連載

ロック社会科見学 ステージ3★ロックレコーディングエンジニア編!

「バズーカスタジオ」内藤エンジニアに突撃取材!
TEXT&PHOTO:桜坂秋太郎

『ロック社会科見学』第三弾は、レコーディングエンジニアのお仕事をご紹介!私たちが聴いているアーティストの音源は、すべてレコーディングという作業を経た成果物です。レコーディングという作業は、アーティストの生命線と言いかえることができるかもしれません。

今回お邪魔するのは「バズーカスタジオ」。このレコーディングスタジオは、エンジニアを数多く抱えていることでも有名なスタジオです。その中でもビーストと深い関わりのあるアーティストを担当している内藤エンジニアにお話をうかがいます。プロフィールを見ていただければ、内藤さんの担当した輝くキャリアがわかります!

「バズーカスタジオ」は都内各所にスタジオがありますが、内藤さんのメインスタジオである練馬区の某所にあるところへ車を走らせます。「バズーカスタジオ」の特徴として、どのスタジオも看板が一切ないため、住所だけを頼りに探します。まるで秘密基地のようなスタジオで、インタビューをスタート。

Photoレコーディングエンジニア
内藤輝和プロフィール

1974年生まれの横浜出身。手がけたアーティストは、ANTHEM・DOUBLE-DEALER ・Concerto Moon・THE POWERNUDE・BLINDMAN・XYZ→A・人間椅子など。ハードロックが大好き。アーティストに喜ばれるエンジニアを目指して活躍中。ハードロックミュージシャンからの信頼は絶大で、指名が絶えない。超人気のレコーディングエンジニア。

—はじめに、レコーディングエンジニアになった経路を教えて下さい。

Photo内藤:もともと音楽に興味があって、楽器もやっていました。音楽の専門学校に行って音楽の仕事をしようと考えていましたが、色々あって一時期音楽から離れていました(笑)違う仕事をしていましたが、また音楽に戻ってきたような感じです。その時は27歳くらいでしたね。「バズーカスタジオ」に飛び込んで、この仕事をするようになりました。マネージャーがロック好きな人で、運よく使ってもらえましたが、普通じゃありえない話ですよね(笑)

—まず無いと思います(笑)音楽に戻るキッカケも聞かせてください。

内藤:離れてからしばらくして、やはり音楽にたずさわっていたいという気持ちが強くなったことですね。自分で演奏していましたが、やはり演奏で上を目指すのは大変な話なので(笑)それは無理だと思っていました。自分でも上を目指せること、それは音を操るエンジニアだな!と思って、レコーディングエンジニアの世界に入りました。

—なるほど。ではこの仕事の魅力をズバリ!言うと?

Photo内藤:担当するバンドの作品を、イチから関われるのが最高ですね。形の何もないところから、徐々に完成していく過程が全部体験できます。エンジニアだからと言って、言われた作業をするだけじゃなく、途中でアイデアを出したりして、バンドと一緒になって作品作りに参加して。その行程がすごく楽しいです。良いものを作ろう!という目標に向って、一致団結するチームの一員として頑張れるのがうれしいです。

—何となく不規則な生活をイメージしているのですが、内藤さんの平均的な一日の様子を教えてください。

内藤:基本的にはお昼から仕事がスタートする感じです。お昼にスタジオへ来て、準備をして録音して、そのまま深夜まで作業します。だいたい一回夕飯をはさむような感じですね。帰りは電車が無い時間が多いので、バイクで通ってます。同じ繰り返しという意味では、それほど不規則でもないです。時間は完全に夜型ですけど(笑)

—スタジオによって環境の差はありますか?

Photo内藤:「バズーカスタジオ」は都内に6箇所ありますが、新宿のスタジオは部屋数も多いし、音響のクセやブースの鳴りが全然違いますね。僕のホームグラウンドはここの練馬のスタジオなので、ここが一番慣れているという意味でやりやすいですね。もちろん「バズーカスタジオ」のスタジオなら、一通りは把握しています。

—バズーカスタジオは、レコーディングエンジニアが多いですよね。

内藤:そうですね。エンジニア同士、話もするし、仲間意識もありますね。この音楽が良い!このアルバムの録り方が良い!など、仕事的な話もしますが、バカ話も多いです(笑)友好な関係ができていると思いますね。フレンドリーなライバルといったところでしょうか。「バズーカスタジオ」の場合は、エンジニアが豊富にいることにより、どんな案件でもサウンドの傾向やスケジュール上の問題を考えて調整できることがメリットですね。

—レコーディングエンジニアとして注意していることを教えてください。

Photo内藤:バンドの何気ない一言を聞き逃さないようにしています。後々に響くことが結構あります。次にここをやろう!というときに「あ、これがやりたいんだな」と、用意したり音を作ったりできるというか。その辺を僕は気をつけて作業しています。

—レコーディングはデジタル全盛ですが、アナログもありますか?

内藤:僕がエンジニアになった頃に、ちょうどデジタル化が始まった感じです。今でもアナログを回すことはありますが、ほとんどがデジタルですね。練馬のスタジオは、ハードロックに特化しているので、ハードロックをデジタルで録るのが主です。

—内藤さんの録った作品を聴く読者に、レコーディングエンジニアからの視点でメッセージをください。

Photo内藤:録音の現場からすると、その時の勢いのあるテイク、演奏や歌を一番良い状態でパッケージしたものが作品だと思っています。バンドのリズムやグルーブを引き出して、良い状態に持っていくよう狙っているので、その辺を感じてほしいですね。練馬のスタジオは、ライブ感を出せるのがハードロックに向いているんです。ブースの部屋鳴りがハードな音を録るのに向いていますし、実際にギターも良い音で録れていると思います(笑)

—アーティストの情熱という素材を、どう調理するかは内藤さんの腕次第なのだとよくわかります。最後に、人間椅子『未来浪漫派』の思い出を教えてもらえますか?和嶋さんがビーストでコラムをスタートした時に、ちょうどリリースされたアルバムなのです。

内藤:人間椅子の場合は、メンバーの出す音がすべてなので、脚色はとても少ないですね。メンバーが出している音をどう再現するべきか。リスナーにどう伝えられるか、そんなことを考えていました。そのために、音決めの時間もかなり使ってますね。ギターアンプの4発のスピーカーを、それぞれの鳴りを聞いて一番良い音を探したり。あとは人間椅子の場合、リズムは一緒に録音するので、メンバーのグルーブがピッタリ合った時にokテイクになるという特徴もあります。メンバーもエンジニアもかなり集中した状況での作業でした。

 

この秘密基地のようなスタジオで、「あの作品」や「この作品」の録音が行われたという事実。それは壁一面に飾られたCDジャケットの数が物語っています。私自身、あれも!これも!と驚きを隠せませんでした。画像を見ると雰囲気が伝わるかと思いますが、このような現場から作品が作られていきます。

内藤さんは、その若々しく甘いルックスからは想像もできないほど、ハードロックの音作りのプロフェッショナル。けして表舞台には出てこないものの、ファンが手にして満足できる作品のバンドサウンドを作り上げている超重要な人物と言えます。

取材にうかがったこの日もレコーディングの真最中でした。レコーディングしていたバンドはBLINDMAN!叙情的なギターとソウルフルな歌でシーンをノックアウトしたバンドの7枚目フルアルバムです。レコーディングの休憩時間に、一言コメントをいただきました。【BLINDMAN:中村達也(Guitar)、山本征史(Support Bass)】

—レコーディングエンジニアという仕事を、内藤さんを通じて誌面で紹介したいと思っています。一言コメントをお願いします。

Photo中村:内藤さんは作業がていねい(笑)本当に良いエンジニアですね。僕は彼と組むのは今回のレコーディングで4回目だけど、すごくやりやすい。僕の中では、もうレコーディングイコール内藤さん一緒に録ること!になってますね。

山本:僕は内藤さんがまだ駆け出し(笑)の時代から、10枚くらい一緒にアルバムを作ってます。今回はサポートベーシストということで、BLINDMANのレコーディングに参加していますが、安心して作業できるのが本当最高ですね。

中村:レコーディングエンジニアといっても色々な人もいるし、録音するスタジオの特性もあるし、一筋縄ではいかないのが現実です。僕らのようなハードロックを理解して、一緒に良い作品を作ってくれる内藤さんと、ここのバズーカスタジオは本当に良い環境です。この内藤さんの記事を読みながら、BLINDMANのニューアルバムをぜひ聴いてください!

Photo
<取材協力>
bazooka-studio
http://www.bazooka-studio.com/

<取材協力>
BLINDMAN
http://www.blindman.jp/

BLINDMANニューアルバム情報!
7th Album「Re-rise」(リ・ライズ)
発売日:2010/7/28
品番:XQHK-1005(Triumph Records)
価格:2940円(税込)




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http://www.beeast69.com/category/serial/sociology


 
 
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