連載

Groupiedolls

※この記事は取材した2010年のアーカイブです。最新情報ではありません。

TEXT & PHOTO:桜坂秋太郎

「ロック酒場探訪記」の第3回はGroupiedolls(グルーピードールズ)をご紹介します。Groupiedollsの噂は以前から聞いていて、昨年11月に一度プライベートで訪れています。そのことはスタッフヴォイス「桜坂秋太郎 Vol.9」に書きましたが、噂通りの凄い焼肉屋さんでした。一緒に行ったロック仲間も目が点になっていたのを覚えています。

日本の国民食は、カレーライスとラーメンです。そしてちょっと贅沢な外食は、焼肉と寿司。これは昭和の時代から変わってないことだと思います。特に若い人や若い精神の人は、焼肉を好む傾向があります。私もかつて焼肉奉行として、家庭内ではかなりうるさい男でしたが、今ではその座を息子に奪われました。

さて、ロックな焼肉屋という聞きなれないスタイルのお店は、いったいどのようなマスターがどのような美学を持って経営されているのか、とても興味があります。さっそく訪ねてみましょう。今回は取材なのでしっかり仕事をしたいと思っています。小田急線の生田駅から歩いてすぐ、お店に到着です。

Photoマスター 間壁(George)丈治プロフィール

東京都出身。ギタリストとしてバンド活動をしながらフリーターを続け、25歳で結婚を機にサラリーマンへ。10年間のサラリーマン生活を経て独立。日本で(世界で?)唯一の、ロックな極楽焼肉屋「グルーピードールズ」を経営。ロックなメニューをヒラメク瞬間が至福。現在ギターは趣味で弾いてるが、ロック系のイベントで時々DJをしている。

—いきなりですが、お店の名前に“グルーピー”という言葉は凄いですね!

PhotoGeorge:はい。特に意味があったわけではないのですが“グルーピー”という言葉が凄く好きで(笑)、店名にするのはどうかと一瞬考えましたが、好きな響きなのでそのまま付けました。

—焼肉屋さんを始めるきっかけを教えてください。

George:実は焼肉屋自体は13年前くらいからやってます。元々サラリーマンを10年くらいやっていたのですが、その会社がキムチ関係の会社で。そこの社員をやってました。ある時、その会社で実店舗の焼肉屋を出すことになって、僕が店長をやることになったのです。

—今もキムチ関係の会社が経営されているのですか?

PhotoGeorge:いえ。5年前くらいに、リニューアルしたい!と社長に話したら、独立を進められまして(笑)社長からこのお店を買い取って、独立した感じです。それから5年くらい経ちますが、ずっとこのスタイルでやってます。ロックなリニューアルしてからは、めっきりお客さんが減りましたね(笑)

—お客さんの層はどのような方ですか?

George:うちの店は場所が都心じゃないので、地元の家族連れが多いですね。ロックとか全然関係ない人も多いです。僕のイメージは“ハードロックカフェ”なんです。僕と同じ年代だと子供もいるので、ファミリーで気軽に来られるような。“ハードロックカフェ”ってカップルや仲間同士でも行きますが、雰囲気として家族連れでも行きやすいですよね。そんなところを狙ってます。

—お店宣伝は家族向きにアピールされているのですか?

PhotoGeorge:宣伝は「ぐるなび」でやってますが、それ以外は特に無いですね。ロック好きな方は口コミで来てくれる感じです。mixiのコミュニティで知ったり。あとは伊藤政則さんが「POWER ROCK TODAY」のラジオ(BAY FM)番組で話してくれて、それを聴いて来た人もいますね。ハイテクニカルなラウドロックバンドのBULL ZEICHEN 88は、うちでPV撮影もしてるので、その映像を見たBULL ZEICHEN 88ファンが実際に来てくれたりもしてます。

※Groupiedollsで撮影された「Prologue」Bull Zeichen 88の映像は、音楽情報サイトBARKSの下記動画をご覧ください。

—ところで、メニューのネーミングがどれも面白いですね。

George:最初はカルビとロースの盛り合わせで「カルビンロース」ってのがひらめいて。それからロックなネーミングにハマっちゃっいました(笑)究極は「杏仁メイデン」ですね。これは伊藤政則さんを通じて「EMI JAPAN」に繋がって、なんとIRON MAIDENサイトで紹介してもらいました。

—お薦めのメニューを教えてください。

George:新作なんですが「海老ドリアン風ハンバーグ」です。海老ドリアの中にハンバーグが入ってます。Adrian Vandenbergにかけてます。。。看板としては「杏仁メイデン」なので、それはぜひ食べてほしいですね。僕は焼肉屋の概念をぶっ壊したいと思ってます。フードコートみたいなのが大好きで、何でも食べられるスタイルにしたくて、おつまみ類も充実してますし、アメリカンドッグもあります(笑)
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—飲み物はどうですか?一般的な焼肉だとビールが定番ですが。

George:そうですね。定番のドリンクはよく出ますが、ロックが好きな人が来るとオリジナルなドリンクを作ったりします。「アロエカシス」とか。これはAerosmithにかけてるんですけど。。。

—壁にあるメニューのセンスも素敵ですよね(笑)私が一番グッときたのは「デイヴ リヴ ロース」ですね。

George:ロックなネーミングを思いついた時は、「これはキタな!」ってのがありますね。普通の人には絶対わからない感覚だと思いますが(笑)楽しいですね。

—それでは、平均的な一日の過ごし方を教えてください。
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George:僕はだいたいお昼頃に起きます。それから準備して買出しに行って。15時くらいに店には入ってます。掃除して仕込みして17時にオープン。毎日その繰り返しですね。閉店は23時が一応の目安ですが、お客さんがいればもう少しやってます。あとは閉店後のお店で、音楽を聴いたりギター弾いたりしてます。僕はお酒が飲めないので、飲みに行くって行動が無いです。帰ってもすぐ寝られないので、お店には3時くらいまでいますね。

—最後に読者に向けたコメントをください。

George:ロックバーなどは、家族連れではちょっと行きにくい場合もあるかと思いますが、基本うちは焼肉屋なんで、ファミリー大歓迎です。親子2世代でVan HalenMötley CrüeOzzy Osbourneなどを語る親子も多々見受けられます!家族としての理想像、そして店としての理想像を垣間見られてとてもうれしく思います!本当に、店をやってて良かったなぁ~と。。。提供する料理はどれも自信を持ってお出ししていますので、変なネーミングが付いていても、美味しさは保障できます(笑)ぜひいらしてください!

—余談ですが、マスターのお子さんはロック好きですか?
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George:うちの息子はバカみたいにロックが大好きですね(笑)家にアニメの音楽などは無くて、完全に洗脳してしまった感じです。車に乗っていても、子供から「Mötley Crüe無いの?」みたいなことを言います。10歳なんですけど、Tommy Leeが超好きでドラムやってます。自分からやりたいと言ったんですが、もう6年くらい経つかな。あと親子一緒にMötley Crüeを一昨年観たのですが、そこでピアノを弾くTommy Leeに影響されて、今ではピアノも習ってます(笑)


取材を終えてレコーダーをオフしてからも、マスターは色々なお話をしてくれました。その中でも印象に残っているのは、お店のある街“生田”は地元ではなく、むしろアウェーであるということ。そんな環境で、類のないロックなスタイルの焼肉屋をやるというは、想像を超える苦労があったと思います。

実際、独立してロックな店にリニューアルしてからというもの、誰にも相談できず一人ですべてを抱えてきたとか。ロックが本当に好きだから乗り越えられたと言えるような気がしました。Groupiedollsの名前が口コミで広まる中、同じロック系のお店の個人事業主さんとネットを通じて知り合い、新メニューの話や愚痴を言える環境が最近できたようです。

個人事業主のストレスやコミュニケーションは、私もライター業で最初に独立した時に経験しています。独立してしまうと、怒ってくれたりダメ出しをしてくれる人が急に居なくなります。自分の好きなようにできるメリットはありますが、全責任を自分が背負うデメリットも抱えます。Groupiedollsへ行った時は、焼肉以外にマスターのロック魂にも触れてみてください!

★2010/8/末まで「BEEASTの記事を見た!」で、人数分のファーストドリンクをサービスいたします!★

Groupiedollsグルーピードールズ

営業時間:17時~(不定休:DJをする日などは休み)
〒214-0038 神奈川県川崎市多摩区生田7-9-3
TEL:044-922-2929

ぐるなび:http://r.gnavi.co.jp/p765400/

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神奈川県川崎市多摩区生田7丁目9−3




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