連載

【ももてつNMカフェ】 第3回
TEXT & PHOTO:桂伸也


同人メタルの雄、IRON-CHINOを中心とし、強烈な個性を持ったパーソナリティ陣が、“ロックから見た同人音楽”という全く新しい切り口で同人音楽を斬る、ユニークなスペシャルイベント「ももてつNMカフェ」。単なる情報提供番組にとどまらない楽しい情報トークイベントを繰り広げ、まだ本当の音楽の楽しみ方を知らないあなたを、新たな世界へお連れする!!
 
第3回はイベントの拠点であるロックバーMalmsteenを飛び出し、『EffEXPO ~見て、聞いて、弾いて、学べる、エフェクターの祭典~』の会場にて出張開催するという特別企画。同人とエフェクターというレアなテーマに果敢に挑む。出演はメインパーソナリティのIRON-CHINOと頼もしき相棒である悶絶メタルK、そしてゲストはIRON ATTACK!や、THOUSANDS LEAVES等のバンドで活躍しているギタリスト、バッハ。エフェクターマニアが集い、真剣にエフェクターの可能性を追及したこの場で、「同人の視点、ユーザーの視点でエフェクターを斬る」というテーマで繰り広げた彼らのトークは、どのように展開したのか?その行方を追った。
 

1)序章

 

 
淡々とした自己紹介からいきなりIRON-CHINOの痛烈な一言、「アウェイ感バリバリなんですけど。」今回のイベントに先立ってこのセミナールームで行われていた他メーカーのセミナーでは、どれも真剣な討議が活発に繰り広げられていたが、対照的にここはあまりにも緩(ゆる)い雰囲気。しかしこの雰囲気も、同人が絡む場ならではの雰囲気といえよう。何より会場の雰囲気の違和感をIRON-CHINOが一番強く感じていたことが非常に興味深い。「エフェクターを同人作家が解説する」という、今までにない新鮮な雰囲気に期待も膨らんだ瞬間だ。
 
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2)同人とエフェクター

 

 
「そもそも同人作家は、エフェクターを使うのだろうか?」今回の本題の前に整理しておくべき命題だが、基本的にIRON-CHINOたちのようにストレートなギターサウンドを好むへヴィメタルギタリストは、同人というくくり以前にあまりエフェクトを使わず、できるだけシンプルに音作りをするのが主流だという。これには悶絶メタルKも同様の見解を示した。(さらに近年では様々な音作りができるような、豊富な機能を持ったアンプも増えつつある。)ただし、同人制作は宅録(自宅にてDesktop Music環境にて録音作業を行う)を行うケースが主流で、必ずしもアンプが十分に使える環境にあるとは限らないので、アンプシミュレーター等のエフェクターを使用するケースはある。
 
また、PCによるDTM(Desktop Music)環境を使用する機会が多いため、従来のアナログのシールドジャックだけでなく、近年の製品には多く使われているUSBインターフェイスや、アンプシミュレート端子を搭載しているものが、使用には望ましい。デジタルインターフェイスを使用した方が不用意なノイズ増加を防止できる利点もあるため、利用価値としても高い。このポイントは是非注目してほしい。
 
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3)同人視点でのエフェクター見解

 

 
いよいよ実際にエフェクターについての彼らなりの見解を語ってもらった。へヴィメタルを信条とする彼らだけに、普段の活動の中でも使用する局面が考えられるストレートなディストーション系ペダルと、ワウペダルに絞って、エフェクターを斬った。
 
1.Blackstar(ディストーション系エフェクター)
 
今回試奏したペダルは、Blackstarブランドのディストーションエフェクター3種。歪みの軽い方からHT-DRIVE(OD-1)、HT-DISTX(DX-1)、HT-METALの3種。国内産のエフェクターは電圧9V稼働が主流だが、HT-DRIVE、HT-DISTXは16V。HT-METALに至っては22Vとかなりの高電圧で、サウンドの強力なパワー感を作る上で必要とした仕様と想定される。出力端子は通常の出力に加えて、Speaker emulated端子(アンプをシミュレートする出力端子)が用意されており、ギターアンプの使用に制限が出る宅録環境では重宝される仕様となっている。
 
やはりハイゲイン(強めの歪み)を趣向とする彼らとしては、どちらかというとHT-DISTX(DX-1)、HT-METALの方が好みとしては強いとのこと。また「思ったよりノイズが少ない」という所感が語られた。このあたりはプロスペックとして妥協しない、堅調な作りが感じられるところだ。彼らとしては普段の現状の使用環境に慣れていることもあり、これらエフェクターを使用する機会は少ない。が、音やせ(エフェクターを通すことで、部分的な音の成分が削られ、音自体が細くなったように感じられること)も少なく、音のこだわりも強く感じられるため、可能性は少ないながらライブハウス常設のアンプ使用に制限(自分が普段使用するアンプがない、台数が限られている等)がある場合には使用するケースも考えられるのではないか、という意見も述べられた。
 
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2.Jim Dunlop「Crybaby」(ワウペダルペダル)
 
続いてはワウペダル。Jimi Hendrix等が使用し始めたことからロックの歴史の中でも数々使われてきたこのペダルは、フレーズに歌心を与えるような効果や、フレーズ自体に奇抜さを与え、ワイルドな表現を可能にしたりと、ロックらしいサウンドを得るにはもってこいのエフェクターだ。もっとも多く使われているノーマル仕様のものとは他に、Crybabyにはアーティストモデルとして様々なアーティストの好みに対応しカスタマイズを施されているものもある。今回はノーマルタイプのGCB95 Cry Babyと、EVH-95 Eddie Van Halen Signature Wahを検証した。
 
Blackstarとは違い、ここではこの長い歴史を持つエフェクターに関して、その音の性質よりもエフェクター自体の使い方に関する議論がなされた。このエフェクターも、宅録で使用する機会はあまりないものの、IRON-CHINOもステージで使用する機会はある。彼の使用方法としてはペダルを上下させるのではなく、ペダルを一定の傾きに保持し、ソロなどの際に微妙に音を変化させるという格好で使用している。エフェクターの特性を考えるとユニークな使い方ともみられるが、意外にもこの音を好み、同様の使用方法をとるギタリストも多い。
 
一方でバッハは好みの可変域が反映されるよう、ペダルのギア等に細工を加えている。Michael Shenkerは旧ドイツの50マルク硬貨を使用しているとのことだが、バッハは100円玉5枚を積んだものをペダルの踏み込み側にかませ、ペダルの可変域に制限を加えている。(ちなみにバッハ自身もEVH-95モデルを所有、実際にライブなどで使用している。)
 
電気的な回路構成から考えると非常にシンプルであるため、簡単にチューニングを施すこともできる。実際いろんなミュージシャンにより様々チューニングが行われた例があり、個性を追求する同人制作の中でもひときわユニークさをアピールできるアイテムではないだろうか。
 
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イベントは細かく聞くと非常にアーティストサイド的な、有意義なキーワードも多く含まれ展開していった。だが、同人のトークイベントらしく常にジョーク等を交えた、ももてつらしいアットホームな内容で終始ステージは和やかに進んだ。普段それほどエフェクターを使用しない彼らではあるが、それだけに自分の音に対する音のこだわりも感じられ、それを踏まえたコメントが多く聞かれた。まさしくユーザーサイドの意見をステージで語ったこの日のイベント。
 
彼が創作を続けているIRON ATTACK!は、ちょうどこの時『STAR DUST MEMORY 2012』と銘打ったライブツアーを巡った後だった。現在、彼らは6月末より始まった同人初のワールドツアーを敢行中。さらなる同人の可能性を追求し精力的な活動を続けている。今回ステージで語った内容も、どちらかというとイベントの趣旨からは少し視点を変えた、ユーザーとしての目線を強めたコメントだった。ももてつならではの和やかな空気はあれど、その言葉一つ一つには、ユーザーが様々なアイデアを得るヒントが随所にちりばめられている。さて、つぎにIRON-CHINOたちが斬る世界はいずこか?神のみぞ知るその世界、期待して待ちたい。

この日紹介されたエフェクター:

1)Blackstar
 
1.HT-DRIVE(OD-1)
カスケード接続の三極管をハイボルテージで駆動させる真空管回路を採用し、ウォームなブーストサウンドから真空管で強烈に歪ませたヘヴィドライブサウンドまでカバーするバルブ・オーバードライブ。ユニークな ‘A-Class’トーン回路により、真空管にありがちなバックグラウンドノイズを極めて低レベルに押さえ、ワイルドで芯のあるギターサウンドをそのままダイナミックにアウトプットする。また、録音機器や、ミキサーにダイレクトに接続できるスピーカー・エミュレイト・アウトプットを装備している。
仕様:
真空管:Genuine valve design (ECC83 / 12AX7)
電源:16V(AC Power supply included)
アウトプット:LINE OUT+Speaker emulated output
・バッファード・バイパス採用
価格:26,500円(税込)


 
2.HT-DISTX(DX-1)
妥協することなくディストーションサウンドを追及したウルトラハイゲインのアグレッシブなマシン。そのトーンは世界の最高レベルにあるハイゲイン真空管アンプに迫り、滑らかでクラシックな歪から、モンスターが吼えるような歪まで広範囲にカバー。さらに、特許申請中のISF回路がUSAサウンドからUKサウンドまで幅広いキャラクターをサポート。また、素晴らしいギターサウンドのクオリティを損なうことなく録音機器や、ミキサーに直接接続できるスピーカー・エミュレイト・アウトプットを装備。
仕様:
真空管:Genuine valve design (ECC83 / 12AX7)
電源:16V(AC Power supply included)
アウトプット:LINE OUT+Speaker emulated output
・Exclusive Infinite Shape Feature (ISF)採用
・バッファード・バイパス採用
価格:29,400円(税込)


 
3.HI-METAL
徹底的に妥協を排除した、2チャンネル、ウルトラ・ハイゲインのメタル・トーン・マシン。真の300Vの高電圧バルブ回路を搭載し、カスケード接続された真空管ゲイン・ステージと本格的な真空管アンプのレスポンスを装備。それぞれのウルトラ・ハイゲイン・チャンネルは独立したゲインとボリューム・コントロールを装備、チャンネル1にはクリーン/オーバードライブ・スイッチをセット。3バンドEQと特許取得のISFが、ブリティッシュ・ヘビーメタルからアメリカン・ハイ・ゲインまでカバーする。
仕様:
真空管:Genuine valve design (ECC83 / 12AX7)
電源:22V(AC Power supply included)
アウトプット:LINE OUT+Speaker emulated output
・Exclusive Infinite Shape Feature (ISF)採用
・3バンド・トーン・コントロール
・2チャンネル(3モード)操作 クリーン、オーバードライブ(ch1)とスーパーハイゲインリード(ch2)モード切替
・バッファード・バイパス採用
価格:35,700円(税込)


 
リンク:
 オフィシャルサイト:http://www.blackstaramps.com/
 神田商会サイト :http://blackstar.kandashokai.co.jp/

2)Jim Dunlop
 
1.GCB95 Cry Baby
Jimi Hendrix、 Eric Clapton、 Buddy Guy、 David Gilmourなど多くの偉大なミュージシャンが使った伝説的なワウワウ、1966年 Thomas Organデザインのオリジナルクライベイビー。
仕様:
電源:乾電池006Pまたは9VACアダプター
価格:18,900円(税込)


 
2.EVH-95 Eddie Van Halen Signature Wah
Eddieが実際に使っているカスタマイズされたCrybabyを再現すべくジョイントして作られたのが、このシグネチャーワウワウだ。ハイQでワイドなスイープと、カーブが特別に作られており、それによりミッドが効いたローエンドまでスイープできるヴォーカルのようなサウンドが得られる。
仕様:
電源:乾電池006Pまたは9VACアダプター
価格:35,700円(税込)


 
リンク:
 オフィシャルサイト :http://www.jimdunlop.com/
 モリダイラ楽器サイト:http://www.moridaira.jp/jim_dunlop

◆ライブ情報
 
IRON ATTACK! ワールドツアー
 
2013年6月23日(日) 【台 湾】台北・Neo Studio
2013年7月13日(土)、14日(日) 【ドイツ】フランクフルト/SAALBAU “Titus Forum”
2013年8月25日(日) 【香 港】香港九龍湾国際展貿中心地下Music Zone@E-Max
※、以降、9月に大阪、東京、神奈川にてツアー実施予定。(詳細未定)

 

お知らせ

ももてつNMカフェは、今回で休止となります。現在さらにパワーアップしたコンテンツとして企画検討中。お楽しみに!

◆関連記事
 
EffEXPO ~見て、聞いて、弾いて、学べる、エフェクターの祭典~
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ももてつNMカフェ Vol.2
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