演奏

lead_counterparts-high

TEXT:鈴木亮介 PHOTO:鈴木まさみ

Photo先日、「BEEAST太鼓判シリーズ第20弾アーティスト」でご紹介したcounterparts(カウンターパーツ)。インタビューを通じて、音楽活動における余計な脚色を排した、「音だけを聴いて評価してほしい」という真摯な姿勢を見ることができたが、そんな彼らがステージ上では一体どのようなプレイを見せてくれるのか。
 
先日リリースした1stアルバム『edge curve square』のリリースパーティーが3月19日、高円寺HIGHにて開催された。共演するヤセイ・コレクティブ日の毬も、counterparts同様にハイセンスなバンドだ。その実力を知名度が後追いするような、と言ったら失礼だろうか、「名より実」というカテゴリーで「名」がどんどん広まっていくことを願ってやまない3組。その模様をレポートしたい。
 

平日の夜ということもあってか、そのショウの火ぶたは、静かに切って落とされた。ヤセイ・コレクティブのメンバー、斎藤拓郎(Guitar, Vocal & Synthesizer)、別所和洋(Keyboard)、中西道彦(Bass & Synthesizer)、松下マサナオ(Drums)の4人は実に自然体に定位置につき、まるで1時間前からそこにいたかのように演奏をスタートさせた。
 
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ヤセイ・コレクティブは2009年に松下マサナオを中心に結成。エレクトロ、ジャズ、ロック、ヒップホップなどが融合されたアメリカ・ニューヨークの音楽シーンのサウンドに感化された松下マサナオが、帰国後、それを国内で体現するべく結成。2011年7月に1stアルバム『Kodama』をリリース。仰木亮彦在日ファンク)らとの交友も深く、幅広いゲストミュージシャンを招いたライブ活動にも定評がある彼ら。2012年7月にはFUJI ROCK FESTIVAL ’12に出演し、注目を集めている。
 
ヴォーカルも楽器の一部と化し、きれいに音が合うフリージャズセッションのような出だし。中西道彦が気持ちよさそうにベースを奏で、間の使い方が絶妙な演奏が続く。中盤は新曲を2曲、「Do good」はたおやかに揺らぐ浅瀬のような小刻みな音、かと思えば一転、「Uncle B」は草原のようなギターの優しい音色にオカリナのようなシンセが融合し、緑の照明に映える。
 
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客席を煽ったり不必要に緩急をつけたりは一切せず、淡々と自分たちのペースで演奏していく。後半は松下マサナオのドラムを主軸にした楽曲や、静かなピアノが映える楽曲など、実に持ち札の多いヤセイ・コレクティブ。4月にはレコ発ツアーのワンマンを渋谷O-nestで開催。引き続き精力的に展開していくライブ活動、そして新作のリリースにも期待したい。
 

◆セットリスト
M01. Sunday
M02. Iiwake
M03. Conditioner
M04. Do good
M05. Uncle B
M06. Chat Law
M07. Go to
M08. Bong Bong Ching Ching
◆ヤセイ・コレクティブ 公式サイト
http://yaseicollective.sakura.ne.jp/
 
◆インフォメーション
2013年04月21日(日)【渋谷】O-nest
2013年05月03日(金)【磐田】FM STAGE
2013年05月04日(土)【静岡】騒弦
2013年05月05日(日)【大阪】CONPASS
2013年05月06日(祝)【渋谷】O-nest
2013年05月15日(水)【新宿】MARZ
2013年05月29日(水)【新宿】MARZ

アルコールが適度に回ってきた頃に登場したのは日の毬。メンバーは西野ヒロユキ(Vocal & Guitar)、伊賀コウヘイ(Guitar & Keyboard)、金城シンペイ(Keyboard & Sampler)、中村ヨシト(Bass)、和久井・バッシュ・ユウイチ(Drums)の5人に加え、VJに寺田マンも加えた6人組だ。ダンサブルなミクスチャーサウンドに浮遊感のある歌声が人気を博し、2011年10月の自主企画イベントはソールドアウト。2012年5月に満を持して1stアルバム『MELLOW ME』をリリース。メンバー各々が強い個性を持ちながら見事なまでに収斂し、一体感のあるステージング、そしてハイクオリティのVJにも定評がある。
 
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ステージには黒いシャツに身を包んだ西野ヒロユキを筆頭に、シンプルな白シャツに身を包んだ伊賀コウヘイ金城シンペイ中村ヨシト和久井・バッシュ・ユウイチ、そしてサポートでまっつん(Sax)の6人が登場。バックスクリーンの洒落た映像とともに、薄暗い照明のまま、演奏スタート。
 
シンセサイザー2台の音の厚みに、ギターとベース、澄みきったボーカルが加わり、個々の音を聴き分けられないほど何重にも重なる演奏。さらに管楽器が入ることで、とても贅沢な心地良さに浸ることができる。曲によって表情を変えるVJによって、芸術的なステージを展開。それはただ受け身に鑑賞しているだけでの「芸術」でなく、自然と体が揺れてくる、体感型の「芸術」だ。
 
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後半、「瞬間ビート」では伊賀コウヘイの滑走ギターが、「リスタ」は軽やかなキーボードが、それぞれ見せ場を作る。そして最後「inst2」では中村ヨシト和久井・バッシュ・ユウイチの重低音を筆頭に、楽器隊の驟雨(しゅうう)のごとくせめぎ合うその合間を縫うSaxの遊び心溢れる音色が、そのボディと同様、闇の中でキラリと光る。この6月には2ndミニアルバムをリリース予定という日の毬。凄まじいパワーを持ったバンドだ。
 

◆セットリスト
M01. たゆたって
M02. jamming
M03. GOLD
M04. ネガポジ
M05. 瞬間ビート
M06. リスタ
M07. inst2
◆日の毬 公式サイト
http://www.hinomari.com/
 
◆インフォメーション
2013年05月02日(木)【京都】GROWLY
2013年05月03日~05日【常滑】りんくうビーチ
※Seapus2013。日の毬は5/4出演予定

午後9時を回り、いよいよ本日の主役・counterpartsの登場だ。モリダイキ(Bass)、サワイノリヒロ(Vocal & Guitar)、コダマトモノリ(Guitar)の3名に、サポートにカトウタダシ(Drums)が加わる4人編成。こちらもまた前2組と同様に、派手な服装やパフォーマンスは意識的に避け、「音だけを聴き、評価せよ」と無言のメッセージ。
 
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コダマトモノリのギターが、予想外なリフを始めた。「純粋に、音だけを聴け」、その意図はセットリストにも表れているのだろうか、「最初はまずテンポの良い曲で掴んで…」なんていうセオリーを覆し、披露したのはアルバム9曲目の「gross」。サワイノリヒロがなでるように、削るように、サイレン音をフロアに響かせる。「宇宙」が楽曲のテーマの一つにもなっている彼ら、その世界観のままアルバム5曲目の「HI-ASH」を一音一音着実に演奏。モリダイキの重低音もうなる。
 
3曲目「空中庭園」4曲目「sea see」と、暗い照明の中で映画を観ているかのようなステージが続く。4人の音は、どれか一つが突出しているわけではなく、と言って控え目に揃えているわけでもなく、同じボリュームで主張している。だからこそ、edge(尖り)も感じるしcurve(丸み)も感じて、単純じゃない楽しさがある。5曲目は「G2」、ゆっくりとしたテンポの曲が続く。サポートとは言え彼らのステージには欠かせないメンバーの一員、カトウタダシのドラミングも非常に安定感があり、心地良い。
 
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おそらくフロアにいる観客の中にはcounterpartsを初めて観るという人もいるだろう。最初はどんなバンドなのか、様子見…のような雰囲気さえあったが、1曲1曲終わるごとに、フロアから上がる歓声や拍手が大きくなってくる。いよいよここにいる全員がステージに引き込まれたかというタイミングで、6曲目「スターアニス」。アルバム1曲目のキラーチューンで、一気に観客のボルテージも最高潮に!
 
完全にフロアの空気を支配したcounterparts。アルバム2曲目「niro walkx」、アルバム最終トラック「NEW ONE」と続け、一気に勝負を決める。疾走感溢れるナンバーが続き、踊る観客。感情高ぶるサワイノリヒロ、アンプにギターを近づけ「これが極上の音だ!」とばかりに訴える。MCで笑わせることも、間奏で客席を煽ることも、一切しない。それでいて、淡々とスタジオ練習の延長線上でステージに立っているようなバンドとは一線を画す「訴える力」がある。
 
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アンコールは、ギターサウンドの反響が凄まじい「ワールドワイドスペース」。リフレインに次ぐ、リフレイン。「まだこんなサウンドもあったのか?」と、次作を期待せずにはいられない。
 
“マッドチェスター再来”、”UKロックを想起させる”…様々な評があり、その一方で日本語詞がライブステージではどう映えるのか…と注目しながら聴いていたが、「どこの国である」とか「日本人だから」とか、そういったカテゴライズは無意味なものであることを思い知らされた。いいものは、いい。純粋にそれだけを追究し、積み上げていった先に生まれたサウンド、国籍とかでなく「スペースシップ」を思わせるスケール感の大きいサウンド。それがcounterpartsだ。
 

◆セットリスト
M01. gross
M02. HI-ASH
M03. 空中庭園
M04. sea see
M05. G2
M06. スターアニス
M07. niro walkx
M08. NEW ONE
-encore-
E01. ワールドワイドスペース
◆counterparts 公式サイト
http://www.counterparts04.com/
 
◆インフォメーション
2013年04月30日(火)【新宿】Motion

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【特集】BEEAST太鼓判シリーズ第20弾アーティスト『counterparts』
http://www.beeast69.com/feature/59411


 
 
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