連載

フェリス女学院大学

TEXT:鈴木亮介

Photo未曾有の大地震で、列島全体を悲しみが覆っています。音楽も、明るく元気な音楽が姿を潜めています。東北、関東では余震の恐れや電力不足に伴い各地のライブハウスで公演中止が相次いでいます。

しかし幸いにして命があり、帰る家があり、満足に食事が出来る私達は、いつまでも喪に服している場合ではありません。一刻も早い復興を。そのために、自分の為すべき事を、為せる限り、粛々と。

全国の大学・短大・専門学校の公式協力の下、ロックなキャンパスライフを送る学生にスポットを当てる連載「キャンパスロック図鑑」。12校目となる今回は、日本最古の女子校として知られる、横浜市のフェリス女学院大学をご紹介します。

フェリス女学院大学は1870年(明治3年)に横浜・山手の外国人居留地で宣教師が女子を対象に英語の授業を行ったのがルーツで、戦後は専門学校を経て、短期大学として英文科や家政科に加えて音楽科も設置。1965年に大学が設置され、現在も音楽学部や大学院の音楽研究科で多くの女子大生が学んでいます。

音楽科のある女子大だけあって、芸能・芸術分野に数多くの著名人を輩出しています。俳人の黛まどかやソロシンガーの安藤裕子らOGに加え、映画『音楽人』で主演を務めた女優・モデルの桐谷美玲が在学中です。

今回ご紹介するのは、学校公認団体であるフェリス女学院大学軽音部です。「清楚で上品な女子大生」というイメージの大学ですが、いったいどのようなメンバーが集まり、どのような活動をしているのでしょうか。代表を務める藤田星来さん(日本文学科2年)に話を聞きました。

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— まずはじめに、フェリス女学院大学軽音部の特長を教えてください。

藤田:フェリス軽音部ではロック・パンク・J-POP・アニソン・ヴィジュアル系などさまざまなジャンルの曲を演奏しています。以前はオリジナル曲をやっているバンドもありましたが、現在はなく、コピーバンドの活動が中心です。バンドはイベント毎に組み直す形式ではなく、継続して続けていくので、一つの曲にじっくりと取り組むことができます。部員のほとんどが大学に入ってから楽器を始めたので、初心者でも安心して活動に取り組めます。また、バンドによってはパートチェンジをしてみたりと遊びが多いので、さまざまな楽器を体験できます。週1回昼休みに部会を行っており、そこで他学年と交流できるため、全学年を通して仲の良いことがうちの部の特長です。

— 部員数やバンド数はどのくらいでしょうか? また、主な活動についても教えてください。

藤田:現在は1年生から4年生まで合わせて約30人で活動しており、バンド数は10バンド程度です。部内だけで組んでいる人もいれば、交流校の方と組んでいる人もいます。部員は、基本的に1バンド以上は必ず組むことになっています。バンド数の上限は特にないので、5バンド以上組んでいる人もいます(笑)。活動頻度は大体各バンド週1回部室で練習をしていますが、ライブ前になるとスタジオも借りることもあります。部室は毎週固定でそれぞれのバンド練習が入っていますが、長期休暇中に限り、予約制で好きな時間に練習できるようになっています。部室は練習が入っていないときは部員の休息の場として使われています。ライブ場所は学校が中心ですが、たまにライブハウスを借りてやることもあります。

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— ライブやイベントにはどのようなものがありますか?

藤田:まず、年度初めに新歓ライブを行います。来年度は4月に学校の施設を借りて2つ、5月にライブハウスを借りて1つで、計3本のライブを計画しています。その後は11月に学祭ライブを2日間行います。たくさんのお客さんに演奏を聴いてもらえるので、みんな毎年張り切って練習や準備をしています。今年度は、学祭で一番輝いていた団体を表彰する「フェリスアワード」というもので音楽部門の1位になりました。後は2月に追いコンを行います。それ以外にも不定期で交流校の方とライブを企画したりしています。合宿は毎年9月の半ばに2泊3日の音楽合宿を行っており、合宿2日目の夜には宴会をしながらのライブをします。毎年ハメを外す人が多いですが、みんなテンションが高くてすごく楽しいですよ(笑)。

— 活動の苦労や困ったことなどがあれば教えてください。

藤田:うちの部活は先ほどもお話した通り30人程で活動しているのですが、そのうちの半分以上が1年生で構成されています。そのため今年度の4月の時点では部員がほとんどおらず、新歓ライブでは出演できるバンドが2バンドしかいなくて、すごく焦りました。結局私と友人がそれぞれ、やったことのないギターとドラムを1ヶ月で練習して事なきを得ましたが、今後はこのようなことがないようにしていきたいですね(笑)。

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— 藤田代表にとってフェリス女学院大学軽音部はどのような存在ですか?

藤田:うちの部は部員みんながそれぞれすごく個性的なんですよ。個性的な面だけは、どの大学の軽音部にも負けないって自信を持てるぐらい(笑)。いろんなアイデアが出るので、みんなの意見を聞くのはすごく面白いです。でも、とにかくまとまりがないという…(笑)。この部をまとめるのはすごく大変だし、正直、面倒だと感じることも多々あります。でも、そう感じることがあってもやっぱり一番に「帰りたい」と思うのはこの部ですね。軽音部は私の居場所であり、部員は信頼できる大切な仲間です。

— 最後に、今後の目標を教えてください。

藤田:うちの部は各バンドマイペースに活動しているので、それぞれのバンドの持ち曲が少なくて、交流校の方に誘われたライブでは毎回同じバンドが出演しているような形になってしまっています。今後は学外でやるライブにもいろんなバンドが出演できるように、練習に励んでいきたいと思います。また、昨年はライブ本数が少なかったので、今年は部員のモチベーションを保って行く為にもライブ本数を増やしていきたいと思います。個人の目標は、みんなの意見に耳を傾けられる部長になることと、フェリス軽音部をもっともっと笑顔の溢れる楽しい部活にしていくことです!

※フェリス女学院大学よりメッセージ

Photoフェリス女学院は、1870年、アメリカ改革派教会から派遣された女性宣教師メアリー・E・キダーによって創立された、日本最初の女子教育機関です。2010年に創立140周年を迎えました。
”For Others”という教育理念のもと、守り続けてきた伝統に加え、国際社会へ対応する独自の教育を整備し、時代にふさわしい「自立した女性」を育成しています。

オープンキャンパス (http://www.ferris.ac.jp/~ferrisnavi/campus/open.html)

◆フェリス女学院大学 軽音部

http://fkeion.web.fc2.com/
4月22日に学内で、5月に学外で新歓ライブを行う予定です。ホームページをチェックしてみてください!

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◆フェリス女学院大学軽音部プロフィール
・ 大学住所
〒245-0002 神奈川県横浜市泉区緑園4-5-3
・ 創立年
1870年(学院創立)
・ 学生数
(2011年1月現在)学生数:2,745人
・ 大学HP
http://www.ferris.ac.jp

◆ビースト推薦文
大学に音楽学部があり、様々な音楽系の団体がある中、しかもほとんどのメンバーが初心者にも関わらず「フェリスアワード」音楽部門1位というのはすごいですね!それだけ楽しく、かつ本格的に練習しているのでしょう。音楽に早いも遅いもありませんから、こうして大学に入ってから楽器に触れ、ロックに親しむ学生が増えるのは喜ばしいことです。また、代表の藤田さん自身も、ギター、ベース、ヴォーカルの3パートを掛け持ちしているとのこと。一つにこだわらず色んな楽器に触れられるのもいいですね。