演奏

lead_keisuke

TEXT:音茂、鈴木亮介 PHOTO:N-yukano

本誌コラムトラベリン・ギターマン・日記も好評のウルフルケイスケが、今春「MAGICAL CHAIN ひとり SPECIAL~2014春~」を開催した。
 
3月21日、兵庫・たつの市の「カフェにゃーご」からスタートし、長野、青森、北海道など10カ所以上をギター1本背負って回る、さすらいのひとり旅。その道中には北海道・利尻町の観光大使就任も発表され、さらには2月25日に活動再開が発表されたウルフルズにまつわるニュースも連日にぎわいを見せた。
 
そして迎えた5月31日(土)のツアーファイナル。場所は下北沢440で、ゲストに真城めぐみを招いての開催だ。
 
会場に到着すると、既に座席は多くの観客で埋め尽くされている。関西出身のウルフルケイスケのファンとあってか、関西弁がそこかしこから聞こえてくる。アットホームな雰囲気の漂う会場。ステージにはアンプとエレキギターが一セットきり。必要最低限、といった次第だ。

 

午後7時を少し過ぎると場内が暗転、客席から歓声が挙がる。ごきげんなロックンロールのSEを背に、白いテンガロンハットを被ったウルフルケイスケがこれ以上ないくらいの笑顔でステージに現れる。塗装の少し剥げた白いエレキギターをかき鳴らしつつ、とても上機嫌そうに見えるウルフルケイスケ。「どうもありがとう!ウルフルケイスケです!大阪で暑かったので、今年初の半ズボンです!」
 
明るいMCで笑いを誘うと、メロウなギターリフが印象的な「ミュージック」から本編第1部がスタート!ウルフルケイスケの甘い声が響き、ギターソロではお客さんとのコール&レスポンスも起こし、序盤から客席との見事な一体感を見せる。
 
 

  

この日のライブはUstreamを通じて全世界に生中継されているという。1曲目が終わるや否やそのことを心配気味に語るウルフルケイスケに、客席からは笑いが起きる。すると、一念発起したように宣言。「一緒に良いライブを作っていきましょう!ギターソロもいっぱいやります!下北沢で歌いたい!440で歌いたい!ロックンロールをやるぜ!ロックンロールは一人でもやれるぜ!」
 
2曲目は「スウィート・リトル・ロックンローラー」。ギターソロでは特に、オーソドックスでブルーズの香りを感じる、シンプルだが奥の深いナンバーだ。続く3曲目「大きな川のそば」ではポップでキャッチーなナンバーをポジティブな歌詞に乗せて、弾きまくり、歌いまくり、本当に楽しそうにプレイする。大きな拍手が起こると、それに応えてウルフルケイスケは「手拍子が多くて嬉しいです!でも最後までやると手が痛くなるんで、テキトーに、でも、なるべくお願いします(笑)」と観客を気遣う。
 
 

   

その後、ウルフルケイスケは会場である下北沢440の思い出話をひとしきり語り終えると、色気のあるギターを奏で始める。シンプルなギターリフながら、エモーショナルなバラードナンバー「アイウォンチュー」だ。
 
「アホみたいなロックンロールやります!ロックンロールはアホみたいじゃなきゃ!」と威勢の良いMCから飛び出したのはアップテンポのロックンロールナンバー「アホみたい」。「カモン!」「アホ!」そんなユニークなコール&レスポンスから、最後は「アホ大好き!」と絶叫。エモーショナルなギターと笑顔の絶えないトークで、心地良いライブは続く。
 
6曲目は「君にささげよう」。切なげで、力強いメロディが印象的なパワーバラード曲で、しっとりと盛り上がる。「やりたいことをやりたいだけやって 生きたいように生きるだけ生きて 走れるうちは走れるだけ走って それを全部 全部君にささげよう」…そんな歌詞が、ウルフルケイスケのエモーショナルなボーカルと相まって、ジンと来る。「君に」の部分を「下北沢に」「440に」「音楽に」「そして何よりも誰よりも皆に皆でささげよう!」とアドリブで変更し、大いに盛り上がる中、第1部が終了。
 
 

   

 

  

10分ほどの休憩を挟んで、再びステージが暗転。第2部の始まりである。ウルフルケイスケは赤のシャツにお色直しをして登場だ。冒頭は静かなリフから始まるバラード曲、「アリガトウ サヨナラ 原子力発電所」。歌詞を一言一言噛み締めるように、情感たっぷりに歌い上げる。その姿はとても印象的でかっこいい。
 
続く2曲目は、今回のツアータイトルにも使われている「マジカルチェインツアー」。リフの刻みが心地良い。ギターソロではウルフルケイスケの人柄を表すようなコミカルな動きや音を披露。フロアも大いに湧く。
 
 

   

「ツアーファイナル、素敵なゲストが来ています。」…ここで本日のスペシャルゲスト、真城めぐみ(Vocal/HICKSVILLE)が登場。ウルフルケイスケとは同い年で、よく飲みに行く仲だが、ステージで一緒に立つのは初めてだという。
 
演奏するのはTHE JACSON 5のカバー「I Want You Back」。真城めぐみのソウルフルな歌声が轟く。ウルフルケイスケはギターに専念していたが、最後にはコーラスで参加し、歌を締めくくる。
 
続いてはウルフルケイスケのソロナンバー「ロックンロールの真っ最中」だ。真城めぐみウルフルケイスケが交互に歌い、サビは二人で熱唱。そのハーモニーは美しく、またウルフルケイスケのギターソロも冴えに冴える。さらに小坂忠のカバー「ほうろう」をムーディーに披露。
 
 

 

MCは活動再開したウルフルズの話題に。デビュー当時は全く鳴かず飛ばずで、CDも出すや否や廃盤になってしまって、本当に辛かったという。そんな中、ウルフルズの曲を誰よりも早く気に入り、応援してくれたミュージシャンがいるという。その人の曲を演奏、ということで奏でられたのは「ルージュの伝言」。そう、そのウルフルズの支持者とは松任谷由実だ。今度はウルフルケイスケがメインボーカルをとり、真城めぐみがコーラスで引き立てる。
 
真城めぐみがステージを降り、再びステージ上にはウルフルケイスケのみとなった。続いてはフォークシンガー加川良の名曲「流行歌」を歌い始める。冒頭はマイクを通さずにスローテンポで歌い始め、その後段々とテンポを速めていく。エモーショナルな歌声で魅せると、終盤はまた段々とスローテンポに。そして、静かにギターを弾きながら、感謝の言葉を関係者一人ひとりに向けて述べていく。最後にオーディエンスに感謝の言葉を述べると、ウルフルズを含めこれからの展望を語り始める。
 
 

 

ウルフルズ再始動に関しても高いモチベーションがあることを語った上で、ギター1本のソロツアーも並行して続けていきたいというウルフルケイスケ。「ウルフルズは大きいツアーをしたり、たくさんのスタッフと色んな大きい大きいことをしてきます。たくさんの人に届くようにライブをしたい。それと一緒に、こうやって自分ひとりでギターをかついできて、自分でエフェクターとかアンプをセッティングして…そういう風にしないと歌えない歌もあります。…ウルフルズとソロ、両方やっていきます!」
 
そして本編第2部の最後に演奏したのは、ソロツアーを通して利尻島に行ったり石垣島に行ったりしているうちに新たに作った曲だという、「夢じゃない」。スローテンポのバラード調で、切なげなメロディが印象的。演奏しているうちに魂がこもり、気迫があふれるウルフルケイスケ。最後は雄叫びにも似たソウルフルな歌声で観客を魅了し、ステージを後にする。
 
 

 

アンコールの拍手と「ケーヤン!」コールに応えてウルフルケイスケ再登場。「ウルフルズだと会議があって長くかかるんですけど、きょうは一人なんで、一人会議すぐ終わりました!」そう冗談めいてみせると、ギターを爪弾き始める。アンコール1曲目は「イクツニナッテモ」。エモーショナルなバラードナンバーで、「イクツニナッテモ夢を見続ける イクツニナッテモ人を好きになる イクツニナッテモ君を思い出す」という歌詞が心に響く。
 
続いて「ハッピーな曲をハッピーなメンツでやるぜ!」というウルフルケイスケの叫びで、真城めぐみが再登場。さらに、アコースティックギターを抱えた山田武郎(Guitar/THE イナズマ戦隊)、そして下北沢440の行天裕子店長を迎え、4人でウルフルズの人気曲「まいどハッピー」を演奏。ハッピーなお祭り騒ぎでライブを締めくくる…と思いきや、アンコールの拍手と歓声が鳴り止まない。
 
 

   

 

ダブルアンコールの声に応えて、ウルフルケイスケが一人再登場。披露するのは、今宵のライブの一番初めに演奏した「ミュージック」だ。
 
「明日になっても 1年たっても 心に残る そんなフレーズを 口ずさむだけで 優しくなれる そんな気持ちを 君と歌いたい」…ミュージシャン・ウルフルケイスケの信条をそのまま表したようなこの歌詞が、最初に聴いたとき以上に心に響く。「明日は大阪です!ウルフルズのライブです!」興奮さめやらぬ中、全員笑顔で今宵のステージの幕は下りた。
 
 

 

 

 

◆セットリスト
-第1部-
M01. ミュージック
M02. スウィート・リトル・ロックンローラー
M03. 大きな川のそば
M04. アイ・ウォン・チュー
M05. アホみたい
M06. 君にささげよう
-第2部-
M01. アリガトウ サヨナラ 原子力発電所
M02. MAGICAL CHAIN TOUR
M03. I Want You Back
M04. ロックンロールの真っ最中
M05. ほうろう
M06. ルージュの伝言
M07. 流行歌
M08. 夢じゃない
-encore-
E01. イクツニナッテモ
E02. まいどハッピー
E03. ミュージック
 
◆ウルフルケイスケ 公式サイト
http://www.ulfulkeisuke.com/
◆ウルフルケイスケ Official Twitterアカウント
https://twitter.com/ulfulkeisuke
◆ウルフルケイスケ Official Facebookページ
https://www.facebook.com/uk0523
 
◆インフォメーション
・2014年07月05日(土)【福 岡】Voodoo Lounge & MUSK
 ※Bassic Rock Fes. 2014への出演
・2014年07月19日(土)【神奈川】藤沢sausalito
・2014年07月28日(月)【福 岡】Bassic.
・2014年08月02日(土)【宮 城】石巻 フィッシュ ボーン
・2014年09月07日(日)【宮 崎】都農ワイナリー特設ステージ
 ※三宅伸治 Presents 希望と太陽のロックフェス2014への出演

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