連載

信州大学

TEXT:鈴木亮介

Photo3月になりました。受験がひと段落し進路が決まった人、定期テストが終わり無事進級できた人…様々な学生のホッとした表情が朝のホームで飛び交っています。一方、大学3年生はこれから就活が本格化していきますね。エントリーシートの執筆に追われて徹夜…という人もいるでしょうか。

さて、全国の大学・短大・専門学校の公式協力の下、ロックなキャンパスライフを送る学生にスポットを当てる連載「キャンパスロック図鑑」。11校目に登場するのは、長野県の国立大学、信州大学です。教育県として知られる信州・長野の様々な専門学校や医科大学などが統合し、1949年に設立されました。国内唯一の「繊維学部」もあり、これは大本をたどると1910年の上田蚕糸専門学校がルーツで、100年経った今もその伝統を受け継いでいます。合併の経緯から、多種多様な学部が存在し、キャンパスが県内4市村(松本、長野、南箕輪、上田)に分散しているのが特徴です。

そして、ご紹介するサークルは信州大学軽音楽部です。代々1年生が代表を務めるというユニークな伝統があります。今回は現4年生で軽音楽部の事情に詳しい、元代表の長田航太さん(工学部電気電子工学科4年)に話を聞きました。

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— まずはじめに、信州大学軽音楽部の特長を教えてください。

長田:自分たちのサークルの特長は、何でもアリの雑食系音楽サークルという点です。邦楽あり、洋楽あり、ポップス・ロック・メタル・フュージョン・ミクスチャー・ファンクやジャズっぽいもの、果てはアコースティック、打ち込み系の音楽と、自由に各々がバンドを組み日々練習を行っています。ジャンルが多岐に渡るため、同じライブで同じ人が全く違うジャンルのバンドで複数出演することもあります。そんな時「あいつにはこういう一面もあったんだ」と同じ部員の新たな一面を発見することもできます。バンドはライブごとに組む事もありますが、固定バンドも多く存在し、成熟した演奏をするバンドもあります。またオリジナルのバンドも各学年1つくらいは毎年あり、外でライブしたり、コンテストに出場するなど自分達の音楽を模索しています。以前には先輩のバンドで長野県のコンテストで賞を受賞したバンドもありました。

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— 部員数やバンド数はどのくらいでしょうか? また、主な活動についても教えてください。

長田:現在部員は50名前後在籍しています。初心者、経験者はもとより、大学に入ってから今までとは違ったパートをやる部員もいます。マルチにいろいろなパートをできる人もいます。ただ入った時がどうであれ、卒業する時には全員が入部時より格段にうまくなっていますね。バンド練習は信州大学松本キャンパスにある軽音楽部のBOX(部室)でバンドごと時間を区切って行っています。信州大学は各学部ごとにキャンパスが点在しているので、平日はメンバーが松本キャンパスにいるバンドが、休日はその他のキャンパスにいる部員が松本に集まり練習しています。練習はサークルの定期ライブに向けてが主ですが、ライブあるなしにかかわらず練習しているオリジナルバンドもあります。特筆すべきは、BOXは24時間使用可能で、しかも軽音のBOXは他のサークルの2倍の広さを持ち機材も充実していることです。バンド練習だけではなく個人練習も空いた時間にできるので、自宅で個人練習がきついドラマーには特にうれしい環境ではないでしょうか。

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— ライブやイベントにはどのようなものがありますか?

長田:サークルの定期ライブが年に6回あります。通常は大学の教室に機材を入れて行いますが、年1回大きなライブイベントもあります。「ROCK上等」といって、自分たちで大学の敷地内にステージを組み、信大の他の音楽サークルや一般のバンドと一緒に行うライブイベントです。このイベントはまだできて4年と新しいもので、まだまだ形が決まっていません。だからこそ、部員が「ROCK上等」のことを考え、その年、その年で違ったライブになっていて、毎年盛り上がっています。そのほか、行事としては、春の花見、大学祭での出店、年度末のライブの後の温泉などがあります。 個人的には、定期ライブ→打ち上げ(毎回同じお店)→大学のBOX(部室)前でおしゃべり or セッションという自分たちのサークルの定番コースが好きです。

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— 活動の苦労や困ったことなどがあれば教えてください。

長田:部長として部をまとめること、つまりは部長職を引き継いでいくことにとても苦労しました。自分が先輩から部長を引き継いだ時、引き継ぎの不備と自分の注意不足が重なり大事な大学祭のライブに出られなくなってしまいました。その時は絶望を味わいましたが、同い年の仲間に支えられて、その後他のライブを立ち上げることができました。結果的に先輩方を含め部員全員が満足できたのでよかったです。ちなみのこの時立ち上げたのが「ROCK上等」です。月日は流れ、自分が今度は後輩に部長職を引き継ぐ番になりました。自分が伝えたいことすべてが伝わらないというジレンマを抱えながらも、後輩に少しでも仕事のやり方、考え方を教えようと努力しました。幸いしっかりした後輩の部長なので、引き継いだことをもとにさらに軽音を良くして行ってくれるのではないかと思います。

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— 長田前代表にとって信州大学軽音楽部はどのような存在ですか?

長田:自分は軽音楽部に入ったことでいろいろな先輩、同期、後輩と出会うことができました。みんな音楽が大好きです。そんな仲間がたくさんいたからこそここまで精進できたと思うし、音楽をもっといろいろな目線で聴けるようになりました。自分は大学入学当初はロックばかり聴いていましたが、このサークルに入って、先輩に勧められたり軽音の定期ライブで聴いて感銘を受け、フュージョンやファンク、ジャズといったものを聴くようになりました。音楽の多様性を持つサークルだからこそ自分の音楽性の幅を大きく広げられたと思うし、同時に音楽を通じてたくさんの仲間とコミュニケーションを図れたのではないかと思います。

— 最後に、今後の目標を教えてください。

長田:前述した「ROCK上等」はまだまだ不完全なもので、どうやったらライブに参加するバンドやサークル以外の人にも見たり・聴いたりしてもらえるか、工夫する必要があります。それを試行錯誤し、いずれは「ROCK上等」=「夏フェス」みたいな感じにしたいです。

※信州大学よりメッセージ

信州大学は、松本・長野(2カ所)・上田・南箕輪の5カ所に主要キャンパスを持ち、本学の学生達は美しいアルプスの山々に囲まれた自然豊かなキャンパスで学生生活を送っています。本学では、8学部が人文・社会・自然科学の枠を超えて連携し、教育研究を展開しております。また、全学を挙げて環境マインドを持つ人材の育成をめざしており、平成22年度には全てのキャンパスがISO14001を取得しました。

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◆信州大学軽音楽部

様々な音楽性を持った部員が集まるサークルですが、「音楽が好き」という点ではみんな一緒です。

部員同士も仲が良く、学校生活も一緒で他にあまり友達がいない人も、話題がなければとりあえず音楽の話しとけば大丈夫!という、そんな音楽好きが集まるサークルです。

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◆信州大学プロフィール
・ 大学住所
〒390-8621 長野県松本市旭3-1-1
・ 創立年
1949年(昭和24年)5月31日
・ 学生数
(2011年1月現在)学生数:11,500人(大学院含む)
・ 大学HP
http://www.shinshu-u.ac.jp/

◆ビースト推薦文
信州大学は国立大学でありながらキャンパスが複数に分かれているのが特長。その分、サークルをまとめていくのも大変なことと思いますが、しっかりと部をまとめようと奮闘している様子がインタビューから伝わってきます。長野と言えば、2月まで縁の下の力持ちとして支えてきたBEEASTスタッフ・飯田デスクのお膝元。以前、スタッフヴォイスに「長野でロックフェスを!」と書いていたのを思い出します。教育熱心な県民性で知られる長野県。熱いパワーを秘めた信州大の学生さんが立ち上がれば、きっとうまくいくはず!「ROCK上等」がさらに発展していくことを願います!