連載

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※この記事は取材した2015年のアーカイブです。最新情報ではありません。

TEXT:桜坂秋太郎

9BEEASTのコンセプト「ロックと生きる…ライフスタイル応援マガジン」にマッチした連載「ママはロッカー」。第9回目は大阪生まれで大阪育ちのレイちゃん(Vocals)ママをご紹介しましょう。今回は、大人気連載「ロック酒場探訪記」でお邪魔したバー「paradox」と並行した取材となりました。ぜひ、そちらの記事と一緒にご覧ください!

バー「paradox」を始めたレイちゃんですが、ご主人のカッチンさんへお店をシフトされ、出産と子育てを経て今に至ります。カッチンさんと同じく、若い頃からプロ志向でのバンド活動をされていたレイちゃん。さっそくお話をうかがいたいと思います。

※連載「ロック酒場探訪記:セレクション34(大阪)paradox」の記事はコチラ!

2— ご主人のカッチンさんとレイちゃんはお互いにボーカリストですが、共通の仲間が多いのですか?

レイちゃん:音楽のジャンルがちょっと違っていたので、元々は仲間が違う感じでした。今は一緒になっている部分もあります。

— お互いにずっと音楽活動をされてきたわけですよね。

レイちゃん:セッションが多い時期もあったけど、お互いに音楽活動は継続してきました。実はかなりカッチンとは古い仲なんです。

— いつ頃知り合ったんですか?

レイちゃん:かれこれ、20何年か前ですね。その当時、ボーカリスト同士として知り合いました。正確に言うと、その頃にカッチンがボーカリストを探していたんです。この人もボーカリストですが、曲を作る人なんで。

— ご自身で歌わずに、違うボーカルを探したと。

レイちゃん:カッチン自身は元気キャラで、元気いっぱいのスタイルなんです。それで、しっとりした曲を作ったから、それが歌える人を紹介してくれと、知人経由で話をもらいました。その時ちょうど私は20歳でした。

— なるほど。バンド活動の方はどうですか?

レイちゃん:結婚前にやっていたのは、完全プロ志向のR-MIXというバンドです。そのバンドは、元はさくらさくというバンドで、大阪のライブハウス「バハマ」のバンドでした。ガーゴイルとかと一緒ですね。そのさくらさくが、ゲーム会社のカプコン所属になった後、アルフライラというバンド名に変わったのですが、ボーカリストが辞めたので、後任として私が入りました。

— その後、R-MIXになるのですか?

レイちゃん:カプコンとの契約終了の後に、アルフライラが使えなくなりましたので、R-MIXに改名しました。東京にも年中行っていましたし、「HEY!HEY!HEY!」(フジテレビ系列の音楽番組)にも出ました。

7— そこまで行く間の下積みがかなりありましたか?

レイちゃん:いえ、それがアルフライラに入る前は、ホテルのスカイラウンジなどで、ボサノヴァを歌っていました(笑)。なので、いきなりロックに飛び込んだ私です。 実は全くロックは通っていません(笑)。

— いきなりのロックバンドでツアーやテレビ出演というのは凄いですね。その後は?

レイちゃん:はい、結果解散してしまいました。R-MIXのツアーでは、いつもメンバーが代わる代わる機材車を運転していたのですが、深夜の雪の日に、トラックに追突されまして。車が大破する大事故があったんです。奇跡的に全員生きてましたが、私とメンバーの一人が、長い間愛知で入院する事になりました。

— それは大変な事故ですね。

レイちゃん:ツアーの行きだったので、バンドの正念場だった大事なライブを、たくさん飛ばしてしまう事になってしまい。 そこからメンバーの人生観が変わって、何となく解散に向かってしまいました。

— ターニングポイントですね。

レイちゃん:そのR-MIXが解散して、2000年くらいだったかな。大阪でコスプレしてアニメソングのロックアレンジバンド、アニメッツというバンドを始めました。時期としては、ちょうどアニメタルと同じくらいだったと思います。それは今でも続けていて、もう15年経ちました。

— 15年は長いですね。

レイちゃん:もちろんメンバーが女性であり、年齢的なこともありますので、結婚や出産などで常に活動していたわけでもないんですが。私自身は妊娠出産で2年ほどブランク空きました。アニメッツは、今もお声がかかればステージをやっています。日帰りで行ける範囲ですが。

— 遠征は厳しいんですね。

レイちゃん:そうですね。やはり東京だと日帰りができないので、名古屋くらいまでですね。そういえばBEEASTでよく特集をしているイベント、『WOMEN’S POWER』には、R-MIXで何度も出演しました。大阪と東京に、かなり出させてもらいました。アニメッツのメンバーの何人かは、違うバンド同士で『WOMEN’S POWER』の共演から知り合っています。

6— そうなんですね。(インタビューにお子さん同伴)ところでお子さんは小学生ですか?

レイちゃん:そうです。小3です。もっと小さい時はずっと家にいて、私は仕事していませんでした。やはり小さい子を育てるのは大変なことなので。

— 今はお仕事を何かされているんですね。

レイちゃん:今は、昼間の仕事をしています。子供が学校へ行っている間に働いています。お店はカッチンだけで切り盛りしています。

— 生活時間帯がかなり違うように感じますが、その辺はどうでしょうか?

レイちゃん:私が仕事から帰るのが18時くらいなんですが、それから2~3時間が、家族の団欒の時間です。

— 毎日その時間が団欒なんですね。

レイちゃん:この人は団欒の後、店を開けて朝までやっています。生活スタイルが私と子供とは逆ですが、毎日夜の団欒の時間は取れるので、コミュニケーションはしっかり取れていると思います。

— 音楽活動の外出には、お子さんも連れて行きますか?

レイちゃん:預けられなくて連れて行きましたね。小さい頃は普通についてきましたが、今は嫌がってあまり来てくれなくなりました(笑)。

— 嫌がるんですか?

レイちゃん:今も時々リハーサルスタジオには連れて行きますが、退屈だから行かないって言われちゃいます(笑)。逆に言えば、家で留守番ができる歳になったということですね。

— ライブもたまには連れて行かれますか?

レイちゃん:はい。でも子供はライブに来ても、耳を押さえてうるさい!って(笑)。

カッチン:僕のライブでは、最前列で野次るんですよ。なので、ついついMCで自分の息子をいじってしまう(笑)。

5— ご実家に預かってもらうことはありますか?

レイちゃん:親の理解はあるけど、なかなか難しいです。よほどの事が無い限り、なるべく頼らないようにしています。

— ご夫婦でやりくりされていると。

レイちゃん:二人が同じ日にライブがあるとか、仕方ない時以外は、どっちかが調整して子供の面倒をみています。もっとも子供が寝ている間、この人は店をやっていますが(笑)。

— 先ほどカッチンさんとは古い知り合いということでしたが、ずっと連絡は取り続けていたんですか?

レイちゃん:それが、昔は携帯電話もなくて、どこに居るのかまったくわからず、消息不明でした(笑)。用がある時に、カッチンを探すので、皆が苦労していました(笑)。

カッチン:僕は、東京に住もうと思って行ったわけじゃないんです。

— え?ではなぜ東京へ?

カッチン:当時のバンドが解散しまして、その後ソロでライブをやっていました。ソロで大阪・京都・名古屋・東京とライブしたんですが、次のバンドが決まっていなくて。東京のライブの後、東京の友達に「もうちょっとおったら?」って言われ、そのままずるずる10年(笑)。

— すごいです。

カッチン:10年居たけど仕事もせず(笑)。

レイちゃん:私もライブで東京行く時に連絡取りたくて、考えに考え、電報打ちました(笑)。何日から何日まで東京って。一か八か(笑)。人生、最初で最後の電報でしたね。

— 成功したんですか?

レイちゃん:成功したんですよ。連絡がついたんです。奇跡と思いました(笑)。

3— なかなか無いエピソードだと思います。

レイちゃん:カッチンは、人生で今が一番真面目に生きていると思います。

カッチン:そうね。こんなに働いたこと無いね。マジで(笑)。

— 変な話ですが、なぜ真面目になられたんですか?

カッチン:やっぱり、子供とかできて、自分がやらんと大変になるって思いまして。責任みたいなもんですかね。

— 自由な生活から責任のある生活へ、ですね。

カッチン:僕の場合、仕事しいている事がすごい!って友達から言われます(笑)。

レイちゃん:本当に、誰もが驚く衝撃の結婚だったんです(笑)。

— 何となくわかります。

カッチン:本当にダークホースです。よく仲間内で、誰が結婚早い遅いみたいな話あるじゃないですか。僕は常に除外されて、欄外でした。絶対に無い人って(笑)。

— 自由な生活を知る人にとって、想定外のことだったわけですね。

カッチン:G.D.FLICKERSのメンバーとか、この店来ても「いまだに信じられん!」って何度も言いますもん。カッチンが洗い物している姿とか絶対考えられないって(笑)。

— カッチンさんのイメージと180度違いますね。

レイちゃん:この人は、世間の常識から完全に外れている人なです。人生こんな面白く生きている人が居るんだと。今でこそ、落ち着いているけど。初めて会った時は、こんなに落ち着き無い人間が、世の中に居るんだ!と衝撃でした(笑)。

— レイちゃんはその当時から落ち着いていたんですか?

レイちゃん:私も10年前は落ち着いていませんでしたが、レベルが違いすぎるんです。あと、この人は結婚したく無いの知っていたし、私も特に結婚願望は無かったんですが、子供は欲しいと思っていました。

4— そこから繋がるわけですね。

レイちゃん:カッチンのDNAを、珍しいから残したいって思いました(笑)。だから、あんたは自由にしていい、結婚しないでいいから、子供だけ生ませろ!みたいな(笑)。

カッチン:(息子さんを指差して)その作品がコレや(笑)。僕は結婚して落ち着く必要が無かったし、僕みたいなんと結婚したらいかんと思います(笑)。

— でもご縁があったと。

レイちゃん:私らは昔から知っていたんで、勢いみたいな結婚をしていないので、ケンカもしませんね。

— ご結婚に家族の反応はどうでしたか?

レイちゃん:私の母親は、カッチンだけは止めてくれ!と言っていました(笑)。

カッチン:これ本当の話で、誰でもいいから結婚してくれ!でもカッチンはあかんで!と(笑)。

— なぜお母様はカッチンさんをダメだと?

レイちゃん:この人が東京に居る頃、居場所がわかった時は食べ物を送っていたんです。当時の私は実家に住んでいたので、物資を送っていたのを知っているから、存在は知っていたんですね(笑)。仕事もしてないし、いい加減な人って印象だったんですが、その人と結婚してしまいました(笑)。

— 今はもう大丈夫ですか?

レイちゃん:はい。今は大丈夫です(笑)。

カッチン:それはよくわかります。あの時の僕、いいって言う人はおらんだろうと思います(笑)。

— 逆にカッチンさんのお母様はなんと?

レイちゃん:この人の母親は、息子は絶対結婚しないと思っていたので、滅茶苦茶喜んでいましたね。

カッチン:買ってない宝くじに当たったような奇跡!(笑)。

1今は年に4回5回くらいのライブと言われていたレイちゃんですが、子育てをして、仕事をしながらの音楽活動は、やはり楽ではないと思います。しかし、骨の髄から音楽が大好き!というのが初対面でも伝わってきました。ご主人のカッチンさんもそうですが、きっと音楽を取ったら死んでしまうのではないか、と言うくらいに感じました。

音楽への強い愛情は、同じく音楽を愛する人を呼び込みます。結果的にご夫婦の周りには、音楽愛に溢れた人が集まっているように思います。実はレイちゃんとは完全に初対面だった私ですが、カッチンさんの(ショットガンマリッジの)ステージは、若かりし頃に目黒鹿鳴館で何度も観ています。お話したのは初めてだったので、これから良いお付き合いができればと考えています。

今回は連載「ロック酒場探訪記」とのダブル取材でしたが、私自身がとても楽しめるインタビューとなりました。ご夫婦にとっては貴重なお時間を頂くことになりましたが、BEEASTにとっては一粒で二度美味しい、アーモンドグリコ的な取材をすることができました。感謝いたします。

※連載「ロック酒場探訪記:セレクション34(大阪)paradox」の記事はコチラ!

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