演奏

TEXT:児玉圭一 PHOTO:荻原ひかり

10月19日、午後7時30分。ここは福生「Chicken Shack」。今年開店37周年を迎えた東京西多摩地区のロック好きにとっては無くてはならない老舗ライヴハウス。柔らかな灯りに包まれた店内に漂うロックンロールとブルースの香り。スピーカーから流れるJanis Joplinのハスキーな歌声。客席から聞こえて来るのはバンドの登場を待ちきれないファン達のさざなみのような囁き。そして今夜ステージに立つのは、元Easy Walkersのギタリスト、Jesseが率いるJesse The Cityと気鋭のニューカマー水野美里with Tokyo West Road Village BAND!東京地区のライヴハウスで人気を集めている両者の共演は、今夜ここで何を生み出すのだろうか?
 

 

 
午後8時。熱狂の予感が漂うステージに水野美里with Tokyo West Road Village BAND―――岩永久樹(Guitar)、君島大空(Guitar)、藤原広樹(Bass)、藤山朋哉(Drums)、そしてアコギを抱えた水野美里(Vocal & Guitar)が登場。歯切れの良いギターカッティングから始まったのはMichelle Branchの「Where are you now?」。水野美里独自の解釈による日本語詞が新鮮なこの曲が発火点となり遂にライヴの火蓋が切って落とされた。
 
 


 

 
2曲目は水野美里が敬愛するMichelle Branchを彷彿させる彼女の処女作「I Loved you」。敗れ去った恋の記憶をハートフルな声で歌い上げる水野美里を煽り立てる弾力のあるベースとドラム、そして伸びやかなツインギターは躍動感に溢れている。「私は最近、60~70年代の音楽を良く聴いています」と観客に語りかけた水野美里は、中島みゆき「竹の歌」、斉藤哲夫「悩み多き者よ」そしてBob Dylan & The Band「I shall be released」にザ・ディランⅡが日本語詞を付けた「男らしいって分かるかい」を独自のアレンジが施された演奏に乗って見事に歌いこなしていく。選ばれたのは「知らぬ間に移り変わっていくように見える時勢や流行に惑わされるな」というメッセージを歌った不朽の名曲達。瑞々しいフォークロック・サウンドと水野美里の深く澄んだ歌声に彩られた柔らかな時間がたおやかに流れていく。
 
 


 

 
続いてバンドは新曲「新しい絵を描こう」、ヘヴィなバックビートと開放的なサビのメロディが印象的な「金木犀」、出席した同窓会での腹立たしい出来事を歌った「お遊び」とどれも聴き物揃いのナンバーを次々とプレイ。ライヴは終盤戦に入り、音楽を続けていくことへの決意を真摯に歌い上げた「蝉」、そしてラストナンバーのバンドが一体となって場内を大いに沸かせた「その先に」が力強く演奏され、水野美里 with Tokyo West Road Village BANDの「Chicken Shack」初ライヴは観客の惜しみない拍手の中、華々しく終了。
 
   


   

 

◆セットリスト
M01. Where are you now?
M02. I loved you
M03. 竹の歌
M04. 悩み多き者よ
M05. I shall be released
M06. 新しい絵を描こう
M07. 金木犀
M07. お遊び
M08. 蝉
M10. その先に
 
◆水野美里 公式サイト
http://miamiato.jimdo.com/


◆インフォメーション
・2012年12月22日(土)【自由が丘】BIRD SONG CAFE
Jesse/水野美里with君島大空
・2012年12月23日(日)【福生】LIVE MUSIC CAFE UZU
「Keep Going!~背伸び~」
水野美里 with Tokyo West Road Village BAND 他ゲスト


しばしの幕間が明け、Serge Gainsbourgの「馬鹿者のためのレクイエム」のSEと共にJesse The City―――
Jesse(Vocal & Guitar)、石川俊克(Bass)、滝川岳(Drums)の3名がステージに登場。観客の緊張と期待を煽るチューニングの音のカオスはやがて滑らかなギターフレーズに変わり、「Because I love you」でライヴがスタート。Jesseは軽やかなシャッフルビートに乗って甘く掠れた歌声と流麗なギタープレイでバンドを引っ張り、曲はそのまま爽快なテンポの「Hello to my friend」へとつながっていく。
 
 


   

 
心の堂々巡りがメランコリックなビートに乗せて歌われた「シャボンのオペラ」、メンバーのインタープレイが強烈な「太陽はひとりぼっち」、ワルツ・リズムが耳に残る「君は花」と順調なペースでライヴは進行して行く。そして次に演奏されたのは、はるばる福生まで駈けつけてくれた熱心な女性ファンたちに捧げるJoe Cockerの不滅のバラード「You are so beautiful」。情感を込めた歌い出しから、ブルージーなギターソロ、後奏でのバンドが一体となった雄大な流れはまさしくライヴ前半のハイライト。
 
 


   

 
Creamの「英雄ユリシーズ」を想起させるリフレインが印象的な「ケセラセラ」、「砂の惑星」とライヴ中盤ではミディアムナンバーが続く。場内のグルーヴを煽るリズム隊の熱量が上がっていくにつれて、Jesseのギターもワイルドに歪んでいくようだ。そして、キャッチーなメロディとビートが魅力の「ジョアンナ」が一気に弾け、場内は一気にアッパーな空気に変わる。曲はそのまま心浮き立つモータウン・ビートが弾む「小さなスプーン」へと突入。
 
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ライヴは早くも終盤に突入。Jesseは入魂のファンク・カッティングで観客を酔わせる名曲「生ハムのピザ」をスタイリッシュに披露。そして別れを惜しむファンの空気を察知したJesseはセットリストに入っていなかったこの場に相応しいStephen Stillsのアップリフティングナンバー「Love the one you are with」を熱狂的にプレイ。
 
 


   

 
本編ラストの「グッディ&サンシャイン」の後、水野美里君島大空が再び登場。Jesseがバックヴォーカルに回って歌いだされたのはCarole Kingの「You’ve got a friend」。2人のハーモニーはCarole KingJames Taylorそのもの。そして記念すべき今夜の共演ライヴの最後を飾ったのはCrosby, Stills, Nash & Youngの「Find the cost of freedom」。アコースティックギターの旋律に導かれて荘厳に歌われたウッドストック世代の聖歌であるこの名曲と共に今夜のダブルビルライヴは感動的なフィナーレを迎えた。
 
 


 

 
ライヴ終了後の「Chicken Shack」に流れるのは、やはりFaces, Rolling Stones, CSN&Y, Traffic, Laura Nyro等の優しいメロディ。ライヴを終えたミュージシャンがレコードにあわせて口ずさむEaglesの「Sad Café」……25歳の水野美里ともうすぐ不惑の40代を迎えようとしているJesse。世代を越えた両者の共演は古き良きアメリカの香りが染みついた福生「Chicken Shack」という場所のせいもあってか、とても70年代的な雰囲気に満ちていた……幅広い活動を続けながら待望のセカンドアルバムの録音を控えているJesse The City、「歌うために生まれて来たんだ」という気をステージから放っていた水野美里。「自由ということは何も失うものが無いってこと」と歌ったのはJanis Joplinだが、今夜のライヴは生まれながらのミュージシャン達が心の中に秘めているそれぞれの「自由の値」の意味を感じ取る事が出来たような気分になれた貴重な瞬間だった。
 

◆セットリスト
M01. Because I love you
M02. Hello to my friend
M03. シャボンのオペラ
M04. 太陽はひとりぼっち
M05. 君は花
M06. You are so beautiful
M07. ケセラセラ
M08. 砂の惑星
M09. ジョアンナ
M10. 小さなスプーン
M11. 生ハムのピザ
M12. Love the one you are with
M13. グッディ&サンシャイン
 
水野美里with Jesse
M14. You’ve got a friend
M15. Find the cost of freedom


◆Jesse 公式ブログ
http://ameblo.jp/jesse-jessethecity/
 
◆インフォメーション
・2012年11月23日(金)【原 宿】クロコダイル
・2012年11月29日(木)【渋 谷】七面鳥
・2012年12月22日(土)【自由が丘】BIRD SONG CAFE
 ※水野美里との共演


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