過去にRADWIMPSや藍坊主を輩出し、今年で11回目を迎える高校生バンドコンテストの草分け的存在「YHMF(ヨコハマ・ハイスクール・ミュージック・フェスティバル)」に密着する連載「YHMF熱血現場最前線!」。BEEASTではオフィシャルメディアとして、タイトル通り現場の最前線を毎月お伝えしていきます。
連載4回目となる今回は、6月20日から7月11日にかけて行われたライブ選考の模様をお届します。まず、YHMFの選考方法を改めて確認しておきましょう。
◆4月頭~5月下旬 エントリー(音源を送る。高校生ならバンド/個人、ジャンル、居住地域不問)
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◆6月頭 音源審査(高校生スタッフにより選考。約60組が通過)
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◆6月下旬~7月上旬 ライブ選考(高校生スタッフと各会場の専門学校特別審査員により選考。19組+京都ライブキッズからの特別選考1組の計20組が通過)
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◆8月10日 横浜アリーナでの決戦大会(グランプリ、優秀賞、特別審査員賞などが決定)
ライブ選考は4日間にわたって都内の音楽系専門学校を舞台に行われます。各バンド1曲を披露し、高校生司会者との掛け合いや専門学校の特別審査員による講評があります。このライブ選考のうち、BEEASTでは最終日の11日を取材しました。
午後1時半、会場となる日本工学院専門学校蒲田キャンパスに出場者が全組そろい、オリエンテーションが始まりました。ちなみに高校生スタッフは朝10時半から会場入りし、仕込みは万全!
この後、6階のステージで各バンドのリハーサルが始まりました。黒いTシャツでそろえたステージ班スタッフたちが、各楽器の演奏者の背後に張り付いて、音の具合やマイクチェックを入念に行います。サブからは時折、大人スタッフによる厳しい声も飛び交います。
一方、リハーサルを終えたバンドは3階のスタジオに移動し、決戦大会用のアーティスト写真の撮影に臨みます。撮ってくれるのは、やはりYHMFの高校生スタッフ。POMの撮影シーンに潜入しましたが、出演者たちの緊張をほぐそうと、終始和やかモードで、笑いが絶えることはありませんでした。
ちなみにPOMは先日「ロック1年生 エントリーNo.13」でご紹介したHALUさんが所属するバンド。メンバーは川崎市内の同じ高校に通う3年生4名です。写真の表情とは対照的に、「昨晩は緊張して眠れなかった」と正直な胸の内を明かしてくれました。
さて、6階の会場に戻ると、入口前のロビーでは入念に練習する司会班のスタッフを発見。彼女たちも、今日の出来によって横浜アリーナのステージに立てるかどうかがジャッジされます。
午後4時過ぎ、最後のバンドのリハーサルも無事に終わり、いよいよ開場です。早くも多くのお客さんで入口がごった返しています。
そして午後4時半、ライブ選考最終日が開幕。前半の司会を務めるのは、先ほどロビーで練習していた橋野佳文さん(高2)と廣田なつ希さん(高1)。同じ学校の先輩後輩のコンビで進行していきます。
この日出演するのは12組。前半は、「ボーカルの声が魅力的、伝わるものがある」と審査員が絶賛するMother blanketや、独特の雰囲気とステージアクトがインパクト大のThe Lerners、ジャズの王道、「Spain」(Chick Corea)のカバーに果敢に挑戦したGive Me Two Wolvesなど、いずれも甲乙つけがたい実力派揃い。
あっという間に1時間が経過。司会が大島つむぎさん(高2)と新井水彩さん(高1)にバトンタッチし、後半はHALUさんから。先日の路上ライブでも披露してくれた「君のピアス」を熱唱。力強い歌声が響きます。
その後もギターとベースの男臭い二重奏がたまらないメタル系のWelting Clockや、パワフルな女性ドラマーが審査員からも高評価だったu.n.k.、さらには宮城県からビデオ審査で2組が参加するなど多彩な取り合わせが続き、思わずシャッターを切るのを忘れて聞き入ってしまいます。
あっという間に14組の熱演が終了。審査の間、日本工学院ミュージックカレッジの卒業生バンドであるコールドバンドバンクが登場し、会場を沸かせます。ちなみにボーカルの石田駿さんはYHMF2005年大会に出場しています。そして、今日の特別審査員を務めた日本工学院ミュージックカレッジの広瀬眞之先生からの総評があり、ステージにはYHMF2010の金子雄平委員長が登場。手に持つのは審査結果です!
4日間のライブ選考出演者の中から、決戦に進むバンドをひと組ずつ紹介していきます。その都度、会場からは歓声が挙がり、また決選進出を称える拍手が沸き起こりました。
全19組の発表が終了。歓喜する面々がいれば、また一方では悔しさをにじませながら足早に会場を去る面々もいたり、そして異なるバンド同士が競演者として互いの健闘を称え合い、握手する様子も見られました。さらにはOBと思われる観客たちがスタッフと談笑しているのも、YHMFならではの光景。
さて、今年のYHMFでは「出演バンドのレベルアップ」を課題の一つに上げていた金子委員長。ここまでを振り返ってどんなことを感じているのか、話をうかがいました。
どの会場も僕好みのアーティストがそろっていました。優劣はなかなかつけ難く、僕を含め選考班一同苦戦を強いられましたが、単純に見ていて楽しかったというのが本音です。接戦の末に勝ち上がった20組にはそれ以上の期待がもてます。ただしここで満足するのではなく、決戦大会当日のギリギリまで腕を磨いて、最高の状態でアリーナのステージに臨んでほしいと思います。 決戦大会にはスタッフも出場者もアツい思いを抱えてやってきます。僕はそれを全て受け止め、そしてお客様にそれを放出することが役目だと思っています。お客様が帰る時、出場者が演奏を終えた時、スタッフが解散する時、そして僕自身が「楽しかった!」と言える、そんな決戦大会にしてみたいと思っています。まだやらなければいけない仕事が山のようにありますが、一丸となって最高の決戦大会にするために頑張りたいと思います!
8月10日(火)@横浜アリーナ
OPEN: 12時00分 START: 13時00分 入場無料
・ジェニー(神奈川県大和市)
・大石晴子(横浜市都筑区 )
・♭Note(横浜市保土ヶ谷区)
・MASK.(横浜市南区)
・Saku(横浜市緑区)
・TARANTonS(東京都渋谷区)
・NEWT(東京都江戸川区)
・コビトイルカ(東京都北区)
・経験II(川崎市高津区)
・Blanc-Bec(横浜市港北区)
・Sp@rky(川崎市宮前区)
・GREEDY CLOBER(茨城県水戸市)
・妄想エンペラー(千葉県船橋市)
・ザ・レトロ(横浜市旭区)
・X-24(東京都東村山市)
・Tinks of Crane(大阪府東大阪市)
・Mother blanket(千葉県船橋市)
・The Learners(神奈川県藤沢市)
・Re,birth(東京都世田谷区)
・Dodico(大阪市住之江区)※京都ライブキッズVol.20より
◆司会者6名も決定!
・早川 亜李彩(高3)
・山田 萌子(高3)
・橋野 佳文(高2)
・先間 亜図夢(高3)
・新井 水彩(高1)
・木村 カレン(高1)
◆オープニングアクト
オープニングアクトは、私立横浜創英高校バトン部「BRIGHTS」によるパフォーマンス。また、ゲストには昨年度グランプリのNEONが登場。さらにはYHMF2007グランプリのAnyがこの秋メジャーデビュー決定という嬉しいニュースを引っ提げて、横浜アリーナに帰ってきます!昨年より新設されたHair & Make部門にも期待!
◆YHMF公式ホームページ
http://www.sunphonix.co.jp/yhmf/