演奏

TEXT:八神灰児 PHOTO:K

25年という歳月…ヴィジュアル系バンドの先駆的存在として知られたGargoyleガーゴイル)が、一つの節目を迎える。『25th Anniversary Live 虹融合』と題し、大阪は江坂MUSEでの単独公演だ。
 
懐古主義というある種のムーヴメントにも似た、昨今よく耳にし目につく”○周年再結成”や”○周年記念ライブ”。そのどれもが決して懐かしんでばかりいるようなものでないことは百も承知だ。だが筆者は思う。走り続けてこそ、”○周年的感慨”は走り続けた創作者たちと愛しつづけた応援者達にとってかけがえのないものとなるのではなかろうか。アニバーサリーという響きとともに。
 
Gargoyleメンバー:
KIBA(Vocal)、KENTARO(Guitar)、TOSHI(Bass)、KATSUJI(Drums)
 

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まずは貴重なリハーサルの模様を、写真でお届けしたい。今回取材したGargoyle『25th Anniversary Live 虹融合』大阪編は、本ライブの一週間前に渋谷で開催された東京編とは異なり、スペシャルセッションバンド等の登場はないシンプルな構成だ。彼らにとって古巣とも言うべき大阪。だからこそ、敢えて余計な脚色を排した、シンプルなワンマンライブなのかもしれない。
 
そして午後5時半、開場。隅から隅までに入った客席は、今かいまかとはち切れんばかりに賑わっている!いよいよ開演の時が迫る!
 
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SE「死に至る傷」から、今夜の1曲目は「蠱惑」で幕開け。重厚な迫力で一気に会場を圧倒する!名物とも代名詞ともいうべきKIBA(Vocal)のド派手かつ流麗な衣装を筆頭に、KENTARO(Guitar)、TOSHI(Bass)、KATSUJI(Drums)も、衣装もプレイもともにイケイケだ!
 
続けて投入されるのはKENTAROの煽りから「脳内自殺」。煽りの間隙をついて羽織の衣装を早速脱ぎ捨てたKIBAには、開幕からのアイドリングなんて一切抜きの激情を感じられた。そして「D-EXIT」、「花鳥風月」とファンも納得の怒涛の構成で一気にたたみかける!
 
盛りに盛り上がったオープニングを駆け抜けた後、MCではこんなやり取りが…
KIBA「前回のライブでのお約束通り…40歳になってKENTAROくんが戻ってきました」
KENTARO「40歳になりました!でも、しわくちゃにならずに済みました!」
KIBA「それって俺らがしわくちゃってことか?」
KENTARO「違いますよっ!前にKIBAさんが言ってたんじゃないですか!オレが次に40歳になって帰ってきたらしわくちゃかもよ~って」
KIBA「あー、はい、分かった。どーせ俺ら(年長組)が悪いんやんな(笑)」
…ってなんとも軽妙で微笑ましいやり取り。25年間も走り続けてきた同志だからこそ作れる空気とでもいうのか。25年という刻みは人生の転機さえ共にしてきたといっても過言ではない時間。互いの年齢差どうこう以前の絆が言わずもがなGargoyleには確実に存在していることを象徴しているかのようなやりとりに筆者には思えた。
 
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KIBAの「次の曲は、大阪ではしばらくやっていなかったみたいです」という紹介からGargoyleサウンドが再び疾走する!「時代を知らない子供達」。「風の街」へとつながり、そしてこちらも久しぶりに披露されたという「雨降る雲の向こう」と重厚にしてメロディアスなナンバー。続いて繰り出されるのは筆者も大好きな「ジェットタイガー」!取材を忘れめっちゃくちゃ歓喜して大暴れしてしまう。
 
2度目のMCではTOSHIが客席に話しかける。「25年ありがとう!これからもホントによろしくッ!」「(観客)みんなもメンバーやからな?勝手に脱退したらあかんで!手切れ金払ってもらうで」との言葉に、客席からは「キャーーーーッ!!」と歓声が。TOSHIの口から紡ぎだされた言葉には、25年もの間、ライブでの機材の搬出や搬入を全部自分達でやってきたんだという感慨と、それこそがGargoyleのライブなんだという自負が込められている。何もかも用意された現場でただただ奏でてきたわけではない。愛してくれるファンに対して、足を運んでくれるのそのライブその一日に対するGargoyleとしての誇りと責任を、あえて軽妙に、大袈裟に伝えない心遣いはさすがと感じる。
 
   


続けてKIBAも語る。「今日でライブ1115本目なんです。さっきのTOSHIさんの話じゃないですけど、準備があってこそのライブなんですよね。25年間ってことは… 約9000日か。数学の得意な人、合ってる?…その9000日のうち、ライブやってる日のほうがずっと少ないですよね。で、後の日はずっと準備してる。ライブの日があるからこそできることです。」
 
ライブは中盤、イベントタイトルでもある新曲「虹融合」がここで奏でられる。Gargoyle作品の歩みを文字通り融合させたこの楽曲は、ある種のサブカルを突き詰めていくような喜びにも満ちている。「虹融合」の元ネタとして結構な割合で前任ギタリスト達が刻んできた楽曲のリフが使われていることにグッとくる。Gargoyleの歩みには垣根なく全ての楽曲が今も血となり肉となり息づいている。制作過程で彼ら自身がどれほど過去の思いに浸り、その思いを楽曲に込めたか
は分からない。しかしGargoyleと共に走り続けたファンにとっては、全ての歴史を融合する、まさにアニバーサリーな仕上がりとなっていた!続く「真王」、そして「影王」と、対照的なタイトルが並び、会場を客席の全てをさらなる興奮へと導いていく!
 
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大阪を活動の出発点とする我らがGargoyle。三度目となるMCではこんなことが語られた。Gargoyle名義での初めてのライブには、KIBATOSHIがいたこと。その時のTOSHIは正式メンバーではなく友人として手伝ってもらっていたこと。だがその1度の”手伝い”から感じ得た互いの痛快さこそが、25年の月日を迎え、なおも失速することなく走り続けるGargoyleという唯一無二たる世界の幕開けであったということ。
 
初めてのライブを行った場所は、今はなき大阪の老舗ライブハウス「バハマ」。当時、練習スタジオで録音したデモテープを持って彼らはその門をたたいた。申し込みの際、「君ら、バンド名は?」と聞かれて慌てて名付けたのが「Gargoyle」だったという。「とっさにつけた」と照れながら話すKIBAの感性は、その語感もイメージも、現在の彼らの姿を予見していたかのように、しっくりとした、馴染みのある名前となった。(※gargoyle=ゴシック式建築の屋根などに雨水を流す穴として設置される、怪物の形をした石像)
 
余談として、そのライブ出演の際「音楽ジャンルは?」とライブハウスに問われ、”重たいロック”というイメージから「ヘビーロック」と伝えたところ、対バンにはブルースバンドをブッキングされたというエピソードも併せて聞かせてくれた。現在ほどに様々なジャンルの呼称が確立されていなかった時代ならではのエピソードだ。

   

 
後半戦はまさにGargoyleライブの真骨頂ともいうべき、騒ぎ!歌い!踊り!狂おしいほどの熱量を会場中に撒き散らし、ある種のクーデターやデモを彷彿とさせるかのような、熱狂的でありながらもひとつの喜び、ひとつの安息へと先導してるかのようなカリスマ的ステージパフォーマンスが続く!
 
その照明にKIBAがとても美しく照らし出され、聴覚に視覚にと曲に入り込んでしまう「人形の森」。「VIVA!-aso-VIVA!」「マンボ・ジャンボ」と続く。初めてGargoyleを目の当たりにする人であっても、もう騒ぐっきゃないこの流れ!客席もステージも新旧全てのファンが一体となって踊りまくる!
 
「HUNTING DAYS」がラストかと思いきや!メインボリュームのラストソングは「ナックルアート」!その歌詞に秘められた思い!客席とのコール&レスポンス!いつにもまして一段と込められているかのようにコール&レスポンスが響く。そこにあったのは、まさにGargoyleが25年もの間、高らかに拳を上げ自らで作り上げてきたKnuckle art=拳骨芸術ともいえる景色だ。この景色に支えられ走り続けていることに、Gargoyleメンバー、そしてファンが互いに感謝し、讃えあっているのだ。心なしか筆者には、この楽曲の最後にKIBAが少し目頭を熱くしていたように見えた。
 
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鳴りやまない拍手と、求め続ける歓声。Gargoyleの地元、いや故郷と言ってもいい大阪のファンは熱い!25年間共に走り続け、今日ここに集結したGargoyleファミリー達は、まだまだこのままでは帰れない!凱旋を迎え祝うかのような熱気で、もっとGargoyleと、そしてそのサウンドとじゃれあっていたいのだ!
 
熱いコールに満を持してステージに帰ってきたGargoyleKENTAROからはまず手始めにアニバーサリーなグッズ紹介の販促トークショー。メンバー一丸となって「準備から設置まで全てを自分達で」を信条とする彼らにとって、それはとても大切な話。そして届けられたアンコール一発目のナンバーは「完全な毒を要求する」。本当に最高だ!
 
ダブルアンコールではKATSUJIが単独帰還!何を語るでもなくおもむろにバーン!とドラム一撃!そこからはいつになく珍しいKATSUJIドラムソロに。会場も盛りに盛り上がり場内はまさにKATSUJIコールの大合唱となった!「ぎ」に続いて届けられた「死ぬこととみつけたり」では、ギターソロの終わりに、KIBATOSHIに近付き肩を抱きその自らのマイクを向ける。TOSHI渾身の「死ぬこととみつけたり!!」が、江坂MUSEにいた全ての人の心をわしづかみにした。

   

 
そしてやはりこの特別な夜に相応しいトリプルアンコールでは、GargoyleGargoyleたるべくして初めて作り上げた楽曲「邪悪」!幕が閉まった状態から流れ出したイントロに、会場は湧きに沸いた!駆け抜けた様々な時代の中にあって集まったファンを前に、始まりの楽曲を最後に届けるとは心憎い演出だ。舞台も客席もこの最終局面にに割れんばかりの咆哮と一体感をもって動きまくる!その感動と感謝に涙も汗も全くの区別がつかないほどに それぞれのありったけを伝えあった渾身にして魂新の一夜はその幕を閉じた。
 
ステージはもちろん、客席の興奮も冷めやらぬ中、最後にKIBAはこう括った。「25年やってきて、もう今さらやめるってことはないですしね。今やめたら、じゃあ今までのは何やったんやってなりますしね。Gargoyleに人生をかけてやってきたと言えるので、Gargoyleがうまくいったら人生がうまくいったんだと思います。うまくいったとか良いかどうかを決めるのは、こうやって観てくれてる人の中に答えがあると思います。」 と。
 
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アナウンスにより終演が告げられ幕が閉まってなお鳴りやまないその拍手は、GargoyleGargoyleたるべく独自の世界を走り続けていくことを称えるかがり火であり、道なき未知をいく彼らを導く灯台かのようにも思えた。そしていよいよ11月からは実に1年半ぶりとなるGargoyle25周年記念ワンマンライブツアー『虹融合周遊』がスタートする!とても一口には表現できないような輝きを放ちながらGargoyleを愛しつけるファンの心にこそ、自らへの愛と確信をも探求しながら、極楽にしてフルスロットルな夜は永遠の景色であり続けるとずっと筆者も求め望み続けていたい。
 

◆セットリスト
M01. 蠱惑
M02. 脳内自殺
M03. D-EXIT
M04. 花蝶風月
M05. 時代を知らない子供達
M06. 風の街
M07. 雨降る雲の向こう
M08. ジェットタイガー
M09. 虹融合
M10. 真王
M11. 影王
M12. 人形の森
M13. EXECUTE
M14. VIVA!-aso-VIVA!
M15. マンボ・ジャンボ
M16. ときめき
M17. FIRE KING
M18. HUNTING DAYS
M19. ナックルアート
 
-encore1-
M20. 完全な毒を要求する
M21. 極楽フルスロットル
 
-encore2-
M22. ぎ
M23. 死ぬこととみつけたり
 
-encore3-
M24. 邪悪
 
◆Gargoyle 公式サイト
http://firstcell.net/gargoyle/
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◆インフォメーション
25周年ワンマンライブツアー『虹融合周遊』
・2012年11月18日(日)【高田馬場】CLUB PHASE
・2012年11月22日(木) 【福 岡】DRUM SON
・2012年11月23日(金祝)【福 岡】DRUM SON
・2012年11月25日(日) 【大 阪】ESAKA MUSE
・2012年11月27日(火) 【広 島】ナミキジャンクション
・2012年12月08日(土) 【札 幌】COLONY
・2012年12月09日(日) 【札 幌】COLONY
・2012年12月12日(水) 【仙 台】HooK
・2012年12月13日(木) 【新 潟】GOLDEN PIGS BLACK STAGE
・2012年12月15日(土) 【金 沢】AZ
・2012年12月16日(日) 【名古屋】ell FITS ALL
・2012年12月23日(日)【高田馬場】CLUB PHASE

 

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