逆境と覚悟、そして愛によって楽曲はさらに成長する。摩天楼オペラは結成から10年、今最も進化し、深化しているバンドだ。
4月12日にメジャーデビューから5枚目となるフルアルバム『PANTHEON-PART1-』をリリースし、「PANTHEON TOUR -the first movement-」と題された全国ツアー全17都市で敢行。そのうち6月15日(木)に行われた大阪公演の様子をレポートする。
本誌で単独レポートを扱うのは初めてなので説明すると、摩天楼オペラは苑(ソノ:Vocal)、燿(ヨウ:Bass)、悠(ユウ:Drums)、彩雨(アヤメ:Keyboards)の4人からなるロックバンド。
「現代的なものと伝統美の融合」をコンセプトに、シンフォニックメタルを軸にした質の高いバンドサウンドと演奏力で高い評価を受けている。2016年10月より、LIGHT BRINGERのギタリストJaYがサポートギターとして、ライブ及びレコーディングに参加している。
平日の地方公演にも関わらず、キャパシティが不安になるくらいのオーディエンスが詰めかけた会場。荘厳な「The RISING」のイントロで大きな歓声に包まれて登場したメンバーは全員が黒を基調としたスタイリッシュな衣装。2016年に発表された攻撃力高めの1曲で、ライブは幕を開ける。苑の「はじめるぞー!」というシャウトを合図に、一斉にヘドバンで埋め尽くされる場内。
続く「PANTHEON」はニューアルバムの核を成すナンバー。摩天楼オペラの真骨頂とも言えるスケールの大きな拡がりを感じる展開は、新曲とは思えない説得力を持ってアルバムの世界観を飛び出す勢いで迫ってくる。同じく最新曲から疾走感溢れる「止まるんじゃねえ」へと息つく間もなく進むステージ。苑は早くもジャケットを脱ぎ捨て、魅力的なハイトーンビブラートを響かせる。
「大阪PANTHEONツアーへようこそ!入ったねえ、ありがとう…。俺たちはもっともっと強くなって、全力で摩天楼オペラの音楽を届けます。全力で応えてくれ、いいか!」
続くナンバーは鉄板曲「BURNING SOUL」。メンバーは舞台を所狭しと駆け回り、ぐんぐん会場の距離を縮めていく。昨年にギターのAnziが脱退し新編成となって躍進する彼らのステージングからは、逆境を乗り越えようとする気迫、そして覚悟と決意を感じ、頼もしさを覚える。
「RUSH!」「Psychic Paradise」と攻撃力の高い曲が続き、会場のボルテージはどんどん上昇していく。疾走感が気持ちいい「A.M6:00に針路を取れ」や、苑の高速ハイトーンシャウトが炸裂する「ICARUS」など新アルバムの難易度の高い曲も早くもライブ映えするようになっている。そしてドラマティックな旋律を奏でるインスト曲「SYMPOSION」へ。
流れるようでフックのある捉えどころの難しい燿のベース、悠の正確かつエモーショナルなパワードラム、繊細さと激情が交差する、ドラマチックな音色の彩雨のキーボードと、もはやサポートとは思えないレベルでがっつり食い込んでくるJaYのギターとのアンサンブルが心地よく響き渡る。まるでロックなオーケストラを観ているような気分だ。
「新衣装をつくってもすぐ汗かいて脱いじゃうね!暑い!えーと、ライブなんでどんな風に楽しんでもらってもいいんだけど、俺としては暴れたいと思ってます!大阪は暴れる文化で間違ってないかい?聴いててもらっても大丈夫なんだけど、俺は煽る!どんどん煽る!」という苑のMCには大きな歓声があがる。
会場が色とりどりのペンライトで埋め尽くされる「マグノリア」で幕をあけた後半戦。「Excalibur」「Mammon Will Not Die」「Curse Of Blood」など次々とメロディアスな高速メタルを畳みかけながら、疲れが見えるどころかどんどんノッてきているメンバーに、会場は大きな声援や拳をあげて応えていく。
一番印象的だったのは「SHINE ON」の大合唱だ。力強さと優しさの同化する苑の歌声と、オーディエンスの合唱は圧巻のスケールで、双方からの大きな愛を感じ、何か神々しいものを見ているようだった。
「ありがとう。『SHINE ON』…このツアーでほぼ毎日演奏してる曲なんですが、これ元々はクリスマスソングなんですけどなんか、このツアーでやってるうちに外せない曲になりました。すごく気に入ってて、これはみんなが育ててくれた曲だから。こういうのって、嬉しいよね」
そうして「ファンの皆のことを考えて書いた曲で。今から懐かしい曲をやります」と演奏されたのは「COCOON」。ラストの「PHOENIX」では苑の天から降ってくるようなビブラートが美しい。まるで壮大な映画のエンディングを見るような、時間の感覚を失くし、ずっと余韻に浸っていたい瞬間だった。
大きな歓声に応えて登場したアンコールでは、「去年、来年は大阪いっぱいくるって言っといて今までこなかったね(笑)後半はもっと来るからね!!」と和やかなMCを展開し、「YOU&I」からスタート。続くインディーズ時代からの人気曲「ANOMIE」で再び会場の温度を上げる。
そしてラストは彼らの代表曲、「喝采と激情のグロリア」。イントロからゾクゾクと鳥肌が立ち、胸が熱くなるドラマチックなフィナーレだ。年月を重ねる度に成長し、威厳さえ感じる名曲を体感しながら、このステージをもっと多くの人が見るべきだし、見たことがない人に向けて「もったいない!」と自信を持って断言できると思えた圧巻のライブだった。
この夏は主催イベント『鋼鉄祭 2017 ~Legend of Steeler~』をはじめdefspiralとのカップリングツアー”Beauty Bliss Hysteria“などスケジュールが目白押し、8月末からはPANTHEON TOUR -the third movement-と題された全国ツアーも決定している彼ら。ライブを重ねるごとに磨かれていくであろう曲たちと、更なる高みに上るべく凄みを増した彼らのステージングが今から楽しみだ。
M01. The RISING
M02. PANTHEON
M03. 止まるんじゃねえ
M04. BURNING SOUL
M05. RUSH!
M06. Psychic Paradise
M07. A.M6:00に針路を取れ
M08. ICARUS
M09. SYMPOSION
M10. 何度目かのプロローグ
M11. マグノリア
M12. Excalibur
M13. Mammon Will Not Die
M14. Curse Of Blood
M15. SHINE ON
M16. COCOON
M17. PHOENIX
-encore-
E01. YOU&I
E02. ANOMIE
E03. 喝采と激情のグロリア
http://matenrou-opera.jp/
◆インフォメーション
摩天楼オペラpresents
『鋼鉄祭 2017 ~Legend of Steeler~』
・2017年08月05日(土)【大 阪】心斎橋DROP
・2017年08月06日(日)【愛 知】名古屋HeartLand
・2017年08月10日(木)【東 京】目黒鹿鳴館
・2017年08月11日(祝)【東 京】目黒鹿鳴館
・2017年08月12日(土)【東 京】目黒鹿鳴館
defspiral×摩天楼オペラCoupling Tour 2017
”Beauty Bliss Hysteria “
・2017年08月19日(土)【愛 知】名古屋 SPADE BOX
・2017年08月20日(日)【大 阪】江坂 MUSE
・2017年08月25日(金)【東 京】TSUTAYA O-WEST
PANTHEON TOUR -the third movement-
・2017年08月30日(水)【東 京】初台DOORS
・2017年09月02日(土)【宮 城】仙台 CLUB JUNK BOX
・2017年09月03日(日)【福 島】郡山 HIPSHOT JAPAN
・2017年09月09日(土)【富 山】SOUL POWER
・2017年09月10日(日)【長 野】CLUB JUNK BOX
・2017年09月16日(土)【山 梨】甲府 KAZOO HALL
・2017年09月18日(祝)【千 葉】柏 PALOOZA
・2017年09月23日(土)【愛 知】名古屋 SPADE BOX
・2017年09月24日(日)【京 都】MOJO
【特集】大盛りレポ!ロック増量 Vol.29 『COLORS 2015』
http://www.beeast69.com/feature/134792
【特集】ESP学園presents COLORS 2013
http://www.beeast69.com/feature/77282