特集

TEXT:鈴木亮介 PHOTO:鈴木亮介、荻原ひかり

PhotoPhoto

文化祭。それは誰しもが通った、青春の道。ほんの少し背伸びをして、一人では成し遂げられない大プロジェクトを皆で手を取り合って進めていく…膝と膝とを突き合わせて、時に感情がぶつかり合って、だからこそ無事成功した時の達成感は大きい。そんな文化祭がもしも、学校の枠を超えてさらに大規模になったら、もっともっと楽しいのではないか…そんな壮大な夢を描き、実際に行動に移した一人の学生がいる。早稲田大学3年のAさんだ。
 

校境なき文化祭実行委員長 A(早稲田大学3年)
 
Photo僕は高校1年生から大学2年生まで5年間ずっと文化祭の企画や運営に携わってきて、これだけ楽しくて熱い思いの詰まった文化祭が、一つの学校単体でやっているのはもったいない!複数の学校が合同でやったらもっと大きく、もっとエキサイティングな文化祭が作れるのではないか?と常々感じていました。今年の2月末に、その時いた友人と「学校の壁を超えた文化祭を作ったら面白いんじゃないか」と話して、その友人と2人で本当に合同文化祭プロジェクトを立ち上げることになりました。初めは2人の交友関係を中心に仲間を募って、その後説明会を開いたりインターネット上で呼びかけた結果、スタッフが100人強まで増えました。3月に大地震が発生しましたが、それによって断念というより、その時にはまだ構想を練っている段階でしたので、逆に「僕達に出来ることはないか」とどんどんアイデアを出し合って構想を膨らませていきました。
 
今回が第1回目の開催ですが、この9ヶ月間で一番苦労したのは開催場所を見つけることでした。私たちはNPOでもなくバックもない学生の集まりだったので、3日間学校という建物を貸してくれる所がなくて…そのために半年を費やしました。最初は自治体を通じて探していたのですが見つからず、半分諦めかけていた頃、インターネット上で「廃校をそのままロケ地として貸し出している」というデジタルハリウッド大学と出会い、企画書を送って話を聞いてもらうことができました。
 
高校生と大学生がこうしてお互い触れ合う機会は意外と少ないと思うので、どのような形であれ校境なき文化祭への参加を通じて切磋琢磨してほしいと思います!
(ちなみにAさんがこの日着ていたのは自身の高校時代の制服!)

 
PhotoPhoto

Aさんの熱意は実を結び、昨年11月19日と20日の土日に、廃校となった小学校の校舎がそのまま残るデジタルハリウッド大学八王子キャンパスにて「第1回 校境なき文化祭」を開催!
 
PhotoPhoto

喫茶店や巨大お化け屋敷などの「クラス企画」を筆頭に、トリンドル玲奈をゲストに招いたトークショー、企業の人事担当者を招いて実施する「内定Dash-奪取-面接クイズ」、さらにはダンスコレクション、お笑いグランプリ、8組のバンドによるロックフェスなど多数のイベントが2日間にわたって催された。
 
PhotoPhoto

この「校境なき文化祭」には50校以上の大学と高校から合計100名以上の学生が実行委員として参加。「広報局」「イベント局」などに分かれて企画・運営に携わった。そして、そのうち40校以上の大学から集まる大学生スタッフ全員が「進路相談員」となって、来場した高校生の進路相談を受けるという試みも行われた。
 
PhotoPhoto

BEEASTではやはり「校境なきロックフェス」に焦点を当てて、2日目の決勝戦を中心にレポートしていきたい。ロックフェス企画もやはりAさんの発案で始動し、バンド経験者を含めた学生スタッフにより企画が進められた。
 
PhotoPhoto

ロックフェスは高校生または大学生のバンドを対象に、出場者を募集。10月に音源審査が行われ、選ばれた全8組が1日目に出演。来場者の投票により順位が決定し、上位4組のみ翌日の決勝に進出。30分のステージに臨んだ。会場となったのは、旧三本松小学校(現・デジタルハリウッド大学八王子制作スタジオ)の体育館。小学校の体育館のステージに、轟音がなり響く!
 
PhotoPhoto

1組目はthe Wheeldust!メンバーは石井翔大(Vocal&Guitar)、清水亮吾(Guitar)、渡邉和馬(Vocal&Bass)、田中利弦(Drums)の4名。全員高校2年生で、今回最年少だ。フロント3名の元気良いボーカルが持ち味。疾走感溢れるギターリフとシャウトが心地良い。
 
PhotoPhoto

 

the Wheeldust
Photo

◆セットリスト
M01. Ride On The World’s Cutting Edge
M02. Silly Girl (Has Amber Eyes)
M03. I
M04. Seika
M05. Our Area

◆the Wheeldust ホームページ
http://wheeldust.web.fc2.com/

PhotoPhoto

2組目はFriko!全員大学2年生。メンバーは鈴木星河(Vocal&Guitar)、淺田大輔(Guitar)、篠原亮(Bass)に、サポートメンバーの”大橋”(Drums)を加えた4名。現メンバーでの初ライブということだが、巧妙にオーディエンスを煽り、ノリのいいハードロックナンバーを披露!
 
PhotoPhoto

 

Friko
Photo

◆Friko ホームページ
http://45.xmbs.jp/friko/

PhotoPhoto

3組目はロンミエルバテル!同じ大学の3年生、4年生らで結成。メンバーは諸石真吾(Guitar&Vocal)、土井慎一(Guitar)、小川修平(Bass)、塚元聡(Drums)の4名。MCを挟まず、ミステリアスな雰囲気。早いテンポからゆったりムードまで自在に操り、独特の世界観を展開。
 
PhotoPhoto

 

ロンミエルバテル
Photo

 


◆セットリスト
M01. see you
M02. jugem
M03. dummy
M04. シーリング
M05. 深海魚
M06. フィルター


◆ロンミエルバテル ホームページ
http://www.myspace.com/ron_miel_batel/

PhotoPhoto

トリを飾る、4組目はthe bivouacs!メンバーは荻野崇之(Vocal&Guitar)、岡田健太(Guitar)、仁科公貴(Bass)、小田桐悠弥(Drums)で、全員学習院大学の4年生。王道なロックサウンドに英語詞が調和し、躍動感のあるステージを披露。
 
PhotoPhoto

 

the bivouacs
Photo

◆セットリスト
M01. (新曲)
M02. Lazy
M03. Panic street
M04. (新曲)
M05. FLCL



◆the bivouacs ホームページ
http://blog.livedoor.jp/bivouacs/

PhotoPhoto

午後1時、あっという間に全4組のステージが終了。出場バンド数は決して多くないが、1組あたり30分の持ち時間が与えられていたので、一つ一つのバンドの魅力は十分に伝わったのではないか。
 
PhotoPhoto

 
そして、出口には投票用の箱が設置。お客さんは入場時に割り箸を渡される。この割り箸を折って、気に入ったバンド2組に投票する。果たして、優勝するのはどのバンドか?

PhotoPhoto

 
PhotoPhoto

午後2時。体育館には再び、お客さんの列が。ゲストバンドとして、2008年結成のサイケデリック・ロックバンド、オワリカラが登場!体育館であることを忘れるほどの豪快なパフォーマンスと爆音で、高校生も大学生も前のめりで大熱狂!
 
PhotoPhoto

 
PhotoPhoto

 

◆オワリカラ ホームページ
http://www.owarikara.com/
そしていよいよ、2日間にわたった文化祭の閉会式。併せて「第1回 校境なきロックフェス」の優勝バンドも発表!
優勝は…the bivouacs!!

PhotoPhoto

A委員長の挨拶で、2日間にわたった校境なき文化祭は閉幕。我々も取材終了…いやいや、まだこれで終わりじゃない!むしろ、お楽しみはこれからだ!!100名を超える大学生・高校生実行委員に加え、出場バンドメンバー、当日飛び込みの学生スタッフも入り混じって、後夜祭を開催!体育館に再び熱気が戻る!!
 
PhotoPhoto

冒頭、A委員長から実行委員の皆への感謝を込めた挨拶があり、続いて前方スクリーンでスタッフの奮闘を撮影・編集したメイキングビデオを上映。しんみりムードに入るか…と思ったその瞬間。ステージの暗幕が開くと、そこには楽器を手にした大学生たちが!今回ロックフェスを担当したメンバーによる、後夜祭バンドの一回限りのステージが始まった!
 
PhotoPhoto

この日のために作られたという「校境なき文化祭テーマソング」を披露!文化祭らしい、青さと勢いがあってノリのいい楽曲で煽り、ステージ最前まで詰めかけたスタッフ達が頭を振って応える!
 
PhotoPhoto
 

校境なき文化祭テーマソング(作詞・作曲:古屋皓司イベント局長)
秋の空 制服の影
思い出す 風のにおい
過ぎた日は 巻き戻せない
それならば また創ろうずっと忘れやしないだろう 0と1の間に
生まれた光を その手は知っている

私とあなたとの間には 境目なんてないから
今ここで めいっぱい 楽しもうよ
いくつだとかどこからきたとか そんなもの関係ないさ
一緒に臨界点 突破しよう
この時が終わる前に あなたとの証 残せたら

引かれてる 見えないライン
区切られて 生きてる
そんな壁は 壊せばいい
今ここは NO BORDER

いつか忘れてしまうだろう 大人になってしまうだろう
それならこの今 全てを叫べ

ここにいるみんなの間には 境目なんてないから
今一緒に めいっぱい 楽しもうよ
いくつだとかどこからきたとか そんなもの取っ払ってさ
この瞬間心に 焼き付けて
この時が終わる前に ここにいた証 残せたら

 
PhotoPhoto

午後5時、夕焼けが綺麗な八王子の空。日暮れとともに、大学生・高校生たちのアツい一日が、幕を閉じた。
 
PhotoPhoto
 
最後に、校境なきロックフェスの広報担当であるBさん(東京家政大3年)に、第1回目を振り返っての感想や今後の展望を聞いた。
 

B(東京家政大3年)
Photo実行委員として企画、運営をしていたのは5人で、当日スタッフとして動いていたのは両日合わせて10人、合計で15人のスタッフがいました。第1回目ということで実績がないために、当初はなかなかバンドが集まりませんでした。ロックフェスを運営しているイベント局員にバンドサークルに所属している人が多いのでその繋がりで宣伝してもらったり、Twitterなどのインターネットを使ったり、スタジオやライブハウスにポスターを貼らせてもらったりして、何とか集めることが出来ました。また、高校生と大学生で全て運営するということで、クオリティを求められる一方、何をするにも金銭面で苦労し、特に機材を揃えるのに苦労しました。
 
今回が初めてということで、上手くいかない部分もありましたが、沢山の人に支えられてこのイベントを終えることが出来たなと、強く思います。それは一緒に作りあげてきた実行委員や当日の運営に協力してくれたスタッフであったり、出演者としてイベントを盛り上げてくれたバンドさんであったり、機材に協力してくださった方々や観に来てくれたお客さんであったり。ありがちな言葉ですが、どれが欠けてもこのロックフェスを終えることは出来なかったと思います。
 
そして、お客さんやバンドさんに「楽しかったよ」と言ってもらえたのがとても嬉しく自信になりました。反省点も沢山ありますが、イベントを作り上げるという経験はなかなか出来ないことなので、その貴重な経験を活かして今後はもっと多くのバンドさんやお客さんが楽しめるイベントにしていけたら良いなと思っています。

 

Photo
◆校境なき文化祭 ホームページ
http://closed-school.jp/
◆校境なきロックフェス
http://closed-school.jp/rock.html