連載

YHMF熱血現場最前線!

熱血1
TEXT & PHOTO:鈴木亮介

YHMF(ヨコハマ・ハイスクール・ミュージック・フェスティバル)というコンテストをご存知でしょうか。2000年からスタートし、今年で11回目を迎える高校生バンドコンテストの草分け的存在で、決勝の舞台はなんと“横浜アリーナ”。過去の入賞バンドにはRADWIMPS藍坊主といった今をときめく人気バンドが名を連ねています。しかもYHMFの特長は、大会の企画・運営やバンドの審査までが地元・横浜を中心とする高校生たちを中心に行われているということです。

連載「ロック1年生」や「JYOJI-ROCK」などを掲載し、高校生のロックライフも応援するBEEASTでは、今年のYHMFに密着し、8月の決勝大会までの道のりを定期的に追いかけていきたいと思います。記念すべき第1回は、YHMFの歴史や舞台裏、今年の活動内容などYHMFの「基礎」を知るべく、今年の委員長を務める金子雄平君(市立みなと総合高校3年)に話をうかがいました。

—YHMFはいつ頃始まったのですか?立ち上げた経緯なども教えてください。

金子:YHMFは横浜市主催の高校生バンドコンテストで、2000年から横浜アリーナを舞台に始まり、今年で11回目となります。元々は『ホットウェーブ』という高校生の大きな大会が横浜スタジアムで開催されていたのですが、スポンサーが撤退したために中止になってしまいました。それでも大会をやってほしいという要望が横浜市に多く寄せられたため、新たに立ち上げることとなりました。2000年の大会では藍坊主が準グランプリを受賞、また2002年にはRADWIMPSがグランプリに輝きました。最近はRADWIMPSの皆さんがホームページでYHMFを紹介してくれていることもあり、応募バンドが増えています。

—どのくらいのバンドor個人が出場するのですか?

金子:応募は曲単位で300曲ほど送られてきます。そこから60組に絞って、6月下旬から7月上旬にかけて都内の専門学校を舞台にライブ審査を行い、厳選された20組が横浜アリーナで行われる決勝に進出します。

—ここだけの話、音源審査を通過するポイントは何でしょう?

金子:審査基準は幾つかあるのですが、それは秘密ということで…。審査は10人ほどのメンバーで行います。一番大切な要素としては、横浜アリーナで盛り上げてくれる演奏かどうか、という点ですね。でも、あまり審査ということにとらわれず、高校生で意欲のある人なら誰でも応募してほしいですね。バンドでも、個人でも、編成は問いません。過去には海外からの応募もありました。横浜に限定しているわけではないので、全国どこからでも応募してほしいです。

—ところで、YHMFの特長の一つに、高校生がスタッフも行っているという点が挙げられます。これは第1回大会からずっと行っているのですか?

Photo金子:はい。YHMFが発足した2000年からずっと続いています。音響など専門の範囲に関してはプロの人に任せていますが、例えばロビーの受け付けやローディー(楽器の転換)などは、研修を受けた上で高校生が行います。また、デモテープ審査やライブ審査など、選考に関してもすべて高校生が行っています。

—スタッフはどのくらいいるのですか?

金子:毎年300名ほどいます。年々高校生のネットワークが広がって行って、「昨年やったけど今年もやりたい!」と継続して参加してくれるスタッフが増えました。

—300名!すごい数ですね。どのように集めているのですか?

金子:県内の練習スタジオなどお店を回ってチラシを置いてもらっています。ただ、何より多いのは口コミです。友達同士でやろうよ!と声を掛け合って、集まってくる事が多いです。

—スタッフとしての苦労/やり甲斐はどのような事がありますか?また、金子委員長がYHMFを知ったきっかけも教えてください。

Photo金子:僕自身もドラムをやっているのですが、YHMFは学校の軽音楽部の先輩が応募したのがきっかけで知りました。去年は運営管理班という一番裏方の仕事を担当していました。決勝大会当日は、お客さんを誘導したり、出場者にお弁当を配るといった仕事なので、あちこち動き回ってとても疲れました…また、スタッフミーティングでは高校生が皆熱い思いでやっているので、時に意見がぶつかることもありました。でも、気持ち良く終わりたかったので、皆の不満を解消させていくのにも気を配りました。とは言え、そうした辛い経験があってこそ、楽しさが感じられるのだと思います。自分たちで作り上げてきた決勝大会が拍手で幕を閉じて終わった時の満足感は忘れられません。それがあるから次の年もやりたくなるのだと思います。

—委員長ご自身が今年の課題として挙げていることはありますか?

Photo金子:実は、近年出場バンドのレベルが下がっているという指摘がありました。選考が甘くなっているのかもしれません。だから、今年は出場バンドのレベルを上げたいと考えています。そのために、広報をしっかり行い、より多くの高校生にYHMFを知ってもらい、より多くの高校生にエントリーしてもらいたいと思います!

 

Photoイベントは、裏方スタッフはもちろん、司会も高校生スタッフが務めるそうです。希望者を集めて事前に研修を行った後、4回あるライブ選考で実際に司会を務めてもらい、その出来具合をスタッフ内で審査して、決勝で司会する人を決めるそうです。何ともシビアですが、裏を返せば「高校生だからこんなものか」という妥協を一切せず、良いものを追求していく姿勢が表れていると言えます。また、それは彼ら自身にとっても得がたき貴重な経験と言えるでしょう。

金子委員長は、「ここに来ると皆違う学校の子なので、自分の学校の中だけの交友関係とは違うネットワークが広がった」と話してくれました。これもYHMFの大きな魅力の一つですね。

Photoちなみに、YHMFでは高校生スタッフの活動時間を19時までと定めています。ただでさえ忙しく、また居住地域もバラバラな高校生にとっては厳しいのでは?と思いましたが、金子委員長曰く、逆に19時までと決められていることで、ダラダラせずに、目的を持ってテキパキと行動できるそうです。時間の使い方がうまくなりそうですし、ちゃんと学校の勉強や各自の趣味の時間も取れるので、親御さんの立場からしても安心です。大会前日や当日に関しても例外なく19時までしか活動できないので、前日の会場設営などは、かつて高校生だったOB・OGたちがサポートしてくれるそうです。

既に、今年の大会は実行委員会が3月に発足し、4月頭よりスタッフおよび出場者のエントリー受け付けが始まっています。10周年を機に、昨年からはヘアメイク部門も募集が始まりました。活動の中心は横浜ですが、高校生で熱い思いを持った人なら居住地域は問わず誰でも参加してほしいとのこと。YHMFホームページにて4月28日まで受け付けています。君もスタッフに参加してみては??

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【YHMF公式ホームページ】
http://www.sunphonix.co.jp/yhmf/

【YHMF2010の主なスケジュール】
3月頭
・主要スタッフ始動
・委員長の選抜
※委員長は無記名投票を行った後、その結果をもとに前年の委員長らが誰を委員長にするか最終決定

4月頭~
・スタッフ募集開始
・出場者募集開始
※いずれも高校生であることが応募条件

4月29日
・スタッフ決起大会

5月~
・ステージ、司会研修

5月29日
・出場者募集締め切り

6月上旬
・音源審査
※2日間かけて行う

6月20日~
・ライブ審査
※都内4か所の音楽系専門学校にて行う。計60組が出場

7月29日
・スタッフ全体ミーティング

8月10日
・決勝大会
※横浜アリーナにて