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※この記事は取材した2014年のアーカイブです。最新情報ではありません。

セレクション29(東京)「ロック居酒屋 PUMP」リッキー&クラウス
TEXT & PHOTO:桜坂秋太郎

012大人気連載「ロック酒場探訪記」。今回は、東京・高円寺に新しく出来たロック居酒屋「PUMP(パンプ)」をご紹介しましょう!高円寺といえば、音楽カルチャーの強い中央線沿いでも、ロック色の強い街。ロック系のライヴハウスだけでなく、実際に住んでいるロックミュージシャンもかなりの人数です。そんな高円寺に新しいロックなスポットが登場しました。

今夏から、BEEAST主催の高円寺イベントもスタートしているので、最近私も足を運ぶ機会が増えた高円寺ですが、お店の場所をスマホで確認しながら歩いていると、あっと言う間に到着しました!これは近い!信号に引っかからず、まっすぐ来れば、駅からわずか1,2分の距離です。

さて、階段で2Fへ上がります。ロック居酒屋とはいったい、どのようなお店なのでしょうか。出迎えてくれたのは、マスターのリッキーとクラウスです!挨拶を済ませ、さっそくインタビューを始めたいと思います!

000リッキー&クラウス プロフィール

マスター 高橋力(リッキー)
1971年栃木県鹿沼市生まれ。高校時代にLAメタルに毒される。以降ジャーマンメタル、スラッシュメタル、パワーメタル、デスメタルと守備範囲を広げ、メタラー人生を歩み続ける。酒とメタルを愛する余り、勢いでロック居酒屋PUMPをオープン。現在、日々奮闘中。
クラウス
福島県いわき市出身。高校卒業後上京、調理師免許取得。高校時代からメタルに夢中になり、新宿にあった伝説のディスコ「ツバキハウス」で毎週日曜に開催されていた「ヘビーメタル・ナイト(DJ:伊藤政則)」へ通う青春時代を過ごす。


001— 開店されたのは最近ですか?

クラウス:はい、6月です。まだ出来たてです(笑)。

— 場所は最初から高円寺で開こうと決めていたのですか?

リッキー:僕が住んでいるので(笑)。探したのは高円寺の他に、阿佐ヶ谷や西荻窪、それから高田馬場あたりです。

— 探し始めて物件はどのくらいで見つかりましたか?

リッキー:今年2014年の1月から探していたのですが、3月くらいにココが見つかりました。

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— 以前も居酒屋のお仕事ですか?

リッキー:普通のBARに勤めていました。ずっと居酒屋がやりたいと思っていたんです。バーだとちょっと一杯飲む感じで、食べ物はあまりメインではないので、食べ物をちゃんとやりたいなと。

— このお店はとても駅から近いですね。

クラウス:は駅からは近いのですが、2Fだから目立たないんです(笑)。看板は、赤ちょうちんとボードだけ出していますが、なかなか気づいてもらえないようです。

— ロック居酒屋ということですが、やはりロックバーのように、大音量でロックが流れたりしますか?

クラウス:あまり爆音にすることは無いです。普通に会話ができるくらいの音量が多いと思います。ただ、運が良いことに結構音は出しても平気な環境です。元々は、カラオケスナックだった物件らしくて。防音がしっかりしているみたいなので、大音量のDJイベントなんかも対応できます。

003— 下の階から苦情は来ませんか?

クラウス:1Fはオシャレなワインバルなんですが、結構音を出した時に、確認したところ大丈夫みたいでした(笑)。

— 普段はそれほど大音量じゃないのですね。

クラウス:はい。お客さんの注文が聞こえなくなりますので(笑)。店内も暗いと私が(笑)見えないから、明るくしています。

— いつもこのくらい(取材時)明るいのですか?

クラウス:そうですね。結構明るいです(笑)。DJイベントなどの時は、ムードも大切なので暗めにしています。

004— お店に入ってすぐに目に入る、特大のマスコットがインパクトありますね。

クラウス:私はリラックマが大好きで、家に置いてあったのを店に持ってきました。私たちのロック居酒屋って、ガチガチのロックバーでもないし、かといって普通の居酒屋でもないし。でも普通の人からすると、ロック?何か怖い!うるさい!ってイメージがあるかもしれません。そんな時に、この子(特大のリラックマ)が居たらどうです?(笑)

— ビックリすると同時に、滅茶苦茶フレンドリーな印象を受けますね(笑)

クラウス:それを狙って置きました(笑)。ロックなんだけど、可愛らしい感じ。本当はロックがどうのじゃなくて、たくさんの人に来てほしいんですけど。でもやっぱりロックが大好きな人に来て欲しい気持ちもあり、かなり葛藤があります(笑)。

— オープン時は、どのような宣伝をされました?

クラウス:mixiとかFacebookなどでの口コミのみです。あとはライヴに行った時に、会場でチラシを配ったり、ライヴハウスに置いてもらったり。

— ロック居酒屋というイメージが、わかない人もいそうですね。

クラウス:一度来てもらえれば、お店の雰囲気がわかるんですが、2Fなので階段を上らないとならないのがネックです。女の子だと、もしかしたら強面のイカツイ野郎に「いらっしゃい!」とか言われちゃうと嫌だな、みたいな(笑)。

005— 店名のPUMPですが、最初からコレって決めていたのですか?

クラウス:そうみたいです。名前は、PUMPにするぞ!って言われました(笑)。AEROSMITHのファンには馴染みのある名前ですよね。

— 壁のラックにCDやDVDのコレクションがたくさんありますが、全部自前ですか?

リッキー:そうですね、一部クラウスのがありますが、だいたい僕のコレクションです。

— 何か面白いコレクションはありますか?

クラウス:「男はつらいよ」が全巻そろっていますね(笑)。私的には、ロックと寅さんとリラックマなんです。

— CDやDVDのリクエストには対応してくれるんですか?

クラウス:忙し時は厳しいのですが、それ以外はお応えできます。今のところ100%お応えできると思います(笑)。

— お店のお薦めを教えてください。

リッキー:焼鳥なんですけど、栃木の軍鶏を使った美味しい焼鳥を出しています。僕の後輩が、栃木で牧場をやっているんですが、そこから仕入れています。焼き方も焼鳥が最高に美味しくなるように、炭火でやっています。

006— 軍鶏の焼鳥がこだわりなんですね。

リッキー:どうしても譲れない部分でしたので、内装も炭火に対応させるのが結構大変でした。

— 確かに炭火ということは換気が大切になりますね。

リッキー:本当はこのキッチンの外(ビルの横)に、ダクトを付ける予定だったのですが、隣のビルとの隙間がこれくらい(10cm程度)しかなくて(笑)。仕方がないので、キッチンの上部から天井を通して、ぐるっとビルの後ろまでダクトをひきました。ちょっと想定外でしたが、譲れない部分でしたので(笑)。

— 焼鳥以外はどうですか?

クラウス:ご飯物だとタコライスですね。フードは一番高い物でも800円です。飲み物も一番高い山崎が700円で、ハトムギ焼酎やジャックダニエルは600円です。最近はホッピーもよく出ます。

— お手頃価格ですね。食事をしながら軽く飲むには最高ですね。

クラウス:初めてのお客さんは、ロックな店って思って入ってくると「明るいっすね!」って言いますが、メニューを見てさらに「安いっすね!」って言います(笑)。

007— それにしても、このAEROSMITHのタペストリーは素敵ですね。

クラウス:私もこれは気に入ってます。中野のブロードウェイで買ったんですが、家で飾るスペースがなかったので、やっと日の目を見ました(笑)。

— これは思わず、オッ!と思いますね。

クラウス:はい、確かにお客さんは必ず反応します。でも、なぜか記念撮影するのはリラックマの方なんです(笑)。

— お店の雰囲気に、大小のリラックマが絶妙にマッチしていますね。

クラウス:お客さんも私がリラックマ好きなことを知ると、何か持ってきてくれたりもします(笑)。イスに座らせているAEROSMITHの赤ちゃん用ロンパースを着ているリラックマも頂きものです。

008— お店のチラシも面白いですね。

クラウス:チラシやメニューは、パソコンが得意な友人が作ってくれます。本当に助かっています。

— コラージュが何とも言えません(笑)。

クラウス:リッキーが、お店のイメージにAEROSMITH『PUMP』のジャケット写真を使いたいと言って、私はリラックマがいいと言って、その結果ミックスしてもらいました(笑)。

— お店はイメージしていた感じでオープンできましたか?

クラウス:クマ以外とか言わないでね(笑)。

009— クマはとても良いと思います(笑)。

リッキー:最初はカウンターだけあって、他は何もない状態だったんです。そこから手作業で自分達だけでお店作りをしました。今は見えないようにしていますが、壁には間接照明が付いていたりします。換気扇工事とガス関係だけは業者にお願いしました。

— 想定外は換気だけですね。

リッキー:普通の換気扇が一つあるだけだったので、炭火の焼鳥をやるには絶対ダメだったんですが、最初は増設を簡単に考えていたので(笑)。結果、大掛かりな工事になってしまいました。

— 店内はもう完成した形ですか?

リッキー:実はまだ色々と考えてはいます。徐々にできればと思ってます。

011— 自分達だけで内装をやるのも大変な作業ですが、実際オープンするまでは、どのくらいかかりました?

クラウス:内装だけで一ヶ月くらいだったかもしれません。出来上がっても、今度はお酒を仕入れるとか、色々とやることがありました。お酒も、知り合いのバンドのドラマーが酒屋の方で、その方を通じて入れてもらいました。周りに助けられながらオープンできた感じです。

— やっとの思いでオープンしてみて、どうでした?

クラウス:友人らを招いて、プレオープンをやったのですが、そこから一ヶ月くらいは、何だかんだ言って知り合いが来てくれました。今は、ちょっとそれが落ち着いちゃって寂しいです(笑)。でも、その頃から一人二人と常連さんができてきたので、徐々にこういう店があることを知ってほしいですね。

— では最後に、アピールを一言お願いします。

クラウス:リーズナブルな値段で、気軽に来てもらえるお店を目指しています。お休みは基本日曜(イベントその他の時は営業)ですが、それ以外は17~24時まで毎日やっていますので、ぜひ一度足を運んでください!

010取材はお店の開店前に実施しましたが、DJイベントがある日のインタビューとなりました。通常営業日にインタビューすればよかったのですが、ちょうどタイミングが重なってしまいました。しかしイベントの準備に取り掛かるお二人を見ていて、あうんの呼吸とでも表現すべきでしょうか、動くリズムがとても似ていることに気が付きました。お店を切り盛りする上で、これはとても大切なことかもしれません。

開店当時、「ロック居酒屋PUMP」ではなく、少し弱気になって、「ちょっとロックな居酒屋PUMP」にしようかと、実は思ったそうです。結局それは無くなり、「ロック居酒屋PUMP」としてスタートを切っています。確かにインタビュー中に出てきた、ロックな人にも、ロックじゃない人にも来てほしいという、相反するような悩み、そのままのエピソードだと思います。

オープンからまだ日が浅い「ロック居酒屋PUMP」ですが、インタビューいかがだったでしょうか。高円寺はライヴハウスが多い街です。ライヴで高円寺に来た際には、ぜひ「ロック居酒屋PUMP」へも足を運んでみてください。またライヴではなくても、中央線沿線に用事があった時など、途中下車して夕飯に立ち寄るのもお薦めです。聴きたいCDや観たいDVDをリクエストして、リーズナブルで美味しい食事。最高の時間が過ごせることは間違いないでしょう!

ロック居酒屋 PUMP

営業:17:00~24:00(日曜定休)
住所:〒166-0002 
   東京都杉並区高円寺北3ー23-5 和光ビル2F
TEL:03-6383-0921

Facebook Page:https://www.facebook.com/izakaya.pump/

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東京都杉並区高円寺北3ー23-5 和光ビル2F



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