石崎ひゅーい。母親がDavid Bowieのファンで、その息子がZowie(ゾーイ)という名前だったことから、もじって”Huwie”と名付けられた。2012年7月25日にミニアルバム『第三惑星交響曲』でデビューを果たす。
強烈なインパクトは、その本名だけではない。突然現れてパワー全開で歌いまくる怪物のようなその存在感は、クリエイティブディレクター・箭内道彦が「出現!」と表現したほど。2013年1月「iTunesニューアーティスト2013」に選出され、各メディアで今年もっともブレイクするアーティストとして注目を浴びている。そんな石崎ひゅーいの7月17日にリリースされる1stアルバム『独立前夜』は彼が世の中に対して変化、不安、闘志、欲、希望をストレートな歌詞して構築されたアルバムである。
1曲目の「夜間飛行」はテレビ東京系ドラマ24の「みんな!エスパーだよ!」のエンディングテーマだ。「みんな!エスパーだよ!」の高校生のどこか鬱屈とした毎日と、そこから乖離するような力を得た瞬間に訪れる昂揚感を表した曲。心地良いギターと安定したドラムの上に勢いで歌っているような歌声により良いバランスのハーモニーになっている。
「ごめん僕はこの夜空を飛べることなんかできない 今すぐ君を抱きしめたいけど終電は過ぎた」誰しもが深夜の自分の部屋で恋人に対してモンモンとした気持ちになったことはあるはずである。この”等身大の人間”というのが石崎ひゅーいの楽曲の醍醐味である。
「シーベルト」は明るい音の楽器が鳴り響いているのに対して歌詞の内容は今の若者の生活におけるブラックな一面を描いている気がする。「世界はメリーゴーランド」という歌詞はファンタジーの世界への憧れ、そして「ここにはもう住めませんから」は東日本大震災の時の原発問題についてのメタファーである。彼自身の持つ「現状からの脱却」「どこかにあるユートピアへの憧れ」を、しっかり歌声の力強さで感じることができる。
4曲目「第三惑星交響曲」は2012年7月度SPACE SHOWER TVでパワープッシュされ、8月度のMUSIC ON!TVとケーブルテレビのレコメンドで異例のCS2冠を獲得した曲である。音楽系メディアがこぞって大プッシュするという異例の事態が起きた。ささやくような歌声で始まり、そこまで溜めていたパワーや思いをサビで一気に発散させる。時にささやくような、時に叫ぶような、石崎ひゅーいを世に知らしめた一曲。楽しく切ない不思議な気持ちに襲われる。
「ファンタジックレディオ」は思春期の男子の妄想を全開にしたポップなラブソングになっており、世界観を構築するための歌詞のふり幅がとても広いように感じる。「パンツとブラジャーが恋しくなった」という歌詞はなんて思春期なんだ!でも男なら一度は(いや一度だけではない…)考えたことがあるはずだ。格好つけないでありのままの姿を晒しているからこそこの曲は心の柔らかいところに刺さるのである。
筆者が特にこのアルバムで好きな曲は「おっぱい」だ。素朴なアコースティックギターの音と優しく包み込むような歌声と気持ちいいリズムのドラム。小さい頃聴いていた童謡を彷彿させられる。僕たちは身体的・精神的なコンプレックスを、関わり合う人たちに対して隠して見せる。建前で生きていて、だからこそそれがストレスになって生きにくくなる。そんなことしなくて良いのだよ、君は君のままで良いのだよと、石崎ひゅーいは「おっぱい」という言葉を使い優しく背中を押してくれる。
スケールを無視した怪物シンガーシングライター・石崎ひゅーいは、感情のままに歌うまっすぐな声と全てのエネルギーを爆発させるライブパフォーマンスも魅力だ。SUMMER SONIC2013への出演が決まっているほか、9月には『独立前夜』を引っ提げての東名阪ツアーも開催されるので、是非とも足を運んでみてほしい。
◆石崎ひゅーい 『独立前夜』
2013/07/17発売 ¥3,059(税込)
M01.夜間飛行
M02.バターチキンムーンカーニバル
M03.シーベルト
M04.第三惑星交響曲
M05.友達
M06.ナイトミルク
M07.ファンタジックレディオ
M08.おっぱい
M09.反抗期
M10.せんたくき
M11.ガールフレンド
◆ライブ情報
□石崎ひゅーいTOUR2013『独立前夜』
・2013年09月07日(土)【名古屋】CLUB QUATTRO
・2013年09月08日(日)【梅 田】CLUB QUATTRO
・2013年09月22日(日)【下北沢】GARDEN
□SUMMER SONIC 2013
8月10日(土)東京公演出演決定!
8月11日(日)大阪公演出演決定!
※ステージなど詳細はSUMMER SONIC 2013オフィシャルHPをご覧ください。
http://www.summersonic.com/2013/lineup/
◆石崎ひゅーい 公式サイト
http://www.ishizakihuwie.com/