特集

TEXT:菅野美咲、鈴木亮介 PHOTO:岩崎優、鈴木亮介

Photo吉祥寺から始まる、新しい音の祭典!―――「曼荼羅」、「ROCK JOINT GB」、「スターパインズカフェ」、「CLUB SEATA」、「クレッシェンド」…などなど、数多くのライブハウスが林立する中にあって、系列やジャンルの枠を超えた合同企画として注目を集めているのが、年1回開催され今年で4回目となる「吉祥寺INDEPENDENCE DAY」だ。「Planet K」「WARP」「SILVER ELEPHANT」「SHUFFLE」の4店舗合同の企画として実施され、チケットを購入すれば4店舗行き来自由!出演者は合計30組を越え、1日がかりで吉祥寺の街を歩きつつ、音楽も楽しめる祭典として若年層を中心に人気を集めている。
 
ライブと同時にスタンプラリーも開催され、4店舗をめぐってそれぞれのバーカウンターで押してもらえるスタンプを4つ集めると、先着100名にオリジナルタオルがプレゼントされる。さらに、TOWER RECORDとのコラボレーションとして、チケットもしくは半券を当日にタワーレコード吉祥寺店に持参すると、先着50名に黄色いタワレコタオルがプレゼントされる。
 
今回、本誌BEEASTでは4店舗の中でも特に「Planet K」に注目!出演したチリヌルヲワカentなど全8組のライブを余す所なくレポートしたい。
 

 
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1. メンテナンス13

 
スモークの中、シンバルが響き、歪んだギターの波が妖艶に広がる。Daiki Suzuki(Guitar & Vocal)、Kouhei Arisaka(Drums)の2名によるオルタナティブロックバンド、メンテナンス13がPlanet Kのトップバッターだ。
 
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雲海の中を旅するような、青空の爽快感とはまた異なる、夢見心地な世界観に、自然と体が揺れる。高音のボーカルに、じわーっと漂うギター音。ぼんやり漂って迷子にならないように、しっかり拍を刻むドラム。2人だけで奏でているとは思えない音の広がりがたまらない!
 
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◆メンテナンス13 公式サイト
http://www5f.biglobe.ne.jp/~gss/

2. INSIDE ME

 
2番手はINSIDE ME。メンバーは児嶋亮介(Guitar & Vocal)、(Bass & Vocal)、田部井正志(Drums/ex.detroit7)の3名。
 
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冒頭からハイテンポの突き刺さるロックサウンド!森重樹一ALvinoなどのサポートでも知られる女性ベーシストのパワフルかつ大胆なプレイにしびれる。男女のボーカルをしっかり使い分け、ただ激しいだけじゃない、”聴かせる”ステージング!
 
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◆INSIDE ME 公式サイト
http://www.insidemejp.com/

3. puff noide

 
飾り過ぎず、シンプルなギターイントロから期待感を持たせる3組目は、エモーショナルかつポップな楽曲で魅せるpuff noide。メンバーは榎園稔三(Vocal)、KC(Guitar)、横島健太(Bass)、田口史朗(Drums)の4名。
 
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闇を切り裂く、力強いドラムロール。一つ一つの音が真っ直ぐ、耳に届く。そんな真っ直ぐな4人が融合して、スケール感の大きさを感じる。RO69jack入賞歴や武道館でのステージングも経験しているというのもうなずける。やMCもシンプルに、とにかく音楽だけで真っ向勝負!そんな印象だ。
 
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◆puff noide 公式サイト
http://puffnoide.com/

4. The Jerry

 
The Jerryです」とさらりと告げたかと思うと、抑揚効いたロックをゆるぎないスタンスで爆発させたThe Jerry長内雄太(Vocal & Guitar)、辻周(Drums)の正式メンバーに加え、三浦謙太郎(Bass/BAZRA)をサポートに迎えた3ピース。
 
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一瞬のタメにさえ気迫とストーリーが凝縮され、3ピースのシンプルなサウンドからすさまじいエネルギーが放出される。アコースティックな導入からの「影標」ではこれぞロックと言わんばかりの覚醒がめくるめくように絡み合い、加速していく。目の離せない王道さに誰もが息をのみ、等身大でぶつかり合う音楽を直視した。
 
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◆The Jerry 公式サイト
http://www.the-jerry.com/

5. チリヌルヲワカ

 
入場規制がかかるほどの超満員、そんな中凛とステージに立ったチリヌルヲワカ。メンバーは イワイエイキチ(Bass)、ユウ(Guitar & Vocal)、坂本夏樹(Guitar)、阿部耕作(Drums)の4名。しっかりと地に足がついたサウンドと、真っ直ぐで粋なユウ(Vocal & Guitar)の声が半端ない化学反応を起こす。
 
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久しぶりのライブということもあり、MCでは不器用そうに告知をしたかと思えば、続く「ホワイトホール」ではアンプに乗り上げ、思わずこぼしてしまったかのような笑顔を見せた。ラストに狂おしい感情をストレートに並べた「カスガイ」で有終の美を飾る。前をみすえ、ユウの切りそろえられたボブがゆれる。拍手と歓声が鳴りやまない。最後にポツリとつぶやいた「ありがとう」だけが深く響く。チリヌルヲワカ、決めてくれた。
 
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◆チリヌルヲワカ 公式サイト
http://chirinuruwowaka.com/

6. ウタノマニマニ

 
吉祥寺という町にぴったりな、おしゃれでピュアなカントリー風ポップミュージックがオーディエンスを包み込む。急遽出演が決まったウタノマニマニだ。メンバーは馬場雄輔(Bass & Vocal)、佐々木裕資(Guitar)、まつこ(Keyboard)、金井健(Drums)の4名。
 
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涼しげなピアノメロディと、優しく、かつ確かな3人のコーラスが高らかでファミリー感のある厚みを感じさせる。「book, book, book」ではお気に入り、と言わんばかりの丁寧な旋律が空間をいっぱいにする。そしてメンバーは誰よりもその空間を楽しんでみせ、かわいらしく、いとおしい音楽がPlanet Kのフロアに笑いかけた。
 
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◆ウタノマニマニ 公式サイト
http://www.utanomanimani.com/

7. ent

 
右手をあげる。暗転。鮮やかなアコギの旋律がひだまりのような溜息をつく。ホリエアツシ(Vocal & Guitar/ストレイテナー)のソロ名義entである。「ent bandです。よろしくお願いします」とあいさつした通り、今回はサポートメンバーを加えての3ピース体制で、表現者entの世界観を創造した。
 
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どこまでも気高く、ひたすら純粋に洗練された世界を遺伝子レベルで語りかけ、呼吸さえ忘れてしまうかのような居心地の良さを共有する。ここがすべての音楽の原点かのような30分であった。
 
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◆ent 公式サイト
http://entjp.net/

8. オワリカラ

 
吹き荒れる台風がピークの中、トリとして会場の沸点もピークに持って行ったオワリカラ。メンバーはカワノケンタ(Drums)、ツダフミヒコ(Bass)、タカハシヒョウリ(Vocal & Guitar)、カメダタク(Keyboard)の4名。「ずっと出たかったイベント」ということもあって、サウンドチェックから半端ない気合いを見せてくれた。
 
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オワリカラ、よろしくどうぞ!」からの必殺アンセム「GO!」を初っ端からぶちまける。サイレンのように響くサウンドがエマージェンシー(緊急事態)と言わんばかりに脳内に直撃し、窒息寸前のビートでフロアを躍らせる。しかしMCでは一変、照れくさそうに各方面へ感謝の気持ちを述べ、ツダ(Bass)が彼なりの哲学を語り始める。そんなギャップも帰宅困難者になってでも彼らと共に踊りたいと思わせる要因の1つなのであろう。まさに台風一過の夜であった。
 
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◆オワリカラ 公式サイト
http://owarikara.com/

 
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このほか、他店舗にはザ・ビートモーターズ→SCHOOL←The モラトリアムスパゲッチーズ兵頭佳菜衣はしぐちかずひろ未完成VS新世界ガングルオンセンチグラムらが出演した。
 
今回の-EPISODE 4-を振り返って、また今後の展望について、Planet Kの福原和樹店長に話を聞いた。
 

 
福原和樹店長:今年は、INDEPENDENCE DAY始まって以来の台風という悪天候でしたが、入場規制がかかるほど沢山のお客様にご来場頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。来年は5周年なので、また気合いを入れ直して頑張りたいと思います!
 

 
ライブハウスはただの”ハコ”にあらず。そんなことを強く感じる取材となった。それぞれの”ハコ”に個性があるし、”ハコ”がミュージシャンを育て、ファンを作り、文化を醸成する。そういう音楽が生まれる最前線の現場を、私たち音楽ファンは「足を運ぶ」ことによって、大切に守っていきたいものだ。来年は果たしてどのような顔ぶれになるのか、今から楽しみでならないし、「吉祥寺だからこそ、実現する組み合わせ」を期待したい。
 

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◆吉祥寺INDEPENDENCE DAY 公式サイト
http://id4-k.com/
 
◆Planet K ホームページ
http://inter-planets.com/
◆シルバーエレファント ホームページ
http://www.silver-elephant.com/
◆WARP ホームページ
http://warp.rinky.info/
◆SHUFFLE ホームページ
http://www.k-shuffle.com/

 
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【レポート】RockGuild presents「MMA -Mixed Martial Arts-」(INSEDE ME)
http://www.beeast69.com/report/19710
【特集】校境なきロックフェス in 校境なき文化祭 (オワリカラ)
http://www.beeast69.com/feature/2927