特集

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TEXT:株本和美

国内のロックシーンの最先端を駆け抜け、輝き続けるフロンティアたちの横顔に迫るインタヴュー特集「ROCK ATTENTION」。第48回に登場するのは、The HIGH。彼らは2017年7月19日にニューアルバム『Welcome To The Next World』をリリース。メンバーのhirono(Vocals / ex. LOVE MISSILEJulian)、Matty(Bass / Rama Amoeba)という日本のモッズシーン、グラムロックシーンで活躍し続ける2人に、Tomoaking(Guitar)とBenny(Drums)が加わり結成された4人組バンド。
 
2015年6月発売の『The HIGH』以来2年ぶりとなる今作は、セルフプロデュースで制作され、1960年代のスウィンギンロンドンのきらびやかさと1970年代のパワーポップのエッセンス、そしてTHE YELLOW MONKEYRED WARRIORSなどを思わせるジャパニーズロックの艶やかさを融合させた、バラエティに富んだロックアルバムに仕上がっている。
 
今作にはゲストミュージシャンとしてHICKSVILLE(ヒックスヴィル)やましまろのメンバーとして知られる真城めぐみ(Chorus)とアーバンギャルドおおくぼけい(Keyboards)が参加。デザインワークは元ザ・ファントムギフトのメンバーで、現在はサリー・ソウル・シチューの一員として活動するサリー久保田が担当した。
 
現在、The HIGHはアルバムのリリースを記念して、7月19日の東京・Zher the ZOO YOYOGI公演を皮切りに各地へ『We have no choice but to go tour』の真っ最中。そんな彼らに、インタヴューを敢行し、アルバム制作中のエピソードや、楽曲への思いなどについて、たっぷり語っていただいた。

The HIGH VIDEO


今回は、「こんなのもいいでしょ?」という気持ちで作りました。
—自己紹介をお願いします!

 
hirono:ヴォーカルのhironoです。OG(おうじ)って呼ばれてます。
 
Matty:ベースのMatty(マティ)です。
 
Benny:ドラムのBenny(ベニー)です。
 
Tomoaking:ギターとスイーツと歴史担当のTomoaking(トモアキング)です。
 

—2年ぶり、満を持してのセカンドアルバムが発売となりました。今回のコンセプトは?

 
hirono:コンセプトみたいなものは無くて、たまった曲を……ね(笑)。
 
Matty:すべて吐き出す!
 
Tomoaking:前作は割とコンセプチュアルだったけど、それに対して今回は、テーマは無くて、今ある曲の中のベスト、そういうイメージじゃないですか?
 

—セカンドアルバム、という事に対しての意識は?

 
hirono:ファーストアルバムの時は、自分達はこういうバンド、っていうのを意識してやる部分が多かったんですけど、もう少し楽に、自分達が本来持っているものを、「あれも出していいな、これも出していいな」という感じで、肩肘を張らない感じになっているのかな。本性がちょっと垣間見えていると思います(笑)。
 

—本性というと?

 
hirono:みんな好きな音楽もバラバラだもんね。もちろん“ロック”は共通して大好きだし、ロックの中でも“同じような音”が好きな仲間だと思ってるけど、それを更に細かく分類すると、ひとりひとり違うわけで。そこを、今までだと「う~ん、これはThe HIGHでやるという意味では違うな」と思う部分もあったけど、今回は、そういう色も出すようにしたってところかな。
 

—具体的に言うと、今回のアルバムではどのあたりにそれが垣間見えますか?

 
hirono:11曲目の「IFeelGoodTonight」。あれは、グラムロックっぽくてファーストアルバムには絶対に入らない感じだよね。でも、僕はもともとグラムロッカーだから、そういうのを否定することは無いと思ったし、メンバーも「やったら?」と言ってくれたので、レコーディングすることに。あと、10曲目の「BrandNewLittleCar」は、ロカビリーっぽいノリなんですけど、僕はロカビリーも好きで、これもファーストには入らなかっただろうね。モッドとロカビリーって、昔は仲が悪かったから。だけど、そういうのはこだわらなくていいかな、と思って、Tomoakingにもグレッチギターを弾いてもらって、そういう音作りにしたんだよね。
 
Tomoaking: そうそう。
 
hirono:そういうのはファーストには無かったコンセプトなので、今回は、「こんなのもいいでしょ?」という気持ちで作りました。
 

—そういうのを決める時は、メンバー全体で話し合う感じですか?

 
hirono:いや、全体ミーティングをするというよりは、ひとりひとりと「このフレーズがさ」みたいなことを話してる感じ。みんなもそういう感じで話してるんじゃない? そんな堅い会議はしなくて、毎週スタジオで会う時に話したりしてますね。

そういう意味では1曲目から12曲まで、ベストオーダー揃ったね。
—タイトル「WELCOME TO THE NEXT WORLD」にこめた思いは?

 
hirono:この曲が……というよりは、タイトルの“字面”に自信がありますね。今、こんな日本だから、自分の心の中にユートピアを作るしかないな、という思いです。それは、ジョン・レノンが昔からやっていることなんだけど、本当にそうしないといけない時代がきたな、と思ってそういう詞を書きました。それが、このアルバムを統括するワンフレーズ“WELCOME TO THE NEXT WORLD”だな、と思ってタイトルに。曲はたいしたことないけど!
 
Tomoaking:そんなことないでしょ! 曲もいいから(笑)。
 
Benny:イントロのインパクトはありますよ。僕らが共通して好きなところが、まさにあのイントロに出ているなと思います。それを、最初に“バン!”とみんなに聞いてほしいですね。曲としても自信があります。
 

—なぜこれが1曲目に?

 
Matty:前作から2年たったということで、色々考えなきゃならないこともあって。例えば、「Welcome To The Next World」や、「Sunday Tambourine」なんかは、ファーストアルバムの後、“デモCD”として会場限定盤で出してるんだよね。その流れで、すぐセカンドアルバムを発表すればよかったのかもしれないけど、やっぱり、ファーストアルバムをしっかり売りきってから次へ……というのはインディーズバンドにとって大切なことだと思っていて。
 
名刺代わりのファーストアルバムが、やっと人に伝わってきたかな、というところだったから。そんな中で、通過点だったデモCDがさらに広がり、アルバム2枚分つくれるくらいの曲数が生まれた中で、セカンドアルバムを作るとなった時に、アーティストの立場からすると新しいものを入れたがるんだけど、それはライブを見に来てくれる人たちや、俺たち自身が感じる新鮮味であって……。何十年後振り返って観たときに、流れとして一番いいのは、ファーストアルバムを出した匂いの中で生まれた曲たちが、主力を占めるのがいいんじゃないかな?と思ってたんだよね。
 

—良くも悪くもということでしょうか?

 
Matty:それでまあ「Baby I Love You」を主力でレコーディングしたんだけど、最終的に、キーとなる曲を何にしようか、となった時に、「Baby I Love You」ではなく、比較的新しい曲「We Had No Choice But To Do」 を活かす曲順ってどうかな、って。1曲目は「Baby I Love You」じゃ無くてもいいような気がしてきて。
 

—“デモCD”に入っている曲を改めて?

 
Matty:「Welcome To The Next World」は、“デモCD”の中では、「あ、新しいのが1曲出来たね」くらいの時期だったから、今のような完成度とは違っていて、今回レコーディングをしてみたら、ものすごくいいグルーブが出ていたんですよ。
 
Benny:うん。特にベースがいいよね。あれで曲が見違えましたね。
 
hirono:チューニングもちがうからね。この話をすると長くなっちゃうけど(笑)。A440っていうのは悪魔のチューニングなのね。それで、そうじゃないチューニングでやってみようってことになって、やったんだけど、みんなの耳はA440に慣れているから、ちょっと野暮ったい感じに聞こえちゃったんだって。前のデモCDのやつは。聞いてもらったらわかると思うんだけど、あの曲だけ、周波数が違ってて。それも含めて、メッセージだったんだけど、やっぱり緊張感がないんだよね。で、今回は普通のチューニングでやってるから、すごくキレが良いんだよ。今回のアルバムのほうは、人々に緊張感とか、興奮とかをもたらすチューニングになっているんですよ。
 

—そこはぜひ聞き比べてたいですね~。まさに、歌詞とピッタリの感覚をもった曲に仕上がったわけですね。

 
hirono:だから、今回のレコーディングは、ライブである程度磨いてきてる曲たちを、さらに磨いて出せばいいな、と思ってたんで、録っているときは、最大に良い状態を出すことしか考えてなかったかな。アルバムのためにアレンジをどうしよう、とかよりは、歌に気持ちを込めることしか考えてなかった。
 
Matty:極力、曲順の事は考えずに、どれが1曲目になっていいように、どの曲がアルバムに入ってもいいように、みたいな感じで。で、仕上がって、レギュラー争いをやらせるって感じ(笑)。
 
Benny:そうね。Matty監督的な。
 
Matty:ぶっちゃけ、アルバムから漏れた曲の方が好きだったりするけど、ベストオーダーは組めたと思う。それぞれの役割があって、全員4番バッターっていうわけにはいかないからさ。そういう意味では1曲目から12曲まで、ベストオーダー揃ったね。
 
Tomoaking:それに今回、音にはめちゃくちゃこだわりましたね。
 
Benny:うん、ドラムセットも、何台も変えてたしね。
 
Tomoaking:ギターも、何本も持ち変えたし、アンプも変えたし。ひとつひとつの楽曲が、一番際立ってキラキラ輝くように、それぞれにベストチョイスの音と気持ちを込めて全部録音していきました。その時点で、コンセプトとかはいい意味ですでに無くて。一番それぞれの曲がカッコイイ状態になるように作って、入れてCDにしようぜ、ってみたいな感じ。

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The HIGHです」って感じが、このアルバムを出したことによって言えるかも。
—楽器のチョイスについて。どの楽器があうか……などはすぐ選べるもの?

 
Tomoaking:まずは、その楽曲から発せられる匂いを感じて。例えば「Brand New Little Car」はロカビリーの雰囲気だからグレッチを弾こう、とか。逆に、ボックスとリッケンバッカーを組み合わせよう、って思う曲もあるし、これはゼマイティスがぴったりだって曲も。まずは匂いに合わせて、楽器を弾いてみて、実際に録ってみて、これで良いかそれとも別の方が良いのか、って言う感じで決めて行きました。「Baby I Love You」や「Go Away」とか、割とロックな感じの曲は、だいたいゼマイティスとブラックスターが主軸になってるかな。
 
Benny:今回は、エンジニアのマキノさんがドラマ―ということもあって、色々話をして。普段のライブでもドラム談義をしていたんですけど、僕とマキノさんの興味の行く矛先が爆発した感じですかね(笑)。終始、楽しくてヨダレをたらしながら参加してました(笑)。僕が思うに、The HIGHの楽曲って、曲ごとに、時代背景やロックの歴史がすごく見えるので、そこのイメージからドラムはこんな感じかな?ってチョイスをしてますね。普段だと、自分の持っている楽器の中でしかやれないけれど、今回はオールドのセットを借りられたりしたので、より自分が出したい音が具体的に表現出来たかな、というところで、かなりこだわることができました。まぁ、なかなかドラムの音だけで、違いに気がつく人は少ないかもしれないけど、自分であとから聞いても「良かったな」と思えるようなアルバムが出来たと思います。
 

—Bennyさんはパーカッションも担当されたそうで?

 
Benny:はい(笑)。実はラテンミュージック大好きで。Santana(サンタナ)から入ってるんですが、あの辺の音が大好きで、パーカッションを習ったこともありリズムパターンは知っているけれど、コンガとかは初挑戦だったので、事前にスタジオで自主練して挑みました。「We Had No Choice But To Do」のコンガに、ちょっと注目していただけたらと思います。
 

—タンバリンも“60年代のラディック”を使った箇所も。

 
hirono:そうだね。あのタンバリンは面白かったね。革が貼ってあるタンバリンなんだけど、当時の人たちは、あの革の部分を切り取っちゃって叩いてたみたいだけど、さすがに、借り物のビンテージなので、切り取るわけには行かないから(笑)。それでもいい音でしたね。
 

—前作から2年、その間「大きく変わったこと」、または「変わらないこと」はありますか?

 
hirono:そんなに大きく変わったことは無いと思いますね。
 
Matty:あ、でもジャンルレスになったよね。俺達はパンクです、モッズです、とかじゃなくて「The HIGHです」って感じが、このアルバムを出したことによって言えるかも。
 
Tomoaking:個人的に一番変わったのは、曲を作るときの過程かな。昔は、コードやメロディーを作ってスタジオへ行き、そこから広げていたのが、今回はギターのリフから生まれた曲が多くて「Baby I Love You」も「Fool Rule」も「Go Away」も全部そうでした。その影響かわからないけど、使うギターも“シングルコイル”と呼ばれるピックアップから、“ハムバッカー”に変えたんです。そういう点は、革命的に変わったな、と思います。
 
Benny:ファーストの頃から比べると必然的にメンバーみんなとの付き合いが長くなって、それぞれが好きな音楽やファッション、趣味趣向がそのままセカンドアルバムに詰まっている感じがするね。ちょっと欲張ってみたよ!それが良いかどうかは分からないけど、気に入ってもらえると良いな。

今回はそっちの匂いも出してみようかな、ってことで、こういうデザインになりました。
—曲作りは、メンバー全員がメロディーやリフを持ち寄りったものをスタジオで作り上げていき、最終的にhironoさんが歌詞をつけて出来上がる感じなんですね。

 
hirono:大体そんな感じ。
 
Benny:よく例えで言ってるのが、「リサイクル工場」(笑)。でも、みんな長い間音楽が好きでやってきてるから、リフとかを聞くと、「あ!こんな感じで行こうか」ってパッとイメージが湧くよね。
 
Tomoaking:「こんなお魚が手に入ったんだけど…」
 
Benny:「そりやぁ~刺し身だな!」って感じ。
 
Tomoaking:そう。さらに、料理人として引き出しが一番多いのがhironoさんで、「これならソテーがいいな」って。そこに、我々が「柚子をいれましょう!」とかワイワイ言うわけですよ(笑)。そして、歌詞がついて、曲が生まれるわけです。
 

—セカンドアルバムのアートワークはどなたのアイデアですか?

 
hirono:これはね、ジャケットどうしようか?って話してた時に、Mattyが「サイケっぽいデザイン、どう?」って最初に言ったのかな? それで、デザイナーとしても活躍しているサリー久保田さんにお願いしたら、引き受けてくれることになり色々相談しながら作っていきました。もともとThe HIGHは、モッズの匂いがするバンドだったんだけど、モッズバンドの行く末は色々あって、そのひとつにサイケ路線へ行くバンドもいるので、今回はそっちの匂いも出してみようかな、ってことで、こういうデザインになりました。
 

—収録曲にはサイケな楽曲も?

 
hirono:全然!(笑)しいていうなら、「Fool Rule」かなぁ。ジャケットだけ観て、「サイケなバンドかな?」って思って買わないで!(笑)
 
Benny:でも、「Welcome To The Next World」のイントロは、「おぉ?」ってなると思いますよ。その後「えぇ!?」って(笑)。
 
hirono:昔のサイケバンドはLSDとかキメて聞くイメージだったかもしれないけど、僕らはそういうのじゃないからさ。
 
Matty:俺の中のサイケは、ドラッグとかのイメージよりも、スウィンギンロンドンの67~8年くらいな感じ。例えば映画「オースティン・パワーズ」の時代背景とかのハッピーな感じのサイケをイメージしたんだよね。

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個人的には、一番新しいThe HIGH。ファーストにはなかったThe HIGHだな、と思ってます。
—そんなバラエティ豊かなアルバムですが、それぞれの曲にまつわるエピソードをお願いします。まずは1曲目「Welcome To The Next World」。

 
hirono:「Welcome To The Next World」は、Mattyが最初にベースラインを持ってきたのかな。歌詞については、数年前にフランスでテロが起きた時、facebookのアイコンをフランス国旗の色にするのが巻き起こったでしょう?あの時、自分も一日だけそうしたんだけど、「そうじゃない国の人の立場もかんがえよう」って意見があって。たしかにそうだ、と思って、じゃあ、どうすればいいんだろう、って考えた時に、勝ち負けとかどの国が正しいとか間違っているとかじゃなくて、自分の中に国を持ったほうがいいな、と思って、あの時期に書いた歌詞です。
 

—2曲目「Sunday Tambourine」については?

 
hirono:これもMattyが持ってきたよね?
 
Matty:天気のいい日、買い物に出かける時、パッとひらめいたやつだね(笑)。
 
hirono:だからジャクソン5のようなハッピーな感じにしたくて、タンバリンも入れて。あんまり悲しい曲でタンバリン、叩かないでしょう?楽しい象徴としてタンバリンをタイトルに付けたのかな。夏フェスとかで、頭にタオル巻いて踊ってるイメージ(笑)。
 
Benny:今時の曲と比べると、4つ打ちでコッテリしてると感じるかもしれないけど、それは僕らの表現として、楽しんでもらえたらいいですね。
 
Tomoaking:ハッピーしか詰め込んでません!リズムを感じながら弾いた曲かな~。シンプルに聞いて踊ってもらえたらいいな、って思います。
 

—3曲目「We Had No Choice But To Do」は、グッと大人っぽい雰囲気ですが。

 
hirono:これもMattyがベースラインを考えてきて。Marvin Gayeの「What’s Going On」みたいな(笑)。
 
Matty:みんなで「What’s Going On」を作ろうぜ~、ってセッションから生まれた曲だね。
 
hirono:歌詞にもある通り、オマージュなんです。「What’s Going On」という曲は当時ベトナム戦争のことを嘆いたんだけど、それがちょうど今の日本と重なっちゃって、戦争前夜のような空気があるから、そういうことも歌詞にいれつつ出来た曲です。個人的には、一番新しいThe HIGH。ファーストにはなかったThe HIGHだな、と思ってます。逆に、ファーストだったら俺はこの曲をやらなかったし、この曲は結構背伸びをしているけど、一番等身大なんじゃないかな。それは、自分たちがこうしよう、って決めたことじゃなくて、“生まれ落ちた曲”だと思うから、俺は、これ面白い曲だなって思ってる。

どこでカッティングを入れようかな……っていう気持ちよさがね(笑)
—hironoさん自身にとっても思いがけないことだったと?

 
hirono:そうかも。うん。
 

—コーラスワークも素晴らしいですね。

 
hirono:この曲には女性のソウルフルな声がほしいなって思っていて。レコーディングの前、昨年の8月にHICKSVILLE(ヒックスヴィル)と対バンする機会があり真城めぐみさんと知り合いまして。
 
Matty:うん。その前に、HICKSVILLEの機材車でThe HIGHのファーストアルバムを聴いた真城さんが気に入ってくれていて、「じゃあ次回、コーラスお願いします」「OK~~」って会話を……(笑)。
 
hirono:俺、その話を聞いた時、最初は“社交辞令”と思ってたの。真城さんがコーラスをやってくれたらいいな、っとは言っていたけど、それは本当に、“将来、ランボルギーニ・カウンタックに乗りたいな~”みたいな気持ちで(笑)。でも、本当にスタジオに真城さんが来てくれて……。
 
Benny:そうだった。HICKSVILLEと対バンしたあとくらいに、この曲が出来たんだったね。
 
Matty:それで、「HICKSVILLEが演ったほうがいいような曲が出来ちゃいました」って、真城さんに伝えたら「その曲ちょうだい!」ってニコニコしながら。そんな流れでコーラスを引き受けてくれたんだよ。
 
Benny:多分、みんな音楽やっててよかった~って思ったんじゃないかな?本当、すごかった!
 
hirono:Tomoaking、16ビートは楽しく弾いてたんじゃない?
 
Tomoaking:自分の得意分野だから楽しかった。もっと弾かせてくれ~っていうくらいカッティングしてるときが一番幸せだった(笑)。
 
Matty:大人はあんまり弾かないんだぞ(笑)。弾かなくなったら、もっと気持ちいいと思うよ。どこでカッティングを入れようかな……っていう気持ちよさがね(笑)。
 
Benny:俺も、「We Had No Choice But To Do」みたいなの好きだけど、こういう音楽を演る機会が少ないから、高校生くらいの子でもできることしか入れてないの。ロックンロールドラマーがやる、R&Bの表現ってところを意識したので、聴いてほしいな。
 
hirono:いうても日本人だから、ほんとに黒いグルーブは出ないからね。でもこれからの課題としてはアリかも。ただ、そこを目指しきっちゃうと、また難しいんだけど、視野にはいれてるかな。
 
Benny:今は多様化していて、昔みたいに閉鎖的な世界じゃないし、俺達にしか出来ないノリを出していきたいな。

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歌詞については、僕らを取り巻く危険なものについて書いてます。
—4曲目「Baby I Love You」は?

 
hirono:これはTomoakingがイントロのギターリフを持ってきて、そこから先は、スタタタってすぐ出来た!
 
Benny:(笑)プロセスがわからないくらい、早く出来たね。
 
hirono:基本、The HIGHの曲って出来上がるの早い!
 
Tomoaking:持ってきて、その次の週には、原型は出来る、って感じかな。
 
hirono:10代20代の頃は、家でメロディーなんかずっと考えていたんだけど、最近は、お酒を飲んでたら降りてくるんだよ。だから、俺の音楽は“神事”だから。神の言葉を降ろしてるの。
 

—お酒はお神酒ですね。

 
hirono:そう、お神酒。だからさ、酔っ払ってる人が歌っても歌いやすいように作ってるよね。酔っ払った人が作ってるから。
 
Benny:(笑)酔っぱらいだと歌えない曲もあるから。
 
hirono:でも、サビは簡単でしょ?子どもとかでも歌える、シンプルなサビがいいじゃん。そういうことも考えてるよ。
 
Tomoaking:リフも、“キャッチーでギター少年が弾きたいな”って思ってくれそうなイメージをぼーっと考えていたら、降りてきた。口ずさめるようなメロディーがいいな、って思っていたのを、hironoさんが感じてくれて、この曲ができたんだと思う。
 

—5曲目「Go Away」について。

 
Benny:最初Tomoakingがリフを持ってきたのかな?リズムはもっとアップテンポでSHAKE(SMALL FACES ver)みたいな感じでみたいでジャムったっけ?演ってるうちに、リフはそのままでテンポを倍にとって今のリズムパターンにしてみたら、今度はSMALL FACESじゃなくてFACESがやりそうだねってなって、そしたら楽しくなってきて、途中でリズムチェンジなんかも入れたいなーってなって来て、ギターソロでドカーンって……。
 
Matty:俺の中ではRonnie Laneでもあるんやけど、ちょっと新しめ(って言ってももうかなり昔だけど…)Reefの解放感ある感じのグルーヴを意識してベースのリフを作ったかな!! 最後の倍テンになる所の上昇フレーズは何故かGUNS N’ ROSESで出て来そうなフレーズを入れて遊んでみました(笑)。
 
hirono:サウンドはそうね~、FACESを意識しました。てか、Rod Stewartになりきって唄ったつもりです(笑) 。歌詞については、僕らを取り巻く危険なものについて書いてます。分かる人にはすぐ分かる内容だと思うんだけど、わからない人にとってはどうでも良い戯言なんだろうね……。 まあ、嘆きのブルースみたいな感じです。

ハッピーなイメージでリフを持ってきたんだけど、仕上がりは暗くなっちゃった(笑)
—そして、先程おっしゃっていましたが6曲目「Fool Rule」はTomoakingさんが。

 
Tomoaking:はい。「Shakin’ All Over」という曲を僕達はカバーしているんだけど、ああいうドンガラガッシャンな曲を作りたいな、って思った時に、フッと降りてきた(笑)。60年台のカレージとか、サイケデリックみたいな匂いをThe HIGHでやりたいな、っていうのがきっかけです。
 

—月並みな言葉ですが、グルーブがすごくかっこいいです。

 
Tomoaking:多分、みんな得意な分野だと思う。
 
Benny:そうだね。Tomoakinngから聞いた時、「いいね!」って言った。俺、めったに言わないんだけど。「このリフかっこいいね!」って(笑)。なんかブルースだし。
 
Tomoaking:Benny厳しいもんね(笑)。
 
Benny:それで、演ってたらhironoさんが神がかり的なメロディーが出てきて。これも出来上がるの早かったね。
 

—そして7曲目「Ruby Wednesday」について。

 
hirono:これは、Mattyだ。
 
Matty:そう、The Rolling Stonesの「She’s A Rainbow」とかも好きで、ハッピーなイメージでリフを持ってきたんだけど、仕上がりは暗くなっちゃった(笑)。
 
hirono:マイナーコード(笑)。
 
Tomoaking:虹が出る前に雨を。
 
Matty:そうそう(笑)。それと、バラードじゃない感じにしたかったんだけど、バラードになっちゃった。全然いいんだけど。
 

—レコーディングはスムーズに?

 
hirono:最初は、(歌の)湿っぽさのさじ加減が難しかったね。悲しく聞かせるテクニックはいくらでもあるけど、そういうのは使いたくなくて……。亡くなった人のことを思いながら歌ったんだけど、素直に歌えたと思います。

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“だらしなく歌う”のが、こんなにも難しいとは……。
—8曲目「Johnny’s Train」は、またゴージャスな印象です。

 
hirono:個人的には2番目に好きな曲で、いわゆるロックンロール(ちなみに1番は「We Had No Choice But To Do」)。The Rolling Stonesで言うと、ミック・テイラーが居た時代のような音楽がやれたらいいな、って思ってさ。うちはメンバーが4人だから、けい様(おおくぼけい)がキーボードで参加してくれて良かった。
 
Benny:Johnny’s Trainは、曲がいい。前、録音したときは「The HIGHに合うかな?好きな曲だけど、僕達がやる音楽かな?」って思って……好きだけど演奏するとなるのでは、別なのかな、というようなせめぎ合いを感じたことも。
 
hirono:え~?BennyThe Rolling Stones好きじゃん。
 
Benny:好きなんだけど、「俺ってそんな肉食かな?こんなの演っていいのかな?」って劣等感を感じてた(笑)。そんな中で、曲はいいし、これはみんなに聞いてほしいな、というところで、ちょっと負い目を感じつつ……。
 
hirono:遠慮しなくていいじゃん!
 
Benny:実を言うと、こういうことを思ってました(笑)。The HIGHになって、そういう音楽をダイレクトに演らせてもらうというのは、僕の中ではチャレンジになるのかな。
 
hirono:大丈夫だって!
 
Tomoaking:レコーディングではコーラスに苦戦しました。hironoさんから「だらしなく歌って」っていうリクエストが来て“だらしなく歌う”のが、こんなにも難しいとは……。個人的には一番大変でした。
 
hirono:Tomoakingは、きびきびしすぎなんじゃない?もっと遅刻とかしたほうがいいよ(笑)。
 
Tomoaking:遅刻なんてダメだよ!ダメダメダメ。
 
hirono:え~大丈夫だよ。
 
Tomoaking:結果的には、だらしなく歌えました!
 
Benny:そういうところ、音に出るよね(笑)
 
hirono:Mattyと足して2で割ったらちょうどいいんじゃない?
 
Matty:(笑)
 
Tomoaking:いやいや、Mattyさんは、真面目なところは“超真面目”じゃないですか(笑)。じゃあ、もうちょっとだらしなくなれるように頑張ります……。
 
hirono:お風呂とかもさ、入んないくらいがいいよ。めんどくさいもん。
 
Matty:お前ら小学生か!

俺は、そこまでワルじゃないからなんとかイキがってやってるんだけど、まだ足りない。
—気を取り直して……9曲目「Everybody!」は?

 
Matty:これは、俺。ネタだね。攻めるモータウンナンバー。
 
hirono:リズムでさ、同じフレーズをずっと弾くことで気持ちよくなるっていうヤツ。
 
Tomoaking:hironoさんのダンディーボイスがいい。
 
Benny:ぐっとこらえて、最期にドーンと出すみたいな。
 
Matty:これも真城さんのコーラスが効いてるね。ああいうちょっとした瞬間で存在感を出せるのはすごいね。
 
hirono:あの人の声は本当にすごい。
 
Benny:真城さんは不良だよね。
 
hirono:不良!指紋のように声にも声紋ってあって、俺はいい意味で、真城さんから“ワルの声紋”を感じるの。俺は、そこまでワルじゃないからなんとかイキがってやってるんだけど、まだ足りない。永ちゃん(矢沢永吉)の声とか聞くとさ~「すげぇ!」って思うもん。
 
Tomoaking:俺ももうちょっとワルになろう……。
 
hirono:Tomoakingは、逆に言ったら、ナレーションとかすごく合うと思う。
 
Tomoaking:え~!!!……やってみたい。
 
hirono:なんか、ネイチャー番組とか、日本の山奥の映像とかさ。
 
Tomoaking:(英国の)BBC放送さん、いつでもお待ちしてます。
 
Benny:あ、“BBC”って琵琶湖放送だ。
 
Tomoaking:そうなの!?もう琵琶湖放送でもいいです!四季折々、今年も春がやってきました……。
 
hirono:滑舌いいしさ、今度MCでやってよ(笑)。

Z

みんなを包み込むようなオーラを感じて、大好きになったから、ぜひセカンドアルバムに入れたいな、
—10曲目「Brand New Little Car」について。

 
hirono:Mattyが3コードのベースを持ってきたところから作ったんだ。
 
Matty:MudのTiger Feetみたいな曲がやりたいなって思って。
 
hirono:で、俺がロカビリーっぽくしちゃったんだけどさ。シンプルに車のこととか歌ったロックンロールです。
 
Benny:みんな大好物だよね。
 
Tomoaking:レコーディングでは、ギターもその匂いに思いっきり寄せて、楽しかった。
 
Matty:ファーストアルバムを作る時に、一度レコーディングしてみたんだけど、そのときは全然ノリが出なかったんだよ。
 
Tomoaking:本来の守備範囲じゃないこういう曲をやる時は、相当な理解と努力が必要で、この曲を録るために、Stray Catsを聴いたりして……。
 
hirono:Eddie Cochranelvis presleyとかね。本来は、僕らそっちのバンドじゃないから、そこを今回Tomoakingはすごく寄せてくれたな、って思ったよ。
 
Tomoaking:うん。Eddie Cochranみたいなルーツや、Stray Catsを聴きいて、そういう感じに弾くことはできるんだけど、10代からこういう音楽を聴いてきたわけじゃないから、そのままだと嘘っぽくなっちゃうじゃないですか。なので、そこは精一杯のリスペクトを込めて、自分にできる「Brand New Little Car」を弾きました。
 

—11曲目「I Feel Good Tonight」は、どうでしょう?

 
hirono:これは、何か新曲をやんなきゃってことで「The HIGHにあわないかな?」って思いながら持っていったんだけど、いいんじゃない?って言ってくれたので、出来た曲。それだけだね(笑)。
 
Benny:デモを録った時に、大好きになった曲。それまではね、僕の中でグラムロックってほとんど通ってなくて。グラムの人ってタイトなドラムだな、ってイメージしかなかったんだけど、デモを録ってみたらすごいいい曲だし、みんなを包み込むようなオーラを感じて、大好きになったから、ぜひセカンドアルバムに入れたいな、って思っていました!
 
hirono:今回のアルバムって、歌詞で観ていくとハッピーな曲って少ないんだけど、この曲のおかげで、本当に暗いアルバムにならなくてすんだな、って感じだね。

“はじめまして”の人がほとんどだと思うので、一緒に楽しい時間をすごしたいですね。
—物語で例えると「I Feel Good Tonight」がエンディング、な印象をうけます……。

 
Tomoaking:そして、12曲目の「One Piece」がエンドロール的な。
 
Matty:それは意識したかも。特に、「Ruby Wednesday」から後ろはね。
 

—では、ラスト12曲目「One Piece」についてお願いします。

 
hirono:これは、「Johnny’s Train」とちょっと似てる感じなんだけど、ロックンロールバンドがやるバラード、ってことで、寂しい感じが出せたらな、って思ってて。いや、思ってなくても寂しい感じがでちゃったんだけど、切ない失恋ソングですね。
 

—ご自身の経験が歌詞に反映されていたりするのでしょうか?

 
hirono:まあまあそうだね。
 
Tomoaking:hironoさんっぽい曲だな、って思った。
 
Benny:確かに。
 
Tomoaking:絶妙な哀愁をすごく出していて“hironoさんの哀愁”はリスナーとしてもメンバーとしてもすごく好きなので、それをプンプンに。なんだろう、男の哀愁ってやつがすごい出てて、キュンとする。
 
hirono:これはねぇ、だらしないバンドマンが好きな子と別れなきゃいけない歌なんだよ。好きな子と一緒になると、就職をしなきゃいけないでしょ?そこで、この人(歌の主人公)は、なんとか自分に言い訳をして、好きなんだけど別れなきゃいけない、っていう歌です!
 
Benny:「バンドマンあるある」ですね。
 

—最期に、現在『We have no choice but to go tour』の真っ最中ですが、ファンの皆様へメッセージを!

 
hirono:ツアータイトルを掲げての長い旅なので、これからまだまだ楽しみだし“僕は今やってる”っていうのが続くわけだからワクワクするね。
 
Benny:東北も久々に行くので楽しみですね。俺とMattyはラーメン食べるのも楽しみ。
 
Tomoaking:福島も初めてだし!あと、お城・神社仏閣、いくつ回れるか。
 
Benny:九州も、The HIGHとしては2回目だしね。すごく楽しみ。
 
Matty:hironoは小倉とか好きそうだね。
 
hirono:九州は、10代の頃、鈍行列車で行ったことあるな。当時、めんたいビートが好きだったからそれを観たいなーって思って、鈍行列車で博多に(笑)。途中、小倉のライブハウスに入って「博多のバンド見るぞ(博多じゃないんだけどね)」って思ってたら、群馬のバンドが出てた……。
 
一同:(笑)
 

—だるまビートだったわけですね……。

 
hirono:そう。ちなみに、俺が観た群馬のバンドというのはROGUEね。
 
Tomoaking:まあこれからいろいろな場所にライブへ行くわけですが、“はじめまして”の人がほとんどだと思うので、一緒に楽しい時間をすごしたいですね。
 
hirono:リーダー(Tomoaking)の優等生的なコメントで上手に締まりましたね!
 
一同:(笑)
 
hirono:でも、そうやってツアー先で色々経験して、思うことがあって、それがまた新しい曲を生むから、一生終わらないんだよ。それをまたレコーティングして、ツアーに出る…… ∞ 「Johnny’s Train」というのは、そういうことを歌ってるんだよ。お客さんも、同じだよね。好きなバンドのライブを観に行って、またお仕事して、家のことをして、ちょっとストレスがたまったらライブで発散して、ってね。だから同じ列車に乗ってるんだなぁって思うよ。

◆Member
hirono(Vocals)
Tomoaking(Guitar)
Matty(Bass)
Benny(Drums)

 
◆CD Information
“WELCOME TO THE NEXT WORLD” The HIGH
 
M01. Welcome To The Next World
M02. Sunday Tambourine
M03. We Had No Choice But To Do
M04. Baby I Love You
M05. Go Away
M06. Fool Rule
M07. Ruby Wednesday
M08. Johnny’s Train
M09. Everybody!
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