演奏

TEXT:岡本恵里 PHOTO:曲香-mageshang-

2015年はNoGoDにとって記念すべき年、そして勝負の年である。
 
結成から10周年、メジャーデビューからは5周年という節目に、4月にはベストアルバム『VOYAGE-10TH ANNIVERSARY BEST ALBUM』をリリースし、これまでで最大規模の全国33か所で行われる『NoGoD 10th ANNIVERSARY TOUR -2015-【BON VOYAGE -ROUND 33 PLACES-】』ツアー敢行中の彼ら。
 
今回は、ツアー真っ最中の5月24日、大阪BIGCATで行われたライブの全貌をお届けする。
 
NoGoDは、団長(Vocal)、Kyrie(Guitar)、Shinno(Guitar)、華凛(Bass)、K(Drums)からなる5人組ロックバンド。彼らをまだ見たことがない人のために、音楽のジャンル分けはしたくない。
 
ヴィジュアル系バンドだと思う人もいるし、メタルバンドだと言う人もいる。筆者はどちらも正解だと思っているが、ジャンルの縛りで彼らの音楽を括ってしまうのは勿体ないし、実際会場には若い女性も、ギターテクに歓声をあげるロックキッズも、年季の入ったメタルファンと思しき男性も混在している。ひとつだけ言えるのは、NoGoDがちょっと真面目すぎるほどに真摯に音楽と向き合い、常に自分たちの殻を破り続けて進化している、10年経ってもまだ成長過程のバンドであるということだけだ。
 
NoGoD メンバー:
団長(Vocal)、Kyrie(Guitar)、Shinno(Guitar)、華凛(Bass)、K(Drums)

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大阪BIGCCATといえば、歴史的にもキャパシティ的にも名だたるバンドが通過点として羽ばたいていった老舗の大箱であり、NoGoDワンマンとしては2度目の公演となる。17時半の開場と共にファンがなだれ込んでくる様子を見ていて、その客層の広さと多彩さに、改めて驚かされる。
 
ほぼ定刻通りに登場SEが流れると、会場からは待ってましたとばかりに大きな拍手が巻き起こる。今回のツアーはメンバーだけでなく、ファンにとっても意義の大きいアニバーサリーなのだ。イントロからNoGoDの世界にぐんぐん引き込まれる「カクセイ」からのスタートで、会場の温度は急上昇。続く「STAND UP!!」では全員が大きく拳を突き上げる。
 
「おまたせ俺たちがノーゴッドだ!しょっぱなから飛ばしていくぞ~!」と団長の煽りから畳みかけられる「愚蓮」。早くもヘドバン、拳、歓声が入り乱れ、このペースで最後までもつのか?と舞台上と観客両方とも心配になるほどの飛ばしっぷりである。
 
「大阪のみなさんこんばんは!お待たせしたね!10周年記念ツアーですよみなさん!ひとりひとりの顔と名前覚えて帰るからね!もっと声出せよ!」団長のテンポが良いMCで会場のテンションを落とさないまま、「浮世Rocks」、「downer’s high」、「EZ L1F3」と、発売されたばかりのベストアルバムの選曲を中心に、バンドの多彩さを浮き彫りにする様々なテイストの楽曲でライブは展開されていく。

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続く「II-懐疑」は、もともと難しいといわれるNoGoDの楽曲の中でも最難度のプログレッシブメタルといえるだろう。個性的な白塗りのビジュアルにエンタテイメント性と抜群の歌唱力を持ち合わせた団長のキャラクターがピックアップされることの多いバンドだが、同じくらい楽器隊のレベルの高さを前面に押しだしたい。
 
もはや観客を置いてきぼりにするほどの圧倒的な演奏力で、この技術にこそ、この興奮にこそライブに来る価値があると思わせる圧巻のステージングを見せつけてくれる。さらに「心臓」「最高の世界」と、ベストツアーなのだから当然といえば当然だが、通常であればラストスパートに持ってくるような攻撃的な曲を惜しげもなく序盤から畳みかけていく豪華なラインナップだ。
 
「実はベストツアーは初のNoGoD。セトリがくどいでしょう!これでもまだ半分ですよ!」とお馴染みの団長節で会場を沸かせ、「ヴィジュアル系が好きできた女も、男もいるだろう。メタルが好きできたやつも、道を歩いていただけのやつもいるだろう!いろんな予定がある中、お前たちは俺たちを選んでくれたんだろ!ひとりひとりが楽しめればそれでいいじゃないか!おまえの好きに今日という日を使え!」と続ける。
 
観客の層が拡がれば拡がるほど、色々な楽しみ方がある。観客のノリ方と会場の一体感は似て非なるもので、同じ動作をしていなければ盛り上がっていないなんてことは絶対にない。あなたなりの楽しみ方をしてくれればいいと団長自ら言い切ったことには大きな意味があったと思うし、実際会場中から”今、このライブを楽しんでいる”という空気が伝わってくる。

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大きな会場で聴くと音の響き渡りが美しい「十人十色」、続く「この世界に見放されても」は珠玉のバラード曲。さらに新曲「walk」では、団長のボーカルとしての貫禄と成長を感じさせてくれる。
 
新旧の名曲を立て続けに披露した後、MCはメンバーの昔のバンド名の話からNoGoDというバンド名の由来の話へ。
 
「響きがいいバンド名にしたくて。昔やってたバンドが終わって、次にやるなら一生その背負っていける名前にしようとおもって考えた。音楽って、神様より人を救えるんじゃないかって、その人の支えになるんじゃないかと思っていて。これからも、救われてたり、楽しんでたり、音楽が生きる糧になる人がいるなら、俺たちは一生NoGoDでいようと思っています」
 
10年前を振り返り、10年分の感謝を背負ってさらに次のステージへ。結成当初より確実に重みを増した「NoGoD」という看板を大切にしていきたいというメンバーの気持ちが伝わってくる。

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もちろん、しんみりしたままライブが終わるわけはない。「まだお前たち暴れたりねえよな!」団長の煽りで一気に会場の空気が揺れ動く。
 
ラストスパートは「神風」から。NoGoDの鉄板、これこそ代表曲といえるナンバーだが、以前ほど浮き立って聴こえてこなかったのは、他の楽曲のレベルが飛躍的に上がっているからかもしれない。音の塊で攻撃されるような、重い衝撃が押し寄せる。続く「啓発フラストレス」「恒星」で会場の温度はどんどん上がっていく。
 
本編ラストは「ノーゴッド」。昔からライブの定番曲であるこの曲は、新旧のファンが入り乱れてものすごい盛り上がり。メンバーも壇上から降りたち、ファンが前に詰めかけ、会場の重心が動いたかのような錯覚を覚える。「全身全霊ノーゴッド」のコール&レスポンスがとても前向きに響く、最高の終わり方で幕を閉じた。

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鳴り止まないアンコールに、いつもは比較的早く応える彼らだが、なぜかこの日はなかなか出てこない。その理由がわかったとき、筆者はこのバンドの果てしない底力を見せつけられることになる…。
 
アンコールに応え、出てきた団長は、「せっかくのお祝いなので、曲変えます!照明さんすみません!セットリスト大幅変更します!」と叫んだのだ。
 
それが演出でない証拠に、筆者が事前に渡されていたセットリストとは全く違う曲が演奏されはじめる。
 
大きなステージになればなるほどイレギュラーに対応することは難しくなるだろうが、この大舞台で予定になかった曲を演奏してみせるとは恐れ入る。そして、突然の変更に瞬時に対応した照明・音響を始め、一瞬走った緊張感にライブの醍醐味、そして会場中のプロ根性を見た気がする。
 
変更された曲は、まさにアニバーサリーにふさわしい「BANZAI!!!」。天に向かって全員で高く手を挙げ、ラストは「野に咲く君へ」での大合唱。
 
「やっぱり10年やってきて思います。俺たちとお前たちでノーゴッドでした!俺たちこんなもんじゃまだ終わらねえからな!」

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アンコールに昔を懐かしむ曲ではなく、まだ新曲ともいえる最新オリジナルアルバムからの曲をチョイスしたこと、これだけアニバーサリー感の強いライブの最後の最後にこんなものじゃ終われないと言い切った団長の言葉は、これからのNoGoDの指針である気がする。10年間の感謝の気持ちと、同じ分だけのまだ前に進みたい、もっとやりたいという強い決意表明に、歓声と拍手がいつまでも鳴り止まなかった。
 
これまで積み上げてきた歴史と実績、磨きあげてきたステージングと、まだ先がどうなるか読めない、定まり切らないといういい意味での未完成さが相まって、今NoGODは一番脂が乗っている時期なのではなかろうか。これから彼らがどう進んでいくのかはまだ未知数だが、結成当初から成長を見守り続けてきたファン、この日初めてライブを運んだファンのどちらにも「次も見たい」と思わせてくれるライブであったことは間違いない。
 

◆セットリスト
M01. カクセイ
M02. STAND UP!!
M03. 愚蓮
M04. 浮世Rocks
M05. downer’s high
M06. EZ L1F3
M07. II-懐疑
M08. 心臓
M09. 最高の世界
M10. 十人十色
M11. この世界に見放されても
M12. walk
M13. Mr.HEAVEN
M14. 球根
M15. 神風
M16. 啓発フラストレス
M17. 恒星
M18. ノーゴッド
-encore-
M19. BANZAI!!!
M20. 野に咲く君へ
 
◆NoGoD オフィシャルサイト
http://www.nogod.jp/
 

◆ライブ情報
NoGoD 10th ANNIVERSARY TOUR-2015-【BON VOYAGE -ROUND 33 PLACES-】
・2015年06月20日(土)【兵 庫】神戸VARIT.
・2015年06月21日(日)【滋 賀】U☆STONE
・2015年06月27日(土)【群 馬】高崎CLUB FLEEZ
・2015年07月04日(土)【福 井】CHOP
・2015年07月05日(日)【石 川】金沢AZ
・2015年07月11日(土)【山 梨】甲府KAZZO HALL
・2015年07月12日(日)【千 葉】本八幡ROUTE14
・2015年07月18日(土)【岡 山】IMAGE
・2015年07月19日(日)【奈 良】NEVER LAND
・2015年07月20日(月)【京 都】KYOTO MUSE
・2015年07月25日(土)【東 京】TSUTAYA O-EAST
CRUSH OF MODE-HYPER HOT SUMMER’15-TOUR
・2015年08月01日(土)【大 阪】心斎橋BIG CAT
・2015年08月02日(日)【愛 知】名古屋Electric Lady Land
・2015年08月08日(土)【新 潟】GOLDEN PIGS RED STAGE
・2015年08月09日(日)【群 馬】高崎CLUB FLEEZ
・2015年08月16日(日)【東 京】TSUTAYA O-WEST
・2015年08月22日(土)【広 島】CLUB QUATTRO
・2015年08月29日(土)【北海道】札幌ペニーレーン24
・2015年08月30日(日)【北海道】札幌ペニーレーン24
CRUSH OF MODE-2015-EXTRA EDITION
・2015年08月23日(日)【兵 庫】姫路BETA
・2015年08月27日(木)【宮 城】仙台MACANA
ART POP ENTERTAINMENT PRESENTS【ANNIVERSARY-ROOM101520-】
・2015年06月28日(日)【神奈川】川崎CLUB CITTA’
Grateful Year 2015 「NonsenSe MARkeT 1F」
・2015年07月16日(木)【愛 媛】松山サロンキティ
 ※MERRY主催2マンライブ

 
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