4月30日、大阪出身の4ピースロックバンド、HaKUが待望の2ndフルアルバム『シンバイオシス』をリリースする。2012年秋のメジャーデビューから1年半を経た、今のHaKUの集大成ともいうべき今作。タイトルの「シンバイオシス（Symbiosis）」は少しばかり聞き慣れない言葉だが、その意味は「共生」。人と人との交わり、すなわち共生における彼ら自身の様々な思い、変化を表していると思われる。
 
そもそもなぜ彼らがバンド名を「HaKU」としたのか。それは、何色にも染まらない「白」色という意味、そして一音一音呼吸するように「吐く」という意味、その2つの意味を込めているのだという。息を「吐く」ことは、リズムを刻むこと。とすると、『Symbiosis』は実にHaKUらしいアルバム名ではないだろうか。
 
ダンサブルな人力エレクトロロック、それがHaKUの信条だ。デビュー当初よりコンピューターやシンセなどを一切使用せずに音源を制作し、ライブでも人力のみでその音源を表現するスタイルで定評がある彼らだが、今作も打ち込み音を一切排し、何色にも染まることなく…敢えて言うならHaKU色の、彼らにしか出せないサウンドが展開。アルバム全体を通して勢いがあり、ダンサブルなビートに自然と身体が動いてしまう高揚感が支配する。
 
アルバムはどこか切なげなメロディが印象的な「dye it white」から始まる。歌詞の「白に染め直してあげる」からも分かるように、”HaKUここにあり”という宣戦布告のアップテンポナンバーだ。2曲目「think about you」もアップテンポだが、1曲目とは比較して重厚さが強調されたナンバーで、コントラストの妙が冴える。早々に曲と曲の巧みな流れで聴き手をHaKUの土壌にガツンと引き込む。
 
アルバム全体はアップテンポでノリの良い曲が中心だが、かといって勢いのみではなくメロディも非常に大切にしている姿勢も伺え、好感が持てる。3曲目の「masquerade」、5曲目の「リネイム」や9曲目の「everything but the love」などはリスナーもシンガロングできそうで、これからのライブの定番曲となるのは想像に難くない。
 
11曲目の「透明で透き通って何にもなれそうで」は見事なパワーバラードで、胸を打つ。そしてアルバム最終トラックは、バンドの演奏する姿をアスキーアートで表現したMVも話題の「the day」。叙情的なイントロのメロディが印象的なアップテンポナンバーで締める。冒頭で聴き手をつかみ、最後まで一気に聴かせるアルバムの流れが見事である。
 
辻村有記（Vocal & Guitar）の優しくも力強いボーカルはHaKUの大きな特長だ。と同時に、一聴してシンプルに聴こえつつも、その実行われていることは複雑怪奇なバンドサウンドも彼らの魅力である。藤木寛茂（Guitar）と辻村有記、二人のギターワークは間違いなくHaKUの聴きどころの一つだ。ザクザクと刻まれる硬質なギターリフとともに、ギターアルペジオを多用したメロディラインが実に効果的。
 
さらに、HaKUの屋台骨を支えるリズム隊二人の硬さも魅力だ。時にはブラストビートを打つがごとく激しい長谷川真也（Drums）のドラムミングに、曲によってはメインボーカルを担当しながらも徹底してうねりまくるベースラインで曲を支える三好春奈（Bass & Vocal）。ダンサブルな曲を活かす4人のバンドアンサンブルは鉄壁そのものだ。
 
HaKUは5月30日の仙台PARK SQAUREを皮切りに全国7カ所のツアーに打って出る。全国ツアーで彼らの”HaKU“紙のキャンパスに何が刻まれるのかを筆者は楽しみにしている。
 

◆リリース情報
HaKU『シンバイオシス』

■iTunes
http://itunes.apple.com/jp/album/id850376772

2014年04月30日（水）発売
初回限定盤（CD＋DVD）TYCT-69013 / 3,800円（税抜）
通常盤（CD）TYCT-60029 / 3,000円（税抜）
※　初回盤はインディーズ時代から「the day」までのミュージックビデオ（12曲）全てを収録したDVD付。
＜収録曲＞（初回盤と通常盤の収録曲は同じ）
M01. dye it white
M02. think about you
M03. masquerade（シンバイオシス mix）
M04. What’s with him（シンバイオシス mix）
M05. リネイム
M06. listen listen
M07. アンチドラマティック
M08. 黄昏の行方
M09. everything but the love
M10. Archaic smile
M11. 行動と言動のキャスティング
M12. Yeah Right!
M13. 透明で透き通って何にでもなれそうで
M14. the day

◆ライブ情報
HaKU“シンバイオシス” Release TOUR 2014
・2014年05月30日（金）【宮　城】仙台PARK SQUARE
・2014年06月01日（日）【北海道】札幌SPIRITUAL LOUNGE
・2014年06月08日（日）【福　岡】福岡Queblick
・2014年06月14日（土）【東　京】渋谷club asia
・2014年06月15日（日）【新　潟】新潟CLUB RIVERST
・2014年06月21日（土）【愛　知】名古屋APOLLO BASE
・2014年06月22日（日）【大　阪】心斎橋Music Club JANUS

◆HaKU　公式サイト
http://www.haku-music.net/