ライブは短編映画のようなオープニング映像から始まった。聞き慣れないフレーズから始まる1曲目は何と未発表の新曲でギターのアルペジオとうねるようなベースのグルーヴの対比が印象的な曲だ。HIROのヘヴィがギターリフが印象的な2曲目も未発表の新曲で、セットリストの冒頭の2曲に新曲を持ってくるあたりが如何にもHEAD PHONES PRESIDENTらしい。1曲目はNARUMI、2曲目はHIROの作曲とのことである。
 
ハーモニクス主体のベースのイントロから「What’s」、続けてBATCHのダンサブルなドラムから「ill-treat」へ。5曲目はライブではお馴染みの「Labyrinth」。ヘヴィな曲でありながら、中域の抜けのいいHIROのギターサウンドが心地いい。地を這うようなNARUMIの重いベースからこれもお馴染みの「Hang Veil」とHEAD PHONES PRESIDENTの歴史を紡ぐように5人編成時代の曲が続く。
 
フィンガーピッキングによるHIROのギターのアルペジオから「Rainy Stars」へ。ANZAの抒情的な歌声が身体中に染み渡る。ANZAがステージから去り、楽器隊3人のジャムセッションへ。HIROのブルージーなギターが冴え渡る。ジャムのラストはBATCHのグルーヴィーなドラムソロで締める。ステージに戻ったANZAがフロアにいくつか語り掛けると曲は「Stand In The World」へ。観客も拳を上げ、サビのフレーズを歌ってバンドに応える。4人編成になってからのアルバム『Stand In The World』からの曲が続き、「My Name Is」ではANZAはパントマイムのような動きでフロアを盛り上げる。
 
ANZAが「元気だよね？」とフロアに声を掛けると、曲はパワフルなスラッシュチューンの「A New World」へ。一瞬にして会場が熱気を帯びる。NARUMIのベースで一気にスローダウンするとANZAはモニタースピーカーに横たわり、曲は「Devil Inside Me」へ。ライブではアルバムヴァージョンとは異なるいくつものアレンジが加えられており、オリジナルを聴き慣れた耳にも飽きさせることがない。アルバム『Respawn』のオープニング曲「Until I Die」、グルーヴィーな「Echo」、HIROのギターのフィードバックを経てSEから「ALIVE」へと近年のアルバムの曲が続き、フロアのテンションも更に上がっていく。
 
「ありがとう！」「新曲やったってことはみんな分かったでしょ？」とANZA。続けてグルーヴィーな「WAKING LIFE」へ。そしてHIROとNARUMIのジャムセッションをバックにANZAがフロアを気遣い優しく語りかける。ポジティヴで力強いメッセージが込められている「For you」をANZAは情熱的に歌い上げ、最後にピースサインを掲げる。「12/17は空けておいて！」「私たちはそんなに若くないのでアンコールはやらないよ」と戯けながらも、ラストはヘヴィな「The One To Break」でライブを締め括った。
 
5人編成の時代を第1章、4人編成になってからの時代を第2章とすると、今回のライブのタイトル『The Beginning and The End 』が示すように、このライブからが第3章の幕開けとのこと。ニューアルバムの完成も控えているらしく、2024年はHEAD PHONES PRESIDENTに何かが起こるようだ。