演奏

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TEXT:桜坂秋太郎

 
日本が世界へ誇れる歌姫、浜田麻里。もしもクールジャパンの一環で、女性シンガーが歌う祭典があるならば、迷うことなく彼女に一票を入れるだろう。世界にその名を轟かせている海外の女性シンガー達のステージを、現地で私は何度か観たことがある。しかし、私のベストは、間違いなく浜田麻里と言い切れる。日本の食文化やアニメなどの創作文化は、今や世界中を虜にしている。それは誰もが異論のない話だろう。日本人の感性は、世界を共鳴させるパワーを秘めている。ただしROCK MUSICというカテゴリーでは、残念ながら、まだ少し伸び悩む部分が否めないことも現実だ。
 
よく言われる“比類なき”とは、まさに浜田麻里に相応しい言葉。その突出した才能を、デビューから30年以上にわたり、魅せ続けてくれている。本物のアーティストとは何なのか、その答えをファンはよく知っている。数々のヒットチャートに名曲を送り込み、日本におけるハードロック/ヘヴィメタル音楽の浸透に貢献し、海外進出をこなし、今なお現役で活動しているアーティストは、彼女以外に居ない。その凄さは、言葉では表せないほどのインパクトを持っている。後世に名を残す女性シンガーであることは、疑う余地もなく、もはや伝説と言ってもいいだろう。私はクールジャパン関係の仕事を時々しているが、胸を張って世界にプッシュできる機会を作れないかと真剣に考えている。
 
さて、デビュー30年の節目のアルバム『INCLINATION III』を、昨年リリースした浜田麻里。活動30年の節目の時、本人へインタビューする機会を与えられた。その記事は、本誌の特集「ROCK ATTENTION 26 ~浜田麻里~」にて公開している。まだ読んでいない方は、クリックして読んでもらえれば幸いだ。今回は、その30周年の記念ツアーのファイナル公演をレポートしてみたいと思う。会場は、東京の有楽町駅前にある、東京国際フォーラム。駅を降りて人波に身を任せて歩くと、ホールAの会場に到着。会場内では、友人と話す人、物販ブースに並ぶ人、購入したTシャツにさっそく着替える人、これから始まる夢のような時間へ、誰もが期待に胸をふくらませている。

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時は開演時刻。会場のSEが消えると、待ちに待った幕開け。ステージ上にスポットがあたると、そこには二人のヴァイオリニスト、ヴィオリスト、チェリストの姿。Strings Quartet(弦楽四重奏)によるストリングスアレンジの浜田麻里メドレーがおごそかに始まる。ゆっくりと舞台袖から現れる浜田麻里。アカペラで「Hearty My Song」を歌い始める。1985年に発売されたアルバム『RAINBOW DREAM』の最後を飾るこのナンバーは、数々のコンサートの大切な場面で歌われてきた。「あなたに伝えたいの、あふれるこの想いを~」とファンへ歌う彼女を観て、今日の30周年アニバーサリーツアーのファイナル公演は、本当にスペシャルなコンサートになると確信する。
 
ステージ照明が全開となり、ハイハットのカウントから「M01. Fantasia」がスタート!浜田麻里の活動25周年を記念して、2007年に発売された2枚組アルバム『Reflection -axiom of the two wings-』の1枚目、オープニングを飾る熱きナンバーだ。会場は一気にボルテージを上げる!ファンのシンガロング(sing-along:皆で歌うこと)もバッチリ決まっている!ドラマティックな展開がたまらない。そのままのテンションで、「M02. FEARLESS NIGHT」へ。1986年に発売されたアルバム『PROMISE IN THE HISTORY』のオープニングナンバー。発売当時、予約していたレコード店から帰り、鼻息荒くプレイヤーで再生した時の衝撃を思い出す。お約束の「Woo oh oh oh oh oh oh oh」のコール&レスポンスは、自分が今まさに浜田麻里のコンサートに居ることを実感する、そんな一瞬だろう。幸せだ!これこそがライヴの醍醐味!
 
ここで最初のMCが入る。「浜田麻里です!」の一言だけで、熱狂するファンは大きな歓声!デビュー30周年アニバーサリーツアーの集大成である今日のお礼を話した彼女は、「30年間の感謝を込めて、ありたっけの想いを詰め込んで、(今日は)たくさんの曲をお送りします!楽しんでいきましょう!」と宣言!これにはファンも大喜びだ。そして「M03. Emergency」へ。2002年に発売されたアルバム『Marigold』のオープニングナンバー。実は今年、浜田麻里30周年企画として、所属した歴代のレコードメーカーから、復刻CDがリリースされている。『Marigold』は現在所属している徳間ジャパンコミュニケーションズから、高音質な最新CDを購入することができる。このような試みは、リアルタイム世代だけでなく、後追いのファンにとっても、うれしい企画だと思う。
 
間髪をいれず「M04. MISTY LADY」が始まると、ステージ後方のスクリーンに映像が映し出される。このナンバーは、1984年に発売されたアルバム『MISTY LADY』の6曲目に収録されているタイトルナンバーだ。映像は何と1980年代のコンサートの様子が流されて、今の浜田麻里と、当時の浜田麻里の「MISTY LADY」を、同時に楽しめる素晴らしい演出だ。そこにあるはずの30年近い時間がクロスする。時間を超越するというのは、まさにこのようなことを言うのだろう!最高の気分のまま、私の大好きな「M05. Emotion in Motion」へ。1989年に発売されたアルバム『Return to Myself』の3曲目のダンサブルなナンバー。すでに取材であることを少し忘れてしまうほどに、ステージにハートは釘づけだ!
 
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そこから「M06. RIGHT TO GO」へ。1987年に発売されたシングル「Magic -Adventurous Heart-」のカップリングとして収録されたナンバー(※1988年のベストアルバム[シングル集]『Heart And Soul”The Singles”』の6曲目にも収録されている)だ。当時私が手に入れたのは、CDシングルという形をしていたが、今でも歌えるハードロックのお手本的なメロディは、ファンの間で人気が高い。続く「M07. Nostalgia」は、1990年に発売の『COLORS』の5曲目に収録されている。ステージ後方のスクリーンには、砂漠の風景が映し出される。そう、このナンバーは、当時大人気だったパリ・ダカールラリー(1979年から始まった砂漠のカーレース)のテーマソングとして、ヘヴィーローテーションされた。“浜田麻里”のアーティスト名が、車好きの間へも浸透するきっかけになった。
 
「Nostalgia」からメドレーのように繋がって「M08. Paradox」へ。1991年に発売されたアルバム『TOMORROW』の5曲目に収録されている。イントロを聴いただけで、90年初頭へ心はタイムスリップ!後方のスクリーンには、当時のPV的に街の夜景が映し出される。もう会場は、完全に“あの頃”へ飛んでいる!最初のサビ「誰もがそう急いでいる さよならの明日へ」で、ついに我慢が出来なくなってしまった!取材中だが、もう関係ない!大きい声でシンガロング!本当に最高だ…これがライヴの気持ち良さ!続いて1988年発売のシングル、「M09. Heart and Soul」。ソウルオリンピックのテーマソングとして、当時は老若男女、すべての日本人が知っていた超メジャーナンバーだ。アルバムでは、『Heart And Soul”The Singles”』の14曲目に収録されている。
 
01ここで2回目のMCタイム。「今までに印象的だったであろう曲をお届けしている」というくだりから、30年間で経験してきたことへの話を静かに語り始める。楽しい事もあったけど、楽しくないこともたくさんあって、頑張って努力して、成長してきた話。そして人が生きる意味が少しわかるようになり、何度も傷ついて、少しずつ強くなってきた話。歌う事や作品を生み出す事、それに必要な感受性のアンテナは、いつもマックスに近いところにある話。子供の頃から歌ってきて、次から次へと大きな波が押し寄せてくる中で、人と人の繋がりを考え、信頼というものを考える、心の内側の話。今は本当に大事なモノ、目には見えない大きなモノを感じることができるようになったと締めくくる。MCの後は「M10. Broken Glass」へ。2000年に発売されたアルバム『Blanche』の10曲目に収録されているミドルテンポのナンバー。水をモチーフにしたスクリーン映像と、切ない歌詞が心に響く。
 
続いて「M11. SELF-LOVE」。1987年に発売されたアルバム『IN THE PRECIOUS AGE』の8曲目のバラードだ。どこまでも伸びる声に、大音量で包まれる幸せを噛みしめる。そしてアカペラで「M12. Border」。1993年に発売されたアルバム『Anti‐Heroine』の12曲目に収録されたメロディの美しいナンバー。歌声だけの「Border」は、メロディと歌詞がまるでマイナスイオンのように会場を潤してくれる。後半からは、バッキングヴォーカルのERIとの強烈なツインヴォーカルスタイルへ。実妹であり、歌姫“浜田麻里”を支えることができる、唯一の存在であることは間違いない。まさに日本が生んだ、天才姉妹だ。この二人のコンビネーションを超える歌声は、いまだかつて体験したことがない。
 
「M13. My Tears」が始まる。超メジャーシングル「Heart and Soul」のカップリングナンバー(※1988年のベストアルバム[シングル集]『Heart And Soul”The Singles”』の13曲目にも収録されている)だ。下手キーボーディスト、増田隆宣側にある祭壇に、Strings Quartetが再び登場し、バンド演奏に合わせてストリングスの優しさを加える。良く練られた吊りライトの照明プログラムも、楽曲の良さを引き出すことに一役買っている。エンディングの「Lala La Lala Lala Lala La La Lala~」では、会場の全員が心のペンライトを大きく揺らしている!まさに一つになる瞬間だ。そして「My Tears」の余韻を打ち砕くかのように爆音が鳴り響く。誰かが出てきた!世界のAKIRA高崎晃だ!LOUDNESSのギターヒーローが、まさかの登場!
 
高崎晃がギターを弾きはじめると、ステージ後方のスクリーンは、ステージをリアルタイムに映し出している。思わぬシークレットゲストに、会場からは歓喜の声があがっている。しかもゲスト出演であるにもかかわらず、LOUDNESSでの正装姿だ!アドリブで弾き倒すその姿に、思わず拳を上げてしまう。浜田麻里の作品には、過去何度か参加している高崎晃だが、最新アルバム『INCLINATION III』へも参加した経緯からのゲストであることは間違いない。もちろん始まったのは「M14. Historia」。『INCLINATION III』の1曲目に収録された新曲だ。まさにHARD ROCK/HEAVY METALの王道と言うべきナンバー。エッジの利いたギターサウンドに、浜田麻里の真骨頂であるハイトーンが舞う!これが素晴らしくなくて、何を素晴らしいと言えばいいのか!圧巻などという言葉では表せない、魂に響く、体を突き抜けるような衝動!
 
そのままギターアルペジオからの「M15. Stay Gold」。舞台外に映し出された神殿のような映像に、炎が上がる演出は、幻想的なイントロとのマッチングがバッチリだ。2010年に発売され、高崎晃も参加したアルバム『Aestetica』のオープニングナンバーなので、当然高崎晃もそのままギターをプレイ。神がかり的なオーラをまとい、ライトハンド奏法(タッピング奏法:ギターの指板上で弦を指で叩いたり引っかけたりして音を出す演奏方法)からのギターソロが凄い。国際フォーラムの天井を突き破るかのような「stay gold!」のサビは、さすがに誰もシンガロングできないが、会場の熱気はまさに昇竜の勢いだ! 高崎晃が手を振りながらステージを去ると、「M16. Tricky World」のイントロが流れ、手拍子の嵐が巻き起こる。『Blanche』の6曲目に収録された情熱的なメロディのナンバーへ。
 
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ハモンドオルガンのサウンドから「M17. Love Trial」。1985年発売のアルバム『Blue Revolution』の3曲目に収録されたナンバー。HARD ROCK/HEAVY METAL好きには、何十年経っても、この昂揚感溢れる構成がたまらない!続けて「M18. Time Againe」へ。『PROMISE IN THE HISTORY』の7曲目に収録された力強いナンバーだ。会場中が、どこもかしこも、頭を振っている!そして手拍子からの「M19. Momentalia」。2012年に発売された『Legenda』の2曲目に収録されたハイテンポなナンバー。上手側のギタリスト増崎孝司が、ステージ檀上を駆け上り、同じく上手側キーボーディスト中尾昌文と掛け合いを決める!「Shout! Shout to the top!」のサビでは大量の拳が、まるで一斉におじぎをするミーアキャットのようだ!
 
03そして「M20. Ilinx」へ。2005年に発売された『elan』の3曲目に収録されたナンバーで、最新アルバム『INCLINATION III』』の2曲目にもリレコーディングで収録されている。サビでは「カモン!」と何度もあおる浜田麻里だが、男性ファンの叫ぶ「Reincarnation !」が、口に手を当てたメロディ無視のアイドル声援的!「L.O.V.E.麻里ちゃ~ん!」と心の中は、紙テープがたくさん舞っているのは間違いない!曲のエンディングで、演奏は力強いキックの四つ打ち(バスドラムで1小節に4分音符が4回続くリズム:ドンドンドンドン)だけになり、ステージセンターで両手を大きく広げる浜田麻里。2008年に行われたデビュー25周年記念のツアーから参加しているドラマー、宮脇“JOE”知史の力強いビートの中で、彼女の張りのある声がこだまする!コール&レスポンスの「Wow ~」を楽しんだ後、彼女が口にしたのは「BLUE REVOLUTION !」
 
「ハイ!」「ハイ!」と会場の熱気を沸点まで持っていき、「1,2,3,4 !」のカウントを叫ぶ!「M21. BLUE REVOLUTION」がスタート!アルバム『Blue Revolution』は、ジャパメタ(JAPANESE HEAVY METAL)と呼ばれるシーンが、まさにブームのピークを迎えようとしている頃、ドンピシャに発売されたアルバム。そのタイトルナンバー「BLUE REVOLUTION」のインパクトは凄まじく、当時バンド活動に命をかけていた私は、行きつけのレンタルスタジオの各部屋から、「BLUE REVOLUTION~」のコーラスが聞こえてくるほど、流行っていたことを覚えている。そして弦楽器隊、上手ギタリストの増崎孝司、下手ギタリストの藤井陽一、ベーシストの山田友則がステージ前方に移動して会場をあおる!エンディングへ向けて会場が一つにまとまっていく!実に感動的なシーンだ。
 
大声援の中、キーボードサウンドだけをバックに、「Love me like fire~」と「M22. CALL MY LUCK」のサビを歌いはじめる!1988年に発売されたアルバム『Love Never Turns Against』の4曲目に収録された、少し切ないメロディのアップテンポなナンバー。もちろん会場はシンガロングの嵐!すでにセットリストは22曲目。まったく衰えない浜田麻里の歌声は、まさに驚異的!そして、いったいどれだけ名曲があるのだろうか。いくら聴いても観ても、まだまだ出てくる素晴らしいナンバーに心が揺れ動かされる!「CALL MY LUCK」が終わると、本編終了となり、浜田麻里とバンドメンバーは舞台袖へ。「麻里麻里!」のコールで、アンコールがスタート。登場した浜田麻里は、今までのセクシーなダークグリーンのワンピースから、ピンクのTシャツとショートパンツのカジュアルスタイルにチェンジ!どんな姿でもキマル!
 
手拍子から「M23. Heartbeat Away From You」へ。2007年に発売されたアルバム『Sur lie』のオープニングナンバー。浜田麻里とバンドメンバーが、一斉にジャンプ!スポーツタオルをクルクル回しながら大合唱!「一緒に探そう 明日がずっとずっと輝くよう」なんて、素敵すぎる歌詞だ!そのまま「M24. ALL NIGHT PARTY」へ。1983年発売のアルバム『Lunatic Doll〜暗殺警告』の6曲目に収録されたナンバー。当時『オールナイトメタルパーティー』というHEAVY METALイベントが、目黒鹿鳴館で開催されていたのだが、このナンバーを聴くとその頃の記憶がよみがえってくる。メドレー形式で、同じアルバムのオープニングナンバー「M25. NOAH」へ。30年以上前の楽曲なのに、色あせないのは凄い!激しい宮脇“JOE”知史のバスドラムが、より当時を想い出させる!ここでガラッと雰囲気が変わり1988年に発売されたシングル「M26. FOREVER」。アルバムでは『Heart And Soul”The Singles”』の9曲目に収録されていた。
 
ここで「パァーン」とキャノン砲発射!打ち出されたテープは、2F席まで届くのではないかと思うほど!「M27. Return to Myself 〜しない、しない、ナツ」がスタートだ!『Return to Myself』のオープニングナンバーであり、浜田麻里の最大のヒットナンバーとなっただけでなく、カラオケの定番中の定番ソング!として日本に定着したナンバーだ!2013年にフジテレビ『FNSうたの夏まつり』で、久しぶりにテレビ出演した彼女が披露したのも、このナンバー。「日本に“浜田麻里”あり!」と地上波で伝えるには、十分すぎるインパクトを残したと思う。本物のアーティストを求める音楽ファンが、若い世代に増えてくれることを切に願う。エンディングは浜田麻里のフェイクに合わせてバンドメンバーが演奏を引っ張る!アンコールがここで終了。彼女とバンドメンバーは、手を振りながら再び舞台袖へと戻る。
 

INFORMATION

●SUMMER SONIC 2014 出演決定!!
出演は8/16(土)東京公演。(東京会場:QVCマリンフィールド&幕張メッセ)。
☆詳細はコチラ ⇒ http://www.summersonic.com/2014/

 
4月27日東京国際フォーラム・ホールAでのライブがWOWOWで7月放送決定!
☆詳細はコチラ ⇒ http://www.wowow.co.jp/mari/
 
バンドスコア発売決定!!
デビュー30周年を記念して、バンドスコアの発売決定!!
掲載楽曲は特設サイト他からのリクエスト投票によってランキング上位曲が収載されます。
2014年11月頃、ドレミ楽譜出版より発売予定。
☆詳細は、特設サイトにて ⇒ http://www.songsnet.jp/hamadamari.html

鳴り止まない「麻里麻里!」コールに、ダブルアンコール!「楽しんで頂けましたか?」という浜田麻里に大きな、大きな拍手が送られる。そして今日の様子は、WOWOWで7月放送が決定とのお知らせ。これはうれしい!続くメンバー紹介コーナーでは、バンドメンバーを一人一人紹介する彼女。最後に紹介された上手ギタリストの増崎孝司がマイクを持つと、浜田麻里への30周年のコメントを話す。「30年あっという間で、僕が入ったあの時、あのまんま、何も色あせることなく(今日まで)来たと思います」「世界に誇る浜田麻里、まだまだ(これからも)行くぞ!」に会場は大興奮!マイクを再び持った浜田麻里は、最後のMCをファンに送る。揶揄されたり、批判されたりした事も多々あったが、ずっと一番の理解者であったファンに支えられたという話に、涙が出てくる。最後は、「これからの年月は、本当の意味で、一番大切なのかもしれません。どうか皆さん、私にお力を貸してください!」と頭をさげる。
 
さらに今夏の『SUMMER SONIC 2014(8/16)』への出演が決定したとの速報!今までいわゆる“フェス”への参加はしてこなかった彼女は、30周年の次へ向かい、走り出したのかもしれない!そして最後のナンバーへ。まさかデビューから30年経って、この曲を歌うとは思っていなかったと笑い、「ハイ!ハイ!」と会場をあおる彼女の姿は、30年前と何ら変わっていない!1983年発売のアルバム『Romantic Night~炎の誓い』の熱きオープニングナンバー、「M28. DON`T CHANGE YOUR MIND」だ。拳が!頭が!体が!激しく揺れ動く会場に、超ハイトーンヴォイスが響き渡る!有楽町の街から、国際宇宙ステーションまで届きそうな勢いだ!バッキングヴォーカルのERIとのサビの掛け合いに、鳥肌がMAX状態!この瞬間がたまらない!
 
04すべてのセットリストが終わり、ステージに並ぶバンドメンバー。ここで30周年記念のサプライズプレゼントが浜田麻里へ贈られる。今回の30周年記念ツアー中の写真を集めたモザイクアートだ。ツアーに来たファンやスタッフやバンドメンバーの写真で、浜田麻里を描いている。このようなプレゼントは、実行するのが物凄く大変なのだ。いかに彼女が周りから愛されているかの証だろう。最後はシークレットゲストだった高崎晃が、普段着でステージに登場。バンドメンバーと一緒に大きな拍手に包まれる。浜田麻里が、「ありがとう!」と手を振り、幕が閉じる。会場の客席照明がつき、夢の時間の終わりを告げる。現実に戻されても、強烈な余韻に体を動かすことができない。体力を使うROCKナンバーを、3時間で28曲歌っても、なお余裕があるほどの歌姫は、日本には彼女しか居ない。私はそう思う。
 
余韻にひたりながら、ゆっくりと客席から関係者エリアに移動し、軽く打ちあがる場にて待機。つい先ほどまで、大舞台で5千人を相手にしていた浜田麻里とバンドメンバーの登場を、スタッフが知らせる。緊張感から解き放たれ、全員が何かを成し遂げた時に輝く笑顔をしている。ROCK MUSICの歴史はまだ100年も経っていないのに、その中で30周年を迎えるという事は、本当に言葉では表せない重みがある。芯のある活動をしてきた彼女は、使い捨てと言われてしまう流行音楽とは違い、けして時代に流されない強さを持っている。彼女の歌声が持つパワーは、すべての人が一聴しただけでわかるだろう。時代を超えて愛されるというのは、つまり、そういうことだと思う。もっともっとリスペクトされるべきだし、もっともっと彼女を世界に知ってもらいたい。
 
後世まで、永遠に語り継がれるような伝説の女性シンガー、浜田麻里。私は彼女と同じ時代を生きている喜びを、今かみ締めている。
 
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◆浜田麻里 Official Site
http://www.mari-family.com/
 
 
◆SETLIST
M01. Fantasia
M02. FEARLESS NIGHT
M03. Emergency
M04. MISTY LADY
M05. Emotion in Motion
M06. RIGHT TO GO
M07. Nostalgia
M08. Paradox
M09. Heart and Soul
M010. Broken Glass
M011. SELF-LOVE
M012. Border
M013. My Tears
M014. Historia
M015. Stay Gold
M016. Tricky World
M017. Love Trial
M018. Time Againe
M019. Momentalia
M020. Ilinx
M021. BLUE REVOLUTION
M022. CALL MY LUCK
ENCORE 1
M023. Heartbeat Away From You
M024. ALL NIGHT PARTY
M025. NOAH
M026. FOREVER
M027. Return to Myself~しない、しない、ナツ。
ENCORE 2
M028. DON`T CHANGE YOUR MIND
 
 
◆浜田麻里 Tour Member
増崎孝司 (Guitars)
藤井陽一 (Guitars)
山田友則 (Bass)
宮脇“JOE”知史 (Drums)
増田隆宣 (Keyboards)
中尾昌文 (Keyboards,Sound Effect)
ERI (Backing Vocals)
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【特集】ROCK ATTENTION 26 ~浜田麻里~
http://www.beeast69.com/feature/79745