演奏

Love Me Do

TEXT & PHOTO:桜坂秋太郎

ゴキゲンなグラマラスロックを聴かせてくれるLOVE ME DO青木秀樹プロジェクト)。彼らが主催するパーティ『Glamorous Show-wa Night』が、2010年7月28日に渋谷lamamaにて開催された。LOVE ME DOは、あのカブキロックス青木秀麻呂(青木秀樹)率いるプロジェクトバンド。今年から新しいメンバーを入れて活動を再開した。メンバーは、灯り(Vocal)・青木秀樹(Guitar)・マーヴェ(Guitar)・リッチー(Bass)・ミッシー(Drums)の5人。

LOVE ME DOを始める前の青木秀樹は、廣野麗香と一緒にLOVE MISSILEというバンドで活躍していた。当時を知る人には、LOVE MISSILE青木秀樹と言った方がイメージできるかもしれない。そう、あれば90年代初頭。日本には“グラムロック四天王”と呼ばれたバンドがあった。四天王とは、THE YELLOW MONKEYすかんちMARCHOSIAS VAMPLOVE MISSILEだ。ビッグネームなので言わずもがなといったところだが、あれからもう20年近い歳月が流れた。



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“グラムロック四天王”の時代を思い出しながら開演を待つ。当時は私もまだ現役のバンドマンで、音楽一色の生活をしていた。あの頃は…。おや、いつの間にか開演時刻だ。ステージにアコースティックギターを持った二人が登場。『Glamorous Show-wa Night』を盛り上げるオープニングアクトはCARO。メンバーは、最鋭輝(Guitar & Vocal)とお嬢(Guitar & Vocal)。彼らはユニット名から想像できるようにGAROを中心としたトリビュートユニット。右足をあげてギターを抱えて歌う姿に、古き良き“昭和”のエッセンスを大量に感じる。二人のコンビネーションは抜群だ。

2バンド目はMILKEY SWEATが艶やかなステージを展開。歌物ロックの王道なサウンドを披露。3バンド目はマルベリーズ。以前も一度弊誌のレポートに登場したことがあるが、今夜もエンターテイメントあふれるショー構成だ。70年代にQUEENにどっぷりつかっていた頃を思い出させてくれる。歌謡的な歌メロも最高。バンドの転換時に“昭和”な頃を思い出す。『Glamorous Show-wa Night』とは、つまりはそういうことなのだろうか。

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さていよいよ今夜の主役LOVE ME DOの登場だ。オーディエンスのテンションも高まっている。LOVE ME DOは、LOVE MISSILEを継承したバンド。セットリストもLOVE MISSILEのナンバーが多く聴けるはずだ。メンバー全員がスタンバイして演奏スタート。いきなり「眠れぬロマンティック」!これにはオーディエンスも熱狂。サビはもちろん大合唱!ステージはグラマラスなロックオーラが全開!この華やかさはいったい何だろう。

続いて「Love Me Do」から「爪の先までI Love You」へ。青木秀樹は昔から作曲の才能を高く評価されていた。ツボをおさえた甘くポップなロックンロールは青木秀樹ならではのもの。多くのオーディエンスは腰を振っている。このグルーブ感がたまらない。今回のライヴから参加したリッチーのうねるベースがクセになりそう。エモーショナルなプレイスタイルの青木秀樹のギターが、絶妙にマーヴェのギターにからみつく。マーヴェはベーシックなギターパートを的確にこなしつつ、時おり鮮やかなフレーズを入れる。

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軽快なドラミングのミッシーと、独特のオーラをはなつ灯りが、ステージセンターからオーディエンスに熱い視線を送っている。LOVE ME DOのステージは本当にゴキゲンだ。それにしてもステージが妙に小さく見える。フロントのメンバーは全員ロンドンブーツ着用しているのだが、「パッと見、リッチーが一人だけ小さく見えるでしょ?でも彼はけして小さくない(笑)」という青木秀樹のMCに納得。何とリッチーでも190cmあって、他のメンバーは2mを超えているとか!グラマラス&ジャイアント!

しかも大きいだけじゃなく、全員見事にスレンダーな体型。そして足がむちゃくちゃ細い!これは素直にうらやましい。まさに“昭和”の少女漫画でしか見たことが無いようなビジュアルが、目の前に展開されている。いったいどのように体型を維持しているのか一度聞いてみたい。飯は一日に一度しか食ってないのではないだろうか。曲は「Shinin’ You」から「噂のLove Affair」へ。灯りがオーディエンスをあおる。前列のオーディエンスは激しく体を揺さぶりながら、歌詞を口ずさんでいる。

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ときめく気持ちを忘れてしまった昭和のオッサン(私)の胸に響く「この胸のときめきを」がはじまる。脳裏にはなぜか70年代の頃の日本が浮かぶ。『Glamorous Show-wa Night』を企画したLOVE ME DOの狙い通りだ。気がつくと演奏が終わり、メンバーが退場している。短い!これで終わりとは。もっと楽しみたい!というオーディエンスが必死に手を叩いている。私も手を叩いてアンコールを要求。せめてあと1曲は聴いて帰りたい。

メンバーがアンコールのためにステージへ。La.mamaの通路で試しに並んでみたら、驚くほどデカイ!ただでさえ小さめな私からは、見上げてしまうほど大きい。まさにグラマラス&ジャイアント!「Tell Me」でアンコールがスタート。オーディエンスは完全燃焼しようとステージに詰めかける。リズムを取りながらメンバーの姿を目に焼き付けている。滅多にないLOVE ME DOのライヴだから、思い残さないよう楽しんでいるのが私にも伝わってくる。

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私はカブキロックスLOVE MISSILEもリアルタイムだったが、LOVE ME DOを観るのは今夜が初めて。スイートなロックンロールと腰にくるグルーブは、70年代のグラムロックを通過した昭和のオッサン(私)には美味しいバンドだ。インテリなロックが流行る前は、ロックというのは体で感じる音楽だった。難しいことを抜きに楽しめる単純なものだった。特にグラムロックは、そのビジュアル要素が音楽以外のカルチャーにも大きな影響を与えた。

日本でいち早くグラムなセンスを取り入れたアーティストは沢田研二ジュリー)だろう。2008年に沢田研二の還暦コンサートを観たことがある。ステージを観て驚いたのは、60歳になってもグラマラスなオーラがあったことだ。LOVE ME DOを観て、青木秀樹にも、ぜひ還暦コンサートをやってもらいたいと思った。そのステージを想像しながらLa.mamaを後にする。もちろんそれは、グラマラス&ジャイアント!だ。

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■LOVE ME DO 公式サイト
http://www.lovemedo.cc/
■インフォメーション

2010年11月14日(日)【渋 谷】La.mama

■セットリスト
M01. 眠れぬロマンティック
M02. Love Me Do
M03. 爪の先までI Love You
M04. Shinin’ You
M05. 噂のLove Affair
M06. この胸のときめきを
M07. Tell Me(encore)