ロック1年生、9回目となる今回は、さいたま市のバンドヘッドラインをご紹介します。当連載9回目にして初の埼玉上陸です。浦和駅から歩くこと数分、子どもの音楽教室なども併設されていてアットホームな雰囲気の「柏屋楽器浦和フォーラムスタジオ」を訪れると、ライブを前日に控え練習中のメンバーの皆さんが出迎えてくれました。
メンバーは同じ高校に通う並木有花さん(Vocal)、森田愛望さん(Guitar)、原かほりさん(Bass)、杉村亜美さん(Drums)の4名で、全員高校1年生。バンドは2009年4月に結成されました。BUMP OF CHICKENやRADWIMPS、JUDY AND MARYなどのカバーに加えて、オリジナル曲も持つ本格派です。
—まずはバンド結成のきっかけを教えてください。
並木:バンドを結成したのは高校に入ってすぐです。4人とも違う中学校の出身でしたが、皆高校に入ったらバンドを組みたいと思っていて、まず初めに学校のフォークソング同好会に入りました。
森田:それから、前々よりメールのやり取りをして「一緒に組みたい」と思っていた森田、並木が組み、そして並木と同じクラスの原を誘います。そしてドラムは、同好会の1年生の中で杉村を含め2人しかおらず、他のバンドと競合する状態だったのですが、どうしても欲しかったので誘いました。
—バンド名の由来は?
並木:「消されたヘッドライン」というポスターを浦和駅で見つけて、あれでいいんじゃない、と。そのままノリでヘッドラインになってしまいました。最初はバンド名を数字にしようと言っていたのですが….。
—皆さんが音楽を始めたきっかけを教えてください。
並木:父(40代半ば)が学生の時にベースをやっていて、家ではよくAEROSMITHやKISS、QUEEN、Led Zeppelinなどが流れていました。そうした昔のレコードなどを聴いているうちに、だんだんかっこいいなと思い、高校に入ったらバンドを組みたいと思うようになりました。今はボーカルのみですが、メンバーからギターを教わっています。
森田:音楽を始めたきっかけは中2の夏にアコギに興味を持ったことです。それまでは音楽の授業で楽器に触れる程度だったのですが、突然やりたいなと思い…親に頼んで、誕生日に買ってもらいました。その後、中2の冬に「3年生の卒業を祝う会」があり、ベースを弾いている友達と一緒に皆の前で弾きました。これが人前での初演奏です。中3からは本格的にギターを習い始めます。ある時、BUMP OF CHICKENの「車輪の唄」を演奏したのですが、それを聴いた友人がmixiの日記で「『車輪の唄』に感動した。俺もギター始める」と書いてくれました。それが嬉しくて、高校に入ったら絶対に軽音部に入りたいと決意しました。バンドを組んでからはエレキをメインにしています。
原:私は小学校1年生の頃からピアノを習っていました。しかしなかなか上達せず、6年生の時にやめてしまいました。その後、中学では吹奏楽部に入り、フルートをやりました。それと同時に、BUMP OF CHICKENにハマり、自分もこんな風に弾けたらいいなと思って中2の頃にベースを買いました。しばらく放置していたのですが、高校に入って、せっかくベースを持っているのだからやりたいし、できるようになったら楽しいだろうと思い、同好会に入りました。
杉村:私もピアノを4歳頃からやっていました。人から教わるのが嫌だったため、しょっちゅうやめたり復活したりを繰り返して、結局小5でやめました。その後、中2からドラムを始めました。興味を持ったきっかけは「できたらかっこいいな」というぼんやりとしたものでしたが、次第に魅力を感じるようになり、高校でもやりたいなと思い、続けています。
—皆さんの親はバンドブーム世代にあたると思います。親から音楽の影響を受けた、といったことはありますか?
森田:私の母(永遠の27歳)がアルフィー(THE ALFEE)中毒=通称「アル中」で、ライブに何度も通っていて…とうとう、ライブハウスから無料の招待券をもらうまでになりました。そのため、私もライブに行く機会が結構多く、様々な音楽に興味を持てるようになりました。さすがに親子で一緒に行くことはありませんが。ただ、親の影響で好きになったというよりは、自分が好きになったら親も好きだったことがわかったということの方が多いです。親が横から「これいいね、誰の曲?」と口を挟んできたり。あとは親の影響といえば、洋楽を少しかじるようになりました。CCR(Creedence Clearwater Revival)などのカセットテープが家にあったのをずっと聞いていて、「この曲名は何?」と親に聞いて…。
並木:父がJUDY AND MARYを家でずっと聞いていて、それで私も好きになりました。ヘッドラインでも今、JUDY AND MARYの曲をやっています。
—バンドの活動について、教えてください。
森田:活動頻度は、月に2回学校の部室で練習をするほか、スタジオも時々行っています。
並木:曲目は、メンバー4人のやりたい曲がバラバラなので、順番に出しています。また、ライブはこれまでに3回やりました。初ライブは昨年9月に行われた学校の文化祭です。
—初ライブを振り返ってみて、いかがですか?
並木:まずライブの前のオーディションがとても緊張しました!
原:そして、ライブ当日も緊張しました。1年生でトップバッターだったので、朝9時からやったんですよ!前日は寝られないほど緊張してしまって…だから、終わった後、ひと段落ついたなと安心しました。
杉村:緊張したことしか覚えてないです…。
並木:次は絶対にちゃんとやろうと…反省ばかりですね。私はボーカルなのに、緊張して前を見られず、横を向いていました。声も震えてしまって。
森田:私は「楽しかった!」しか覚えてないです。
—親御さんなど、周囲の反応は?
原:メンバーの親たちは皆見に来てくれたのですが、感想やアドバイスなどは特になかったようで…うちの親からは、「頑張ったねー」とは言われました。今後、どんどん上手くなって「見に行きたい」と思ってもらえるような演奏をしたいと思いました。
並木:うちの親、ビデオ撮ってたんですよ!それを家で流すと私が怒るので、それ以来誰もライブについては触れなくなりました(笑)
森田:友人たちは絶賛してくれました。気を遣って誉めてくれたのだろうけど…だから、本当にすごいと言われる演奏がしたいなぁと思いました。
—あくまで謙虚ですね。では、そんなヘッドラインの持ち味は何でしょうか?
森田:1年生の中では、オリジナルをやっているということでしょうか。あ…あと、「おじさんくさい」こと!
並木:私たちは女子校に通っているのですが、女の子ぶったところがまったくないのです。キャピキャピしている共学の女子高生とは違って…
森田:男に生まれたかった同盟だよね。
原・杉村:私も!
森田:私はレスポールを使っているのですが、先日ギターを買う時に「女の子はテレキャスだよね〜」と店員に言われて「ナメとんのかい!」と思いました(笑)
—メンバーで遊びに行くことは?
並木:全然行かない!バンドの練習以外では、ほとんど集まったことがないですね。
森田:つかずはなれずで。
並木:ダウンタウンみたいにね。
森田:いや、B’zみたいにね。
そんな「男に生まれたかった同盟」ことヘッドラインの4名ですが、本格的にバンドを組んで1年とは思えないほどパワーのある演奏と、聞く人を魅了するオリジナル曲「夜間飛行」「現代化学」の2曲が何と言っても光ります。バンドでしか表現できないものということで、どうしてもヘッドラインだけにしかできない曲がほしくて作ったということですが、このオリジナル曲を手がけた森田愛望さんから、曲作りの裏側を特別に教えてもらいました。
メロディーを作る際、気を付けているのはコードのニュアンスです。私はアコギ出身のため、パワーコードが全然ないのですが(苦笑)Gひとつとってもギターはいろんなおさえかたができますし、押さえかたによって同じGでも全く違った風に聞こえます。だから「ここはオープンコードなイメージ」「ここはセーハする感じ」など考えながらやっています。
—最後に、今後の目標を教えてください!
並木:大会に出て実力で賞がもらいたいです!また、ボーカルとしてはもちろん、ギターも頑張って練習したいです。
森田:ライブや合宿など、今しか出来ないような事をたくさんしたいです。「ただ単に馬鹿をやる」…これは、大人になったら出来なくなるのかなと思うと、今の私たちの特権だと思うのです。そして、今表現したいと思うことを、曲にしていきたいです。
杉村:どんな曲でもカッコよく自分流に叩けるようになりたいです。そして、他の楽器にもチャレンジしてみたいと思っています。
原:バンドの目標としては、大会に出場して実力で賞をとることが目標です!また、私自身はリズムキープや基本の土台をしっかりさせて色々な奏法を身に付けたいです。いろんなライブに出て、ライブを見に来てくれた人にハッ!と驚いてもらえるようなことをしたいです!
【取材協力】
柏屋楽器 浦和フォーラムスタジオ
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