演奏

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TEXT:桂伸也 PHOTO:万年平男


先日、BEEASTの「BEEAST太鼓判シリーズ第8弾アーティスト『DIABLO GRANDE』」でも紹介した、本物のハードロック・サウンドを真摯に追及するバンド、DIABLO GRANDE。高い完成度を誇る秀作「Howling」をリリースし、バンド結成からいよいよ本当の意味でのスタートを切った彼らは、リリースとともに精力的なツアーを展開。そして9月1日にホームタウンである東京での、待ちに待ったツアー最終日を迎えた。ライブにてサウンドに磨きを掛けた彼ら、そのステージの中に、彼らの信条とする“アリーナ・ロック”は見えてくるのか?多くの観衆がフロアを埋めたこの日のライブの行方を追った。
 
DIABLO GRANDE is:
高谷“Annie” 学(以下、Annie:Vocal&Guitar)、大上龍(以下、TATSU:Guitar)、岡本啓祐(以下、KEISUKE:Bass)、A-JOE(Drums)

クールなトランスサウンドのSEが鳴り響く中、彼らは登場した。A-JOEのドラムが鳴り響く。Annieの持っていたGibsonのエクスプローラー・ギターは大きく、なかなか日本人のギタリストには似合うプレイヤーがいないといわれているが、大柄なAnnieには特別にピッタリとして見え、ステージ中央に聳え立つ彼の存在感を一回り大きく見せていた。全身黒のスーツで固めたルックスが実に粋な彼ら。サングラスを掛けていたにもかかわらず、もうプレイするのがうれしくてたまらないといったTATSUA-JOE、そしてあくまでクールを貫き通すKEISUKEAnnie、それぞれの表情が見て取れた。近年のマッシー(つぶれ)気味なメタルのディストーションサウンドが蔓延するロック・ギターサウンドの中で、TATSUのギターはそれ程の歪みを感じさせず、かつダーティーで、反面暖かく耳にとても心地よい印象を与えてくれる。そのギターと強力なリズムが分厚いサウンドを作り、DIABLO GRANDEのステージを形成する中、Annieのパワフルかつディープなヴォイスをバックアップするコーラスが、さらに観衆をあおった。プロフェッショナルなミュージシャンを含めた日本のロック界で今、これ程まで秀逸なヴォーカルを聴かせてくれるハードロック・シンガーがいるだろうか?フロアでは、Annieの声に陶酔し狂喜している観衆の中で、まるで彼らの衝撃を正面からもろに受け止め、立ちすくんでいる者もいたように見えた。
 
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「Tokyo!お待たせしました!We are DIABLO GRANDE!東京に帰ってきました!」Annieが叫ぶ。力強くクールに2曲を歌い終えた彼にしてはちょっと堅苦しさも感じさせる挨拶にも見えたが、逆にその付け入る隙を見せるような様子が、彼らの音楽に対する真剣な様子と、彼らへの親しみやすさを感じさせ、ステージとフロアとの距離をグッと縮めてくれた。それでもプレイに入ると、彼らならではのキラーでカッコいいナンバーをこれでもか!というくらいに押し込んでくる。心が躍らざるを得ない観衆の腕は力いっぱい振り上げられ、さらにステージに向けての意識が高まっていく。タイトで強固、それでいてグルーヴィーなA-JOEKEISUKEのリズムセクション、緻密かつ渋さを持つ、TATSUのギター、そして絶対的な旨さを持つAnnieの声。どこをとっても、そのサウンドには死角は見当たらない。ロックサウンドを楽しむ上で、これ程に完成されたサウンドを聴かせるバンドは、日本中見回してもそれ程いるものではない。かなり渋さを感じさせるヘヴィ・チューン、「Beat It For The Action」から、「Nothing To Lose」、「Easy Come, Easy Go」とバラエティに富んだ構成それぞれに聴かせどころのツボをよく押さえ、かつ彼ららしさをふんだんに表現したサウンドで、サビに向かって気持ちを盛り上げてくれるような隠し味をたっぷりとご馳走してくれる。さすがのスゴ腕集団の猛攻に、さらにフロアが波打っていく。
 
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5曲を終えると、突然一同、ステージを降りた。そして、Annieがアコースティック・ギターを持って戻ってきた。彼らにとって特別なこの日のステージを形成する一つの趣向として考えられたブレイク・タイムだが、絶対的な歌唱力を持つAnnieの歌声は、その声だけで「白飯が喰えてしまう」というくらいに聴かせる力のあるもの。それをアコースティック・ギター一本でも十分楽しめるというのは、聴かずとも想像に難くない。この日彼が選曲したのは、彼の尊敬するJohn Sykesが自身のバンドBLUE MURDERで発表した曲「Jelly Roll」。この趣向自体がチャレンジで、彼も若干緊張した趣でプレイをし始めたが、十分に味をだすどころか、既に単なるコピーを超えて彼自身のオリジナリティすら感じさせる。その様子には、フロア全体もじっと耳を凝らしていた。聴く側が「曲に入っていく」というのはまさにこのときのような状況だろう。その見事な歌の余韻に浸っている中、皆がステージに戻ってきた。ここはステージでも中間点、アコースティックの綺麗な響きを継承するかのごとく、アルバムからのバラード、「Feel Your Season」を披露する彼ら。CHEAP TRICKの「THE FLAME」を彷彿させるような美しさ、力強さ、そしてその中で哀愁味すら感じさせるメロディ。ステージから流れてくるこの曲を聴いた者には、彼らの信条とする“アリーナ・ロック”という表現の意を理解できるのではないだろうか。そのサウンドはいつか本当にアリーナでこの曲を聴きたい、そう思わせるスケールの大きさを感じさせ、フロアの皆がその音に聴き惚れた。
 
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いよいよステージも後半へ。ここまでのツアーの成果を見せるべく、マイクと格闘するようなAnnieを中心に、メンバーそれぞれの熱気もさらに大きくなる。疾走するTATSUのギターリフに絡むリズムと、力強いAnnieの声。「こぶしの利いた」とでもいえそうな彼の声は、単にメロディをなぞるなどという低い次元などとっくに超越し、表現力も豊かに彼自身を表現する。激しいグルーヴが、また一層会場を大きく揺らしていく。さらに彼は無理に言葉や動作で観衆をあおっていくタイプではなく、彼のプレイから発するエネルギーで観衆を引き込む術を持っているようにも見え、そのマイクと格闘するように歌を叫び続ける姿で、観衆を動かざるを得なくしていく。オーソドックスな8ビートナンバーでも、疾走間のあるドライブナンバーでも、Annieの声を中心にますますコンビネーションを強めていくDIABLO GRANDEAnnieの声は歌い込むごとに鋭さを増し、それに従ってクールに振る舞っていたAnnieKEISUKEにも、ステージ上で徐々に動きを見せる。TATSUAnnieのツイン・ギターのハーモニーもしっかりと決め、ステージの聴き所の多さをさらに大きくする。「In The Fight Of Crows」で、初めて観衆をあおったAnnie。ここぞ!という彼のアプローチに、フロアではまた次々に腕を振り上げた。
 
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新曲「I Wanna Break You」から始まる、まさしくクライマックスといえるラスト三曲は、観衆にとってはまさに「この曲を待っていた!」と感じさせるキラーナンバーの連発だ。Annieの激しい叫びがさらに場を大きく揺り動かす。ラストナンバー「Rock You! Rock You!」では、フロアからもサビのフレーズ「Rock You! Rock You!」を大合唱する声が上がる。それに満足しないAnnieはさらにフロアをあおる。「I can’t hear you Tokyo!」「Oi!Oi!」シビれるようなブレイクのキメがピッタリと決まると、そこにはまるで実際のライブハウス以上のアリーナが見えてくるような満足感が会場を満たした。「どうもありがとう!」フィニッシュとともにAnnieが叫んだその一言で、彼らはステージを後にした。
 
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盛大なアンコールに押され、Annieがステージに戻ってきた。彼からアルバムのリリース、そしてツアー完遂、成功に対する感謝の辞が語られ。アンコール曲がプレイされた。ナンバーはアルバムのオープニング・ナンバー「You Slipped It Out」。敢えてこの曲を彼らが選択したのは、ここは単なる一つのピリオドではなく、今まさにスタートを切ったという、彼らの意気込みの強さをそのまま表したようにも見えた。機関銃のように鳴り響くスネアの音とともに、観衆がまた「Oi!Oi!」と盛り上がる。Annieの声に力強さだけではない、唯一無二の特別な何かがフロアの観衆に降りかかり、狂喜しながらそのリズムに体をゆだねる観衆。マイクと格闘しながら、厳しい表情の中に時折笑顔を見せるAnnie。そして彼のの、最後の一言とともに、ステージは幕を閉じた。「ありがとう、Tokyo!」会場では、彼の名を呼ぶ声がいつまでも響いた。
 
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◆ライブ情報:
【DIABLO GRANDE 「HOWLING」 発売記念TOUR「The Silent Devil revives…」Vol.2】
2012年11月24日 高知・高知 BAY 5 SQUARE BOX
2012年12月2日 東京・沼袋 SANCTUARY
~TOUR FINAL ワンマン~
2012年12月14日(金) 東京・新宿 Wild Side TOKYO
◆ 公式サイト:
オフィシャルサイト
http://www.media-blaze.com/diablogrande/
Black-listed Productions オフィシャルサイト
http://www.black-listed.jp/
 
◆セットリスト:
M01. Dive In The Dust
M02. Clock In The Dark
M03. Beat It For The Action(仮タイトル/新曲)
M04. Nothing To Lose(仮タイトル/新曲)
M05. Easy Come, Easy Go
M06. Jelly Roll(Annieカヴァー/オリジナル:BLUE MURDER)
M07. Feel Your Season
M08. I Don’t Care
M09. Faking Face Changes
M10. In The Fight Of Crows
M11. I Wanna Break You(仮タイトル/新曲)
M12. Dark New Day
M13. Rock You! Rock You!
 
Encore
E14. You Slipped It Out

激しさ、タフさ、そんなロックの魅力を目いっぱいに感じさせながらも、さらにスケールの大きさを感じさせるAnnieの歌声。誤解を恐れず言えば、DIABLO GRANDEのサウンドを堪能するためには、この日このライブハウスの広さはいささか狭すぎる、そう思わせるような感動を彼らは与えてくれた。本当の意味で、新たなデビューを飾った彼らの目指す先は遥か遠くだが、このステージで披露された音はその道のりの堅実さ、そして大きな期待を感じさせてくれた。このステージの後、年末の一大ワンマンステージに向け、第二弾となるツアーに向かった彼ら。そのステージはこの日よりもさらに成長を続け、スケール感豊かな彼らの姿を見せてくれるに違いない。「アリーナを埋める人の中で、彼らのサウンドが聴ける」その期待が単なる希望ではなく確信的なもの、そしてその日はもう近いことであると信じたい。
 

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DIABLO GRANDE 1st Album
『Howling』

BLRC-00053/2,500円(税込)
発売中

 

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こちらも是非ご覧ください。
BEEAST太鼓判シリーズ第8弾アーティスト『DIABLO GRANDE』
http://www.beeast69.com/feature/29444

Let The Music Do The Talking 〜テイク10「高谷学(BLINDMAN)」インタビュー
http://www.beeast69.com/feature/114
密着レポート第4弾BLINDMAN 「Re-rise tour 2010」 ワンマン
http://www.beeast69.com/feature/124