バンド名の由来は「自分たちの世界をも越える」。彼らUVERworldは、世代を越えてゆるぎない支持を集めながらも、そこに安住せず国内のロックシーンに挑み続ける。8月14日、UVERworldの24枚目のシングル「Fight For Liberty / Wizard CLUB」がリリースされた。
 
ロックとは何か。それを考えると、きっと終わりがない。答えは永遠に出ないだろう。しかしこの世界にロックは確かに存在している。そんな不確かではかなく、あまりにも凄みのある「ロック」と呼ばれるものを抱きしめてしか、生きることができない。そんな叫びにも似たメッセージを、一曲目の「Fight For Liberty」から受け取る人もいるのではないだろうか。TAKUYA∞の叫ぶようなボーカルや、がっちりと脇を固めるギターのメロディーライン。「刻む」という言葉が陳腐にさえ聞こえるドラムプレイ。全てが完成されたような完璧さを持って主張してくる。
 
そして「Wizard CLUB」では、その完璧さをあえて崩してくるかのような、危なっかしいプレイでリスナーを挑発してくるような印象を受ける。サックスの突き刺さるような音も、予定調和を崩すかのような音楽として受け取れるのだ。「きっとこう来るだろう」という、こちらの安易な予想など、簡単に覆されてしまう。
 
そして3曲目。「a LOVELY TONE」は、驚くほどにまっすぐなラブソングだ。「君に沢山愛の言葉投げかけたけど　まだ言えてない言葉が一つある……」泣くようなギターのうねりに加え、それに華を添えるが如く、のベースプレイ。これ以上ないほどのグルーヴを生み出すことができているのだ。ロックバンドの凄まじさ、ここに極まれり。
 
変化球を投げ続け、投げ続けてからの直球ストレートのような感覚になる本作。邦楽ロックを追いかける人なら、誰でも知っていておかしくないバンド。それがUVERworldではないかと思う。そんな彼らは今回、リスナーに問いかけているのではないだろうか。ロックというものは、そんなに単純じゃないと。我々は、彼らのメッセージに応えなければならない。ロックというものに対して、ひいては自分自身の中における、ロックというものの立ち位置について。UVERworldはこの「Fight For Liberty / Wizard CLUB」を引っ提げて8月24日のZEPP SAPPOROを皮切りに全国ライブハウスツアーを敢行する。こちらも見逃せない。