22年ぶりに全曲書き下ろしのフルオリジナルアルバム『PEACE ROCK』を、2015年7月8日にリリースした森友嵐士。その約一ヵ月後からスタートする全国ツアー『MORITOMO ARASHI CONCERT TOUR 2015 PEACE ROCK』が目前に迫ってきた。すでに指折り数えてライブを待っている人もいるだろう。そして、森友嵐士は全国ツアーとは別に、アルバム『PEACE ROCK』のリリースに合わせて、レコード店などのインストアイベントも行っている。今回はその一つであるHMVエソラ池袋店での様子をレポートしてみたい。
 
このインストアイベントは、アルバム『PEACE ROCK』を当日購入した方が参加できるイベントで、ミニライブ＆握手会という内容が発表されていた。平日の19時スタートということで、18時ごろにHMVエソラ池袋店に到着すると、黒い布で目隠しされた店内のブースで、まだ森友嵐士がリハーサルを行っていた。店内に響き渡るその歌声に、インストアイベントがあると知らないお客さんも足を止めて聴き入っている。姿が見えないだけに、森友嵐士の歌声だけが、一つの生き物のように、空間を泳いでいた。

特設会場はオールスタンディングで、ざっと見渡しても100名を超えるファンが鮨詰め状態で開演を待っていた。19時の定刻になるとスタッフが前説。テレビの撮影が入るため、1曲目だけ座ってほしいとアナウンス。最後尾に設置したテレビカメラでは、この大入り状態を考えると、確かに森友嵐士本人がまったく映らない。急なアナウンスにも、ファンは快く対応していた。そして大きな拍手の中、サングラスをかけた森友嵐士が登場。「こんばんは！（1曲目は）4分半だから（笑）」と言って、座ったファンを気づかう。さりげない優しさが、ファンにはうれしい。
 
キーボードに座ると名曲「離したくない」のイントロを弾き、ゆっくりと歌いだす。弾き語りのスタイルで聴く「離したくない」は、歌の持つ魅力がダイレクトに心へ響いてくる。エンディングのサビで、タメ気味に歌う森友嵐士。物書きの間では、“行間を読む”という言い方で、文字が無い空間部分に意味を持たせることがあるが、森友嵐士は歌詞が無い部分の空間に、想いを詰め込む才能が素晴らしい。「ようこそ！」と大きく挨拶をして、記念イベントへの来場のお礼をする森友嵐士。そしてファンと一緒に「スナオ！」コールで、ギタリストのスナオを会場へ呼び込む。

森友嵐士はハーモニカーをふき、スナオのアコースティックギターのカッティングでスタートしたのは、「真夜中の太陽」。『PEACE ROCK』の2曲目に収録されたラテン調のナンバー。アコースティックアレンジで、よりセクシーな森友嵐士の歌が楽しめた。そして「サヨナラは歩き出す」へ。『PEACE ROCK』のラストを飾る12曲目に収録されたナンバー。鬼龍院翔（ゴールデンボンバー）とのユニット、morioniとしてリリースした卒業ソングのシングル。森友嵐士が一人で歌う「サヨナラは歩き出す」は、オリジナルとはまた違い、新鮮な印象を受けた。
 
三ヶ月ぶりにBlogを更新した話や、音楽を作る話、『PEACE ROCK』のタイトルを付ける話など、MCではゆっくりとたくさんの話をして、ラストナンバーの「どうなってんだい JESUS」へ。『PEACE ROCK』の1曲目に収録されている、森友嵐士の元気を詰め込んだナンバー。スナオがかき鳴らすギターをバックに、元気いっぱいな森友嵐士の声が身体を駆け巡る。ミュージックビデオも製作されたので、多くの人がよく聴きこんでいるのだろう、ファンはすべての歌詞を一緒に歌って盛り上がる。

「さぁ、みんな終わりだ（笑）」と森友嵐士が言うと、ファンの大きな「えー！」という声。そのままアンコールへ。「新曲は8月のツアーに取っておいて、ノレるのをやろうか」とT-BOLANの13thシングル「SHAKE IT !」がスタート。ファンの叩く手のリズムがとても熱く、森友嵐士も手ごたえを感じているように思えた。演奏が終わると、ファンとの握手会の前に、マスコミ用の囲み取材が行われた。22年ぶりということもあり、再始動についての質問が多く投げかけられ、森友嵐士は一つ一つに丁寧に答えていたのが印象的。
 
囲み取材が終わると、ファンお待ちかねの握手会へ。取材陣が撤収する中、私だけ残り、握手会の様子を見ていた。森友嵐士は来場したファン全員としっかりと握手を交わして、時に笑い、時に真剣に、ファンの言葉に耳を傾けていた。想いを受け止めることは、誰にでもできることではない。酸いも甘いも噛み分けた森友嵐士だからこそ、正面からファンの気持ちを抱えたのではないかと感じた。これからいよいよ全国ツアーが始まる。森友嵐士はベストなステージを魅せてくれるに違いない。なぜならそれをファンは長年待ち望んでいたのだから。