演奏

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TEXT & PHOTO:株本和美

テクマクマヤーンズは、2011年9月に結成された4人組バンド。同年12月、新宿紅布にて初ライブ初ワンマンでライブデビュー。以後、ストレートな楽曲と圧倒的なパフォーマンスで多くのファンを魅了してきた。しかし、2015年5月にギタリスト齊藤雄介(以後雄介)の脱退が発表され、ファンの間で大きな衝撃が広がった。テクマクマヤーンズは、後任のギタリストを入れず、バンド名もマヤーンズへ改名するという事で、4人で最後のステージ、かつテクマクマヤーンズとしても最後のライブとなる、下北沢SHELTHEのライブレポートをお届けしよう。

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テクマクマヤーンズ
逸見亮太(Vocals)、齊藤雄介(Guiters)、長島亮人(Bass)、茂木左(Drums)

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この日のライブは、ザ50回転ズの自主企画のイベント第2弾『ROCK & ROLL GENERATION!#2』に出演。幅広い活動を続け、結成10年を超えたロックバンド、ザ50回転ズも注目しているテクマクマヤーンズだが、残念なことにオリジナルメンバー4人そろってのラストライブ。会場に詰めかけたファンは、どことなく落ち着かない様子。
 
神戸のガールズバンドNoNameが、キャッチーで甘酸っぱい楽曲でオープニングアクトを務めた後、ザ50回転ズダニーが、「お次はテクマクマヤーンズ!!イケメンぞろいっていうのが気にいらないね~。なんと今日はこのメンバーでの最後のライブらしいぜ~……縁起わるぅ~い!メンバーが抜ける理由は、その~え~っとあの~、金と女性の奪い合いらしいですけど、音楽性の違いってことにするらしいです!ナ・マ・イ・キです!オーライ、目に焼き付けよう、最後のテ・ク・マ・ク・マヤーンズ!!」と、ウィットに富んだマイクパフォーマンスで呼び込む。
 
SIMON & GARFUNKELの「Mrs. Robinson」をSEにメンバーが登場。長島亮人(以後亮人)、茂木左(以後茂木)、そして雄介。いつものライブのように、いつもの定位置につく。SEのフェイドアウトと引き換えに、雄介のギターから始まる、おなじみの“プロローグ”で幕を開ける。
 
皮ジャンに身を包んだ逸見亮太(以後亮太)、が、1曲目「マネーガネー」のイントロで弾丸のようにステージへ飛び出してくると、フロアは一気にヒートアップ。軽快なリズムのナンバーに体が自然と揺れる。曲の中盤で雄介亮人もステージ前方へ乗り出しギターソロを奏でフロアを煽る。間髪いれずに、2曲目「ピアポ」、3曲目「ヒロイック・トミー」と続け、空間全体をロックンロールの渦に巻き込んでいく。
 
駆け抜けるように3曲歌いきったところで、亮太は「(雄介の脱退は)金と女の奪いじゃねえ~(笑)」と訂正。超満員のフロアを見渡しながら「ROCK & ROLL GENERATIONへようこそ。テクマクマヤーンズです。久しぶりにザ50回転ズさんとのステージ、ありがとうございます」と感謝をのべる。
 
ギターサウンドが映える4曲目「Here Come The Sun」から、5曲目「Sunny Bonnie Lazy」、そして6曲目は鉄板ソングの「Nice」。丁寧に歌詞をなぞる亮太の熱を帯びた歌声が、ラストステージを惜しむかのようでこの日のスペシャル感を一層際立たせる。亮太のコールをきっかけに、<I wanna be nice…>と観客はこぶしをつき上げシンガロングし、それぞれの思いを歌にのせている。

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短いMCの後、7曲目は「バブルガム・ドリーム」。この曲は“全部が嫌になった時に描いた曲”だと語るが、その明るい曲調からは“ロックンロールで悲しいことは吹き飛ばせ”という風にも受け止められる。ポップなリズムとストンと入ってくる歌詞が、前向きな気持ちにさせてくれるノリの良いナンバーだ。
 
熱気があふれるフロアに向かって、亮太は「No-name茂木の髪型(前髪パッツン)が似ています」とつぶやくと、茂木は“ヘン顔”で答える。そんな、いつもと変わらぬ4人の姿に、会場の誰もが「4人でやるのが最後というのが嘘であってほしい」と思ったことだろう。
 
脱退理由について注目が集まる中、「何かしゃべれ~」とファンに催促されるも、雄介は終始爽やかな“笑顔”でうなずくだけ。そこへ亮太が、「こんな感じで、4人でやっていました。でも……あんまり今日は……触れるのはよそう!」と口をつぐむと、会場から「触れない、触れない」と声援がとぶ。
 
亮太はそのまま言葉を続け、新曲「サマーエンズ」について語りはじめた。「この曲を書いていた時、昔の彼女に言われた言葉をフッと思い出して。夜道を歩きながら『この2人で歩いていることも、いつか懐かしくなっちゃうのかなぁ?』って言われて、その時とっても寂しくなったんだよね……。今日のイベントもそうだけど、人間も“終わり”に向かっているんだろうなって思ってしまう。楽しい日々もいつか終わりに向かっているんだろうなって。そんな感じで書いた曲が出来た矢先にこれ(脱退)だったから、まあ……うん。色々あるな。だから、みんなには今を精いっぱい楽しんでほしいです。ありがとうございました、以上!」と胸中をのべると拍手がおくられる。

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そして空気を一転させるべく、「こんないいイベントを開いてくれたザ50回転ズさんに送る曲!」とラストへ向けて発破をかけ、8曲目「フェスティバル」、9曲目「サマーエンズ」を熱唱。
 
ライブの後半、チューニングを行うメンバーをバックに再び亮太のMC、「誰かの為に作って書いても、その誰かに届かなかったとした場合、その音楽・歌・メロディーや歌詞、そいつはどうなってしまうんだ? と考えた時に、(その曲を)演らなくなるのか、歌わなくなるのか?でもこうやってみんなが聞いてくれる、何かを思ってくれるから、僕はまだまだ歌っていきたいと思います。聞いてくれてありがとうございます」と感謝を伝え、「そろそろしんみりするのは、やめますか。もっともっとゴキゲンに行きますかー?」とアコースティックギターをかき鳴らし、10曲目キラーチューン「恋はゴキゲン」と、さらに開放感たっぷりの11曲目「no title」でフロアを揺らす。
 
そして湿度は120%、ついに亮太は皮ジャンを脱ぎすてる。「まだまだ、アゲていいですかー?」の声をきっかけに12曲目「バカは休み休みイェー」がスタート、亮人のベースラインと茂木のドラムのグルーブに雄介のギターが加わりうねりが増すと、亮太のテンションも爆発寸前。4人が生み出すサウンドはフロアを更に高揚させていく。
 
そしてラスト、「デッカバンドでお別れです~!!」と言い放ち、亮太はマイクを上へ放り投げ、体を一回転してキャッチ。「デッカバンド」の“デッカ”とは、デビュー前のThe Beatlesをオーディションで落としてしまうという“音楽史的有名な決断”を下したイギリスのレコード会社のこと。音楽へのリスペクトと反骨、希望を歌ったこの歌は、まさに心を震わすバンド・テクマクマヤーンズそのものだ。
 
コール&レスポンスでは、“雄介に届くように”と、くらいついて叫ぶ観客の姿は、今この瞬間を永遠に終わらせたくない、という願いのようだ。無防備で純粋でストレートな最高のロックンロール魂は、多くの人の心にしっかりと刻みつけられ幕を閉じる。彼らがステージを去っても、フロアからはしばらく声援が飛んでいる。

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◆セットリスト
M01. マネーガネー
M02. ピアポ
M03. ヒロイック・トミー
M04. Here Come The Sun
M05. Sunny Bonnie Lazy
M06. Nice
M07. バブルガム・ドリーム
M08. フェスティバル
M09. サマーエンズ
M10. 恋はゴキゲン
M11. no title
M12. バカは休み休みイェー
M13. デッカバンド
◆マヤーンズ(mayeahns):Official Twitter
https://mobile.twitter.com/myeahns
◆マヤーンズ(mayeahns):Facebook Page
https://www.facebook.com/myeahns
 
※本公演(2015年5月10日@下北沢SHELTER)をもって齊藤雄介が脱退、テクマクマヤーンズとしての活動を終了。以後は、逸見亮太、長島アキト、茂木左の3人でmyeahns(マヤーンズ)として活動していく。
 
◆Live Information
・2015年06月12日(金)【千 葉】look
・2015年06月13日(土)【新 宿】redcloth
・2015年06月21日(日)【十 三】FANDANGO
・2015年06月26日(金)【今 池】得三
・2015年06月28日(日)【京 都】メトロ
・2015年06月30日(火)【新代田】FEVER


テクマクマヤーンズとしての活動はこの日が最後となったが、亮太亮人茂木の3人は、マヤーンズmyeahns)として活動を続けることが決定している。どんな新天地を迎えるのか、彼らの動向からますます目が離せない。

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