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※この記事は取材した2016年のアーカイブです。最新情報ではありません。

セレクション35(大阪)「B-flat」仲田才智子オーナー
TEXT & PHOTO:桜坂秋太郎

01大人気連載「ロック酒場探訪記」。今回は、大阪の梅田にあるライブバー「B-flat」をご紹介しましょう!大阪の中でも歓楽街なエリアに位置するお店ですが、今回はどのようなお店でしょうか。

梅田駅を降り、お店へ向けて歩き始めます。大通りから少し入ると、夜は歓楽街のど真ん中のため、ネオンがたくさんあります。飲み屋やアバンチュールなお店が集う一角に、赤い「B-flat」の看板を発見。初めてでも、わかりやすく行きやすい!という印象です。

ビルの地下へ階段を下りると、出迎えてくれたのは、オーナーの仲田才智子さん。ワイルドだったり、アグレッシブだったりする音楽業界人とは一線を画す、とても上品なたたずまいです。挨拶をして、さっそくインタビューを始めたいと思います!

A仲田才智子・仲田佑希恵 プロフィール

仲田才智子 オーナー
大阪池田市出身。婦人服店を長年営み、作詞活動をきっかけに、アーティストが集えるスペースとしてB-flatをオープン。
仲田佑希恵
大阪池田市出身。高校卒業後、母親の開店したB-flatにPA担当として入店。

10— 綺麗なお店ですね。お店のキャパ的には、どのくらいですか?

オーナー:通常は35名くらいです。レイアウトを変えて40名くらいまでは対応できます。

— 音は割と大きく出せる感じですか?

オーナー:機材は普通のスペックのものですが、出演者にはロック系の方もいますので、ある程度の音量は大丈夫です。

— 内装がとても素敵なお店ですね。

オーナー:元々ここはバーでした。イメージに合わせて、壁以外の内装は手を入れました。

— お店をオープンされる前は何を?

オーナー:20年ほど婦人服店をやっていました。そちらを閉めてから3年くらいブランクがあって、「B-flat」を始めました。

— 娘さんと一緒にお店を切り盛りされているようですが、お店は娘さんの希望でもあったのですか?

オーナー:たまたまですね。娘も音楽が好きでしたから。特に娘が(お店を)やりたいと言ったわけではありません。

— 婦人服からライブバーへの繋がりについて教えてください。

オーナー:私は2007年くらいから作詞の活動をしていまして。音楽活動をされる方との交流もあり、この数年で知り合った方々とお話をしているうちに、皆さんが集える、ライブができるバーをやりたいと思いました。

03— 場所はすぐに見つかりました?

オーナー:すぐに探したわけではなくて。ライブバーをやりたいと思ったのは、実は4,5年前なんです。でもその頃は、まだ娘が高校生でしたから、娘の卒業を待ちました。

— そうなんですね。

オーナー:はい。2013年の4月に「B-flat」はオープンしたのですが、実際に探し始めてから、ここは2軒目の物件でした。

— 2軒目で決定は早いですね。このあたりの土地勘があったのですか?

オーナー:まったくありません。ネットでこういう物件に強い不動産屋さんを見つけて。そこに相談して、私の希望を書いておいたのです。そして、希望に沿うものが紹介されたような形です。

— 壁以外の内装をされたということですが、かなりの投資ですね。

オーナー:そうですね、結構かかりました。機材なども一から全部そろえました。

— 機材面は専門的な分野ですが。

オーナー:私はまったく機材の知識なくて。周りに音楽仲間はいましたが、専門的な人はいませんでした。

04— それでどうされたんですか?

オーナー:楽器さんに足を運びました。この物件を見つけてからの二ヶ月間、通いました。その間に全部調べて、好きな物を選んで決めました。

— たった二ヶ月、独学状態で凄いですね。

オーナー:何もわからない状態でしたが、自分で何とかできました。

— ステージや内装は、専門の業者にオーダーですか?

オーナー:不動産屋さんの知り合いのデザイナーにお願いしました。イメージを伝えて、私の好きな形にしてもらいました。

— 黒と赤のカラーが特徴的ですね。

オーナー:色は、改装前から黒と赤でした。大きなところはステージなどを作っていますが装飾の一部はそのまま利用しています。

— 苦労した部分はありますか?

オーナー:厨房が当初はあちら(ステージ下手側)にありました。それを今の場所に移せたので良かったのですが、もしそれができなければ、ステージを作れないので、この物件はアウトでした。

05— そうなんですね。

オーナー:あと私も知らなかったのですが、匂いのつきにくい加工というのがあって、それをしてもらっています。

— タバコや料理の匂いがつきにくいんですね。

オーナー:女性のお客様もいらっしゃるので、とても良かったと思っています。

— ライブバーとしては広さのバランスが良いですね。

オーナー:最初に内見をした時は、以前のバーのままでしたので、真ん中に大きなカウンターテーブルがありました。それを取り払い、厨房を移動することで、結果的に良い形になりました。

— スタッフは雇わずに、娘さんとの二人三脚ですか?

オーナー:そうです。役割分担は、お料理が私で、PAが娘です。ドリンクオーダーは手が空いている方が担当しています。

— 娘さんはPAを習ったのですか?

オーナー:娘は独学ですが、音響のプロの方に教えて頂いています。お店の音響プロデュースをお願いした方に、今も半年に一度くらい指導を受けています。

— ステージのアンプの台やトイレなど、随所に女性らしさを感じます。

オーナー:ステージの台は別注で作ってもらいました。トイレも行かれたお客様から、女性がやっているお店だねって、よく言われます。

06— お店の宣伝はどのようにされていますか?

オーナー:ホームページだけです。あとはFacebookを利用しています。フライヤーなどは一度も作ったことがありません。主には音楽仲間に口コミでお願いしました。

— チラシ配りなどはしていないのですね。

オーナー:ここの場所を借りる時の最初の印象が、少し怖かったのもあります。周りが歓楽街なので、チラシをばらまくと、怖い人きても嫌だなと思いまして。

— 飲み屋さんが多いので、普通の人が飲みに入ってくることはありますか?

オーナー:あります。覗いてから、飲めるよね?って、いらっしゃいます。ステージで何かやっていても、音楽好きだからと、結構聴いていかれます。

— 常にステージで何かやっているんですか?

オーナー:基本は持ち込みの企画です。お客様が仲間を集めて、対バン形式もあります。イベントによっては、今度こんなイベントがありますと、飲みにきたお客様に声をかけることもあります。

— イベントはどのようなものですか?

オーナー:そうですね。一人で来る人が多いと思います。なので、おしゃべりがメインですね。

— ドリンクは手が空いている方がということですが、お二人とも独学ですか?

オーナー:娘はたまたま、「B-flat」をオープンする半年前に、ライブハウスでバイトしていました。そこでドリンクの作り方を覚えました。私は昔、バーのお手伝いをしていたことがあったので、そこで覚えた感じです。

08— メニューを見せて頂きましたが、ライブバーのメニューではないですよね。

オーナー:はい。結構がっつりと、食べて頂く内容となっています。お客様が、家庭的な普通に美味しいと思う料理を、出したいと思っています。素材にもこだわっています。

— これだけ食べ物のメニューがあると、打ち上げもできますね。

オーナー:ライブ終わって、打ち上げにもそのまま開催してもらうケースは多いです。これくらいの値段でと言ってもらって、その中でセレクトして料理を出しています。ただ、ドリンクメニューの方は、種類を少し限定させてもらっています。内容は相談で良い形にできると思います。

— 一番人気、またはお薦めを教えてください。

オーナー:生姜焼きです。量を出しますので、しっかりと食事を取って頂けます。また居酒屋の代わりにも使って頂けます。

— 食事をしながら演奏も楽しめるわけですね。

オーナー:ライブの内容によっては、演奏をじっくり聴きにくるお客様もいらっしゃいますので、その場合のフードは、ミックスナッツなどの乾き物だけにしています。やはり調理となりますと、キッチンで音が出ますから。

— 客層的にはどうですか?

オーナー:年代的には、40歳後半から50歳代が多いと思います。でも20歳代の若い方も来てくれます。よくお店で歌ってくれるのは、ボーカル教室に通っている方ですね。発表会など。

11— お店は何時までですか?

オーナー:夜は11時に閉めて、最終電車で帰っています。

— 何か心がけていることがあれば教えてください。

オーナー:人と人との繋がりを大切に考えています。お客様にお客様をご紹介頂くことは、儲けよりも重要なことだと思っています。

— 店名の由来を教えてください。

オーナー:今までの人生、山あり谷ありでした。これからの人生はフラットに生きたいという思いと、私の若い頃に、池田市に凄く流行っていた「B-flat」というお店があったので、あやかりたいと思ってつけました。

— ロゴもお洒落ですね。

オーナー:はい。ロゴは友人に頼みました。やはり女性なので、ちょっとお洒落にもこだわりたい部分がありますし。

— なるほど。こだわりは大切ですね。

オーナー:でも、変にこだわって、あまり頑張りすぎるのも続かないので。ちょっと頑張る感じで、やっていけたらいいなと思います。
 

家族経営で娘さんとずっと一緒ということもあり、揉めたりはしないですか?と聞くと、まったくないとのことでした。仕事も役割分担をして、相手の専門には口も出さず、お店を出たら、仕事の話も一切しないようです。コツを聞いてみると、「ガチガチにしないことですね、お互いに我慢している所もあるでしょうから」。

音楽の原体験については、小さい頃から音楽には触れていたとの話。祖父母の行く敬老会館で、小学生から歌っていたとか。将来はお爺さんお婆さんを元気にする人になりたいと思ったのが最初の夢。お店でご自身では歌われないのですか?と聞くと、「完全に裏方で歌うことはまったくない」そうです。

ライブバーは、色々な人が来て飲食を楽しめる他に、ステージにも出られるメリットがあります。より日常的に音楽を楽しむには、ライブバーは最適なスペースと言えるでしょう。そして女性二人で経営するライブバーは、かなりレアなお店だと思います。今回訪れて特に感じたのは、女性らしさです。女性らしさはイコール、居心地の良さに繋がります。また来たくなる、そんな印象の「B-flat」に、ぜひ足を運んでみてください!

Live Bar B-flat

営業:18:30-23:30(月曜定休)
住所:〒530-0051 
 大阪府大阪市北区太融寺町7-11
 フジノビルディングノバ B1F
TEL:050-1106-2601

 
Website:http://bflat.in/
Mail:livebar.b.flat@gmail.com
 
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