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TEXT:西川敦子
今回紹介するのは、そのロックミュージカル。しかも! ミュージカルにおけるひとつのジャンルとしてロックミュージカルを確立・定着させた『Hair』と並んで、その代表作とうたわれる『RENT』です!! 『RENT』が初めて上演されたのは、1996年のオフ・ブロードウェイ。2か月後には早くもブロードウェイへ。そして、大成功を収め、2008年9月に幕を下ろすまで連続上演5140回を記録し、歴代9位のロングラン公演となりました。
ロックミュージカルの代表作といわれる『RENT』ですが、じつは使用楽曲はバラエティに富んでいます。ロックンロールからバラード、チャチャ、ディスコミュージック、タンゴ、ポップ、R&B、ゴスペル、フォーク…。これら42の楽曲がキャストによって歌い上げられるのです。ありがちなミュージカルのイメージ=突然歌い出す。これも『RENT』にはあてはまりません。セリフは曲中にちりばめられ、音楽がない時間など存在しないといっても過言ではないかも。たたみかけるように次から次へと歌われるさまざまな楽曲。それを聴くだけでも十分に楽しめる作品です。
そんなふたりが過ごすとあるクリスマス・イブの夜。夢はあってもお金がないふたりのもとにはレント(家賃)を催促する大家・ベニー(白川裕二郎)からの電話が。さらにふたりの友人である哲学者のコリンズ(米倉利紀)からも。コリンズもまたHIVに感染しており…。そんな彼らの現状を奏でるのが、 ロックナンバーの「Rent」。
ロフトでは、死ぬ前に後世に残る曲を作りたいという夢を「One Song Glory」にのせて語るロジャーの前に、階下に住むダンサーのミミ(Jennifer/ソニン ダブルキャスト)が現れます。 ミミはセクシーなロックナンバー「Out Tonight」で、「連れ出して」と訴えますが…。ミミに惹かれながらも、HIV感染者であることから素直になれないロジャー。ロジャーとミミが歌う「Another Day」では、ミミを拒否するロジャーに対して、ミミが「No day but today」と語りかけるように歌います。この「No day but today」は、「過去も未来もない。今日を精一杯愛し、生きる」という『RENT』の主題ともいえる言葉です。
モーリーンの抗議ライブのあと、カフェに集ったマークやロジャー、ミミ、コリンズ、エンジェル、モーリーンたち。そこでミミもまたHIV感染者であることがわかり、ようやくお互い素直な気持ちになって恋人同士になるロジャーとミミなのでした。 時は流れ、ぞれぞれ新しい生活を始めたマークやロジャーたち。ロジャーとミミ、コリンズとエンジェル、モーリーンとジョアンヌ。この3組の仲は? 映像作家を志していたマークは? そして、やがて巡ってきたクリスマスイブ。2度目のクリスマスイブの日、彼ら・彼女らを待っているのは…。
【囲み会見レポート】
![]() 米倉:濃い毎日を今日まで過ごして来ました。初日を迎えるにあたり、稽古が大変すぎて初日な気分がしないというか。稽古では、セリフひとつにしても、コリンズのセリフではあるんだけれども、そのなかにいるリアルな米倉利紀の気持ちを感じたいっていうのを毎日言われていたような気がします。で、稽古を重ねていくと、稽古を離れてもそれぞれが演じているキャラクターの人生を歩んでいるかのような状態に変わっていき…。『RENT』というお話自体がすごくリアルなので、そこに生きるボクたちということで、お稽古以外の時間もすごくRENTな時間を過ごして来られたかなと思ってますね。 福士:疲れていないといったらウソになるぐらい濃密な稽古でした。連日連夜、細かいところまで詰めて、できるだけみなさんに伝わるように。稽古では、存在感っていうのをけっこう言われましたね。ひとつひとつの言葉をウソなく言えるような存在感。マークという人物を、架空の人物ではなく実際にいると思わせてほしい、と。ボクらがウソの気持ちでやってしまうととても軽いものになってしまうし、お客様にもそれがわかってしまうので、言葉じゃない、見えない何かを存在させていかないと。(東京公演は)60回という長期公演なので、体調に気をつけたいですね。 ソニン:本当に内容が詰まっている作品なので、稽古をやってもやってもたりなくて。もっともっとよくしようとみんなの意見がつねに飛び交ってる稽古場でした。明日初日なんですけども、今私にできることは仲間を信じること、自分を信じること。『RENT』はその人そのものが出ないとウソがバレてしまう作品なんですよね。だから、本来の自分自身っていうのはホントはなんなんのかをすごく考えさせられた作品で。自分と向き合うことに一番苦労しましたね。でも、そうやってステージに立ってお客様にそのエネルギーを感じていただけるように頑張るしかないなという気持ちです。精一杯頑張ります。 Anis:ヘビーな稽古で、こんなにボロボロになってていいのかなと思うぐらいなんですけど。稽古中は演出家さんから毎日、言ったことを信じさせてくれって言われてましたね。共演者とは、休憩中や稽古が終わったあとも『RENT』をテーマに話すことが多くて。それ以外の話はあんまりしてないんじゃないかっていうぐらい。本当に『RENT』の話ばっかりしてましたね。濃い稽古でしたし、素晴らしいキャストとスタッフでやってきたんで、明日初日の幕が開くのが楽しみです。ぜひ遊びにきてください。
~公演情報~『RENT』
キャスト:福士誠治、Anis/Ryohei、米倉利紀、Jennifer/ソニン、中島卓偉/田中 ロウマ、Shiho、キタキマユ/Miz、白川裕二郎 ほか 公演日程: 問い合わせ: オフィシャルサイト:http://www.tohostage.com/rent/ |