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セレクション36(大阪)「Seventh」山本章史オーナー
TEXT & PHOTO:桜坂秋太郎

A大人気連載「ロック酒場探訪記」。今回は、大阪・東梅田にあるロックバー「Seventh」をご紹介しましょう!
 
大阪は個性的なロック酒場が集うエリアですが、今回のお店は、楽器の演奏をメインにしたセッションバー。ハードロック・ヘヴィメタルなプレイヤーに人気のお店のようです。
 
東梅田といえばたくさんの人が集う繁華街。人で溢れた商店街を歩き、お店へ向かいます。通常取材は営業時間外に行いますが、今回は営業中の時間にお話を伺います。
 
商店街から少し曲がり、梅田ロイヤルビルの3Fへ。お客さんで賑わう店内ですが、早速インタビューをスタートしたいと思います。
 

Z山本章史オーナー プロフィール

奈良県出身。高校生の頃からギターをはじめ、楽器店へ就職。その後ホームページ制作などの仕事を経て独立。自身の楽しいと思える店を作るべく、未経験ながらロックセッションバーを開業。大好きなギタリスト、Yngwie Malmsteenの名盤『The Seventh Sign』から、店名をSeventhと命名。

H— お店はいつからですか?

山本:2017年7月にオープンしました。

— その前もバーに勤めていたのですか?

山本:いえ、まったくこの業界ではありませんでした。バーはもちろん、飲食業が初めてです。

— 未経験でいきなりのバー開業はすごいですね。

山本:ロックに関わる仕事がしたかったのと、飲みながら演奏したり、セッションしたりする場所が欲しかったので、思い切って始めました。

— 以前はどのようなお仕事をされていたのですか?

山本:楽器店に勤めたり、ホームページ制作の会社に勤めたりしていました。サラリーマンですね。

— 楽器は何を演奏されるのですか?

山本:僕はギターです。でもライブをするとか、そういうのは一時期やっていませんでした。

— 仕事が忙しかったのでしょうか?

山本:そうです。ただ単身赴任で東京へ出て行ってた頃に、ネットで知り合った人などとメタル飲み会をするとか、メタル縛りカラオケに行くとか、楽しむようになりました。そのうち演奏ができるセッションバーに行くようになって、それがすごく楽しくて、いつか自分でもそういうお店をやりたい!と思っていました。

— いざオープンするとなって、物件探しはどうでしたか?

山本:すごく苦労しました。特に音の面です。小さいバーも考えてみたのですが、電子ドラムを置こうとか、小さいギターアンプも置こうとか、あれこれしているうちに、結局ステージがある店になっていました。

— お客さんはどのような方が多いですか?

山本:何かしらの楽器を演奏される方が大半です。

— そしてセッションに発展するわけですね。

山本:はい。特にドラムはツインペダルを入れてあるので、メタル系セッションができるバーは少ないと思います。

D— 騒音的なところは問題ないのでしょうか?

山本:音が大きいと苦情が来たことは一度もありません。振動の方は気になって、セッションしている最中に、上下階の店に挨拶に行ったことがあるのですが、まったく問題ありませんでした。

— それは良い環境ですね。

山本:実は一番漏れているのは外で、何の曲をセッションしているか、わかるくらいに商店街まで聞こえているようです(笑)。

— ここのお店は居抜きですか?

山本:基本そうですが、前はガールズバーだったので、コの字型のカウンターがありました。それを撤去して、ステージを作って。ステージ側の壁を黒くしてもらうなど、多少の手を加える形でオープンしました。

— お客さんの大半がプレイヤーということは、メンバーが揃えばすぐセッションできますね。

山本:突発的なセッションもありますが、事前に何かのアーティストに特化したセッションを企画することが多いです。例えば、Guns N’ Rosesセッションとか、Mötley Crüeセッションとか。

— 洋楽ロックが多い感じですか?

山本:邦楽も多いです。SIAM SHADEセッションとか、Mr.Childrenセッションとか。あとは聖飢魔IIのセッションはメイクも再現するなと盛り上がりますね。

— お店のお休みはありますか?

山本:定休日を作らず、基本無休でやっています。何かある時は臨時休業しています。

— セッションが多いのは土日だけですか?

山本:土日はもちろんですが、平日もいきなりDef Leppardのセッションが始まるとか、楽しいです。

C— 年齢層はどうですか?

山本:20代から70代くらいまでと、かなり幅広いです。

— ギターがたくさん壁にかけてありますね。

山本:そうですね。ほとんどがアーティストモデルで、僕の独断でここまで揃えました。

— もともとお持ちだったのでしょうか。

山本:持っていたのもありますが、多くは店をオープンする時に買いました。お店の開店費用も、ギター代が結構占めています(笑)。

— ドリンクはウイスキーが一番出ますか?

山本:ウイスキーもですが、カクテルもよく出ます。あとはフードも。

— メニューが多いですね。

山本:出せるものを羅列したら、結構な数になってしまいました。

— 未経験からの開店で、出せるものが多いのはすごいですね。

山本:お店がプレオープンする前に、知り合いの店に行って教えてもらいました。四苦八苦しながら必死に覚えた感じです。

— オープン時、お店のPRはどのようにされましたか?

山本:ネットですね、twitterとか。あとは大阪の各ロックバーへ挨拶に行きました。今度お店やりますと。チラシを置いてくれるところもありました。

G— お店のネーミングはどのようにして決めましたか?

山本:よくコードのセブンスとか言われるのですが、大好きなギタリストYngwie Malmsteenのアルバム、The Seventh Sign』からとりました。

— お店自体は何人くらい入るのでしょう?

山本:30人くらいですね。それ以上だとステージの演者の交代も結構大変になります。

— 気軽にセッションができるコンセプトはとても良いですね。

山本:ありがとうございます。バンドの人口からすると、ボーカルとギターが一番多く存在していますが、ボーカリストにはカラオケもありますよね。でもギタリストだと弾く場所がなかなか無くて。

— ギタリストにとって、好きなアーティストのモデルを、飲みながら弾けるのは最高ですね。

山本:はい。喜んでいただいております。ギタリストしかいない時は、CDとかYoutubeを流しながら、ギターを弾きまくることもあるのですが、皆さん楽しそうに弾いていますね。

— 音響設備も用意してあるので、個人でもフルバンドでも楽しめますね。

山本:このくらいの規模だと、生音だけで十分だと言われるのですが、そこはこだわってPAを入れました。

— 何か困っていることはありますか?

山本:僕は知らないことが多くて、お客さんに教えていただくことが多々あります。特にギタリストなので、ドラムのこととかよくわかっていないなど、教えてもらって勉強をしています。

— お客さんに育ててもらっている部分もあるわけですね。

山本:昔は楽器屋にもいたので、ギターについてはそこそこ知識はあるのですが、それ以外は素人なので、知ったかぶりをせず、素直に教えてもらっています。

— ギターはいつ始めたのですか?

山本:高校生の頃から弾き始めました。バンドもやっていました。

— 実際にお店を始めてどうでしたか?

山本:お客さんが来てくれるか心配でしたが、セッションのニーズがすごくあって驚きました。

E— コンセプトが当たったわけですね。

山本:そうですね。演奏したいと思っている人が、これほど多いと思いませんでした。

— 演奏したい欲求を、満たしてくれるお店ですね。

山本:実は演奏する人って、自分が演奏したいというだけでなく、勉強になるから他人の演奏も見たいという部分もあって、そこにマッチしたのかなと思っています。

— お休みもなく大変だと思いますが、やりがいはありますね。

山本:はい。オープン以来、たくさんの方に来ていただいて感謝しています。

— ご自身が飲みに行くこととかあるのですか?

山本:お店は朝方までやっているのですが、その後から飲みに行く日もあります(笑)。

 

Fお客さんもいる、お店の営業時間中のインタビューでしたが、とてもスムーズに取材することができました。インタビューの中で、大阪のセッションのマーケットが、結構大きいことはわかりました。

しかし、それだけでお店が繁盛しているのではないことは確かです。第一印象から、実直な印象の山本オーナーですが、お店の女性スタッフも気さくで優しい感じでした。

大阪近辺の方はもちろん、梅田界隈は県外の人も寄りやすい場所にあります。フラッと立ち寄って、アーティストモデルを弾きまくるもよし、ロック談義に花を咲かせるもよし。このインタビューを読んで、もし興味を持ったなら、ぜひ「Seventh」へ足を運んでください。とても居心地の良い空間がそこにはあるはずです。

RockBar Seventh

営業:19:00~明け方
住所:〒530-0057
大阪府大阪市北区 曾根崎2丁目14-10
梅田ロイヤルビル3F
TEL:050-3559-9814

Website:http://seventh.jp/
 
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