演奏

TEXT & PHOTO:鈴木亮介

放蕩息子、ここにあり!THE PRODIGAL SONSのバンドマスターにして日本を代表するロックスターの一人、松尾宗仁が今年、50歳の誕生日を迎えたまさにその日、9月15日に生誕五十周年を記念したライブを敢行した。
 
ライブはTHE PRODIGAL SONSのワンマンとして告知され、開催直前には豪華なゲスト陣も発表!高鳴る期待を胸に集まったファンをさらに喜ばせたのが、会場となる吉祥寺ROCK JOINT GBのステージ前だ。普段は安全のために設けられているゲートが取り払われ、出演者の足元に手を伸ばせば届くほどの至近距離まで近づくことができるようにしたのだ。少しでも近くで音を聴いてほしいという出演者側の熱い思い、そしてその熱い思いに応えるオーディエンス、ライブハウスとが三位一体となって信頼関係を構築しているからこそ、実現したアイデアと言えよう。さぁ午後7時、いよいよ”放蕩息子”たちのお出ましだ!

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松尾宗仁は1962年9月15日福岡県生まれ。戸城憲夫大山正篤らと組んだG.D.FLICKERSを経て、1987年にZIGGYのギタリストとしてメジャーデビュー。その後、妹尾研祐とのユニットZNXや、高樹リオとのユニットTRYBECCAなど様々な形態を経て、2005年に森重樹一らとともにTHE PRODIGAL SONSを結成。そのバンド名の通り、Robert Wilkinsの「prodigal son」に象徴されるアメリカ・西海岸のカントリー・ロック、ブルースの系譜を正統に継ぐクールな楽曲が持ち味のTHE PRODIGAL SONSは、松尾宗仁にとって「このバンドではじめて自分のやりたい音楽ができた」と言うほど思い入れの強いバンドであり、松尾宗仁の生き様そのものを体現したバンドと言っても過言ではないだろう。
 
冒頭、ステージに立ったのはそのTHE PRODIGAL SONS。バンマス・松尾宗仁(Vocal & Guitar)を筆頭に、五十嵐”Jimmy”正彦(Guitar)、市川“James”洋二(Bass)、大島治彦Drums)の4名が颯爽と登壇。まずは今年6月リリースの新譜『Valley Of The Sun~陽が見える丘に向かって~』の1曲目、「LOST FLOWERS」から、今宵の宴がスタート!
 
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THE PRODIGAL SONSとしてはこの日が早くも年内最終ワンマン。ニューアルバムの2曲目「RIDE ON! SLIDE ON!」、FULL NOISEのカバー「O.K」と続く。至宝のブルージーギターがたまらない。松尾宗仁はもちろん、舞台下手の五十嵐”Jimmy”正彦が奏でる旋律も、都度グッとくる。「楽しく緩く、かっこよく、色っぽく、エロく…ロックンロールしよう」…そんな松尾宗仁の挨拶に応えてか、市川“James”洋二大島治彦のリズム隊がますます深く、低く、シビれるようなビートを刻む。このリズム隊の安心感があってこそ、奔放に泳ぎ回るツインギターがいっそう引き立てられる。4曲目、ハイテンポの「バッド・タイミング・ブルース」でますますツインギターは波に乗る!オーディエンスも踊る!踊る!
 
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未リリースの新曲「Dear Mr. Survival」を5曲目に披露したところで、”放蕩息子”たち4人のステージはいったん終了。続いて松尾宗仁がゲスト陣を一人ずつ招き入れる!かつて同じ事務所の所属だったがともに演奏するのは初めてという小柳Cherry昌弘(Drums/ex:LINDBERG)!20年以上前からイベントで共演し続けている盟友・鈴木正美(Bass/De+LAXTHE VACATIONS)!アマチュア時代からLa.mamaで対バンしていたという古参の戦友・鈴木ユタカ(Guitar/Marchosias Vamp)! 共通の友人も多く、ずっと共演したかったという林田圭子(Harp/ex:THE VACATIONS)!20年前から「いつか共演したいね」と言い続け、ようやく念願叶った広石武彦(Vocal/UP BEAT)!一人ひとりと抱擁を交わし、アットホームな空気が漂う。
 
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「チャラいロックンロールをやります!」と、披露したのは通好みのカバー!70年代アメリカで人気を博し、パンクロックの先駆けとなったとも言われるNew York DollsDavid Johansenソロ名義の「Funky But Chic」だ。ここまで松尾宗仁を追い続けてきた生粋のロックファンたるオーディエンスにとっては、たまらない選曲だ。広石武彦のパワフルなボーカルに、松尾宗仁鈴木ユタカの濃厚なギターサウンドが映える!通好みの選曲は続き、2曲目は同じくNew York Dollsの「Pills」!厚みのあるサウンドの合間を縫って、さえずるハープが心地良い。最後は出演者で即興のアカペラ「ハッピーバースデイ、ソーニン!」を披露!いつも男らしくクールな松尾宗仁、思わず顔がほころぶ様も、やはり男前だ!
 
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再びTHE PRODIGAL SONSの4人、そしてゲストボーカルに女性シンガーのチャド(Vocal/the DRENCH SKUNKShockingVenus)が登場し、カバー曲「ビースト オブ バーデン」を披露!松尾宗仁にとって思い入れのあるこの曲。大女優・Bette Midlerのカバーがとてもかっこよく、一度やってみたかったのだという。難しい曲で、なかなか歌い手が見つからなかったところ、アニキ・市川“James”洋二the DRENCH SKUNKのサポートをやっている縁でチャドと知り合い、その歌声に”一声惚れ”し、熱烈オファーしたのだという。確かに、そのソウルフルで喜怒哀楽をしっかりと表現し分けるチャドのボーカルに圧倒される。泣きのギターリフとの絶妙な絡みも、たまらない。ここが日本であることを忘れるような世界観。しっかりと舞台を作り込み、その世界観に観る者聴く者を引きこむ様は、まさにアーティストだ。
 
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再び”放蕩息子”たち4人となり、まずはアルバム未発表の新曲、しっとり歌を聴かせる「Low Life Baby」。次いで最新アルバム収録の、軽快にウキウキ跳ねるようなギターと、市川“James”洋二の軽快なベースソロが印象的な「I can’t do it」。そして7月にできたばかりの新曲「Baby, Sing A Song」と続ける。哀愁漂うブルージーナンバー「Baby, Sing A Song」は、海辺で夕陽を見ながらしんみりしつつ…でももう一回立ち上がって行こう!という、ストーリーに入りこめる至極の逸曲!ギターでここまで「哀愁」を表現できるのか!と心が震える。そして静かにリズムを刻む大島治彦の優しいシンバル音も印象的。
 
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「放蕩息子の音楽は、歳を取れば取るほど…シワが刻まれれば刻まれるほどに深み、濃さ、リアリティーが完成品に向かって熟成していく」「(新曲「Baby, Sing A Song」は)これからライヴを重ねて行ったら上手い具合に成長して育っていく曲だ」…とブログに松尾宗仁が記している通り、御歳五十にして…と言ったら大変失礼かもしれないが、しぼむどころかますます膨らんでいき、並みの20代30代バンドとは比べ物にならないほどの「さらなる進化」を予期させるバンドだ。
 
最後のゲストに登場したのは、かつて松尾宗仁と同じ事務所であった川村ケン(Keyboard/ex:SHADY DOLLS)。「すっかり売れっ子になってしまって」との紹介に、照れながら登場の川村ケン。その人柄がにじみ出るような優しい旋律のキーボードが加わり、披露したのはZIGGYの「愚か者のパレード」、松尾宗仁のソロ作品「透明なのは俺じゃない」。どちらも「キーボードを入れて演奏したかった」という松尾宗仁の念願叶って、メロディックな仕上がりに。そして、2曲ともボーカリスト・松尾宗仁の魅力が際立つ。最後は疾走感溢れるソロ作品「風になる」で、ステージ本編終了!
 
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鳴り止まない非常ベル…ならぬ、アンコールの嵐に応えて、THE PRODIGAL SONSメンバーが再登場!まずはファンにはおなじみの「Valley Of The Sun」。そして川村ケンも加わって「いびつな宝石」を披露!さらに、ゲストのチャド林田圭子を再びステージに招く!松尾宗仁生誕祭に合わせて作ったというオリジナルワインを贈呈し、最後は松尾宗仁ソロ「VENUS, QUEEN, ANGEL」。収録されているアルバムタイトル『LIKE A ROLLING STONE』のごとく、ステージにはKeith Richardsの面影漂う、本日の主役の姿が…
 
これがロックンローラーの生き様だ!そう見せつけるような、今宵のステージ。半世紀を過ぎてなおも進化し続ける松尾宗仁。次はいったいどのようなステージを見せてくれるのか。
 

◆セットリスト
M01. LOST FLOWERS
M02. RIDE ON! SLIDE ON!
M03. O.K
M04. バッドタイミングブルース
M05. Dear Mr. Survival
M06. セッション(Funky But Chic)
M07. セッション(Pills)
M08. ビースト オブ バーデン
M09. Low Life Baby
M10. I can’t do it
M11. Baby, Sing A Song
M12. 愚か者のパレード
M13. 透明なのは俺じゃない
M14. 風になる
 
-encore-
M01. Valley Of The Sun
M02. いびつな宝石
M03. VENUS, QUEEN, ANGEL
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◆THE PRODIGAL SONS 公式サイト
http://www.the-prodigal-sons-japan.com/
 
◆インフォメーション
Greatest guitar acoustic session
2012年10月13日(土)【代々木】Zher the ZOO
【出演】SHAKE、松尾宗仁(THE PRODIGAL SONS),OMMY(BLUE SAUCE BLOOD) 
開場18:00/開演18:30
前売¥3,800/当日¥4,200(Drink別)

 

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【レポート】THE PRODIGAL SONS(2010年10月)
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