連載

ロック1年生 エントリーNo.14 Wonder Spirit

TEXT & PHOTO:鈴木亮介

Photo今年は猛暑続きですが、それでも夏フェスには行ったよ!という人も多いことでしょう。他にも海派、甲子園派、自宅でクーラー派と、酷暑の過ごし方は様々でしょうが、どこに行ってもやはり音楽は欠かせません。そこで今回のロック1年生は、残暑を吹き飛ばす!スカッと爽やかバンドをご紹介します。

東京・池袋を中心に活動するWonder Spiritです。メンバーはきょんさん(Vocal&Guitar)、いちるさん(Bass)、ごう君(Drums)の3名。現在大学2年生・20歳のきょんさんが昨年静岡・浜松から上京し、当時高校生だった18歳のいちるさんと出会い、バンドを結成しました。その後、大学1年生・18歳のごう君が加入。バンドをきっかけに知り合った3人ですが、それぞれにキャリアがあり、結成1年足らずながらも息はぴったり。そんな3人の音楽のルーツに迫りました。

—まずは、バンド結成のきっかけを教えてください。

きょん:Wonder Spiritを結成したのは去年の11月です。最初は私といちるの2人だけでしたが、サポートドラムを見つけて練習を重ね、幾つかライブにも出ました。その後、今年の5月にごうが正式なメンバーとし加入し、今に至ります。

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—きょんさんといちるさんは元々お知り合いだったんですか?

いちる:いえ、このバンドを組むまでは赤の他人でした(笑)。お互いにバンドを組みたいと思っていて、メンバーを探していて偶然出会ったんです。私はずっと東京に住んでいますが、きょんは浜松出身で、昨年大学に進学したのを機に上京しました。

—なるほど。では、2人の出会いも含めて、まずはきょんさんから、音楽を始めたきっかけを教えてください。

きょん:私は小さい頃からずっと歌手になりたいと思っていました。幼少期は学校でうんていをやりながら中島みゆきの「見返り美人」を歌っているような子で(笑)。そして、中学生の時にパンクなど洋楽を聴いてかっこいいなと思い、バンドをやりたいと思うようになりました。早速中1の頃からギターを弾き始めます。父(46歳)が学生時代にギターを弾いていたので、父のアコギを借りて始めました。そして高校1年生の時に学校の部活で同級生と念願のバンドを組んで、3年間続けました。高校生の時は今よりもポップな曲を弾いていましたね。でも、コピーではなくオリジナルが主で、その中には今Wonder Spiritで演奏している曲もあります。そのバンドは高校卒業とともに解散するのですが、私は本格的に音楽をやりたいと思って東京の大学を受験しました。

—そして見事現役で合格し、上京するわけですね。大学進学後はすぐにバンドを組んだのですか?

きょん:いえ、大学内ではメンバーが見つかりませんでした。そこで、mixiのバンドメンバー募集のコミュニティを探していたところ、近所に住む子の書きこみを見つけて、メッセージを送りました。それが、いちるでした。去年の6月頃です。
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—運命的な出会いですね!いちるさんは当時高校生?

いちる:そうです。当時高3でした。結局私ときょんの2人しか集まらず、しばらくは活動できませんでしたが。

—確かに、ドラムがいないと普通のバンド活動は難しいですね。では、いちるさんの音楽を始めたきっかけを教えてください。

いちる:私がベースと出会ったのは中学2年生の頃です。当時、私より10歳ほど年上の親の知り合いが家に遊びに来ていて、その人はベースをやっていたのですが、ある日その人のライブに誘われて行ったところ、カッコいい!!と思って。それで自分もやりたいと思ってすぐにベースを買ってもらい、始めました。その知り合いが教えてくれたので、どんどん上達していきました。そして高校に入ったら絶対にバンドを組みたいと思っていたので、高校進学後はすぐに軽音楽部に入り、バンドを組みました。ハードメタル、ハードコア、V系などをやっていました。ただ学校が商業科だったこともあり、周りの子たちは資格のための勉強やアルバイトに必死で、音楽に本気で打ち込んでいる子があまりいなかったんですよ。そこで物足りないなぁと思って、バンド募集のコミュニティを色々探しました。何人かと顔合わせはしましたが、なかなかいい所がないなぁと思っていた頃、きょんからメッセージが来たのです。今は高校を卒業して、アルバイトをしながら音楽に一意専心しています。

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—ごうさんは?

ごう:僕が音楽を始めたのは高校1年生の頃です。吹奏楽部に入って、パーカッションをやりました。元々はバンドを組んでドラムをやりたいと思っていて、当初は軽音楽部に入ったのですが、そこでケンカが起き、部を辞める羽目に…そこで吹奏楽部に転部しました。ドラムをやろうと思ったのは、兄(21歳)の影響が大きいですね。兄も吹奏楽部で打楽器をやっていて、お互い洋楽が好きだったので色んな音楽の話を聞いて、興味を持ちました。そして、今年の3月に高校を卒業し大学に進学。やはりバンドを組みたいと思って大学の音楽サークルに入ったのですが、タイミングを逃してバンドを組めず…メンバーを探していたら、mixiのコミュニティで2人と出会いました。

—皆さんのご両親はバンドブーム世代に当たると思います。音楽に関して親から影響を受けた、といったことはありますか?

きょん:そうですね。音楽に興味を持ったのは親の影響もあるかもしれません。幼少期は父の好きな中島みゆき大黒摩季をよく聴いていました。今自分のやっている音楽に影響しているか分かりませんが…洋楽を聞き始めたのは友達の影響ですね。教えてもらった曲が、どれも聴いたらいい曲ばかりで。

いちる:私の場合直接ベースを教えてくれたのは両親の知り合いですが、そのほかにも、父(45歳)がやっていたアコギをたまにいじっていましたね。父も学生時代に音楽をやっていたようです。

ごう:うちは、親の影響はまったくないです!兄弟が洋楽好きなので「誰がうまい」「何がいい」という話は兄とよくします。ライブは…来るな!って言ってます。

きょん&いちる:呼ぼうよ~(笑)

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—皆さんが一番影響を受けたアーティストを一人挙げると?

きょん:私はELLEGARDENです!中1の頃初めて聴きました。当時は既に洋楽にハマっていて、日本人のアーティストにあまり馴染めなかったのですが、聴いた時「え、これ日本人?」と。メロディが自分の好みにぴったりで、歌詞も良かったので、好きになりました。

ごう:世界的にも活躍しているドラマーの神保彰ですね。中学生の頃に影響を受けました。CASIOPEAT-SQUAREが一緒にライブをした時のDVDを兄が見せてくれて、それをきっかけにドラムをやりたいと強く思うようになりました。当時その映像を見ていなかったら、今ドラムをやっていなかったかもしれません。

いちる:ハイスタ(Hi-STANDARD)か…BRAHMANですね。ベースを始めた時、最初に習った曲が、その2つのバンドの曲でした。「この曲をどんどんやって、うまくなろう!」と一生懸命コピーしました。

—では、現在のバンドの活動について教えてください。

きょん:練習は週1回程度やっています。池袋でやることが多いですね。3人ともこの近辺に住んでいるので集まりやすいのです。

いちる:初ライブは今年の1月でした。以来、ライブは何回かやっていますが、ごうが加入してからはまだですね。(※取材当時。その後8/5に現メンバーで初ライブを敢行)

きょん:うちの親は1月のWonder Spirit初ライブに来てくれました。感想は…前のライブとの違いとか「声がぶれないように」とか、話してましたね。

—Wonder Spiritは全てオリジナル曲で活動しているということですが、曲はどなたが作っているのですか?

きょん:はい、オリジナル1本です。Wonder Spiritのオリジナル曲は11~12曲あります。曲はだいたい私が作詞・作曲し、たまにいちるが一部作詞しているものもあります。例えば「A75」という曲ははいちるが「貧乳の曲を作りたい!」とアイデアを持ってきて(笑)。歌詞は英語と日本語が混ざっていたり、英語だけのものも。作詞作曲は同時進行ですね。

—かなりインパクトのある曲が多いですよね!曲作りに際して、心がけていることはありますか?

きょん:私は英語の歌詞の曲が作りたいという理由で大学の英文科を受験しました。日本語と英語ではリズムが全然違うので、日本語の良さもあるし英語の良さもあるし、両方あった方が色んな曲が作れると思ったためです。「曲がカッコよく、歌詞が面白く」。そういうギャップのある曲が好きです。

確かに、Wonder Spiritの楽曲を事前にYouTubeで聴いたのですが、とことんカッコいいガールズロックと、やや変態的?な歌詞のギャップがたまらないです。そこで、メンバー個々に、特にお気に入りの1曲を挙げてもらい、セルフライナーノーツを書いてもらいました。

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■きょん
「Hanamo」 作詞&作曲:きょん  完成:2009年12月頃
私の大好きな友達には少し気になることが。それは…鼻毛が出ていること!!「鼻毛…出てるよ」なんていえない…自分で気づいて欲しい!!そんな笑ってしまうような楽しい曲です。


■いちる
「A75」 作詞:きょん・いちる 作曲:きょん  完成:2010年07月頃
UNDERGROUND KINGDOMというイベントのオムニバスアルバムのために作られた曲。世の悩める貧乳のために全力で歌っています。思わず口ずさんでしまうようなとても聴きやすい曲です。

■ごう
「kasumi」 作詞&作曲:きょん  完成:2010年06月頃
かすみ とは”空気”のことで、なくてはならない存在。それと同様に、自分にはなくてはならない君という存在を今日もギターをかきならしながら、君に届くように歌うよ。というすこし儚い曲。ギターのアルペジオの音がすごく印象的な曲です。この曲はぜひLIVEで直接聴いてほしいです。

—今後のバンドの目標を教えてください!

いちる:ライブは結構出ているのですが、コンテストなどはまだ出場していないので、一度挑戦してみたいですね。

きょん:インディーズの中で名が知れるくらいになりたいなと思います。今はファンを一人でも多く増やしたい!確保したい!です。現在は東京が活動の中心ですが、有名になったら浜松に凱旋して、それからはアジアに進出して…(笑)

—大きな夢、というか野望がありそうですね。では最後に、皆さんの今後の目標をお聞かせください!

きょん:世界ツアー!!大学卒業後はバンド一本で食べていけるように頑張りたいです!

ごう:ドラムマガジンの表紙を飾りたいというのが密かな野望です。

いちる:世界ツアーとか言うからびっくりした!!まずは身近なところで…アジアとか中東とか?あとは、変態ベーシストとして独特の世界観を追求して、コアなファンにも認められることが目標ですね。「あのベース、キモっ!!」って言われたい。

—最後にもう一言!

きょん:MySpaceYouTubeで私たちの曲を紹介しているので、是非聴いてみてください!

Wonder Spiritはユニークすぎる曲からしっとり聴かせる曲まで様々な曲を持っていますが、話を聞いていて、3人の個性が相乗効果を生んでいるなと感じました。スタジオからの帰り際、きょんさんはバンドの今後について「色々やりたい曲があって、3人がこれまでにやってきたジャンルも違って、方向性に悩んでいる」と話してくれましたが、「Wonder Spiritはこういうバンド」と一つに絞ってしまわず、英語詞も、フュージョン系の本格ドラムも、そしてヘンタイも…あれもこれも取り入れて、唯一無二の世界観を作り上げてほしいと思います。まずは、ライブに足を運ばねば!!

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Wonder Spirit HP
http://wonderspirit3.web.fc2.com/

Wonder Spirit myspace
http://www.myspace.com/wonderspirit333

≪インフォメーション≫
UNDERGROUND KINGDOMオムニバス参加決定!!!!!
U.K RECORDS
1st OMNIBUS ALBUM『QUEEN OF THE ROCK』
2010年10月13日 全国CDショップより発売!!

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【取材協力】
サウンドスタジオノア 池袋店
http://ikebukuro.studionoah.jp/