連載

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BUGY CRAXONE 20th BEST ALBUM『ミラクル』
TEXT:西脇友美(The nonnon)

いまバンドは人気がないようだ。なんと、バンドを組む人もいなくなっている!こんなに楽しくて気持ちいい事があるのを知らないなんて…!
 
刺激のない退屈な日々を送る若者よ。是非、聴いて欲しい音楽がある。疲れた日々を送る大人たちよ。あなたを奮い立たせるバンドがいる。
 
それは今年20周年を迎えるBUGY CRAXONEという、私の最も尊敬するバンドだ。2017年1月18日(水)にニューアルバム『ミラクル』をリリースし11月19日(日)に東京・渋谷CLUB QUATTROにてワンマンライブを行うことを発表している。
 
私の精一杯の文章でBUGYの魅力とニューアルバムの聴きどころをお伝えするので、少しでも気になった人はアルバムを聴いて、必ずライブにも足を運んで欲しい。
 

 

M01. ブルーでイージー、そんでつよいよ

20周年を迎え、歌いだしから「なめんなよ!ウィーアー、ブージークラクション!」と叫ぶ。そして最後には「そんでつよいよ。」と締めくくる。
 
これまでの自分たちも、これからの自分たちにも自信があるからこそ。いつだって潔く、かっこいいBUGY。20周年の節目にただテーマソングを作るのではなく、飾らないBUGYらしさで”これまで”と”これから”がつまった名曲に仕上がっています。
 
この曲は私の中では、勝利とか賞賛とかそんな言葉が似合うイメージです。プロレスのワンシーンでいうならば、リング上で3冠ベルトを巻いて勝利者インタビューを受け、日本武道館に「ブルーでイージー、そんでつよいよ」が鳴り響く、そして大歓声のなかメンバーが花道を歩いていく。という姿が浮かぶのです。イメージしてみてください…またまたグッときちゃう。ともかく、いまのBUGYが最強だと強く感じさせるテーマソングだと思います。
 

M02. ぶるぶるぶるー

BUGY CRAXONEの過去の作品を振り返ると、歌も歌詞もサウンドも大きな変遷を遂げている。特に『Joyful Joyful』(2012年6月発売)辺りからすずきゆきこさん(Vocal & Guitar)の歌声や歌詞の距離がもっと近く感じるようになり、自分に重ねて色んなことを考えさせられる場面が増えたように思う。だけど決して熱苦しくなく、ドライ過ぎず、BUGY流にサラッとアドバイスをくれたり勇気づけてくれる。きっと歌詞や歌声だけではなく、バンドサウンドの力強さがそう思わせるのだ。
 
例えば、かっこいい親戚のお兄ちゃんお姉ちゃんがお酒飲みながら「人生ってさ、」と語っているのを横で聞いていて、それが自分にとっては人生の格言になるくらい響く言葉だった。みたいな経験ないですか?私はないですけど、そういうイメージ!この曲もそんな風に、心地良いリズムとメロディにのせて歌詞がスッと入ってきます。
 
「しぬまでって いがいとながいし」というフレーズが特に印象深くて、「そっか」と肩の力が抜けるような感覚でした。
 

M03. いいじゃん

これもまたBUGYらしい遊び心あふれるパレードみたいな曲で、ついつい何回も繰り返して聴いてしまいます。以前、ライブの最後にやっていた「I scream」や「boy」のように、曲がコンパクトである事から個人的にはエンディング的な印象があります。早くライブで聴きたい!
 
メンバーの男性陣が声を張り上げ、一緒にコーラスをするところもBUGYの素敵なところです。みんなで「いいじゃん!」と、同じ勢いでいい顔して歌っているのを観ると”これぞバンドやね”とグッと来てしまいます。
 
あと、日本のアーティストでこんなにカッコよく「イェー」って言えるのってベンジーすずきさんくらいじゃないかなって、浅い(浅井)知識の中で思いました。ベンジーだけに。そこのところも聴いてみて欲しいです。
 

M04. Come on

これは『Good Morning, Punk Lovers』(2008年発売)に収録されています。初期のBUGYは鋭く荒々しくて、まさしくパンクロック!!初めて聴く人には「同じバンドなの!?」とギャップに驚く人もいるでしょう。でもね、今も昔もパンクロックバンドなのは変わっていないと、私は思うのです。いつだってライブではヒリヒリと尖ったサウンドが私達を揺さぶるのです。
 
特にこの曲は息を呑むようなキメがあり、バンドのグルーヴ感を感じられるので、是非ライブで体感していただきたいです。今回は再録ということで、前回よりもすずきさんが気だるく喋り歌うところやコーラスが新鮮でした。ギターソロは前回のもさりげなく憎いフレーズがあったりと好きなのですが、今回は長さが倍になりギターの荒っぽく徐々にドライブしていく様子、バンドの高まる様子がより感じられて堪らなかったです!最後まで気を抜かずに聴いて欲しい。
 

M05. FAST

こちらも『Good Morning, Punk Lovers』収録。この曲は「Come on」の次じゃなくちゃ!というくらい2曲の相性が良いと思うのです。ドラムから始まり「きたきたきたー!!!」という気持ちになります。こちらもライブで味わって欲しいです。吐き捨てるような歌と、たたみかけるドラムが焦燥感を掻き立てます。でも何故か清々しい気持ちになる曲なのです。
 
私が昔、友人にBUGYを紹介して貰った時に「すずきさんは日本で1番かっこいい女性ボーカル」と教わりました。それから初めてライブを観に行って、なるほどと納得しました。感情を剥き出しにして歌うすずきさんは確かにかっこいい。さらに、その中には色っぽさがあって一瞬で惚れてしまいました。
 
魅力はそれだけではないけれど「FAST」については特に、そんな一面にも注目していただくとよりハマるのではないかと思います。
 

M06. dreamer

これは『Hello, Punk Lovers』(2008年発売)に収録されています。バンドで、ドーンと音を鳴らした瞬間に何故だかとてもドラマチックな雰囲気で惹きつけられる曲。歌詞も短く、曲もコンパクトなんだけれどエンディングに向けての盛り上がりと、最後に出て来るたったひとことの”It’s OK”がとても説得力があって、胸がいっぱいになります。例えば映画を観終えたような、そんな感覚です。
 
個人的にはベースのフレーズから始まるところがワクワクしてしまいます。それから前回にはなかったサビのコーラスが加わった事でさらにドラマチックになっているので、そこも聴き比べてみて欲しいポイントです。
 

M07. ロマンチスト

これも『Hello, Punk Lovers』から。この『Hello,~』の中で1番好きな曲です。グライダーがのびのびと空を飛んでいくような、希望に満ちたイメージ。
 
今のBUGYが演奏する「ロマンチスト」はもっともっと広い空を自由に飛んでいく、強い風にも動じない、どっしりとした貫禄があるように感じます。さらに景色が広がった再録バージョンもとっても好きです。
 

M08. チーズバーガーズ・ダイアリー

これはデビュー10周年のアニバーサリーアルバムに入っていた曲。個人的にはMVの印象がとても強いです。だって何度観たって飽きないくらいに素敵なMVだから!観たこと無い人はチェックして欲しいです。
 

「だから僕は泣くの 迷うことはないの」
このワンフレーズがとても心に響いて、いつ聴いても背中を押してもらえる名曲。ギターの柔らかさもありつつミッドの張り出たくっきりとした音、タイトなドラムも心地良く、今のBUGYでの再録はファンとしては嬉しい1曲です。
 

M09. ハレルヤ

『Joyful Joyful』(2012年発売)に収録されていた曲。個人的には歌詞が特にお気に入りです。すずきさんの歌詞って洒落ていてセンスがとっても良いと思うのです。絶妙な言葉の選び方にいつも感動してしまいます。
 
そして、この曲は歌詞に加えて、ギターのアンサンブルや音色、ベースのフレーズ、ハンドクラップやコーラス、どこをとっても「ハレルヤ」というタイトルに相応しいつくりになっていて、さすがだなと思います。挫けそうな時はこれを聴くべし!
 

M10. ガーデン

これも『Joyful Joyful』収録曲。歌詞だけを見るとおとぎ話みたいな情景が浮かぶけれど、サウンドはロック。合わさると不思議と私たちが生きる今の歌として聴こえてきます。
 
ギターの奏でる綺麗なメロディと、のびやかな歌声、どっしりと支えるベースがバランスが良くて心地良い曲です。
 

M11. いいかげんなBlue

『いいかげんなBlue』(2013年5月発売)から。どこか懐かしいサウンドとギターのリフ、冒頭から”ハイみんな!”とセリフが入る。はじめにこれを聴いた時は「!?」と、とにかく驚きました。でも、実はこのセリフの部分が重要で、すごくクセになるんです。
 
ライブではよりダイレクトに言葉が届いてくるので、”ハイみんな!”と私に呼びかけられてる気持ちになってウキウキしてしまいます。ミッキーマウスが登場した時の感覚に似てるかも。
 
セリフの中では「わたしはわたしにトライするつもり」という部分がお気に入りです。
 

M12. NY

これも『いいかげんなBlue』から。気だるい雰囲気と小気味よいディスコビート、コーラスのかかったギターが印象的。最近はこのギターの音を聴くとBUGYぽさを感じるくらい定着してきたように思います。
 
MVもシンプルだけどアイディア満載で、観ていて楽しいです。絶妙なゆるさの手作り感も、いつも自然体なBUGYだからこそ、良いね!と思えるのだと思います。新曲が出るたびに次はどんなMVが完成するのかと、密かに楽しみにしています。
 

M13. なんとなくBe happy

『ナポリタン・レモネード・ウィー アー ハッピー』(2014年6月発売)に収録。これを初めて聴いた時、涙が溢れました。無理やりとか、ものすごく狙ってる感じは全くなく、タイトル通りに”なんとなく”ハッピーな気持ちにさせられる。秀逸なタイトルだと思いました。
 
クサクサしちゃった時なんか聴いたらいいかもな。コーラスが流れて、歌詞がすんなり心に入ってきてすごく素直になれる、不思議な力のある曲だと思います。そういう気持ちにさせる音楽を作り続けているBUGYってすごい。
 

M14. ナイス・ナイス・ナイス

これも『ナポリタン・レモネード・ウィー アー ハッピー』から。野外ライブとか広い会場で身体揺らしながら聴きたくなる、アンセム的な曲です。
 
リズム隊が支える上にギターの音が控えめだけどとても映える。歌もコーラスも程よく力が抜けていてすごく心地良いです。「たりらりら」という歌詞とメロディが合いすぎていてニクいです。コード進行もニクいし、サラッと、終わるところがまたニクい!
 

M15. ベリナイス

『Lesson』(2015年11月発売)に収録されている中から選ぶならこれが一番好きな曲。イントロのコーラスハーモニーから何が始まるのかと期待が高まり、「ベリナイス!」をきっかけに、ギターの舞い上がっていくようなフレーズがなんともワクワクします。
 
そして曲中に何度も登場する、「ばんばんばばんばん」と、「そうでしょ?」「ベリナイス」はとってもキュートでキャッチー。歌はもちろんですが、この曲は特にバンド全体の活き活きとした演奏も聴きどころです。躍動感あるドラムやベースのさりげないフレーズ、波乗りするようなギターソロに注目です!
 

M16. たいにーたいにー

『Lesson』収録曲。この曲を聴いた時に20年の集大成を感じました。
 
エモーショナルなギターと太く柔らかく歌うベース、静と動の指揮をとるドラム。そして歌はのびのびと、「これでいいのだ」と歌う。
 
「ブルーでイージー、そんでつよいよ」とはテイストは違うけれど、ここまでの道のりを認めて、先に進んでいくバンドのテーマソングのように思える。アルバム『ミラクル』を感動的に締めくくる自分たちへの讃美歌のような曲です。
 

 
最後まで読んでくださってありがとうございました。BUGY CRAXONEの魅力は私の言葉では表現しきれないくらいにもっともっと大きなものです。たくさんの人に知ってもらいたい。みなさま、11/19渋谷クアトロ『100パーセント ナイス!』一緒に体感しましょう。


 
bgc◆リリース情報
BUGY CRAXONE 20th BEST ALBUM『ミラクル』
・2017年01月18日(水)発売
初回限定盤(CD+DVD)TECI-1532 / ¥3,500(税込)
通常盤(CD)TECI-1533 / 通常盤¥2,500(税込)
<CD収録曲>
M01. ブルーでイージー、そんでつよいよ(新曲)
M02. ぶるぶるぶるー(新曲)
M03. いいじゃん(新曲)
M04. Come on(再録)
M05. FAST(再録)
M06. dreamer(再録)
M07. ロマンチスト(再録)
M08. チーズバーガーズ・ダイアリー(再録)
M09. ハレルヤ
M10. ガーデン
M11. いいかげんなBlue
M12. NY
M13. なんとなく Be happy
M14. ナイス・ナイス・ナイス
M15. ベリナイス
M16. たいにーたいにー

 


 

◆ライブ情報
BUGY CRAXONE 20周年記念ワンマン “100パーセント ナイス!”
・2017年11月19日(日)【東京】渋谷CLUB QUATTRO
OPEN 16:30 / START 17:00
出演:BUGY CRAXONE(ワンマン)
チケット料金:前売 立見¥2,900(Drink別) / 当日 立見¥3,400(Drink別)
※12月4日(日)@新宿red clothライブより最速手売りチケット販売開始。

 


 

◆BUGY CRAXONE 公式サイト
http://www.bugycraxone.com/