演奏

ROCK MUSICAL BLEACH the LIVE “卍解SHOW code:003”

TEXT:西川敦子 PHOTO:ヨコマキミヨ

『BLEACH』は、’01年より『週刊少年ジャンプ』で始まった連載漫画。’04年にはテレビアニメの放送もスタートし、劇場版も制作されるなど、大変な人気を誇っています。『BLEACH』がロックミュージカルとして舞台で初めて上演されたのは’05年。以来、公演を重ね、’07年にはミュージカルとはまた違った魅力が満載の『the LIVE “卍解SHOW”』が上演されました。その3作目にしてクライマックスである『ROCK MUSICAL BLEACH the LIVE “卍解SHOW code:003”』の東京公演がスタート。

ショーは、幕が上がる前からすでに始まっています。開演中の注意事項を伝えるアナウンスもキャストによるもの。端々に笑いを絡めて、オーディエンスのウォーミングアップにひと役買うと同時に、舞台への期待感を高めます。どうやらこのアナウンス担当キャストは日替わりの模様。いつ誰がどんなアナウンスで会場のテンションを上げてくれるのか。その日、そのとき、劇場にいた人たちだけが共有できるお楽しみです。

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そして、場内が暗くなっていくと…。劇場を包んだのは出演者のアカペラ。その声と暗闇を引き裂くようにギターとドラムが激しいビートを刻み、「The Dark of The Bleeding Moon〜紅く嘆く月の影〜」へ。オールキャストによるこの曲は、オープニングにふさわしい華やかさ! 曲終わりには黒崎一護(以下一護:伊阪達也)の「盛り上がっていくぜ!」というひとことが。そう、この卍解SHOWは歌と踊りがメインのステージ。オーディエンスは、立ち上がることこそ許されなくても、キャストと一緒に歌い、踊り…。観るだけでなく、舞台をともに盛り上げていくのです。

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ラインダンス風の踊りやオーディエンスとのコール&レスポンスも含まれている「ハレルヤ・グッバイ」のあとは、ミディアムテンポの「ゆずれないものひとつ」。前回の舞台でも歌われたこの曲では冒頭に「一緒に踊りましょう」との言葉も。客席にもステージ上にもペンライトが揺れ、キャストとオーディエンスとが一体となって、この曲を彩りました。

今回取材にオジャマしたのは本公演前に行われたゲネプロで、本来は観客はいないはず。が、今回客席には公式サポーターの方々が。ゲネプロを見学したサポーターが公式サイトにレポートをアップしたり、3人以上で劇場を訪れると特典がもらえたり。ステージ以外にも楽しい企画が満載の『“卍解SHOW code:003”』なのです。

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さて、レポートをステージ上に戻しましょう。朽木白哉(以下白哉:林修司)&四楓院夜一(齋藤久美子)の新曲「ままごと鬼事はかりごと」はピアノから始まるムーディな1曲。ステージ上はピンクに照らされ、頭上ではミラーボールも回ります。一転、次曲の「女性死神協会只今会議中」は女性陣5人がしたたかに。白哉を囲んで、女性が持つ目には見えない強さを歌います。そんな女性陣に負けじと、男性陣は8人で男性死神協会として男気を力強く歌い上げました。

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市丸ギン(以下市丸:土屋裕一)と東京公演にのみ特別参加した松本乱菊(井上晴美)、日番谷冬獅郎(以下日番谷:永山たかし)と雛森桃(以下雛森:齊藤未来子)による「べんから格子」、一護、朽木ルキア(以下ルキア:佐藤美貴)ぞれぞれのソロとふたりのデュエット曲「手をつなごう」を挟んでは、卯ノ花烈(以下卯ノ花:笠原弘子)と更木剣八(以下更木:鈴木省吾)のストーリーが綴られます。これは原作者・久保帯人氏の全面協力によって作られた原作にはないオリジナルエピソード。一護と更木の戦い後が描かれました。更木の心の叫びである新曲をはじめ、山田花太郎(村上耕平)のいじられっぷり、卯ノ花の癒しが堪能できるパートでした。

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開演前のアナウンスにみられるように日替わりネタも多く用意されている今作。そのひとつが「市丸ギンの“嘘”コンテスト」です。日替わりでいろんなキャストが過去にルキアと市丸が演じた名シーンに挑戦! ゲネプロでは日番谷&市丸、卯ノ花&吉良イヅル(以下吉良:北村栄基)、更木&冬獅郎がチャレンジました。そして、このコーナーの進行役・市丸の独断により優勝者が決定。「優勝者にはこの曲のメインをはっていただきましょう」と、「CATHARSIS OF ETERNITY」へ。この曲は市丸と東仙要(倉貫匡弘)のダンスも見どころのひとつです。

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『BLEACH』は、一護とルキアら死神、悪霊・虚(ホロウ)とのバトルをベースに展開する作品。舞台には、死神の世界で警察・軍事・治安などを担う護廷十三隊の隊長や副隊長、隊員が登場しますが、二番隊隊長・砕蜂(関根あすか)に仕える隊員たちが自らのやりきれなさをコミカルに歌ったのが「誰か教えてくれ第3章」。副隊長である吉良、雛森、阿散井恋次(森山栄治)、檜佐木修兵(郷本直也)や斑目一角(臼井琢也)らは、ビッグバンド・ジャズ風の「ハイリスクノーリターン」を。キャストがさまざまな組み合わせでバラエティに富んだ楽曲を次々に披露していきます。

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組み合わせの妙を楽しむのも一興。でも、やはり圧巻なのはオールキャスト揃っての曲。オープニングの「No Clouds in the Blue Heavens」「The Dark of The Bleeding Moon〜紅く嘆く月の影〜」で、終盤に配された「もう一つの地上・2010」「揺れるソウルソサエティ」で、本編ラストの「BLEACH」で。それを実感させてくれます。なかでも正統派ロックナンバーの「揺れるソウルソサエティ」は、刀を持ってのパフォーマンスも加わり迫力満点! ゲネプロを見学していた公式サポーターたちのテンションも上がりっ放しでした。

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「BLEACH」で一旦は幕を下ろした『“卍解SHOW code:003”』。でも、これだけでは終わりません。客席からわき起こった手拍子に誘われ、もう1曲。このカーテンコールならぬアンコールでも、オーディエンスを巻き込んでともに盛り上がりました。

歌とダンスはもちろんのことながら、曲と曲をつなぐちょっとしたお芝居、殺陣、アクロバット、オリジナルエピソードなど、いろいろな要素が詰め込まれた卍解SHOW。親しみを込めて本作品を「ブリミュ」と呼ぶ舞台ファンも、原作ファンも、キャストのファンも、音楽ファンも…。どんな人にも楽しめるライブショー、それが『ROCK MUSICAL BLEACH the LIVE“卍解SHOW code:003”』!

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[お知らせ]
本公演を収録したDVDの発売が決定!

発売日5月20日(予定)
価格:7,140円(税込)

詳しい情報はこちら!



[公演情報]
『ROCK MUSICAL BLEACH “卍解SHOW code:003”』

キャスト伊阪達也佐藤美貴森山栄治永山たかし土屋裕一林修司齊藤未来子北村栄基臼井琢也村上耕平齋藤久美子倉貫匡弘郷本直也関根あすか笠原弘子鈴木省吾井上晴美(東京公演のみ) ほか


原作久保帯人『BLEACH』(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)

スタッフ井関佳子(脚本・演出)、堤泰之(プラチナ・ペーパーズ/監修)、玉麻尚一(音楽) ほか


制作:ネルケプランニング
主催:BLEACHイベント委員会(ぴえろ・集英社・テレビ東京・電通)
公式サイトhttp://rm-bleach.code003.com/

(C)久保帯人/集英社・テレビ東京・dentsu・ぴえろ
(C)BLEACHイベント委員会2010