演奏

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TEXT:桜坂秋太郎 PHOTO:株本和美
Rock the DROP ! 011
2015.3.12 @下北沢GARDEN
312異種格闘技戦のようなイベント『Rock the DROP ! 011』が、下北沢GARDENで3月に行われた。今回で11回目となるこのイベントは、毎回異色の組み合わせで実施されている。今回の出演者は、33Insanity’sVertebra伊佐なつきAnyangoテクマクマヤーンズの4組だ。
 
33Insanity’sVertebraは、国内外で現役モデルとして活動するノゾミをボーカリストに、確かなテクニックで聴かせてくれるバンド。そして本誌BEEASTでコラムも連載中のシンガーソングライター、伊佐なつき。アフリカの楽器ニャティティ(Nyatiti)の世界初の女性奏者であり、海外でも多くの演奏活動を行っているAnyangoテクマクマヤーンズは、人気の若手ロックンロールバンドだ。さらにテクマクマヤーンズには、LucyLAZYgunsBRISKY)がゲストに登場。
 
音楽性や見た目が異なる4組のイベント、その様子をレポートしてみたい。

 


33Insanity’sVertebra
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開演時間、33Insanity’sVertebraが登場する。SEの途中から、ギターのフィードバック音。そして「Stand On The End」でスタート。ノゾミのボーカルが良く伸びる。バンドのリーダーで上手ギターのゴッシーと、下手ギターのエータツのギターフレーズの絡み方に、彼らの音楽的な力量を感じる。まるで洋楽アーティストのようなステージを展開してくれる。「Relation」からサビが印象的な「How Long?」へと繋ぐ。セイヤのベースフレーズは、このバンドのグルーブをワンランク上に導いている。
 
ジャジーなテイストから「ズルリ」へ。彼ら特有のメロディセンスに、ロックのパッションが上手く組み合わさって、個性が確立している。ギターエフェクトからのアルペジオで「千切れ蝉」へ。曲中でシャウトをしながら、難しいメロディをノゾミが歌う。続いて「体液」。タイム感抜群のヌーピーが刻むリズムは、観る者の身体を自然と揺さぶる。曲の前半をギターとボーカルだけで世界を作り、途中からタイトなロックサウンドが炸裂する「スライサー」。アップテンポで激しく「絶対王政と心臓」をプレイした後は、ラストの「ホモサピエンスピラミッド」で汗だくのメンバーの熱演が終了。

◆33Insanity’sVertebra
ノゾミ(Vocals)
ゴッシー(Guitars)
エータツ(Guitars)
セイヤ(Bass)
ヌーピー(Drums)
 
◆Setlist
M01. Stand On The End
M02. Relation
M03. How Long?
M04. ズルリ
M05. 千切れ蝉
M06. 体液
M07. スライサー
M08. 絶対王政と心臓
M09. ホモサピエンスピラミッド

◆Official Website
http://www.33ivuk.com/
 
◆Live Information
2015年05月19日(火)新宿LOFT
2015年05月24日(日)十三Fandango
2015年06月05日(金)渋谷nest
2015年06月06日(土)「SAKAE SP-RING 2015
2015年06月07日(日)「SAKAE SP-RING 2015
2015年07月28日(火)今池THREE STAR
2015年07月29日(水)下北沢QUE
2015年08月09日(日)新栄CLUB ROCK’N’ ROLL
2015年08月28日(金)池下CLUB UPSET

 


Anyango
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次のアーティストはAnyango。優しい笑みで挨拶すると「Ogwang」でステージがスタート。そして「Seda」へのイントロで、ニャティティについての紹介が入る。アフリカ伝統の弦楽器というニャティティ、生で聴くのは初めてだ。途中、テレビの朝番組「3分クッキング」に採用されているフレーズを奏でる。ニャティティは、8本の弦を操りながら、右足首に鈴、右足親指に鉄の輪をつけて演奏する。見るからに操るのが大変そうに思うが、涼しい顔で美声を響かせながらAnyangoは歌う。
 
ニャティティをマスターするために、ケニアの奥地で修行生活をした話のMCが興味深い。次はカヤンバというアフリカのパーカッションを用いて「Kayamba」。実は祈祷師などが使う道具としての存在が強いという楽器のようだ。リズムは取りやすいのだが、メロディが独特で展開が読めない、面白いナンバー。アフリカで一番高い山、キリマンジャロをタイトルにした新譜『Kilimanjaro』の話から、「Last Waltz」。そのまま「Afro Blue」へ。ラストは会場の温かい手拍子の中、祝福の歌「Mwana wa mberi」で、Anyangoの優しいステージは終了。

◆Anyango
Anyango(Vocals & Nyatiti)
 
◆Setlist
M01. Ogwang
M02. Seda
M03. Kayamba
M04. Last Waltz
M05. Afro Blue
M06. Mwana wa mberi

◆Official Website
http://anyango.com/
 
◆Live Information
2015年08月02日(日)東京紀尾井ホール
2015年08月06日(木)広島アステール大ホール
2015年08月09日(日)長崎ブリックホール

 


伊佐なつき
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The Doorsの「The End」が流れる中、12弦のアコースティックギターを持ち、伊佐なつきが登場。「A Flower」でステージがスタート。張りのある声とアコースティックサウンドのマッチングが抜群だ。2年間の専門学校生活を終え、准看護師に合格したというMCから、「Hellotus!」へ。柔らかくも、力強くも、自在に歌うことができるのが、伊佐なつきの実力だ。そして「そつぎょう」からは、Sherbets外村公敏がサポートでドラムを叩く。ドラムが入ることで、伊佐なつきのナンバーが、よりドラマチックになる。
 
静と動が織りなす世界観が素敵な「Nude fish」から、「DANAE」へ。シンプルなビートとアコースティックギターの音色が、会場を包み込む。ロックな曲をやります!という発声から、強いビートで「Cloud」。スネアドラムのリムショット(ヘッドと縁を同時に叩く)が曲調にマッチしてカッコいい。ラストは、4月から5月にかけて航空会社AIR DOの機内放送でオンエアされるという「マタタビ」。疲れを癒し、また旅が続けられるという由来のマタタビ。今夜の来場者は、伊佐なつきの歌で疲れを癒すことができたのではないだろうか。

◆伊佐なつき
伊佐なつき(Vocals & Guitars)
外村公敏(Support Drums)
 
◆Setlist
M01. A Flower
M02. Hellotus!
M03. そつぎょう
M04. Nude fish
M05. DANAE
M06. Cloud
M07. マタタビ

◆Official Website
http://www.isanatsuki.com/
 
◆Live Information
2015年06月05日(金)渋谷La.mama
2015年06月07日(日)熊谷HEAVEN’S ROCK Kumagaya VJ-1

 


テクマクマヤーンズ(Tecmacmayeahns) feat. Lucy(LAZYgunsBRISKY)
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さて、いよいよ本日最後の登場は、テクマクマヤーンズ。「ヒロイックトミー」で元気にスタート!話題の若手バンドの彼らだが、観るのは初めて。いきなり茂木左のタイトなロックンロールドラムにヤラれる。カッコいい!ロックンロールに理屈はいらない!最高だ。そのまま「ピアポ」へ。逸見亮太の歌声が、シンプルな歌詞とストレートな曲調に乗って身体に届く。長島亮人のベースがうねる「Money Ganey」の後、短いMCからポップなメロディの「Nice」。テクマクマヤーンズの歌は、初めて聴いてもその場で理解ができる。ロックンロールのツボを見事に押さえている。
 
16ビートのダンサブルな「外国人」は、長島亮人のグルーブと茂木左のビートの上に、齊藤雄介のギターが踊る!ここでゲストのLucyを呼び込み「December’s Children」と「バブルガムドリーム」の2曲を披露。ステージ後半は、若い彼らの元気が詰まった「恋はゴキゲン」。続けて「バカは休み休みイェー」へ。テクマクマヤーンズのロックンロールは、サウンドだけでなく、歌詞のインパクトある言葉選びが魅力の一つだ。ラストは「デッカバンド」。齊藤雄介のギターソロと、逸見亮太のハーモニカソロの後、楽しいコール&レスポンス!このバンドの勢いを、誰も止められなくなる日が来るかもしれない。大きな拍手の中、アンコールは「ボゥイミーツガール」。これにて本日のイベントは、すべて終了。

◆テクマクマヤーンズ
逸見亮太(vocals)
齊藤雄介(Guitars)
長島亮人(Bass)
茂木左(Drums)
 
◆Setlist
M01. ヒロイックトミー
M02. ピアポ
M03. Money Ganey
M04. Nice
M05. 外国人
M06. December’s Children
M07. バブルガムドリーム
M08. 恋はゴキゲン
M09. バカは休み休みイェー
M10. デッカバンド
M11. ボゥイミーツガール(encore)

◆Band Information
2015年05月10日@下北沢SHELTERのライブにて、
齊藤雄介脱退。
バンド名をテクマクマヤーンズから、
マヤーンズMyeahns)に改名して活動を続ける。

 
◆Official Website
http://tecmacmayeahns.com/
 
◆Live Information
2015年06月13日(土)新宿red cloth
2015年06月26日(金)名古屋今池得三
2015年06月28日(日)京都メトロ
『Rock the DROP !』は、毎回異色の組み合わせで定評のあるイベント。今後も様々なカラーの出演者が登場することだろう。次回の予定はまだ発表されていないが、次の開催を楽しみに待ちたいと思う。
 
そしてこの取材後、編集中にテクマクマヤーンズのメンバー脱退ニュースが飛び込んできた。残念なことに、熱いロックンロールギターを披露していた齊藤雄介の脱退が決まり、5月10日のライブが4人での最後のステージとなり、以後のスケジュールは逸見亮太長島亮人茂木左の3人でライブをするようだ。それにともないバンド名を、マヤーンズへ改名するとのこと。
 
33Insanity’sVertebraAnyango伊佐なつきも活発に活動を続けているので、日程や場所を確認の上、ぜひライブに足を運んでほしい。良質の音楽に出会えることは間違いない。
◆関連記事
【特集】ROCK ATTENTION 40 LAZYgunsBRISKY
http://www.beeast69.com/feature/129119
【NEWS】33Insanity’sVertebra ノゾミ インタビュー
http://www.beeast69.com/news/rockinfo/123966
【コラム】伊佐なつき「なつきのロック解体新書」
http://www.beeast69.com/column/natsuki