連載

ロック1年生エントリーNo.20 TARANTonS

TEXT:鈴木亮介 PHOTO:荻原ひかり、鈴木亮介

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長寿連載「ロック1年生」復活第一弾にして、節目の20回目!このコーナーでは毎回、バンドブーム世代を親に持つTEENAGERバンドへのロングインタビューを通して、現30代~50代が気になる息子、娘たち世代の本音や、次世代の音楽観に迫ります。
今回は特別篇として、前後半に分けてお届けします!前回に引き続き、大学1年生7人によるブラスロックバンドTARANTonSのロングインタビューです。
解散の危機からメンバーチェンジ、渋谷O-WEST出演まで、結成3年目にして波乱万丈なTARANTonS史をひもといていきたいと思います!

前篇はこちら

ケンカ別れから半年…なぜ復活できた?
―――突然のコンクール辞退に、更新されないホームページ…個人的には「何があったんだ??」と心配していたのですが、2月に吉祥寺でライブを行い、突如再始動しましたね。この間、何があったのでしょうか?

PhotoNaoko:秋までは全然集まらず…再結成は2月ですね。何でもう一回結成したんだろう?

Rina:確か12月か1月に、ROCK JOINT GBの先本店長から「ライブやらないの?」って連絡が来たんです。それがきっかけで、メンバーともう一回話しあうことになりました。TARANTonSは当時渋谷の通称「坂の上のジョナサン」でミーティングを行っていたのですが、そこに集まって。ものすごく気まずかったのは今でも覚えています。

Honoka:あのジョナサンでも泣いたね!「みんなで頑張りたいから…」と。もうやりたくないという人はいなかったのですが、やっぱりどこかであの夏のことが許せないという気持ちがあるメンバーもいて、すぐに結論は出ませんでした。それでも私は、元のTARANTonSが楽しかったから、またあの頃に戻れないかな、と話して。「うちらはもう一回やりたい!」って。

Ayana:最終的には誰がまとめたというわけでもなく、自然と結論が出ましたね。時間が解決してくれた。楽しかったことを思い出して、またやろう!って。

―――いやぁ一ファンとしては有難い限りですが(笑)でも、メンバーが変わりましたよね。この辺はどういった事情が…

PhotoRina:テナーサックスの男の子は、のどにポリープができたために脱退することになりました。それで2月のライブに向けてテナーサックスを探して、当時一緒に別のバンドを組んでいたNatsumiが身近にいたので、声をかけました。

Ayana:何か気付いたら決まってた感じですね。「なっちゃんって子が入ったらしいよ」って聞いて。

Honoka:「なっちゃんがTARANTonSに憧れてて、入りたいらしいよ」って聞いて、「じゃあ入れちゃおうよ」って、うちらで決めちゃった!「入れよう?」「じゃあ誘っとくね」っていう軽い感じです。

PhotoRina:それからトランペットの女の子ですが、5月までは所属していたのですが、2月のライブの時点で既にごたごたがあり…簡単に言うと、方向性の違いです。練習に全然来なかったり、バンドの活動に対する温度差があって…4月のライブは欠席。5月のライブには出たのですが、その帰り道で本人と話し合って、脱退することになりました。

Arisa:でも、その時に「本気になろう!」ってみんな火がついたね!

―――なるほど。確かに、春以降どんどん曲目が増えて行きましたし、ライブも増えました。少し話を戻しますが、3月に高校を卒業し、大学生になったわけですが、この時に心境の変化とか、バンドをやめようという話はなかったのでしょうか?

PhotoRina:高校生の頃はほとんど「青写真」でコンクールに出ていました。曲数が増えてきたのは大学に入ってからですね。確かに、高校卒業時に解散の話は出ました。元々、高校生まででTARANTonSはやめようねって言ってたこともあり、大学に入った後続けるかどうか、また「坂の上のジョナ」で話し合いました。ただ、ちょうどその頃、に東京ブラススタイルの前座ができるという話がいいタイミングで入ってきたんです!そのライブが4月だったので、続ける続けない以前に、これはもう出るしかないでしょ!って。

―――やっぱりみんなやりたかったんですね。

Natsumi:そうですね。そしてその後は5月にYHMF実行委員会主催の復興支援ライブに呼ばれて、そこで出来た縁から、7月に渋谷O-WESTという大きなハコで演奏することができました。O-WESTの後は夏休みみたいな感じで1ヶ月ほど何もせず…夏休みが終わるころ、また「練習しようよ」ってことで気合いを入れ直して、新曲も作って11月のライブに臨みました。

2012年の展望は?
―――徐々にファンも増えて、これからの活動に期待を寄せる人も多いと思います。来年(=2012年)のバンドの目標を教えてください!

PhotoRina:TARANTonSが吹奏楽部の演奏と異なるのは、それぞれが「やりたいこと」を表現できて、その「やりたいこと」が集まって一つの形になっている所だと思います。最近は結成当初より譜面をカッチリ作らなくなりました。ここで盛り上げるとかここはアクセントとかまで細かくやらないで、ここは管楽器隊に任せよう、とか、ベースラインもコードだけ決めてあとは自由に作ってもらったり、ドラムは最初からやってもらってたんですけど…。自分達のやりたいことを自分達で作っていって、個々の自主性、個々のやりたいことをもっと追究できるようなバンドになりたいと思っています。

―――最後に、個々の目標を!

PhotoNatsumi:来年の目標ですか?ん~、野外ライブやること!!

Arisa:自分達の音楽を伝える!というのが目標です。来年みんな20歳になって…大人になってしまう!来年(=2012年)が最後なので、バシバシやっていきたいね。就活もあるし…

Ayana:目標はズバリ、「創る」!個人的には作曲に挑戦したいという意味で、創る。TARANTonSとしては、いい音楽を創るとか、楽しい雰囲気を創るといったことを目標にしたいです!

Naoko:来年は20歳になるから、大人っぽくなる!というのが私の目標ですね。

PhotoTomoyuki:質の高いライブをすること!セッションのようなことをやってみたい、とメンバーとはよく話しています。

Honoka:野外ライブは確かにやりたい!自分たちが楽しいだけじゃなくて、お客さんに楽しんでもらえるライブをしたいですね。あとは、みんなの結婚式で演奏するのが将来の夢!今のところ予定はないけど(笑)

Rina:私たちは他のバンドよりそんなにガツガツしていないので、これに出たいというのはないですけど、私としてはもう一回O-WESTでやりたいですね!
そして、私たちの最大の特徴であるホーンセクションをよりいっそう生かした曲作りやステージングを目指したいです!TARANTonS解散の予定はないです。ずっと…婆バンドになってもね!

Photo取材後、カメラマン・荻原が「7人もいるのにちっとも話す人がかぶらないし、どうしたらこんな個性あふれる7人がまとまっていられるのか、不思議で仕方ない」と話していました。この2年間、身が引き裂けそうな困難が幾つもあって、それを乗り越えてきたからこそ、今の調和があるのでしょう。
メンバーそれぞれ学部や所属サークルも異なり、普段は実に忙しい学生生活を送っているようです。バンドで集まって練習している頻度も、決して多いとは言えません。でも、だからこそTARANTonSは面白い!7人それぞれの簡単に収まりきらない個性が、互いを潰しあうことなく、上手く調和し、いい味を出しているのです。さぁ年が明けて2012年になりました。これから一年間、TARANTonSはどんなステージを見せてくれるのでしょうか?

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TARANTonS
http://x31.peps.jp/tarantons/

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【取材協力】
クラウドナインスタジオ 町田店
http://www.cloud-9-studio.com/studio/machida.html