特集

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TEXT:長澤智典

国内のロックシーンの最先端を駆け抜け、輝き続けるフロンティアたちの横顔に迫るインタビュー特集「ROCK ATTENTION」。第39回に登場するのは21gトゥウェンティワングラムス)。
 

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誕生から現在までの短い歩みを集大成。早くも、21gの最高傑作となる1stアルバム『GENORATION』が誕生!

 
エメラルドグリーンのマスクを被ったボーカルGeno。彼の想いに賛同したベースのNATCHINSIAM SHADEBIG BITES)を中心に、紅一点ギターのmi-yaa DROP OF JOKER)、ドラムのAct.と若手ミュージシャンを加え、昨年10月に活動をスタートさせた21g
 
彼らは、3月21日(日)に1stアルバム『GENORATION』を発売(ライブ会場&オンライン販売中 http://www.kurosawagakki.com/items/detail/321978.html) 。現在は、同作品を手にした都内4ヶ所をまわるショートツアー『1st ALBUM発売記念 21g LIVE「Genoration」Chapter 3』を実施中だ。残すは4月24日(金)渋谷WWWのワンマンのみ。
 
まだまだ走り出したばかりとはいえ、精力的に活動中の彼らをつかまえ、1stアルバム『GENORATION』に詰め込んだ想いを伺った。少しでも4人の想いが伝われば幸いだ。
 

 

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無理難題を言ってもさらに上のものを作ってくるメンバーばかりなのが、このバンドの無限の可能性を持った強みですからね

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—ついに1stアルバム『GENORATION』が完成しました。

 
NATCHIN:21gの第一期活動の集大成と言っても良いのか?!、Genoと「一緒にバンドを組もうぜ」となったときに、彼の頭の中でズッと鳴り響いていた音楽たちを、ようやくこのアルバムで一つ完成させられたな、と思ってる。
 
Geno:その頃から頭の中にあった音楽を形に。そのうえで、起承転結を持ったアルバムを作るうえで必要な部分を加えたのが、この『GENORATION』。結果、しっかりドラマを持った作品になったからね。
 

—アルバム全体もそうですけど、1曲ごとにもドラマを描いていますよね。「MASK」では、左右のスピーカーから異なる歌が流れるなど、とても緻密な制作も行っていませんか?

 
NATCHIN:それもGenoのアイデアなんです。彼はアイデアが豊富というか、面白いんですよ。これまでやったことのない手法を曲の中へ詰め込めば、ちょっとしたことからヒントを得て、それを楽曲に反映させたり。つねに、いろんなところへアンテナを張って音楽を生み出している人だからね。
 
Geno:そのインスピレーションに対して、普通は「それは無いでしょ」と言われるんだけど。ここのメンバーはみんな、「それ面白いね」と乗っかってくれる。その結果、良い意味で変態というか、キャッチーなのにすごく癖の強い曲が次々と生まれていくんですよ。
 
Act.:むしろ、「どんな突拍子もないことをGenoが言ってくるのか?」「どんなアイデアを持ってくるのか?」楽しみしているくらいですからね。
 
CNATCHIN:Genoはいつも、「自分がリスナーだったら」という感覚で曲を作るんですよ。とくに彼は、「同じ構成が何度も続くような曲は嫌い」という性格のように、イントロから最後まで、つねにひっかかりを持った楽曲を作ってくる。それはライブへ生かす面でも、そう。ライブで“どんな面白いことをしながら一体感を作っていけるか”を考えたうえで生まれる曲が多いように、それが、21gの楽曲の持つ個性にも繋がっているからね。
 
Geno:いろんなアイデアを高いレベルまで引き上げてくれたのは、若手陣の成長も大きかったことなんですよ。
 
mi-ya:NATCHINさんもGenoさんも百戦錬磨な方々と演奏してきたように、求めるレベルが本当に高いんです。その分こちらも「絶対に成長したるねん」と気持ちを掻き立てられるから、それが良い形で現れたのかなーとは思ってる。
 
Geno:Act.mi-yaも負けず嫌いだから、合格点を持った演奏でも、こっちが「もうちょっと何かあるかなぁ」とハードル上げた要求をすると、またすごいのをひねり出してくる。NATCHINさんも含め、無理難題を言っても、さらに上のものを作ってくるところが、このバンドの無限の可能性を持った強みですからね。
 

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「MASK」「エメラルドグリーン」「JIDANDA」

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—ここからは、アルバムの全曲解説を行いたいと思います。冒頭を飾ったのが、左右のスピーカーから異なる声が耳に飛び込んでくる、バンドの顔とも言えるナンバーの「MASK」になります。

 
Geno:天使と悪魔、その両方が一人の人間の頭の中で主張しあったら面白そうと思って作り上げた楽曲です。
 
NATCHIN:Genoが被っているマスクを題材にもしているよう、21gの代表曲の一つ。Genoの歌詞を読んだことで、「この人も心の仮面を被っているのかな?」という目で人を見たり、発言一つを取っても、その言葉の裏まで深読みしてしまうようになったからね。
 
Geno:人って、絶対に心に仮面を被ってるものなんですよ。女性の化粧や男性の上げ底だって、本当の自分を隠した姿。とくに女性の化粧は当たり前にしていることだけど、それだって「俺が仮面をかぶってるのと同じことだからな」と言いたかったというか。「自分に嘘をついててもしょうがない。誰もが心に仮面を被ってることを認めたうえで生きていこう」というメッセージを突きつけたかったんです。
 

—2曲目に流れるのが、先にシングルとしても発売。とても開放性を持ったアッパーチューンの『エメラルドグリーン』です。

 
EGeno:最初に「仮面を被ろう」と決めたときに選んだ色がエメラルドグリーンでした。エメラルドグリーンは、もの凄く輝きのある人工で作られた綺麗な色なんですけど。裏には、「毒」という意味も持っています。そこも踏まえて、楽曲に込めた想いを探ってもらえたらなと思ってる。今や、21gのライブでも一番の盛り上がりを作っている曲ですからね。
 
NATCHIN:それまで「愛してる」とか唄ったことのないGenoが、初めてその言葉を歌詞で使ったように、Genoにとってはチャレンジ曲にもなっていましたね。
 

—「JIDANDA」は、みんなでGenoの足の動きやドラムのリズムに合わせ地団駄を踏んでゆく、ライブでも大騒ぎしていける楽曲です。

 
Geno:この曲のヒントになったのが、NATCHINさんとお笑いのライブを見に行ったときの経験。舞台上にいた芸人さんたちが、ネタを歌いながら、その歌に合わせバンバン床を踏んでいたんですね。それを見たときに、演奏に合わせ、みんなで地団駄踏むように床をバンバン踏んだら面白いんじゃないかと思って。
 
NATCHIN:演奏に合わせて地団駄踏む音が増えれば増えるほど、その会場に地響きが轟くんじゃないか?!。まさに、ライブでみんなと一緒にドンドン床を鳴らしたいがために作った曲なんです。
 
Act.:「JIDANDA踏んだ」など、言葉遊びや語呂合わせもユニークな曲になっています。
 
Geno:人が地団駄を踏むときって、いらつきながらも我慢している時じゃないですか。そこから想いに肉付けして作り上げた楽曲。きっと、共感覚える人も多いんじゃないかな?
 

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「ねこのうた♪」「つき」

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—「ねこのうた♪」では、会場中の人たちが猫の手袋をしながら両手をクルクルまわし、猫の甘えたポーズを真似ながら楽しんでいます。

 
Geno:これは、「僕は、こんなにも猫が好き」という歌なんです(笑)。タイトルに「ねこのうた♪」と付けたことから、人の深い感情を歌詞に記さないと、あまりにもチープな歌になり過ぎてしまうなと思い、可愛い表記の裏に、人の深い心模様を隠して突きつけました。
 
Act.:被っているのは仮面だけじゃないよという、すごくシニカルな歌詞ですよね。
 
Geno:楽曲自体は耳に入りやすいキャッチーさを持っている。むしろ、そうしたかったんです。
 
mi-ya:ライブでも、この曲が始まるとお客さんたちが猫耳や猫の手袋をしては、Genoさんの歌に合わせ♪トゥルトゥル〜♪と歌っていくんです。
 
Geno:お客さんたち自身も、21gの曲を楽しむアイデアを自発的に作ってくれてるんですよね。その影響を受け、今や自分も、ライブでは猫の手袋を付けてますから。
 
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—「つき」は、お客さんたちが♪ツッツチーツッツチー♪と口づさみ合唱してゆく楽曲。

 
Geno:「つき」は、「大会場で、大勢のお客さんたちが♪ツッツチーツッツチー♪と唄ったらどんな光景が広がるんだろう?」という発想から生まれた曲。
 
NATCHIN:今はまだ小さな会場で♪ツッツチーツッツチー♪の合唱を味わっている状態だけど。むしろ、身近な会場だからこその息づかいが、すごくリアルに聞こえてくるんですよ。
 
Act.:息継ぎしてゆく声にさえ味を感じてますからね。
 
NATCHIN:そこって、近いからこそ得られる臨場感なのかも知れないね。
 
Geno:歌詞では、ちょっと哲学的なことを書いてるというか。果てし無く長い歴史の中で見れば、俺らの人生なんか、ほんの一瞬にしか過ぎないもの。たとえ一瞬にも満たない人生であっても、月はすべて見届けてるんだよということを記しています。昔も今も、月は神聖なもの。そこには、不思議なパワーが宿ってるんだろうなぁと思います。
 

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「初恋」「たとえ話」「チョコレート三丁目」

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—切々としたピアノの演奏から始まる「初恋」も、ラブソングとして完成しています。

 
mi-ya:私、それまで歌詞とか興味なかったし、恋愛物の歌なんて「さむっ!!」と思っていたんだけど。『初恋』を聞いたときには、歌詞も含め「すごくいいなぁ」と思って。自分の場合、この歌詞のようなロマンチックな経験はないけど、なんか想像出来るんですよ。
 
Geno: 「好き」って想いを言えない女の子の歌なんですけど。「好き」と言えない以前に、「私、本当に好きなのかなぁ」「いや、そんなこと私に限ってないよ」という少女の恋心を歌にしたかったんですよね。実はこの曲、「ここぞ」というタイミングでシングルとして出したかったんだけど、出し惜しみしているのはもったいないと言うことで入れました。
 

—「たとえ話」も、ピアノ始まりの楽曲です。

 
Geno:元々これはソロで歌っていた曲だから、21gとしてライブ演奏はしても、作品として形にするつもりはなかったんですね。だけど、若手2人が「絶対に入れましょう」と言ってきたから、「若い意見を大事にしよう」ということで入れました。
 
IAct. :初めてデモ音源を聞いたときから、もの凄く気に入ってた曲でした。どの曲にも言えることとはいえ、特に「たとえ話」は、「このメロディーとこの歌詞だからこそ」という必要性が如実に現れた楽曲なんです。アルバムの流れ的にも、「初恋」「たとえ話」とピアノ曲が続きながら、その中にも曲の変化の色が見えてくるように、そこも気に入っているところです。
 

—一転、「チョコレート三丁目」から演奏は、またも弾け出します。

 
Geno:これは、無性にチョコが食べたくなった心理を深く洞察した歌。こういう衝動って、人の感情が持つミステリアスな部分。その想いを肉付けしていく中、「チョコレート三丁目」という誰も使わないような字面が浮かんだときに「これだ」と思ったのと。これを5拍子の楽曲にしたときに、この曲の存在意義が見えましたね。
 
mi-ya:5拍子なのに普通に楽しくノレて聞けちゃう。こんな難しい拍子なのに素直にノレるという不思議な曲です。
 
Act.:確かに、5拍子なのにすごくノリやすいライブナンバーに仕上がったなと思ってる。途中で4拍子に切り換わるんだけど、聞いてても「今、切り替わった」と気づくことなくスーッとノリを持って聞けてしまう。それこそがGenoマジックなんだなと思います。全体の演奏面でも、「初恋」が淡い気持ちの表情であり、「たとえ話」が切ない感情を現した歌であるならば、この「チョコレート三丁目」は、誘惑や欲求などの汚い感情を演奏にも描き現せたんじゃないかな?!
 
Geno:「チョコレート三丁目」には狂気な感情も記してあることから、コーラスにはデカくてゴツい野郎ばかりを10人ほど集め、ごっついコーラスも入れました。あのごつさも聞き応えありますよ!
 

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「天照賛歌」「Mr.アドレナリン」「21Genoration」

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—グサグサとギラついた音が身体を貫く「天照賛歌」。これも、先にシングルとして発表した楽曲です。

 
Geno:この曲を歌っているときは初心に戻れるというか、何時までも新鮮な気持ちを抱かせてくれる歌です。この曲も、ライブで演奏するとすごい盛り上がるよね。
 
mi-ya:ライブで「天照賛歌」が流れると、「待ってました!!」とばかりに盛り上がってくれるんで。
 
Act.:この曲が流れ出したとたん、会場内の空気が変わるからね。
 
NATCHIN:「天照賛歌」の歌詞を聞くたびに、まだデビュー前だった22歳の頃の自分の感情を思い返すんです。まわりの友達が働き始めていく中、俺は「何時まで音楽をやってていいんだろうか?」「あと、どんだけ夢を見れんのかな?」と、この歌の心境のようだった。それから20年経った今、今度は「あと何年ベースを弾けるんだろう」と思ったりもするんだけど。この曲を通すことで、 20歳の頃の自分に戻れる錯覚を与えてくれるんですね。それくらいグッとくる楽曲なんです。
 

—「Mr.アドレナリン」は、ライブで大騒ぎできる楽曲じゃないですか。

 
KGeno:「Mr.アドレナリン」は、NATCHINさんの「お客さんらがスッとノリに飛び込んでいける正統派なロックナンバーも作ろう」というアイデアから誕生した歌。
 
NATCHIN:まさに「Mr.アドレナリン」は、ライブでお客さんがタオルを振りまわし大騒ぎしてくれたら!というところから発展した曲なんです。
 
mi-ya:実際にこの曲が始まったとたん、お客さんたちがタオルを振りまわし出すからね。
 

—最後は、21gの顔とも言うべき「21Genoration」です。

 
Act.:Genoが作っていくムーブメント」であり、「これが21gの出す音楽です」というスタイルを凝縮した楽曲になりました。
 
NATCHIN:音楽的にも、歌詞の面でも、Genoが出す「毒」の部分が詰まった歌として完成したよね。
 
Geno:アダムとイブの話を通して僕らは、二人が禁断の林檎を食べてしまったがために、人は罪を犯すようになったと習ったじゃないですか。思うんですけど、そのおかげで“人間らしさ”が生まれたのなら、その林檎は食うべきでしょ。それがあるからこそ、悲しさも嬉しさも楽しさも知れる。それが何もなかったらと想像したら、「さっさと食えよ!!」と。「さっさと21gの禁断の実を食べようよ」。そういうことを言いたかったんですよ。
 

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今の4人で出来る最大限の姿を詰め込んだのが、このアルバムだからね。
—完成した1stアルバムの『GENORATION』は、どんな手応えを持った1枚になりましたか?

 
mi-ya:21gは、これからも成長した姿を詰め込みながら2枚目、3枚目とアルバムを重ねていくんでしょうけど。でも、「これこそ21g」とズッと思えるに違いない、とても濃い1枚になりました。
 
Act. :ドラマー視点で語るなら、「これ、どういう演奏をしているんだろう?」と思わせるだけの挑戦的なフレーズがけっこう入っている1枚であり。Genoが求める高水準な音楽のさらに上を超えるスタイルで形に出来た曲たちが並んだ、まさに、今の21gの挑戦的な姿勢を詰め込んだアルバムになったと思います。
 
NATCHIN:今の4人で出来る最大限の姿を詰め込んだのが、このアルバムだからね。
 
Geno:そうだね。現時点では、これ以上のものは作れないと思えているように、現時点での21gの等身大でありつつも、そこで出しきれる力をすべて出し切った集大成作品になったなという感じですね。
 

—4月24日(金)には渋谷WWWを舞台に、アルバム発売記念ツアーのファイナル公演が行われます。

 
NATCHIN:今の21gは、アルバムツアーを通し、観に来てくれる人たちと一緒に楽曲も成長し続けている段階なんですよ。その集大成な姿を見せるのが、渋谷WWWでのライブになるように、ぜひみんなで楽しみたいなというのと。応援してくれる人たちのもとへ行きたいなと思っていたタイミングでツアーへの共演話があったので、5月からはイベントツアーへ何本か参加させていただくことも決まっています。そちらも、今から非常に楽しみにしています。夏にはイベントも考えているように、この先も楽しみにしていてください。
 

LM

◆Live Information
『1st ALBUM発売記念 21g LIVE「Genoration」Chapter 3』
・2015年04月24日(金)【東 京】 渋谷WWW
[OPEN/START] 18:30/19:00 INFO.渋谷WWW 03-5458-7685
ローソンチケット【Lコード:77221】※電話予約なし
チケットぴあ【Pコード:253-151】電話予約:0570-02-9999
e+【http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002146030P0030001】
[料金]立見¥3,500(税込)/DRINK代別 ※4/24渋谷WWWのみ¥4,000(税込)/DRINK代別
[企画/制作]バックステージプロジェクト

 
Gargoyle「狂い咲きジャパロック」ツアーに出演決定!
・2015年05月03日(日)【大 阪】ESAKA MUSE
・2015年05月05日(火)【福 岡】DRUM Be-1
・2015年05月06日(水)【福 岡】DRUM Be-1
・2015年05月08日(金)【広 島】ナミキジャンクション
・2015年05月09日(土)【岡 山】IMAGE

 

◆21g Official Website
http://www.21g-jpn.com/
Geno(Vocals)、NATCHIN(Bass)、mi-ya(Guitars)、Act.(Drums)
 

genoration-CD300

1st Album『GENERATION』
http://www.kurosawagakki.com/21g/
 
¥3,000(税込)(21g-004)11曲入
 
01.MASK / 02.エメラルドグリーン /03.JIDANDA / 04.ねこのうた / 05.つき / 06.初恋 / 07.たとえ話 / 08.チョコレート三丁目 / 09.天照賛歌 / 10.Mr.アドレナリン / 11.21Genoration

 


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