連載

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六合『暁に産声、忘却の鼓動』
TEXT:桂伸也

六合(りくごう)は、2004年に結成された、京都を中心として活躍するダークロックバンド。コスチュームに象徴される、和の雰囲気を匂わせる個性的なカラーが個性的なグループだが、その彼らがこの9月に、自身5年ぶりとなるセカンドアルバムをリリースした。今回はこのアルバム『暁に産声、忘却の鼓動』を紹介しよう。

ダークロックというキーワードを持つ六合だが、このアルバムで聴かれるサウンドは非常に個性的で、ある種ミクスチャー的なバラエティ性すら感じられる。ゴリゴリに響くギターリフで埋め尽くされるものだけでもない、時には軽快なリズム、また次の瞬間にはテンポはゆっくりとなり、別の時には逆に早くなる。

様々なスタイルを自己に消化しながら、複雑な構成を組んだ上で彼ら六合というアイデンティティを見事に構築している。様々なスタイルが派生、飽和してしまった現代の音楽の中で、この「らしさ」を強く表現していることは非常に重要な要素でもある。

また、彼ら自身のコンセプトともいえる「和的なフィーリング」が、まさしく考え抜いた上でこのパターンを出した、というような練り上げられたスタイルもうかがわせる。和的なフィーリングを音の上で表そうとした場合、和的なフレーズやハーモニーをやたらと楽曲の中に取り込み、結果「和」を表現することができる反面、曲の個性を無くしてしまうことも多い。が、彼らのサウンドには「こういうパターンでは和のフィーリングを取り入れる」というような、まるで規則的ともいえるようなパターンを感じることができる。

このことはオープニングナンバーの「求世輝導」で感じることができるだろう。全編においてやみくもにそのテイストをまぶすのではなく、例えば「トニックのコードのみに対し、ルートの半音上を付加するだけ」、そんな「わずかな和テイスト」をほんのりと取り入れることで、ロックな楽曲の中に隠し味的に和テイストを取り入れ、彼ら独自の個性を感じさせることに成功している。

また、サウンドのダークな面とはまた対照的に、歌詞による世界観にもユニークで、非常に強い世界観や個性を感じることができる。文末にさりげなく取り入れる古文的表現。あくまで日本語に強くこだわり、日本語ならでは、和的なテイストにこだわるその姿勢も彼ら独自ともいえよう。また最も特徴的なのは、詞の中にちりばめられた陰と陽の対照的な表現。ある時はダークロックにふさわしい絶望的な表現、逆にまた別の時にはポジティブで希望あふれる言葉と、目まぐるしく変化する抒情詩。その意味をたどるだけでも、強いインスピレーションを感じることだろう。是非彼ら六合の世界観を一度ご堪能あれ。

■ 獅士、玉虫の背に
https://soundcloud.com/413tracks/rikugo-shishitamamushinoseni
 


 
FTCS2597六合 2nd ALBUM『暁に産声、忘却の鼓動』
発売中
FTCS-2597/2,500円(税込)
収録曲:
M01. 求世輝導
M02. 暁光に至
M03. 共心
M04. 獅士、玉虫の背に
M05. 薄暮へ
M06. 未来産声、過去亡骸
M07. 分仁
M08. 荒霊
M09. 夜会篝
M10. 春風夜行

■DISK UNION購入特典
2010年に参加したコンピレーション「真神楽」に収録された「心愛」のキーボード八木によるリミックス音源。


 
ライブ情報

■リリースツアー”輝導”

2013年09月15日(日) 【京 都】MOJO 六合主催イベント「凛音 第六幕」
2013年09月21日(土) 【香 川】高松オリーブホール
2013年10月06日(日) 【岡 山】倉敷REDBOX
2013年10月12日(土) 【東 京】吉祥寺CRESCENDO
2013年10月13日(日) 【三 重】四日市Club Chaos
2013年11月02日(土) 【大 阪】西九条BRANDNEW
2013年12月14日(土) 【大 阪】京橋ISM
2013年12月15日(日) 【静 岡】SUNASH
※2014年も続々決定中


 
オフィシャルサイト
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