先日、夜の音楽番組を観ていたらmiwaがフライングVを弾いていた。木目の丸いアコースティックギターの印象が強かっただけに一瞬目を疑ったのだが、身長149cm、さらさらストレートヘアーの彼女にフライングVが意外とマッチしていて、つくづくmiwaというアーティストの多才さ、可能性の大きさに驚いた。
おそらく、「意外とマッチしている」と感じたのは、その時演奏していたのが「ヒカリヘ」だったためだろう。昨年8月にリリースした9thシングルで、軽快なメロディでありながら力強い歌詞が特徴的で、フライングVのシャープさ、鋭さとマッチしている。その力強さというのは、絶対的な自信に満ち溢れたそれではなく、「苦しみさえいつか消えるはずだから」「責められたとしても」という切なさ、辛さを乗り越える力強さ、という印象を持つ。テレビや雑誌ではいつも笑顔満天の彼女、その奥底にある葛藤や殻を突き破りたいという意志が詰まった1曲、と言えよう。
そんな「ヒカリヘ」をはじめ、miwaの魅力がギュッとギュッと詰まりまくった素敵な作品が届いた。通算3枚目のアルバム『Delight』だ。全11曲・珠玉のナンバーを全部紹介したいところだが、中でもロックマガジンBEEASTとしてはロックテイストの強い楽曲をピックアップしたい。
まずは3曲目「321」。作詞作曲ともmiwa。キュイーンと飛行機の滑走のようなイントロに続いて、パワフルなエレキ。さらにはmiwaの弾くアコギの音も加わって、肉厚なサウンド。パーンと弾ける爽快なパーカッションと歌声が相まってmiwa特有の爽快感はあるものの、間奏の超高速ギターリフも力強く、全体的にはmiwaの新境地開拓といったところ。大音量で流したいロックナンバーだ。
続いて9曲目「LOUD!～憂鬱をぶっとばせ～」。アルバムのプロデューサー、Naoki-Tとの共同作曲で、イントロのメタルサウンドが衝撃的。この曲ではmiwa自身もエレキを持ち、随所で泣かせる。「先に行かせてもらうわ」「ダメね ハキダシてごらん」とパワフルな女性目線がテーマの楽曲、歌声にも男性的なシャウトがあり、他の曲では見られないmiwaの魅力が堪能できる。「loud」という単語をタイトルに使っているのも、miwaの覚悟の表れだ。
そして10曲目「Napa」は彼女のアメリカ留学がテーマになっている1曲。ベーシスト・根岸孝旨（JUNK FUNK PUNK、Dr. Strange Love）がプロデュースを担当。アコースティックギターの軽快なカッティングとmiwaの伸びやかなボーカルを全面に押し出しつつ、アルバム11曲の中で唯一キーボードとシンセサイザーが入り、シンプルなメロディと詩でありながらヘッドフォンで繰り返す度に発見がある、楽しいアレンジにも注目だ。
このほかにも、最新シングル「ミラクル」や、第91回全国高等学校サッカー選手権大会の応援歌にもなっている10thシングル「ホイッスル～君と過ごした日々～」などのキラーチューンはもちろんのこと、心温まるスローバラード「ぬくもり」のような楽曲も収録。ロックファンもポップファンもまんべんなく楽しめる1枚になっている。
さらに、初回生産限定盤には豪華ブックレットやツアーチケット抽選先行予約シリアルナンバー入りチラシの封入に加え、日本武道館公演の翌日、3月30日に行われた原点回帰の下北沢ロフトライブのダイジェストなどの映像が入ったDVDも付いてくる。
2010年のデビュー当初、世界的メーカー・ギブソンのアメリカ公式ホームページに「期待の日本女性ロッカー」として紹介されたこともあるmiwa。ちなみに彼女が「ヒカリヘ」で使用するフライングVは国産メーカーBacchusのもので、自身の公式ブログによると「（2012年に）ツアーで舞台チームから誕生日にいただいた」とのこと。つまり、フライングVを手にしたのが約1年前で、今回のニューアルバム『Delight』はその約1年間の進化過程がギュッと凝縮されている1枚ということだ。ヒットチャートでも”V”が見られそうな予感のニューアルバム『Delight』は5月22日発売。
◆miwa 『Delight』2013年5月22日発売
・初回生産限定盤(CD＋DVD)/SRCL-8297/￥3,800（税込）
・通常盤/SRCL-8299/￥3,059（税込）
M01. Delight
M02. ヒカリへ
M03. 321
M04. サヨナラ
M05. Sparrow
M06. ホイッスル～君と過ごした日々～
M07. ミラクル
M08. My Best Friend
M09. LOUD!～憂鬱をぶっとばせ～
M10. Napa
M11. ぬくもり
◆miwa 公式ホームページ
http://www.miwa-web.com/
