使用していたというスネアドラムのヘッドにメンバーのサインが入ったものがプレゼントされた。
 
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ここからは後半戦。「まだまだ行けるかー!!」とMarinaが気合を入れ直し始まった曲は、昨年の11月にリリースしたシングル曲「Nostphilia」。続けて「Die Young」「破壊の薔薇」を演奏し、あっという間に1時間半の本編が終了した。メンバーが姿を消すとすぐにアンコールの声が上がる。ツアーTシャツに着替えたメンバーが登場すると客席は大歓声で迎えた。Marinaが改めてお礼を言いつつ次の曲をアナウンス。「DESTROSEから敬意を込めてSHOW-YAさんのFAIRY!!」なんとガールズメタルの大先輩、SHOW-YAの曲をカバーしたのだ。原曲はギターソロからキーボードソロへ流れる曲だが、そこはギター2本でアレンジ。DESTROSE流の「FAIRY」を聞かせ、終わるとメンバーは無言でステージを去った。
 
再びアンコールの声が響き渡る。三度メンバーがステージに姿を現すと、観客も最後の力を振り絞るかのような大歓声。その声をMarinaがコール&レスポンスでさらに煽る。そして「まだ、やってない曲ありますよね?」と言ってラストに演奏した曲は「Headless Goddess」。その場にいる全員が汗だくになりながら約1時間50分のステージを終えた。
 
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メンバーが去った後もホール内は熱気に包まれたままだった。観客は汗だくになりながらも満面の笑顔。DESTROSE初のワンマンライブを見届けたという満足感に満ち溢れていた。その様子を見た時、ふと「フェミニズム」という言葉が浮かんできた。それは彼女たちがリスペクトしているガールズバンドの草分け的存在、SHOW-YAのヴォーカル寺田恵子の言葉に因る。確か20年ほど前の雑誌インタビューだったと思う。その中で彼女は「デビューしたばかりの頃はガールズバンドというだけで色物扱いされた」と言っていた。当時から卓越したテクニックで注目されていた彼女たちでさえ、そんな偏見に苦しんだ時期があったのだ。その後、バンドブームも追い風となり、数々のガールズバンドが脚光を浴びるようになっていった。当時はそのこと自体がロックシーンにおけるフェミニズムのように思えたが、この日のDESTROSEを通して、それが時代とともに形を変えつつあることに気づかされた。
 
象徴的な場面は私物プレゼントや終演後の握手会だ。一昔前のバンドならこういったアイドルのようなサービスは、見下されたくないという自意識や、バンドの様式美を優先するがあまり拒絶するバンドが殆どだったと思う。だが、彼女たちは躊躇するどころかそれを楽しみ、ファンも受け入れていた。その光景はガールズバンドが肩ひじを張ることなくライブができる時代、普通の女の子が女の子らしくロックをやられる時代になったことを教えていた。DESTROSE初ワンマンライブ、それはロックシーンにおける新たなフェミニズムの形を提示したライブだった。
 

◆セットリスト
M01. Sword of Avenger
M02. Skykiller
M03. Destination
M04. Lifer 13
M05. Fenixx
M06. Heart’s Grave
M07. Romancer
M08. fadeout
M09. Nostphilia
M10. Die Young
M11. 破壊の薔薇
-encore-
E01. FAIRY
E02. Headless Goddess
◆DESTROSE 公式サイト
http://destrose.net/
 

 
LIVE インフォメーション
 ・2013年07月13日(土)【目 黒】THE LIVE STATION (水津宏 Birthday EVENT)
 ・2013年07月20日(土)【吉祥寺】Crescendo (DESTROSE presents Mina&miho ダブルバースデーライブ!vol.2)
 ・2013年08月02日(金)~8月4日(日)【USA】 Oklahoma City Convention Center (Tokyo in Tulsa)
 
 

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【特集】NAONのYAON 2013
http://www.beeast69.com/feature/68447
【レポート】DESTROSE 1st Full Album『DESTROSE』発売記念2マンLIVE!!
http://www.beeast69.com/report/64741
【特集】BEEAST太鼓判シリーズ第13弾 DESTROSE
http://www.beeast69.com/feature/45175