連載

※この記事は取材した2012年のアーカイブです。最新情報ではありません。

セレクション12(大阪)「barHighBridge」 マスター 高橋 有希
TEXT & PHOTO:桜坂秋太郎

大人気連載「ロック酒場探訪記」、今回も大阪からお届けします!第12回目に登場するのは、大阪のミナミにある「barHighBridge」。お店のホームページが無く、知る人ぞ知るバーとのこと。音楽好きが夜な夜な集う、隠れ家のようなバー。住所を頼りに探します。

心斎橋駅から御堂筋を歩くこと数分。日宝サンフラワービルを発見。さっそくエレベーターで4Fへ。知る人ぞ知るバーのマスターに興味津々です。どのようなお話が聞けるのでしょう。静かに扉を開けます。しかめっ面のいかついマスターが登場!と思いきや、ブロンドヘアの優しそうなイケメンマスターが迎えてくれます。

「仕事中は飲まない人ですか?」との質問に、「いいえ!」と元気に答える私…。読者の方からは、「ロック酒場探訪記の取材は飲みまくりですか?」とよく聞かれますが、そんなことはありません。基本的に店舗の取材は、休憩時間が多いため、飲んだり食べたりしないのです。しかし今回は、冷たいビールをご馳走していただきながらの、ハッピーな取材。さて始めましょう!

00AMマスター 高橋 有希 プロフィール

兵庫県出身。大震災後に大阪へ。アクセサリー関係のサラリーマンを経て、時間を気にすることなく、ゆっくりとことん飲めるバーを2008年に開店。趣味のアンティークな物やミニチュアボトルなどをお店に飾り、特徴的なイラストの名刺やポストカードの個性的なデザインが店内を彩る。とにかくお酒が大好きで、兄や義兄もバーを経営している。

— お店のホームページがありませんが、わざと露出させない戦略ですか?

高橋:最初は確かに、わざとやりませんでした。最近は、ちょっと興味が出てきました(笑)

— お店の名前の由来を教えてください。

高橋:僕の名前が高橋なので、そのまんま直訳してハイブリッジです(笑)。ヒネリはないです。

— 客層はどのような方ですか?

高橋:だいたい、30~40代半ばくらいですね。若い人はあまり来ません。最近の若い人は、上司に飲みを誘われても断るようですし(笑)。僕は音楽でも映画でも、自分の知らないことをバーで知ることは、価値観的に世界が広がると思うので、若い人にもぜひ来てほしいとは思っています。

— お店の売れ筋を教えてください

高橋:一番出るのはテキーラですね。ショットでもダントツです。あと、ウチは生ビールを置いてないので、ウイスキーが好きな人が多く来ていると思います。その他は焼酎や角ハイなど、家でも飲めるような物が出ます(笑)

— マスターは結構飲む方ですか?

高橋:僕は飲めば飲むほどスピードアップするタイプですね。お客さんに勧められたら、テキーラをいただくことが多いです。休みの日は、さすがに酒を抜いています(笑)

— お店を始めてどのくらい経ちますか?

高橋:2008年なので、今年で4年目です。オープンするまで、僕は結構飲みに行っていまして、ロックバーもかなり行ったけど、どうしても若い子が中心でした。もう少し落ち着いて飲めるところがあればなぁと思っていたので、自分でやる時は、落ち着いた感じにしてみました。

— 大人な空間ということですね

高橋:流れているのが、例えばハードロックやヘヴィメタルだとしても、雰囲気は落ち着いた感じにしたなと思いました。バーカウンターで一杯ひっかけて~みたいなことではなく、ちょっと腰をすえて、ゆっくり飲めるような空間です。

— そのコンセプトはやってみてどうでした?

高橋:意外と共感してくれる方が多かったです。ロックが好きな人にも、ゆっくり飲みたいみたい人はいて、それなりの需要があったのでしょうね。

— お店を始める前は何をされていたのですか?

高橋:元々はアメリカ村で、アクセサリー関係の仕事をしていました。僕の兄が心斎橋でバーをやっていまして、実家も居酒屋をやっていたので、いつかは飲食業をやろうとは思っていました。

— 実際にお店を出したのは、思い立ってからどのくらいですか?

高橋:半年ですね。その間は、知り合いの店で働かせてもらって、バーの基本を教わりました。元々バーが好きでよく通っていたので、何とかなるだろうと思っていたのですが、実に奥深い世界でした(笑)

— 半年でお店を出すというのは早いですね

高橋:ファッション業界にいる時から独立を考えていたので、ずっとお金は溜めていました。

— その当時はアクセサリー関係で独立を考えていたとか

高橋:僕はシルバーアクセサリーなどが好きで、最初から自分で商売してみたいと思っていたので、勉強ができる事務所勤務の会社に入りました。そこで卸とか色々学びました。

— アクセサリー系ではなく、バーで独立に切り替えた理由は何ですか?

高橋:キッカケは、ちょうど母が他界しまして。自分一人で生きて行けるように考えた時、本当にやりたいことをやろうと思いました。それでバーを。僕は30歳を一つの節目と考えていたので、店は29歳で始めました。

— 店内のインテリアが特徴ありますね

高橋:ノベルティが凄く好きで、アンティークなネオンサインとかを、前から集めていました。

— 結構その手を持っているわけですね(笑)

高橋:もともと趣味で集めていましたので、結構ありますね。さすがに、あまりにもくだらない物は店には持って来ないようにしていますが、家には結構あります(笑)

— お店の営業時間を教えてください

高橋:一応19時から朝3時です。もちろんお客さんいたらエンドレスです(笑)。週末とかは、長いと昼までやっています。昨日も朝9時までやっていました(笑)。女の子が19時に来て、朝9時まで飲んでいたので。

— それはすごいですね。長時間辛くないですか?

高橋:確かに昼までやっているとキツイです(笑)。僕は家が豊中というところなので、お店からちょっと遠いのです。だから朝9時や10時になってしまったら、もう帰るのはあきらめて、店に泊ります(笑)

— じっくりと腰をすえて飲むお客さんが多いのですね(笑)

高橋:そうですね。お店が一軒目の店じゃないので、二軒目、三軒目で終電もなくなったし、ずっと居ようかって(笑)

— マスターが好きな音楽を教えてください

高橋:僕はハードロックやサザンロックが好きですね。アメリカのロックが好きです。

— リクエストも多いですか?

高橋:邦楽のリクエストがありますね。お客さんが音源を持参されて、上田正樹やしきたかじんダウンタウンブギウギバンドなどをかけることも。

— 普段の音量は、今くらいですか?

高橋:お客さんとトークがメインの時はこのくらいですね。本当にBGM程度です。そういう感じじゃなければ、AC/DCなどを爆音でかけたりもします(笑)

— 女性のお客さんが大半ですか?

高橋:いえ、とても少ないです(笑)。8割が男性です。でも音楽好きな方ばかりですね。現役バリバリのバンドマンじゃなくて、青春時代にバンドをやっていたような人が多いかもしれません。

— それでは最後に読者へ何かコメントをください。

高橋:ハードリカーをガンガン飲みながら、上質なロックとトークを楽しみに来てください。お待ちしています!

インタビュー終了後に、義弟が最近デビューしたとの話を聞きました。バンド名は、T.C SPEAKERで、パートはドラム。バンドの公式サイトから調べてみると、カッコイイPVを発見!これは読者の方へ紹介したいので、ぜひご覧ください!

印象的なイラストについて聞いてみると「これは僕の奥さんが描いていて、お店としてもDMや名刺に力を入れています。あとは一周年記念、二周年記念、三周年記念と描き下ろしでカードも作っています」と、作品を並べて見せてくれました。一度見たら絶対に忘れないイラストは、「barHighBridge」のカラーの一つになっているようです。

知る人ぞ知る隠れ家のようなバー「barHighBridge」。飲食店サイトなどにも登録がなく、本当に情報が出ていません。ゆっくり飲むのが好きな方はもちろん、普段ワイワイ系の方も、たまにはゆっくり飲んでみるのも悪くないと思います。「barHighBridge」の扉を開けて、時間を気にしない一時を過ごしてみてはいかがでしょうか。

 
barHighBridge<閉店>

営業:19:00~03:00
定休:木曜日
住所:〒542-0086 大阪市中央区西心斎橋2-9-3 日宝サンフラワービル4F 5号室
TEL:06-6211-3104


大阪府大阪市中央区西心斎橋2丁目9−3



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