演奏

Jesse The City 関東ツアー『City & Country』

TEXT:児玉圭一 PHOTO:野内幸雄

ここは福生。広大な敷地面積を誇る米空軍横田基地を背にして、緩やかな坂を下りきったところに存在する、地元の人々が様々な思いを込めて赤線と呼ぶ、深夜になれば酔漢や勤務明けのGIたちが闊歩する歓楽街。その中心に「Chiken Shack」がひっそりとたたずんでいます…うっそうと茂ったツタに覆われた白い壁、天井に貼られた無数の色褪せた駐留米軍兵士たちのサイン入り10ドル札、気だるくもこのうえなく温かい雰囲気をかもし出している店内の雰囲気…ここは1975年の創業以来、日本人も外国人も区別無く、様々なバンドとギャラリーが一緒になって、夜毎の饗宴を繰り広げ続けている伝説のライヴハウス。
 
山口冨士夫花田裕之あがた森魚曽我部恵一Paul Jackson…幾多のミュージシャンたちが「福生で演るなら、ここだ!」と白羽の矢を立てた、「Chiken Shack」で、今夜ライヴを開催するのは、THE EASY WALKERSのギタリストとして活躍しているJesseが率いるソロプロジェクト、Jesse The City
 
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Eric ClaptonTHE BYRDSTHE ZOMBIESFACESEAGLESCCRCSNNeil YoungFLEETWOOD MACといった英米ロック・グレイツと、はっぴいえんどティンパンアレーセンチメンタル・シティ・ロマンスSHOGUN萩原健一沢田研二等の70年代J-ROCKが放つ、アーバンでスタイリッシュな音楽エッセンスを絶妙にミックスして創り上げた魅力的な楽曲とサウンド、そしてJesseの卓越したギターとヴォーカルを武器に、各地のライヴハウスで熱狂を巻き起こしているJesse The Cityは、2009年4月にファーストアルバム『太陽はひとりぼっち』をリリースした現在要注目のグループ。
 
今夜の福生公演は、3日間にわたる関東ツアー『City & Country』の最終日。僕は彼等の音楽性から推察して、男性客が多いのでは?と思っていましたが、実際は女性ファンが客席の98%を埋めていました。午後8時10分、フロアーにTHE ROLLING STONESの「ROCKS OFF」が流れるなか、満を持して、ステージに登場するJesse The Cityの3人のメンバーたち…。Jesse(Vocal & Guitar)・石川俊克(Bass:THE TRANSFORMER)・滝川岳(Drums: ex PHONES、探偵ソウル、Must Beat)。今回のツアーでは、スペシャルゲストとしてJ-ROCKの重鎮バンド、Tバード中山努(Keyboard)が加わっての4人編成。
 
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二部構成ライヴのファーストショウは、70年代を代表する女性プロテストシンガー、Melanieの「Lay Down」でスタート。たおやかなリズムに乗って「武器を全部捨てなさい、しかめ面をして立ちはだかる人々に向けて、あなたの白い鳥が微笑むように」という真摯な歌詞を甘く掠れた声で歌い、抑制しながらも歪みを効かせたギターの魔術を閃かせるJesseの立ち姿はとても艶やか。ライヴ開始早々、ホットなサウンドを解き放ったJesse The Cityに共鳴するオーディエンスが、ほの暗い照明に浮かび上がり、ゆらゆらと揺れ動き始めます。
 
未音源化曲「血と麦」に次いでプレイされたのは、小坂忠のファンクロック「HORO」。このホットなナンバーで、本格的にノってきたリズムセクションの演奏に注目!リッケンバッカーをカッコ良く構えた石川俊克は指弾きで躍動感にあふれたファンキーなベースラインをつむぎ、滝川岳は力強いシュアーなドラミングでJesseの火を噴くようなギターソロを煽ります。バンドの熱いバックビートに鼓舞されたJesseのスライドギターがワイルドにうねる「夏のめまい」の後で披露されるのは、第1部のラスト曲「生ハムのPIZZA」。この極上メロウグルーヴでの中山努のリリカルなピアノプレイは圧巻の一言!僕をしたたかに酔わせてくれました。
 
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インターミッションのDJタイムが終わり、Jesse The Cityが再び登場。第2部のオープニングは、BUFFALO SPRINGFIELDのスマッシュヒット「ROCK & ROLL WOMAN」! 60年代を代表する名曲が、Jesse The Cityのみずみずしいエネルギーによって新しい命を吹き込まれ、「Chiken Shack」のフロアーは、しばし1967年のロスアンジェルスへタイムトリップ。個人的に「あの頃のL.A.のロッククラブ“WHISKY A GO GO”は、きっと、こんな風だったんだろうな」と夢想させてくれた素晴らしいひととき。
 
「後半は割と、わたくしの趣味の世界へようこそ、という感じで好きな曲をいっぱい演りますので、楽しんで聴いてください」というJesseのMC後に歌いだされたのは、Neil Youngの「Tell me why」。ギャラリーに語りかけるように優しく歌うJesseのヴォーカルに、寄りそうように奏でられた中山努の透明感に満ちたピアノがここでも冴えています。続いてバンドは、ポップに弾けるビートとメロディが印象的な新曲「ジョアンナ」、アルバムタイトル曲「太陽はひとりぼっち」、次いでVan Morrisonの名バラード「CRAZY LOVE」をソウルフルにプレイ。
 
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「騒ぐぞ、今から!みんなノってくれよ!」JesseのMCと共に始まったのは、鈴木茂1975年の名盤『BANDWAGON』収録のレアグルーヴ「スノーエキスプレス」!90年代初頭のロンドンのクラブで持てはやされたという、このキラーファンクでは、Jesseによる丁寧なメンバー紹介と共にプレイヤーそれぞれが白熱のインプロビゼーションを披露。スポットライトがソロを弾く各メンバーにあてられ、オーディエンスは熱い歓声と拍手をステージに送り、最後にソロを取ったJesseの雷鳴のようなスライドギターが身体の中に入り込み、僕の全身に漲るファンク・スピリットが沸々と湧き立つのを感じます。
 
ライヴ後半になっても、Jesseの灼熱のギタープレイは止まることを知りません。ジェントルなミディアムナンバー「君という街」、センチメンタル・シティ・ロマンスの心浮き立つパーティーチューン「うん、と僕は」、ボ・ディドリー・リズムが鮮烈な「スカーレット」が次々と、ありったけのパッションを込めて奏でられ、そしてクライマックスでJazzyなインタープレイがスリリングな「カンガルー・サマー」を演奏し終え、ライヴ本編は華々しく終了。
 
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当然巻き起こったオーディエンスの熱い声援に応えて、アンコール1曲目に披露されたのは南佳孝の名曲「ジャングルジムランド」のスタイリッシュなカバー。場内が盛大な拍手に包まれた瞬間、Jesseは絶妙なタイミングで、STEPHEN STILLSの「LOVE THE ONE YOU’RE WITH」の高揚感に満ちたオープニングコードをかき鳴らします…ISLEY BROTHERSARETHA FLANKLINBOB SEEGER等の名演で知られるこの曲は「CHIKEN SHACK」で様々なバンドが演奏してきた、不滅のゴスペルロック。バンドが一体となった渾身のパフォーマンスの熱気に触発されたフロアーは一気にヒートアップ!Jesseの赤いストラトキャスターから放たれる凄まじい音塊がリズムセクションをレーザービームのように切り裂き、観客はここぞとばかりに熱狂。
 
「本当にみんな、今日はありがとう! 本当に最後です。Carole Kingの曲で締めたいと思います!」名作『つづれおり』のハイライト「Smack water Jack」のダンサンブルなシャッフル・ビートが皆を一斉に踊らせると、Jesse The Cityは、ブルージーな後奏で息も継がせないほどの勢いに乗り、THE ROLLING STONES「Midnight Rambler」のブレイクへ突入。凄いエネルギーが押し寄せてくる、こんな瞬間に興奮せずにはいられません!疾走する機関車のような豪快なリズムがフロアーに轟き、割れんばかりの拍手と歓声が鳴り止まない中、Jesse The Cityの記念すべき福生初上陸ライヴは感動的なエンディングを迎えました。
 
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ライヴ後の「CHIKEN SHACK」のフロアーに流れるのは、EaglesDoobie BrothersSteve WinwoodSteve Miller BandCurtis Mayfieldの優しいメロディ。バーカウンターには、スツールに腰掛け、ビールを手にしたJesse。秀でた表現力を備えるミュージシャンが、過酷なツアーとハードな演奏を終え、素の自分自身に帰って行く、絹のシーツように柔らかな時間…そんな時、彼等が何を思っているのかを知りたくて、僕も新しい酒を注文し、Jesseの隣りに座り、心地よい疲労感と高揚感の中で様々な話をしながら、乾杯を繰り返しました。
 
…彼の音楽に賭ける思い、互いに好きなバンドの事、来年に向けての抱負、ロックの基本スタイルであるワンナイト・スタンドの意義、福生の印象……したたかに酔いは回り、福生の夜は次第に更けていきます。そして、夜が明ける頃、Jesseは最近、彼が凄いと思った広告のキャッチフレーズを教えてくれました。「人生なんて、楽しんでしまえ」そして、Jesse The Cityの世界は無限です。
 

■Jesse The City 公式サイト
http://www.tokyospike.com/jtc/top.html

■Jesse The City blog
http://ameblo.jp/jesse-jessethecity/

■Jesse The City information
http://ameblo.jp/staff-jessethecity/

■インフォメーション
2010年11月20日(土)【名古屋】オキナワAサインバーKOZA
2010年12月25日(土)【渋 谷】MeWe(Jesseソロ)

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■セットリスト
第一部
M01. Lay Down (Melanie
M02. 血と麦
M03. HORO (小坂忠
M04. 君は花
M05. めぐり逢い抱き寄せて
M06. 夏のめまい
M07. 生ハムのPizza
第二部
M01. Rock’n’ Roll Woman (Buffalo Springfield
M02. Tell Me Why (Neil Young
M03. ジョアンナ
M04. 太陽はひとりぼっ
M05. Crazy Love (Van Morrison/Jesse Ed Davis
M06. スノー・エキスプレス (鈴木茂
M07. 君という街
M08. うん、とぼくは (センチメンタル・シティ・ロマンス
M09. スカーレット
M10. カンガルー・サマー
– encore –
M11. ジャングルジムランド (南佳孝
M12. Love The One You’re With (Stephen Stills
M13. Smack Water Jack (Carole King


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