連載

YHMF熱血現場最前線!

熱血7
TEXT:鈴木亮介 PHOTO:ヨコマキミヨ

過去にRADWIMPS藍坊主を輩出し、今年で11回目を迎える高校生バンドコンテストの草分け的存在「YHMF(ヨコハマ・ハイスクール・ミュージック・フェスティバル)」に密着する連載「YHMF熱血現場最前線!」。BEEASTではオフィシャルメディアとして、タイトル通り現場の最前線を毎月お伝えしていきます。

連載7回目となる今回は、前回に引き続き8月10日に横浜アリーナにて行われたYHMFの決戦大会の模様をたっぷりお届けします!今回は「8.10横アリ 後篇」として、後半10組+ゲストパフォーマーのライブリポート、そして受賞バンドの喜びの声をたっぷりとお伝えします。

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午後4時を回り、まだまだ来場客も増える中、後半戦がスタート。後半の司会を務めるのは、2007年以来3年ぶりとなる男性MCの先間亜図夢君と、昨年に引き続き2年連続MCの山田萌子さんの3年生コンビです。

後半1組目は男性4人組の♭Noteフラットノート)。英語詞のアップテンポな曲で、会場を盛り上げます。2年連続の出場ですが、「去年に比べて今年は自分達らしさを出せた」と、少し余裕を持って演奏できたようです。

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続いて2組目は、中学の同級生で結成された男性3人組のザ・レトロ。スタンダードなギターの旋律は、10代で埋め尽くされたこの会場にあってはかえって新鮮。中学時代にハマったTHE BEATLESが影響しているようです。

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3組目は女性4人組のSp@rkyが登場。JYOJI-ROCK2010春大会でトップバッターを務めたバンドです。明るいロックナンバーで盛り上げます。YHMFの客席はスタンディングができないのですが、今にも踊り出しそうになる人が続出。

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4組目は妄想エンペラーが登場。男性2人、女性2人の4人組です。日頃の”悔しさ”や”もやもや”が元になって作られたという、ハードなロックナンバーを披露。ボーカルのパワフルな歌声も、とても迫力があります。

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5組目に登場したのは、男性5人組のRe,birthです。こちらもハードロックな楽曲で会場を熱くしていきます。終演後のインタビューでは「今までで一番楽しく出来た」とコメントし、大満足の様子。

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6組目の登場は同じ高校に通う男性4人組Blanc-Bec。男臭いロックナンバーに、強弱を明確にしたメリハリのある演奏が特長。曲作りの際はまず絵を描いてイメージを膨らませ、メロディラインを作っていくのだそうです。

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7組目は多国籍な男性5人組、X-24エックス・トゥエンティーフォー)。日本語と英語を織り交ぜた「インターロック」は重厚感があり、会場にも一体感が生まれます。シンセサイザーのEricはブレイクダンスを披露!

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8組目はMother blanketが登場。YHMFへの出場のため今年5月に結成された男性4人組です。バンド名の通り、優しく包み込むような柔らかい楽曲が特長。終演後のインタビューでは「気持ち良く演奏できた」と話していました。

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9組目は女性ソロシンガーの大石晴子。YHMF出場に向けて、初めて作詞作曲したという楽曲を披露しました。アコギの音をじっくりと聞かせつつ、安定感のあるボーカルでしっとりしたバラードを歌い上げます。

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そして本日のトリを務めたのは男性4人組、GREEDY CLOVER。茨城・水戸市からの参戦です。爽快なメロディは青春そのもので、「ザ・草食系」という印象。終演後は「こんな大きな所で演奏できて幸せ」とコメントしていました。

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後半の10組もやはり演奏力の高いバンドが揃っています。そして、会が進むごとに注目を集めていったのは、男性司会の先間君の憎めないキャラクター。X-24との掛け合いでは、メンバーの「新横浜のラーメン博物館で皆でラーメンを食べていたら、どんぶりの底に『バンドを組め』と書いてあった」「こいつのラーメン(どんぶり)に、希望と(to)myselfの歌詞が書いてあった」という話に「すごい余白があるどんぶりだったんですね」と返し、場内の笑いを誘っていました。

そして午後6時前、YHMFが生んだスター、Anyがゲストバンドとして登場。Anyは2007年のグランプリバンドで、2008年にはYHMFで出会ったドラムの高橋武が加入。今年9月、YHMF2007のグランプリ受賞曲「優しい人」でメジャーデビューを果たしました。さらに、ボーカル・工藤成永は2006年にもMs.LilyとしてYHMFのグランプリを受賞しており、ボーカルとしてはYHMF史上唯一となる、2年連続グランプリ獲得の偉業を達成しています。そんなAnyが満を持して横浜アリーナのステージに返り咲きます。全4曲を熱唱し、観客のみならず出場者、スタッフをも魅了していました。

続いて、YHMFの高校生スタッフがシナリオを考えたというJASRAC・日本音楽著作権協会のCM映像が大型モニターにて公開。金子雄平委員長らYHMFスタッフが出演したドラマ仕立てになっており、音楽著作権について分かりやすく説明。恋人同士という設定の金子委員長と司会・山田さんの恋の展開にも注目!?

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その後、Plu$プラス)によるダブルダッチ(2本のロープを使い団体で行う縄跳び)のアトラクションが披露され、お待ちかねのヘアメイク部門へ。後半はウェディングで、15人のモデルがそれぞれのテーマに合わせたメイクを施され、純白のウェディングドレス姿を披露。高校生とは思えない上品な美しさに、客席からは絶えず歓声が上がっていました。

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午後6時半を回り、待ちに待った表彰式。熱い演奏を披露してくれた19組がステージにズラリと並び、審査結果が発表されます。まずは特別審査員賞から、順々に発表! まいどアリーナ賞の発表では中華街風のSEが流れ、プレゼンターとして現れたのは横浜アリーナのマスコットキャラクター「ヨコアリ君」。そしてグランプリの発表は金子委員長から!

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◆グランプリ The Learners (曲名:みんなわるいんだ)/The Learners HP

ハッピー!ファンキー!グル―ビーです!ロマンチックな夜になりました!未だに信じられません。今日が18年間生きてきて一番いい日です!横浜アリーナは、立ってみないと分からない感動がありますね。いやぁ気持ち良かった。気持ち良すぎて逆に気持ち悪いくらいです(笑)YHMFの出場を決意したのがちょうど一年前です。昨年大会を観戦し、横浜アリーナのステージに魅せられて、それから一年間「絶対に優勝してやる」という気持ちでここまでやってきました。副賞の使い道は…4人で相談します。メンバーは4人とも3年生で、大学受験のため活動は一旦ストップします。しかし、受験が終わったら必ず戻ってきます!

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◆優秀賞 経験II (曲名:Aqua Rius(β))/経験II HP

YHMFは僕たちにとって本当に夢の舞台で、そこで賞を取ったなんて信じられないです。取れると思っていなかったのでリアクションも考えていなかったし…曲作りも録音も練習も大変でしたが、3度目の正直でようやく決勝のステージに立つことができました。経験IIの特長は「エナジー」です。インストだから静かに聞くのではなく、歌がないからこその爆発力を体感してほしいですね。3人とも大学受験のため、音楽活動は今日でひと区切りの予定でしたが、賞を取ったら話が変わってきますよね。今後どうするか、これから緊急会議です(笑)

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◆まいどアリーナ賞 X-24 (曲名:希望と(to)Myself)/X-24 HP

I’m so happy!! みんなありがとうございました!人生で一番楽しいライブができて、今は天国のような心地です!人生が変わるステージでした。僕たちがYHMFに出場したのは、自分たちの力量を試したかったからです。X-24の特長は英語と日本語を織り交ぜた「インターロック」だと考えています。国籍を問わず誰でも理解できる音楽と、お客さんの記憶に残る、楽しかったなと思ってもらえる演奏やパフォーマンスを目指しています。僕たちは今2年生なので、来年も出ますよ!そして、来年はグランプリを狙います!

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◆特別審査員賞 Dodico. (曲名:ごめんね)/Dodico. HP

賞を取れるなんて思っていなかったので、呼ばれた時はほんまにめっちゃ嬉しかったです!びっくり半分、嬉しさ半分、みたいな!横浜アリーナのステージは去年も立っていて2回目になりますが、去年よりは緊張しませんでした。今回は4人編成での出場ですが、普段は大人数で地域の商店街のイベントなどに出ています。この4人は全員3年生で、これから受験勉強に入ります。でも音楽は続けて、今後もこのメンバーで頑張っていきたいです。色んな人に曲を届けていきたいと思っていますので、今後も応援よろしくお願いします!

The Learnersは演奏の秀逸さはもちろんのこと、個々のメンバーの動きが大きく、横浜アリーナという大舞台に全く引けを取らないパフォーマンスでした。一方、Dodico.は対象的に、4人の表情も演奏も、横浜の高校生バンドたちとは少し違った素朴さがありました。そして経験IIはテクニックで魅せる!!インストでありながらボーカルのいるバンド以上にパワーがありました。さらに、多国籍なX-24はとにかくノリがいい!今回出場19組の中で一番観客を沸かせ、踊らせていたように思います。

最後に、YHMF2010金子雄平委員長より、締めの挨拶。金子委員長はまず、高校生パフォーマーやヘアメイク部門のモデル、さらには総勢350名にのぼる高校生スタッフを舞台に呼び集めました。

金子委員長 挨拶

金子:本日はご来場いただきありがとうございます。YHMF2010は3月にスタッフが集まって結成され、その中で僕が委員長に選出されました。最初は、前年から1年間しか参加していない自分が委員長に選ばれたことにびっくりしましたが、今考えるとすごく光栄なことだったと思いますし、委員長になれたことですごく色々な経験をさせていただきました。

今年のスタッフは総勢350名います。最初は30名ほどからのスタートでしたが、そこから頑張って広報活動を行ったり、口コミで集まったりと、高校生の輪が広がってこれだけ大きな集団になりました。これだけ大きなイベントが毎年できることはすごいことだなと思います。

僕は今年、委員長として二つ目標を持っていました。一つは、「みんなうまい!どのアーティストがグランプリをとってもおかしくない!」というアーティストを揃えることでした。僕自身もバンドをやっているので実感しますが、この19組は本当にどのアーティストがグランプリを取ってもおかしくないと思うくらい、上手いアーティストが揃ってくれました。各賞は高校生の選考班が選んでいますが、実は今年、グランプリ候補が8組くらいいました。その中で僅差でThe Learnersの皆さんが選ばれました。

そしてもう一つの目標は、ここにいる高校生、来場者の皆さん、YHMFに関わった全ての人に「楽しかった」と言ってもらえることで、そのためにこの半年間ずっと頑張ってきました。ですから、皆さんこれから、僕の話が終わって帰る時にスタッフがお見送りをしますので、その時に一言「楽しかったよ」と声をかけていただけると嬉しいです。

今日は本当にご来場いただきありがとうございました。このヨコハマ・ハイスクール・ミュージック・フェスティバルは僕の一生の誇りです!今年のYHMFはこれでおしまいになります。また来年お会いしましょう!

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そしてステージの大スクリーンには、舞台裏の映像とともにエンドロールが流れ、終演。客席からは割れんばかりの拍手に、「楽しかったよ~」と野太い絶叫も。取材をしていても、本当に「楽しかった」の一言に尽きます。そして、こんな楽しいステージ作りに参加できる高校生がうらやましい!!

また、入賞したバンドへの取材をしていて印象的だったのは、出場者ケアを行う高校生スタッフがまるでバンドのマネージャーのように、わが事として喜びを爆発させていたことでした。そしてバンドのメンバーも口々にスタッフへの感謝の気持ちを話していました。ここから友情?恋?が芽生えていくのでしょうね。これもまた、うらやましい!!

入賞した4組のうち3組は高3で、その他の出場者も含め、この横浜アリーナの舞台を最後にしばらく音楽活動を停止するというアーティストが多いようです。高校3年間の活動の締めくくりとして、他に類を見ない大きな打ち上げ花火を上げることができたわけですから、きっと秋からは勉学や就職活動など、それぞれの進路に向けて邁進できることでしょう。

でも、どんな進路に進もうと何をライフワークにしようと、音楽はいつもそばにいて、自分を励ましてくれます!困難にぶち当たった時は、このステージを思い出して、一息ついて、そして再び走り続けてほしいと思います。来年はどのようなステージになるのか、今から楽しみです。ひとまずYHMF2010に関わった全ての高校生、そして陰ながら支える大人スタッフの皆さん、お疲れさまでした!!

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◆YHMF公式ホームページ
http://www.sunphonix.co.jp/yhmf/

◆Any 公式サイト
http://anyofficial.net/index.html

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※YHMF2010 各賞と副賞一覧
◆特別審査員賞
(優秀な演奏をし、今後の活躍が期待される1組に贈呈)
賞状・トロフィー・副賞(内は提供社名)
ステレオ・モバイル・アンプ「モバイルキューブ」(ローランド株式会社)
マルチトラック・レコーダー、オーディオインターフェイス、コントロール・サーフェスの3つの機能を統合した「R-16」(株式会社ズーム)

◆まいどアリーナ賞
(ライブパフォーマンスが優れた1組に贈呈)
賞状・トロフィー・副賞(内は提供社名)
デジタルレコーダー「D888」(株式会社コルグ)
プリンスホテル ギフト券 3万円(株式会社 横浜アリーナ)

◆優秀賞
賞状・トロフィー・副賞(内は提供社名)
ポータブルヘッドフォン「ATH-SJ5」「ATH-SJ3」(株式会社オーディオテクニカ)
ケーウェーブ ピックアップ内蔵ウクレレ「レスポルファス」(キワヤ商会)
ハンディ・ビデオ・レコーダー「Q3」(株式会社ズーム)
図書券 3万円分(一般財団法人 日本音楽著作権協会)

◆グランプリ
賞状・グランプリトロフィー・副賞(内は提供社名)
崎陽軒商品券 1万円分(株式会社 崎陽軒)
フェイマス ファイングレードキワヤ 90周年記念モデルウクレレ(キワヤ商会)
インイヤーヘッドフォン IE-S(株式会社ボーズ)
PCDJシステム「スピン」(株式会社ベスタクス)
フェンダー ギターアンプ「G-DEC3」(株式会社山野楽器)