特集

TEXT:河南太郎 PHOTO:三橋コータ

「けいおん!ブーム」で中高生のバンド人口が増え、巷間のコンテストも連日熱戦が繰り広げられているが、男子だけが熱い戦いを繰り広げているわけではない。女の子たちだって熱い戦いを見せているのだ。
 
12月22日(日)、SHIBUYA-AXで今年も恒例の「SCANDALコピーバンド/ヴォーカリスト・コンテストvol.4」ファイナルが開催された。男子メンバーが含まれていてもエントリー可能だが、実質は10代のガールズバンドの頂点を決すると言っても良いこの大会。今年はバンドスタイルのファイナリスト8組が熱い戦いを見せてくれた。まずはこのコンテストの要綱から紹介しよう。
 

■募集部門
・バンド部門 ・ヴォーカリスト部門
 
■応募資格
・全部門共通
女子ヴォーカリスト/女子中学生/女子高校生
(2013年6月1日現在、中学校・高校に在学中の方)
・バンド部門
女子ヴォーカリストのバンド
メンバー内に中学生or高校生が一人以上在籍していること
※ヴォーカリスト以外のメンバーに男性が含まれていても応募可能。メンバー数および編成は問いません。
・ヴォーカリスト部門
女子中学生もしくは女子高校生のヴォーカリスト
※弾き語り、また2名以上のユニットなど、女子の中学生・高校生であれば、複数メンバーでの応募も可能。

 
■応募対象曲
2008年のデビュー・シングル「DOLL」以降に発売したCD作品に収録されているSCANDALのオリジナル楽曲から1曲 ※バンド部門、ヴォーカリスト部門ともに同様です。
 
■募集期間
2013年7月1日(月)~8月30日(金)※当日消印有効
 
■審査・選考スケジュール
・一次審査:書類、音源審査
・二次審査:ライブ審査(9/23(月・祝)大阪会場 9/29(日)東京会場)
・最終審査:ライブ審査(12月22日(日) SHIBUYA-AX)

 
参加資格は中高生限定(一人以上在籍)であり、SCANDALの楽曲でエントリーするということが、このコンテストの特徴である。ファイナリストたちはSHIBUYA-AXという大きいステージで、今までの練習の成果をここぞとばかりに発揮できるのみならず、憧れのSCANDALと同じ舞台で共演でき、そのSCANDAL本人に審査してもらえる。
 
さらにこのコンテストの優勝バンドにはSCANDAL主催の恒例イベント「バンドやろうよ!!Vol.5」のオープニングアクトを飾る権利が与えられる。そして観客もオーディエンス投票を行い、ライブを盛り上げつつコンテストに参加することができる。コンテストだから戦いの場ではあるものの、ファイナリスト、観客も全員がSCANDALファンだからこそ作られる、温かい空気がある。
 
4回目の開催となる今回は、前回の参加数をさらに上回り、過去最多となる550組の応募があったという。「北は北海道から南は沖縄まで…」という常套句があるが、それにとどまらず今年はタイや米・ハワイからのエントリーも。さすがは、海外ツアーも精力的にこなし、世界的に人気を集めるSCANDAL。コンテストの規模も世界レベルだ。1次の音源審査を通過した43組が2次のライブ審査に出場。東京と大阪で審査を行った結果、8組がファイナルにコマを進めた。
 
Photo Photo

Photo  Photo Photo  Photo

Photo Photo

会場のSHIBUYA-AXに集まった観客を見渡すと、SCANDALツアーTシャツを身にまとった人や、首からSCANDALのタオルを下げている人などが多く見られ、普段のSCANDALライブとほとんど変わらない雰囲気になっている。
 
定刻になり、MCの2人が登場。そして、特別審査員のSCANDALも登壇し、挨拶。いよいよ始まる!
 
ctb
 

1. KANIKAPILA

Photo

1組目は福岡からやってきた中学2年生と3年生で構成された7人組のバンドKANIKAPILAだ。演奏曲は「下弦の月」。トップバッターで誰しもが緊張してしまう場面であるが、そんな緊張すら見えない。人数が多いと、リズムが合わなくなるなどの心配がありそうだが、その点彼女たちは全く問題ない。むしろ、人数が多いからこそ放たれる音の厚みがすごい!
 
Photo Photo

Photo Photo

2. SDL

Photo

2組目は5人組のSDL(サンダル)。新潟からやってきた高校2年生のバンドである。演奏曲は「会わないつもりの、元気でね」。ステージに上がった瞬間観客を煽り、席から立たせる。大会に向けてスタジオでの練習をたくさんしてきた彼女たちの演奏は安定している。安定しているだけではなく、激しくロックすることで自然と観客の中にヘドバンをする人たちが!SCANDALのフォロワーだからこそ醸し出せるSCANDAL感を出している。
 
Photo Photo

Photo Photo

3. WISDOM

Photo

3組目は中学1年生の5人組バンドWISDOM。5人でお揃いの衣装を纏って登場。演奏曲は「SAKURAグッバイ」。キーボードを採り入れた独自のアレンジを入れる。小学5年生から楽器を始めたということで、中学生とは思えないパワフルな演奏を見せる。
 
Photo Photo

Photo Photo

このコンテストの楽しみの1つが衣装だ。SCANDALの歴代のステージ衣装を模したり、メンバー全員の衣装を揃えて個性を出したりと、同じSCANDALというバンドのコピーをしていながらも、各バンドのオリジナリティを感じられる。
 

4. RANK

Photo

4組目は大阪からやってきた中学3年生4人組のRANK。黒と白を基調とした衣装で登場。「放課後1H」を彼女たちのサウンドにして披露。しっかりとロックして、観客の心を惹きつける。
 
Photo Photo

Photo Photo

5. 夜想曲

Photo

5組目は広島から来た夜想曲(ノクターン)。高校の制服を生かした衣装をまとい、「EVERYBODY SAY YEAH!」で会場を大いに盛り上げる。息ピッタリの演奏を見せつけ、AXの空気をガラッと自分たちの色に染める!
 
Photo Photo

Photo Photo

6. No Name

Photo

6組目は大阪の高校2年生のNo Name。ギター&ボーカルの田畑ひなさんは3組目・RANK田畑ことさんの姉とのこと。姉妹二人、別々のバンドでファイナリストになっている。「Hi-Hi-Hi」~「星の降る夜に」~「SCANDAL BABY」~「瞬間センチメンタル」のメドレーで会場をしっかり盛り上げ、演奏のスキルの高さも見せつけた。
 
Photo Photo

Photo Photo

7. Noizy

Photo

7組目は京都から来た、高校1年生から3年生の4人で構成されたバンドNoizy。去年はファイナルに出場出来なくて苦汁をなめた彼女たち。しかし今回はその悔しさをバネにしてか、「太陽スキャンダラス」を元気いっぱいにパワフルな音で観客全員に届ける。
 
Photo Photo

Photo Photo

8. Shilpen

Photo

8組目は埼玉出身の4人組バンドShilpen。ドラムの鈴木啓太くんはファイナリスト唯一の男性。ギターの鈴木優奈さんは、去年まで弾き語りで参加していたがこの大会のためにバンドを組んで再チャレンジ!大会当日も朝からスタジオで練習してきたと気合は十分。音の厚みがしっかりとしていて、「サティスファクション」をばっちりと演奏する。
 
Photo Photo

Photo Photo

ctb
 
Photo Photo

8組の熱くなる演奏はあっという間に終わってしまった。全部SCANDALの曲ではあるが、演奏曲もアレンジも様々で、ここまでのライブは1つのコンピレーションアルバムとして出しても面白いのではないだろうかと思うライブだった。
 
審査集計の間は、今回も特別審査員を務めたSCANDALがライブをする。観客はもちろん、出番を終えたばかりのファイナリストたちも楽しみにしていた時間であろう。熱い声援と、スタンバイする楽器の音が鳴り響く。
 
Photo  Photo Photo  Photo

Photo Photo

Photo  Photo Photo  Photo

「これが本家だ!」とばかりにドカンと演奏された1曲目は、トップバッターのKANIKAPILAも演奏した「下弦の月」。リスペクトの視線と熱い声援を浴びながら「瞬間センチメンタル」、「会わないもりの、元気でね」を続ける。客席の中にいるファイナリストの家族にも、SCANDALのストレートのロックは届いただろう。
 
Photo  Photo Photo  Photo

Photo Photo

Photo  Photo Photo  Photo

ファイナリストたちの激しい戦いを称えるように「SCANDAL BABY」で会場の温度をドンドンと上げていく。「DOLL」「涙よ光れ」の演奏中にもファイナリストのパフォーマンスの逆コピーを感じさせるパフォーマンスも垣間見れた。短い時間ではあったが、SCANDALのライブを濃厚に凝縮したライブであった。
 
Photo  Photo Photo  Photo

Photo Photo

◆セットリスト
M01. 下弦の月
M02. 瞬間センチメンタル
M03. 会わないもりの、元気でね

M04. SCANDAL BABY
M05. DOLL
M06. 涙よ光れ

 
ctb
 
Photo  Photo Photo  Photo

そして、全ファイナリストとSCANDALメンバーが再びステージに登場して、いよいよ審査結果の発表だ。
 
550組の頂点に立ったバンドは、KANIKAPILA!会場からは大きな拍手が湧き上がる。7人で頑張ってつかんだグランプリ。未来への大きな希望をつかんだ瞬間だ。メンバーの何人かは目に大きな涙を浮かべる。
 
Photo Photo

Photo Photo

Photo Photo

 

 
◆グランプリ
KANIKAPILA
 
◆審査員特別賞
No Name
 
 
◇HARUNA賞
田畑ひな (No Name/Vocal&Guitar)
◇TOMOMI賞
秀嶋菜月 (WISDOM/Bass)
◇MAMI賞
吉井早苗 (SDL/Guitar)
◇RINA賞
杉田理緒 (RANK/Drums)

 
Photo Photo

Photo  Photo Photo  Photo

グランプリに輝いたKANIKAPILAは3月16日にSHIBUYA-AXで行われる『バンドやろうよ!!Vol.5』への出場権を獲得した。表彰式の際、HARUNAが「何かに一生懸命になっている姿って本当に素敵だなって思いますね」と語ったが、会場にいる観客全員が同じ思いを持ったことだろう。
 
少女たちの熱い音楽の戦いの歴史がまたここに1つ記録された。ガールズバンドの先頭を走るSCANDALに続いて、多くのガールズバンドの活躍を願ってやまない。
 
Photo  Photo Photo  Photo

Photo Photo

 

◆インフォメーション
SCANDAL ARENA LIVE 2014 「360°」
・2014年06月22日(日)【大 阪】大阪城ホール
 
SCANDAL ARENA LIVE 2014 「FESTIVAL」
・2014年06月28日(土)【神奈川】横浜アリーナ
・2014年06月29日(日)【神奈川】横浜アリーナ
◆SCANDAL 公式サイト
http://www.scandal-4.com/
 
◆SCANDALコピーバンド/ヴォーカリストコンテスト ホームページ
http://www.teena.ne.jp/contests/scandal_copyband/


◆関連記事
【特集】第3回 SCANDALコピーバンド&ボーカリストコンテスト
http://www.beeast69.com/feature/50726
【特集】SCANDAL presents バンドやろうよ!!Vol.4
http://www.beeast69.com/feature/78297
【特集】The 7th Music Revolution 東日本FINAL
http://www.beeast69.com/feature/89235